雪は廊下で和美が通りかかるのを待っていた。

ひと通りのことは我慢してやろうと思っていたけれど、
やはり下剤を人のコップに入れるということは、
黙ってやり過ごすことの程度を超えたと雪は判断した。
「和美!」

雪は和美を呼び止めた。用意していた台詞を掛ける。
「お腹の具合は大丈夫? ジュースの賞味期限でも過ぎてたのかな?」

和美は「それじゃああんたがコップを‥!」と動揺したが、

すぐには尻尾を出さず、口を噤んだ。
「何か言うことがあるんじゃないの?」

雪が起爆剤を撒く。

和美は冷や汗を垂らし、意味わかんないとその場から立ち去ろうとした。
雪はポケットから携帯電話を取り出す。

そこには、和美から送られてきた故意の間違いメールが保存してあった。
「あんたから今まで送られて来た嘘メールだよ。全部保存してある。
ミスにしては5つは多すぎるんじゃない?それにあんたがくれた使い物にならないプリントも家に何枚かあるんだよね」

「だから何?」と言った和美に、雪は最終通告を突きつけた。
「全部青田先輩にバラしてやる。」

和美は狼狽した。青田先輩が信じるとでも思ってるのと、雪に食ってかかる。

しかし雪は冷静に、手元にある証拠を見せれば一目瞭然だし、下剤を入れたことも伝える、と淡々と言った。
「なんて悪い女なの!」
和美は場所もわきまえず、大きな声で雪を罵倒した。
「あんたこそコップを捨てずにすり替えるなんて最低!鳥肌立つわ!」
「ちょ‥声デカイって‥」

「ってことは、下剤の件は認めたってことだね?」
「そうよ!メールだってプリントだって全部あたしがわざとやったし、
下剤だってあたしが入れたわよ!これでいい?!」

雪の冷静な詰問も、もう和美には気に食わないこと以外の何物でも無かった。
その剣幕に雪は若干気圧されたが、今この場でもう二度とやらないと誓えば許してあげても良いと言った。
しかし和美はそれには同意せず、確かめてみなよとけしかける。
「先輩があんたとあたし、どっちの言葉を信じると思う?!
あんたの言葉なんて、誰も信じやしないんだから!」

あんたねぇ‥と雪が言いかけた時、和美の後ろから柳先輩がひょっこり顔を出した。
「うわ~!オソロシ~!女って怖いのな!下剤?!
俺らは肉弾戦だけど、お前らは生化学兵器まで‥!」

和美はうろたえ、誤解なんですと弁解しかけると、
柳先輩は後ろに要るらしい人物に声を掛けた。
「やっぱいい男は罪だよな~」

「この罪多き奴め?そー思うだろ?」

角を曲がった所から出てきたのは、渦中の青田先輩だった。
「誰か揉めてるっぽかったから、止めようと思って来てみたら‥」


和美は顔面蒼白。
雪も予想だにしなかったこの状況に、言葉も出なかった。

青田先輩は、同期同士喧嘩もほどほどにしてちゃんと和解しろよと言い、柳先輩と共に踵を返した。

しかし去り際に、
「ああ、それと今の話は聞かなかったことにするから、心配すんな」

そう言って溜息を吐くと、そのまま去って行った。


和美は立ち尽くした。
取り返しのつかないことになったと狼狽する。
そしてハッと気がつくと、雪に向かって突っかかってきた。
「あんた‥わざとあたしをはめたんでしょ?」

わけが分からない雪に、青田先輩がこの時間にここで授業すると分かっていて、
それであたしをここで呼び止めたんでしょうと詰め寄った。
雪は弁解するが、和美には1mmも届かない。
「絶対に許さないから」

涙を浮かべて、バタバタと走り去った。
雪はその場に立ち尽くしながら、複雑な思いに苛まれていた。

「こ、こんなはずじゃなかったのに‥」

不本意ながら和美に仕返し出来たものの、全くスッキリしなかった。
いやむしろ、不快さだけが残った。

それからというもの、二人のことで頭を悩ます日々が続いた。
課題も手に余り、ただ二人共自分の人生に関わってこないでと、痛む胸の奥で祈るのみだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<雪>報復戦 でした。
やっぱり最初占い師に言われた通り、雪は運が悪いですね‥。
やることなすことマイナス方向へ向かうというか‥。
さて次回、とある授業でグループワークをすることになった雪ですが‥。
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ひと通りのことは我慢してやろうと思っていたけれど、
やはり下剤を人のコップに入れるということは、
黙ってやり過ごすことの程度を超えたと雪は判断した。
「和美!」

