「告発の行方」 1988年 アメリカ
監督 ジョナサン・カプラン
出演 ジョディ・フォスター
ケリー・マクギリス
バーニー・コールソン
レオ・ロッシ
アン・ハーン
カーメン・アルジェンツィアノ
ストーリー
ミルという名の酒場から飛び出してきた若い男が、公衆電話から警察にレイプ事件が起きていると通報、彼の後を追うようにミルから出てきた半裸の女性が通りで必死に車を止めてそれに乗り込んだ…。
被害者はサラ・トバイアスで、酔ってマリワナも吸っていた彼女を3人の男達が犯したのだという。
サラから事情を聞いた地方検事補キャサリン・マーフィは、彼女とダンカン保安官を伴ってミルに行き犯人達を確認する。
やがて事件の捜査は進み、犯人側の弁護人が真っ向から戦いを挑む姿勢を見せたことにより、キャサリンは様々な証拠を基に裁判の状況を予測するが、被害者に有利なことは何ひとつなく、彼女は渋々ながらも、3人の容疑は過失傷害との裁定の取引きに応じた。
この事実を知ったサラはキャサリンを激しく責め、深く傷つき悲しみにくれる。
傷つき入院するサラを見舞ったキャサリンは、身も心も打ちひしがれてしまっている彼女の姿に、女性として検事として真にあるべき道を教えられ、再び事件を裁判の場で争う決意を固めた。
レイプを煽り、そそのかした男達を暴行教唆罪で告発しようという彼女は、サラの友人でミルのウエイトレス、サリー・フレイザーに暴行教唆犯を特定してもらうが、その際サラが事件直前、暴行犯の1人、大学生のボブと寝てみたい、とサリーに言った事実が明らかになる。
窮地に立たされたキャサリンは、事件の夜に警察に通報した若い男ケン・ジョイスを探し出すが、彼はボブとの友情から真実を話そうとしない。
そして遂に裁判の日がやってくる・・・。
寸評
レイプ事件を描いているがレイプした男を弾劾するのではなく、その場に居合わせてレイプを煽り立てた男たちを非難する内容となっている。
性犯罪事件は被害者が裁判と言う場で二度目の被害者となること恐れて泣き寝入りすることも多いと聞く。
被害者のサラは法廷でレイプされた状況を必死で答えるが、被告側の弁護士の反論にあってしまう。
被害者が晒し者なってしまう状況なのだが、現実社会ではもっとひどいことが起きていると思う。
サラは強い人間だが、多くの女性たちは世間の好奇の目を浴びることになるだろうし、あらぬ噂を立てられることも有るに違いない。
日本の裁判では被害者の人格を守るために、被害者の姿を隠すボードが立てかけられるようになったが、ここでのサラは傍聴席の前に姿を現している。
しかしサラが世間から興味本位の目で見られることや、からかい半分の嫌がらせを受ける場面はない。
むしろ被害者のサラがかなりいい加減な女性であったことが描かれる。
その為にレイプ犯を強姦罪に問う事が出来ず、司法取引で過失傷害で治まってしまう。
実刑判決が下りるが微罪の内である。
自らの対応を反省した検事補のキャサリンは、レイプを教唆したとしてレイプ現場にいながら止めることをせず煽り立てた男たちを告訴することにし、映画はその様子を描いていく。
誰がその場にいた男たちだったのかのサスペンスには乏しいものがあるが、ちょっと素行の良くないサラがレイプされるに至るシーンは迫力があり、悲惨なシーンとなっている。
男たちのゲスぶりが描かれ、男の僕でさえヘドが出る思いだから、女性観客はどのような思いで見ただろう。
群集心理が暴走していく恐さをこれでもかと描いていくすさまじいシーンとなっていて、ジョディ・フォスターの熱演が光る。
実はこの現場をサラの友人のサリーや、通報してきたケンも見ていたはずなのだが、彼らも男たちの行為を止めることをしていない。
僕は友人を救えなかったサリーの苦悩を描いても良かったと思うし、何よりも通報したケンが親友との間で苦悩する姿を描いても良かったと思っている。
特にケンは友人から、証言すれば自分の刑が5年に延びてしまうではないかと責められ、一度は記憶がないと証言を変えようとしている。
しかし裁判では証言をするようになるのだから、彼には相当の葛藤があったことが想像される。
その葛藤に打ち勝ったプロセスが描かれていないので、判決後に浮かべたケンの笑顔には非常に違和感を感じてしまった。
出所してきたボブと証言したケンの関係はどうなるのだろう?
