「ん?」

急に黙り込んだ雪を見て、亮は首を傾げた。差し当たって思い当たる理由を口にしてみる。
「どうした?もしかしてお前の彼氏と喧嘩したから怒ってんのか?」
「あ‥そうじゃなくて‥」「それでなくても蓮から文句ー‥」

その時だった。

遠方に見えたのだ。見覚えのある二人組が。
バッ!!

亮は動いた。考えるより早く。
雪を連れて、建物の陰に隠れる。

当然雪はわけが分からない。青い顔をして動揺する。
「ナッ‥ナッ‥なにっ‥」

今にも叫び出しそうな雪に、亮は咄嗟に手を伸ばした。
彼女の唇に、彼の大きな手が触れる。

静かに、静かに、ひたすら静かに。
建物の陰に、ひっそりと二人は息を潜める。

しかし雪は強制的に黙らされていた。息が出来ない程強い力で押さえられている。
何度もタップするも、亮の手はびくともしない。
「うっ‥うっ‥」

亮は彼女の口を押さえたまま、ゆっくりと振り返った。


構内の広い道の方に、彼らは居た。何かを話しながら、亮を探している。
そして吉川社長が、自分の居る方を振り返った。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
心臓が跳ね、全身に汗が噴き出る。亮は息を殺した。

尋常ではないその表情を見て、雪は疑問に思った。
彼は一体何から隠れているのか‥。

亮は心の中で、必死の弁解をする。
れ‥連絡するつもりだった!そのつもりだったぜ?!くそっ‥!

壁に手を付き、雪を守るように体勢を変える。見つかるわけにはいかない。
でも今は、今はダメだ

亮は思う。
君だけは、絶対に巻き込ませないと。
ダメージがいる‥こいつが居るんだよ!
少しでもダメージが巻き込まれたら‥こいつに何かあったら‥オレは‥

オレは本当にー‥

ドクン、ドクン。

ドクン、ドクン。

ドクン、ドクン‥


足音は徐々に遠のいて行った。
姿が見えなくなったのを確認してから、ようやく大きく息を吐く。
ぷはっ

そして亮は、雪が苦しそうにしていることにようやく気づいた。
「うおっ!すまねぇ!息出来んかったか?!」

うう、と苦しそうに項垂れる雪。亮は雪に向かって、曖昧な理由を口にする。
「その‥大したことじゃねーけど、ちょっと会いたくねえ奴がいて‥」

しかし亮は気が付かなかった。雪の顔色がどんどん悪くなって行くことに。
雪はお腹を押さえながら、ゆっくりと身体を傾げて行く。
「詳しいことはー‥」

トン‥。

亮は目を見開いた。
雪は縮こまった姿勢のまま、地面に身体を横たえる‥。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<君だけは>でした。
遂に亮→雪のこのシーンがっ!

思い出すのは雪→淳へのシーンですね~。

これは‥壁ドンならぬ口ドン?流行るかもしれません(ほんとか)
しかし雪にだけは絶対に危険を及ばせたくないと、身体を張って守る亮さんが印象的でしたね。
まぁもともと本人が問題から逃げてるせいでこうなってんですけど‥(汗)
次回は<臆病の虫>です。
人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ
引き続きキャラ人気投票も行っています~!

急に黙り込んだ雪を見て、亮は首を傾げた。差し当たって思い当たる理由を口にしてみる。
「どうした?もしかしてお前の彼氏と喧嘩したから怒ってんのか?」
「あ‥そうじゃなくて‥」「それでなくても蓮から文句ー‥」

その時だった。

遠方に見えたのだ。見覚えのある二人組が。
バッ!!

