夕闇迫る時刻。
構内を歩く一人の女に、男性陣は皆目を奪われていた。
彼女が歩くたびにヒールの靴音が響き、
靴から伸びた真っ直ぐな足と、細い足首の美しさに目が留まる。
真っ赤なルージュとコンパクトを片手に歩くのは、見目麗しい河村静香である。
今日は一段と気合が入っている。
鼻歌交じりに化粧を施す静香のことを、佐藤は彼女と並んで歩きながら、黙って見つめていた。
周りの男達が皆静香に釘付けなのに、静香は一向に気にしていない。佐藤は変な気分だった。
「‥‥‥‥」
しかし隣を歩いているのに、話し掛けないのも逆におかしなことだ。
佐藤は静香の方を向いて口を開く。
「あ‥俺があげた本、どうだった?」「ん?」
「あ~あれ?見応えあったわよ~。てか今日のあたしどう?イケてる?」
「えっ?」
静香はそう言うと、微笑みながら佐藤の方を向いた。
その華やかな美貌の周りに、キラキラと光が舞っているように見える。
佐藤はドギマギしながらも、小さく頷いた。
「う‥うん‥」
「とっても綺麗だよ‥」
静香はククッと笑いながら「トーゼンw」と自信満々だ。
チラ、と目を上げて、佐藤は彼女のことを見つめてみる。
「今日は昼間から浮かれてたけど‥どこか行くの?」
「あぁ、お偉いさん達のJrが集まるパーティーがあんのよ」
静香は嬉々としてそう言うと、前を向いてこう呟いた。
「それにしても最近日照り続きだったのに、こんなオアシスが‥」
色々取り上げられてばかりだった淳からの、久々の甘いご褒美‥。静香はクスリと笑う。
「なんだって?」
「ううん~なんでもな~い!友達がそのパーティーやってんだぁ」
静香は意気揚々とサングラスを掛けると、佐藤に向かってこう言った。
「アンタもそんなとこ行ったことないでしょ?
あたしが行った感想聞かせてあげるからね~?」
ラララ~♪
そして静香は行ってしまった。
佐藤はそんな彼女の後ろ姿を、幾分寂しげな顔で見つめている‥。
ところ変わって、こちらは大学内のPC室。
柳瀬健太は、佐藤から奪ったノートPCでメールを打っているところだった。
柳~!一緒にベンキョーしねーか?
一人じゃ集中できねーだろー?
しかし待てど暮らせど、柳から返事は来なかった。
しんとしたPCを前に、健太のイライラは募って行く。
「チクショー!」
「うぁぁ~~!あーーー集中出来ねぇ~~~」
健太はノートを投げ出し、ぐんと大きく伸びをした。
「気分転換が必要だな!」
そう己への言い訳を口にすると、いつも見ているサイトをクリックする。
「なーに見よっかな~?何か新着ねーかな~。エロいやつで‥。これは観たし‥これも映画館で観たし‥」
カチ、カチ、とクリックとスクロールを繰り返していた健太であったが、PCが思うように動かないことに気がついた。
「あーもうなんだよ!なんでどんどん遅くなって行くんだ?!佐藤の野郎め、良いPC買えよなー!金持ちなんだからよぉ!」
強引にマウスをパッドに打ち付け、PC本体を何度も手で叩く健太。
するといきなり、画面がパッと暗転した。
「え?」
パッ
暗転した次の瞬間、見たことのない青色の画面が現れた。
健太は目が点である。
「なんだ?どうなってんだ?!」
押しても叩いても、画面は元に戻らない。
けれどこういう時は慌てずに‥
「困った時は再起動‥と」
健太は電源ボタンを押した。
けれど画面は一向に変わらない。
「え‥」
何を押しても、叩いても捻ってもPCは動かない。
これは佐藤から借りた、おそらく高額のノートPC‥。
「え‥?」
健太の血の気が引いて行く。
画面はその顔色と同じように、青いまま固まっていた‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<三人の行方>でした。
今回の萌えポイントは、静香に「とっても綺麗だよ」と言う佐藤先輩‥。
女の子に綺麗だなんて言ったことなさそうな佐藤先輩が!(失礼)
そして健太‥。
借り物のPCでエロい映画観ようとした挙句壊すなんて‥。
もう本当救いようが無い‥(涙)
次回は<Yの要求>です。
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構内を歩く一人の女に、男性陣は皆目を奪われていた。
彼女が歩くたびにヒールの靴音が響き、
靴から伸びた真っ直ぐな足と、細い足首の美しさに目が留まる。
真っ赤なルージュとコンパクトを片手に歩くのは、見目麗しい河村静香である。
今日は一段と気合が入っている。
鼻歌交じりに化粧を施す静香のことを、佐藤は彼女と並んで歩きながら、黙って見つめていた。
周りの男達が皆静香に釘付けなのに、静香は一向に気にしていない。佐藤は変な気分だった。
「‥‥‥‥」
しかし隣を歩いているのに、話し掛けないのも逆におかしなことだ。
佐藤は静香の方を向いて口を開く。
「あ‥俺があげた本、どうだった?」「ん?」
「あ~あれ?見応えあったわよ~。てか今日のあたしどう?イケてる?」
「えっ?」
静香はそう言うと、微笑みながら佐藤の方を向いた。
その華やかな美貌の周りに、キラキラと光が舞っているように見える。
佐藤はドギマギしながらも、小さく頷いた。
「う‥うん‥」
「とっても綺麗だよ‥」
静香はククッと笑いながら「トーゼンw」と自信満々だ。
チラ、と目を上げて、佐藤は彼女のことを見つめてみる。
「今日は昼間から浮かれてたけど‥どこか行くの?」
「あぁ、お偉いさん達のJrが集まるパーティーがあんのよ」
静香は嬉々としてそう言うと、前を向いてこう呟いた。
「それにしても最近日照り続きだったのに、こんなオアシスが‥」
色々取り上げられてばかりだった淳からの、久々の甘いご褒美‥。静香はクスリと笑う。
「なんだって?」
「ううん~なんでもな~い!友達がそのパーティーやってんだぁ」
静香は意気揚々とサングラスを掛けると、佐藤に向かってこう言った。
「アンタもそんなとこ行ったことないでしょ?