ボブはケンを恨みに思って何か良からぬことが起きるのではないかと、余計なことを想像してしまった。
アメリカでは集団によるレイプ事件が多発していることが最後にテロップされるが、「告発の行方」は煽り立てることも見て見ぬふりをすることも共犯に該当するのだと主張する啓蒙作品である。
サラはレイプの被害者になってしまうが、好奇の目が彼女の上に注がれなかったのは救いであった。
監督 ジョナサン・カプラン
出演 ジョディ・フォスター
ケリー・マクギリス
バーニー・コールソン
レオ・ロッシ
アン・ハーン
カーメン・アルジェンツィアノ
ストーリー
ミルという名の酒場から飛び出してきた若い男が、公衆電話から警察にレイプ事件が起きていると通報、彼の後を追うようにミルから出てきた半裸の女性が通りで必死に車を止めてそれに乗り込んだ…。
被害者はサラ・トバイアスで、酔ってマリワナも吸っていた彼女を3人の男達が犯したのだという。
サラから事情を聞いた地方検事補キャサリン・マーフィは、彼女とダンカン保安官を伴ってミルに行き犯人達を確認する。
やがて事件の捜査は進み、犯人側の弁護人が真っ向から戦いを挑む姿勢を見せたことにより、キャサリンは様々な証拠を基に裁判の状況を予測するが、被害者に有利なことは何ひとつなく、彼女は渋々ながらも、3人の容疑は過失傷害との裁定の取引きに応じた。
この事実を知ったサラはキャサリンを激しく責め、深く傷つき悲しみにくれる。
傷つき入院するサラを見舞ったキャサリンは、身も心も打ちひしがれてしまっている彼女の姿に、女性として検事として真にあるべき道を教えられ、再び事件を裁判の場で争う決意を固めた。
レイプを煽り、そそのかした男達を暴行教唆罪で告発しようという彼女は、サラの友人でミルのウエイトレス、サリー・フレイザーに暴行教唆犯を特定してもらうが、その際サラが事件直前、暴行犯の1人、大学生のボブと寝てみたい、とサリーに言った事実が明らかになる。
窮地に立たされたキャサリンは、事件の夜に警察に通報した若い男ケン・ジョイスを探し出すが、彼はボブとの友情から真実を話そうとしない。
そして遂に裁判の日がやってくる・・・。
寸評
レイプ事件を描いているがレイプした男を弾劾するのではなく、その場に居合わせてレイプを煽り立てた男たちを非難する内容となっている。
性犯罪事件は被害者が裁判と言う場で二度目の被害者となること恐れて泣き寝入りすることも多いと聞く。
被害者のサラは法廷でレイプされた状況を必死で答えるが、被告側の弁護士の反論にあってしまう。
被害者が晒し者なってしまう状況なのだが、現実社会ではもっとひどいことが起きていると思う。
サラは強い人間だが、多くの女性たちは世間の好奇の目を浴びることになるだろうし、あらぬ噂を立てられることも有るに違いない。
日本の裁判では被害者の人格を守るために、被害者の姿を隠すボードが立てかけられるようになったが、ここでのサラは傍聴席の前に姿を現している。
しかしサラが世間から興味本位の目で見られることや、からかい半分の嫌がらせを受ける場面はない。
むしろ被害者のサラがかなりいい加減な女性であったことが描かれる。
その為にレイプ犯を強姦罪に問う事が出来ず、司法取引で過失傷害で治まってしまう。
実刑判決が下りるが微罪の内である。
自らの対応を反省した検事補のキャサリンは、レイプを教唆したとしてレイプ現場にいながら止めることをせず煽り立てた男たちを告訴することにし、映画はその様子を描いていく。
誰がその場にいた男たちだったのかのサスペンスには乏しいものがあるが、ちょっと素行の良くないサラがレイプされるに至るシーンは迫力があり、悲惨なシーンとなっている。
男たちのゲスぶりが描かれ、男の僕でさえヘドが出る思いだから、女性観客はどのような思いで見ただろう。
群集心理が暴走していく恐さをこれでもかと描いていくすさまじいシーンとなっていて、ジョディ・フォスターの熱演が光る。
実はこの現場をサラの友人のサリーや、通報してきたケンも見ていたはずなのだが、彼らも男たちの行為を止めることをしていない。
僕は友人を救えなかったサリーの苦悩を描いても良かったと思うし、何よりも通報したケンが親友との間で苦悩する姿を描いても良かったと思っている。
特にケンは友人から、証言すれば自分の刑が5年に延びてしまうではないかと責められ、一度は記憶がないと証言を変えようとしている。
しかし裁判では証言をするようになるのだから、彼には相当の葛藤があったことが想像される。
その葛藤に打ち勝ったプロセスが描かれていないので、判決後に浮かべたケンの笑顔には非常に違和感を感じてしまった。
出所してきたボブと証言したケンの関係はどうなるのだろう?
ボブはケンを恨みに思って何か良からぬことが起きるのではないかと、余計なことを想像してしまった。
アメリカでは集団によるレイプ事件が多発していることが最後にテロップされるが、「告発の行方」は煽り立てることも見て見ぬふりをすることも共犯に該当するのだと主張する啓蒙作品である。
サラはレイプの被害者になってしまうが、好奇の目が彼女の上に注がれなかったのは救いであった。
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