伝達

「お前ら,本気で伝える気ある?」と,エラい人

ここ数日,とある資料作りに追われていた。締め切りは迫っていたが,テキトーなものをでっち上げる訳にも行かず,上司とディスカッションをそこそこ重ねて整理した。

「業界紙向けの論文を書けとは言っていないよね。分かっている?」

提示する項目は多く,バックデータも揃えなければ説得力はない,ということで資料編だけで数十枚になっている。
しかし,全部読んでもらった上で理解してもらう訳にもいかないので,ワンペーパーのサマリーを作った。

「テクニカルな説明をする前提の資料は意味がないよ。私がやるのはプレゼンで,講義じゃないから」

相手方はそこそこの地位にいる方。そこそこと言っても,私から見れば遙か上だが。
その方に納得をいただいて,好条件を引き出そうというのが今回のミッション。
上どおしの根回しはある程度済んでいるのだが,やはり現場にとってどのくらいヒトとカネという資源が取れるかは重要。少しでも多い方が良いに決まっている。

「取り巻きはともかく,向こうの代表はメモなんて取らないよ。このペーパーに書かれていることが全て。手元に残るのもね。」

それを意識したつもりではあったのだが,指摘されたことを改めて見直すと,確かにポイントがずれているような気がした。
そしてプライオリティも明確ではなかったようだ。

「こっちの事情を向こうが知っている前提で書いても,説得できないよ。知らないんだから判断のしようがない。」

ワンペーパーというのは,かなりテクニックがいることは十分知っているつもり。それ故,内容よりも文字数に追われてしまうこともある。
せめてこのキーワードは入れる,と言うことも。

「来年の人員と事業費にかかわる事は分かっているよね。じゃあ,何を伝えなければならないかも当然分かっているよね」

もちろん十分分かっている。口で説明しろと言われれば,現状,新たなプロジェクトの必要性,必要な資源は言える。
しかしこれは現場担当レベル。エラい人は個々の現場を詳細に把握する時間は,ない。
全体の方向性を決めなければならない。多数のベクトルを固まりで考えなければならない。
個々のベクトルは,それに乗っている者で決めなければならない,それも正しい方向を。

言葉で伝えるのは難しい。自分の考えが声になった途端,正確性が失われる。
文字で伝えるのも難しい。考えを文字にすることはできるが,やはり正確性は失われる。
更に,文字数の制限もある。文書はいくらでも書いていいという訳にはいかない。

十分練ったつもりの文書でも,見る人が変わればとらえ方も変わる。
そして評価するのは作った人間以外なのだから,その評価は受け入れなければならない。

結果:再考

まあ,こうして更に良いペーパーになっていくので,やってきたことは無駄にはならない。
しかしだ,締め切りは休み明け,私は明日明後日と出張。

休日出勤確定か・・・
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