亮は動いた。考えるより早く。
雪を連れて、建物の陰に隠れる。

当然雪はわけが分からない。青い顔をして動揺する。
「ナッ‥ナッ‥なにっ‥」


今にも叫び出しそうな雪に、亮は咄嗟に手を伸ばした。
彼女の唇に、彼の大きな手が触れる。

静かに、静かに、ひたすら静かに。
建物の陰に、ひっそりと二人は息を潜める。

しかし雪は強制的に黙らされていた。息が出来ない程強い力で押さえられている。
何度もタップするも、亮の手はびくともしない。
「うっ‥うっ‥」

亮は彼女の口を押さえたまま、ゆっくりと振り返った。


構内の広い道の方に、彼らは居た。何かを話しながら、亮を探している。
そして吉川社長が、自分の居る方を振り返った。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
心臓が跳ね、全身に汗が噴き出る。亮は息を殺した。

尋常ではないその表情を見て、雪は疑問に思った。
彼は一体何から隠れているのか‥。

亮は心の中で、必死の弁解をする。
れ‥連絡するつもりだった!そのつもりだったぜ?!くそっ‥!

壁に手を付き、雪を守るように体勢を変える。見つかるわけにはいかない。
でも今は、今はダメだ

亮は思う。
君だけは、絶対に巻き込ませないと。
ダメージがいる‥こいつが居るんだよ!
少しでもダメージが巻き込まれたら‥こいつに何かあったら‥オレは‥

オレは本当にー‥

ドクン、ドクン。

ドクン、ドクン。

ドクン、ドクン‥


足音は徐々に遠のいて行った。
姿が見えなくなったのを確認してから、ようやく大きく息を吐く。
ぷはっ

そして亮は、雪が苦しそうにしていることにようやく気づいた。
「うおっ!すまねぇ!息出来んかったか?!」

うう、と苦しそうに項垂れる雪。亮は雪に向かって、曖昧な理由を口にする。
「その‥大したことじゃねーけど、ちょっと会いたくねえ奴がいて‥」

しかし亮は気が付かなかった。雪の顔色がどんどん悪くなって行くことに。
雪はお腹を押さえながら、ゆっくりと身体を傾げて行く。
「詳しいことはー‥」

トン‥。

亮は目を見開いた。
雪は縮こまった姿勢のまま、地面に身体を横たえる‥。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<君だけは>でした。
遂に亮→雪のこのシーンがっ!

思い出すのは雪→淳へのシーンですね~。

これは‥壁ドンならぬ口ドン?流行るかもしれません(ほんとか)
しかし雪にだけは絶対に危険を及ばせたくないと、身体を張って守る亮さんが印象的でしたね。
まぁもともと本人が問題から逃げてるせいでこうなってんですけど‥(汗)
次回は<臆病の虫>です。
人気ブログランキングに参加しました



更新はまだか?!まだですか?!
気になり過ぎますぞおおおお!!
そして雪ちゃん巻き込みたくないなら、一緒に隠れてないで1人でダッシュして逃げればいいのに…とか思うロマンも優しさもない自分(笑)
今回はあまりときめかなかったのですが、事態が緊迫しているからなのか…。
話全然変わっちゃいますけど、先日韓国行った時、釜山の新世界百貨店のシネマフロアがかつて雪ちゃんと先輩が映画館デートした時の背景とそっくりで、ここはロケ地か!ここがロケ地か!?と1人で興奮してしまいました。
……でもチートラはソウルがモデルらしいですし、映画館なんて最近どこもこんな感じだよなーと少し経ってから冷静になれました…。
明日の更新まで暫しお待ちをぉぉぉぉ!
そして一人でダッシュすりゃいいご指摘、ウケましたww
あの足の角度で逃げれば問題ないですよね。
ragoさん
おおっ!以前仰ってた韓国出張、行かれたんですね!コミックは買えましたか~?
>ここはロケ地か!ここがロケ地か!?と1人で興奮してしまいました。
↑二回言った!(笑)
いやでも私も実際足を運んだらテンション上がると思います‥!いいなー!うらやましい!
亮の脳内でヤクザ社長は雪ちゃんの危険ですからね。
じっくり考えると、雪ちゃんは亮さんに
「変な人が訪ねてきた」なんて言ってない限り、
社長は雪ちゃんの顔を知らない確率が高いですけど。