あたしが行った感想聞かせてあげるからね~?」
ラララ~♪
そして静香は行ってしまった。
佐藤はそんな彼女の後ろ姿を、幾分寂しげな顔で見つめている‥。
ところ変わって、こちらは大学内のPC室。
柳瀬健太は、佐藤から奪ったノートPCでメールを打っているところだった。
柳~!一緒にベンキョーしねーか?
一人じゃ集中できねーだろー?
しかし待てど暮らせど、柳から返事は来なかった。
しんとしたPCを前に、健太のイライラは募って行く。
「チクショー!」
「うぁぁ~~!あーーー集中出来ねぇ~~~」
健太はノートを投げ出し、ぐんと大きく伸びをした。
「気分転換が必要だな!」
そう己への言い訳を口にすると、いつも見ているサイトをクリックする。
「なーに見よっかな~?何か新着ねーかな~。エロいやつで‥。これは観たし‥これも映画館で観たし‥」
カチ、カチ、とクリックとスクロールを繰り返していた健太であったが、PCが思うように動かないことに気がついた。
「あーもうなんだよ!なんでどんどん遅くなって行くんだ?!佐藤の野郎め、良いPC買えよなー!金持ちなんだからよぉ!」
強引にマウスをパッドに打ち付け、PC本体を何度も手で叩く健太。
するといきなり、画面がパッと暗転した。
「え?」
パッ
暗転した次の瞬間、見たことのない青色の画面が現れた。
健太は目が点である。
「なんだ?どうなってんだ?!」
押しても叩いても、画面は元に戻らない。
けれどこういう時は慌てずに‥
「困った時は再起動‥と」
健太は電源ボタンを押した。
けれど画面は一向に変わらない。
「え‥」
何を押しても、叩いても捻ってもPCは動かない。
これは佐藤から借りた、おそらく高額のノートPC‥。
「え‥?」
健太の血の気が引いて行く。
画面はその顔色と同じように、青いまま固まっていた‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<三人の行方>でした。
今回の萌えポイントは、静香に「とっても綺麗だよ」と言う佐藤先輩‥。
女の子に綺麗だなんて言ったことなさそうな佐藤先輩が!(失礼)
そして健太‥。
借り物のPCでエロい映画観ようとした挙句壊すなんて‥。
もう本当救いようが無い‥(涙)
次回は<Yの要求>です。
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次の展開を知っている分イライラが止まりません(-_-)
静香があまりにも先輩に飼いならされてるので、飼い犬に見えて仕方ないです笑
怒りマークをつけてたつもりだったのですが…
「お前と一緒に勉強する方が集中できねーYO!」
と突っ込んだ読者はきっと私だけじゃありません。
なんでこいつはこうなんだ?
本当最悪ですよね。
課題やらない~パソコン壊す~突然キレる~
このマンガの良い所って必ず報いがあるので
健太くんにも天罰がくだりますように(祈)
健太が終わってるのはもう自明すぎて
てかもうアラサーっていうかジャスト?このまま行ってしまうのかしら。
怒りマークは文字化けするんですね。
勉強になりました。もうこのコメ欄ってば‥
そして飼うにはあまりにも危険な静香‥。
淳もいつか牙剥かれるんだろうな~とヒヤヒヤして見ています。。
CitTさん
集中できねーYO!CitTさんいきなりラッパーに!
ゆきんさん
健太出てくるだけでイライラ‥笑
同意です!健太のセリフを翻訳する時、時間がもったいなく思えてくるという‥(^^;)
ハバネロさん
健太のジャイアン感はんばないですよね。
そして佐藤先輩ののび太感も‥。
青田えもんにさっさと道具出してもらって、天罰くらって頂きたいです。
むくげさん
静香と亮さん似てますよね~
年子でこの顔で‥アイドルユニットとしてデビュー目指せばよかったのに‥とか考えてしまいます