Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

物語の始まり<淳の場合>

2013-05-26 12:11:28 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
時を同じくして、復学したもう一人の主人公、青田先輩。

彼の物語もここから始まります。

青田淳 休学明け三年生



復学して初めて大学に出てきた彼は、廊下で一番親しい友人である柳に出会い、久しぶりだなと声をかけられる。

「今夜の飲み会来るんだろ?」

と言われ、

「もちろん」

と笑って答える。



遅れて到着した彼を、かつてのメンバー、新しい学生達が一斉に迎えた。



「久しぶりだな!元気だった?」

「髪伸びたなぁ、オレのこと覚えてるか?」

「青田先輩こんばんは!」



彼の周りにはあっという間に人だかりが出来、彼はそれに笑顔を向ける。



口にした言葉はたった一言だけ、「ああ」と言うだけだったけれど。


休学前からお世話になっていた健太先輩は淳の復学を喜び、もう一人の復学生を紹介しようと声をかけた。

遠くでぼんやりとした女学生が、よろしくお願いしますと言った。





淳もよろしくと挨拶し、すぐにまた健太先輩との話に戻った。


共通の先輩の話、学生連合の会合の話、男子学生だけの飲み会の話、

健太先輩と、前に座る柳との会話は、二年ぶりのせいか色々尽きることはない。

積もる話は沢山あったが、新入生の女の子達が隣りに座ってきたせいで、ちっとも話は進まなかった。



挙句、無遠慮にも新入生は自分に密着する。



ドンガラガッシャーン!

グラスは倒れ、新入生のスカートは水でびしょ濡れになった。

女学生は席を外し、騒然となったこの場も自分が片付けることでうまく治まる。

淳は手を拭いた。



飲み会は続く。

ガヤガヤと人々は会話を続ける。



そんな中、遠くの席がにわかに騒がしくなった。

先ほどの復学生が面白いことをやると言う。



その子はサンチュに入った焼酎を飲み干し、口からは酒が滴った。



知らず知らずの内に、顔をしかめていたかもしれない。

「あいつ結構面白いだろ?」という健太先輩の会話には応えず、また他の話題で話は続いた。



先輩、こんばんは!私達のこと覚えてますか?




キャハハハ、飲むぞー! ちょ、トイレ‥マジ吐きそう




金集めとく?  青田が出してくれんじゃね?







目は閉じることが出来ても、耳は閉じられないのは生物の進化か、人類の退化か。




飲み会は続く。

ノイズを撒き散らしながら。




そんな自分を見て、柳が「眠そうだな」と笑った。



「大学に戻った感想は?」

と聞かれ、

「何も変わってないのな」

と答える。


その時ポケットの携帯電話が震え、ちょっと電話してくると席を立った。




電話の主は、幼馴染みの河村静香だった。

いつも不注意で体調を崩す彼女に労りの言葉をかけながら、

ちゃんと勉強してるのか?と小さな説教もする。

静香は淳の言葉には返事をせず、雑誌で淳の恋愛運を見ていたんだと言った。

「よーく聞いててね?新しい縁はもしかすると、すぐに近くにいるかもしれませーん!

その上あなたはその相手に多くの影響を与えるでしょう!」

 
これは私と淳のことだと思うのよね!と静香は続けたが淳は、

そういった話は聞き飽きた、俺はお前のことは幼馴染以上には考えられない、

と鋭く諌めた。

おまけにもう一度小さな説教をするものだから、静香はブーたれた。



すると、

「おっ!」

という声が聞こえたのでそちらを見ると、タバコを拾う一人の女が居た。



確かさっきサンチュ焼酎を飲んで、馬鹿騒ぎをしていた女だ。


「さっきからなんなんだあいつ‥」


淳がひとりごちたので、静香が不思議そうにした。



「このままオールするの?」

「いや、もうそろそろ終わりそうかな」

「復学した子は結構いるの?」

「もちろん、俺の他にも何人かいるよ。そんなもんだろ」


ノイズが障る、先ほどの宴会が思い出された。



馬鹿騒ぎする女、

空気の読めない新入生、

金目当てで寄ってくる同期、

恥ずかしげもなく羞恥な姿を晒す後輩




「まぁ、ちょっと汚らわしいけどな」





寒くなってきたから切るぞ、と言って淳は飲み会に戻る。


おそらく死屍累々なその現場を想像して、少しため息を突きながら。




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これが青田先輩の物語の始まりです。


雪と同じ場面ではありながら、見ているものや感じているものは全然違う。


私ら読者でさえ、どちらかの視点で語られた物語をそれが全てだと信じ、

視点の主に共感することで人や物事の印象を自然と決めている。

それが顕著になった話ではなかったでしょうか。



二人の物語の始まりは、互いの印象は、けして良いものではありませんでした。


続いて始まる新学期に、二人の運命が翻弄されていきます。

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3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
「髪が速く伸びたなぁ」 (CitT)
2014-06-03 17:06:32
この言葉から青田先輩が軍役を勤めてきた事実が分かります。軍役中はみんな髪をとても短く切りますから。
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ぬっ (ちょびこ)
2014-06-17 01:14:15
短髪の青田も見たい…
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おっと (Yukkanen)
2014-06-17 12:47:01
こんなところにお二方のコメが‥!
なるほど先輩も軍役中は短髪だったのですね‥!
坊主に近い感じでしょうか‥想像出来るような出来ないような‥。
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