雪は和美を呼び止めた。用意していた台詞を掛ける。
「お腹の具合は大丈夫? ジュースの賞味期限でも過ぎてたのかな?」

和美は「それじゃああんたがコップを‥!」と動揺したが、

すぐには尻尾を出さず、口を噤んだ。
「何か言うことがあるんじゃないの?」

雪が起爆剤を撒く。

和美は冷や汗を垂らし、意味わかんないとその場から立ち去ろうとした。
雪はポケットから携帯電話を取り出す。

そこには、和美から送られてきた故意の間違いメールが保存してあった。
「あんたから今まで送られて来た嘘メールだよ。全部保存してある。
ミスにしては5つは多すぎるんじゃない?それにあんたがくれた使い物にならないプリントも家に何枚かあるんだよね」

「だから何?」と言った和美に、雪は最終通告を突きつけた。
「全部青田先輩にバラしてやる。」

和美は狼狽した。青田先輩が信じるとでも思ってるのと、雪に食ってかかる。

しかし雪は冷静に、手元にある証拠を見せれば一目瞭然だし、下剤を入れたことも伝える、と淡々と言った。
「なんて悪い女なの!」
和美は場所もわきまえず、大きな声で雪を罵倒した。
「あんたこそコップを捨てずにすり替えるなんて最低!鳥肌立つわ!」
「ちょ‥声デカイって‥」

「ってことは、下剤の件は認めたってことだね?」
「そうよ!メールだってプリントだって全部あたしがわざとやったし、
下剤だってあたしが入れたわよ!これでいい?!」

雪の冷静な詰問も、もう和美には気に食わないこと以外の何物でも無かった。
その剣幕に雪は若干気圧されたが、今この場でもう二度とやらないと誓えば許してあげても良いと言った。
しかし和美はそれには同意せず、確かめてみなよとけしかける。
「先輩があんたとあたし、どっちの言葉を信じると思う?!
あんたの言葉なんて、誰も信じやしないんだから!」

あんたねぇ‥と雪が言いかけた時、和美の後ろから柳先輩がひょっこり顔を出した。
「うわ~!オソロシ~!女って怖いのな!下剤?!
俺らは肉弾戦だけど、お前らは生化学兵器まで‥!」

和美はうろたえ、誤解なんですと弁解しかけると、
柳先輩は後ろに要るらしい人物に声を掛けた。
「やっぱいい男は罪だよな~」

「この罪多き奴め?そー思うだろ?」

角を曲がった所から出てきたのは、渦中の青田先輩だった。
「誰か揉めてるっぽかったから、止めようと思って来てみたら‥」


和美は顔面蒼白。
雪も予想だにしなかったこの状況に、言葉も出なかった。

青田先輩は、同期同士喧嘩もほどほどにしてちゃんと和解しろよと言い、柳先輩と共に踵を返した。

しかし去り際に、
「ああ、それと今の話は聞かなかったことにするから、心配すんな」

そう言って溜息を吐くと、そのまま去って行った。


和美は立ち尽くした。
取り返しのつかないことになったと狼狽する。
そしてハッと気がつくと、雪に向かって突っかかってきた。
「あんた‥わざとあたしをはめたんでしょ?」

わけが分からない雪に、青田先輩がこの時間にここで授業すると分かっていて、
それであたしをここで呼び止めたんでしょうと詰め寄った。
雪は弁解するが、和美には1mmも届かない。
「絶対に許さないから」

涙を浮かべて、バタバタと走り去った。
雪はその場に立ち尽くしながら、複雑な思いに苛まれていた。

「こ、こんなはずじゃなかったのに‥」

不本意ながら和美に仕返し出来たものの、全くスッキリしなかった。
いやむしろ、不快さだけが残った。

それからというもの、二人のことで頭を悩ます日々が続いた。
課題も手に余り、ただ二人共自分の人生に関わってこないでと、痛む胸の奥で祈るのみだった。

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<雪>報復戦 でした。
やっぱり最初占い師に言われた通り、雪は運が悪いですね‥。
やることなすことマイナス方向へ向かうというか‥。
さて次回、とある授業でグループワークをすることになった雪ですが‥。
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