淳と同学年の佐藤広隆が、英会話の自主ゼミをやるというので柳から頼まれて参加した。
留学経験もある淳には特にゼミに参加する必要もないのだが、他でもない柳の頼みなので断れなかったのだ。

気がついたら、ゼミは騒がしくなっていた。
「淳、参加してくれてサンキューな!」

柳が横でヘラヘラと笑う。
そろそろ勉強も頑張らなくちゃな~と口だけは達者な横山翔とその友人、
何も言わないあの‥赤山後輩。
そして比較的好成績を保っている佐藤。
しかし佐藤は、入学してからずっと淳に対して、喧嘩腰か不快感を表すかのどちらかだった。

危害を加えてくるわけではないが、気持ちのよいものではない。
自然と溜息も出る。


教室では横山が空気も読めず騒ぎ立てている。
電話をしてきた拍子に、事務室の助手たちがロッカー整理をしていたのでそのことを横山に伝えた。
彼は一目散に教室を後にすると、ノイズはいくらかマシになった。
柳と談笑していると、目の端にあの後輩が映った。


彼女は不機嫌だった。

睨んでいたかと思えば、

意見も出さずにヘラヘラとするだけで、

乾いた愛想笑いばかりを浮かべた。
嫌なタイプだ。関わりたくはない。

退屈な時間。
しかし何かと引っかかった。




突き刺さる視線が、ピリピリと障る。
淳は彼女を見ないようにした。

柳の質問に答え、

彼から賛辞を受ける。

佐藤は思い通りに行かない現状に苛ついて、
やる気もなく寝る奴も居る。

退屈が蔓延する。
どこへ行ったって
何をしてたって
つまらなくって仕方がないのに
上手く繕った自分の姿を
人々は簡単に信用して
人間関係は思い通りに進む
これまでだってそうして来た
これからだって‥
「ぷっ」



開け放した耳から聞こえてきた、

小さなノイズ。

あちらの方から、




退屈を引き裂く、小さな嘲笑。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自主ゼミ開講<淳の場合>(2)へ続きます。
留学経験もある淳には特にゼミに参加する必要もないのだが、他でもない柳の頼みなので断れなかったのだ。

気がついたら、ゼミは騒がしくなっていた。
「淳、参加してくれてサンキューな!」

柳が横でヘラヘラと笑う。
そろそろ勉強も頑張らなくちゃな~と口だけは達者な横山翔とその友人、
何も言わないあの‥赤山後輩。
そして比較的好成績を保っている佐藤。
しかし佐藤は、入学してからずっと淳に対して、喧嘩腰か不快感を表すかのどちらかだった。

危害を加えてくるわけではないが、気持ちのよいものではない。
自然と溜息も出る。


教室では横山が空気も読めず騒ぎ立てている。
電話をしてきた拍子に、事務室の助手たちがロッカー整理をしていたのでそのことを横山に伝えた。
彼は一目散に教室を後にすると、ノイズはいくらかマシになった。
柳と談笑していると、目の端にあの後輩が映った。


彼女は不機嫌だった。

睨んでいたかと思えば、

意見も出さずにヘラヘラとするだけで、

乾いた愛想笑いばかりを浮かべた。
嫌なタイプだ。関わりたくはない。

退屈な時間。
しかし何かと引っかかった。




突き刺さる視線が、ピリピリと障る。
淳は彼女を見ないようにした。

柳の質問に答え、

彼から賛辞を受ける。

佐藤は思い通りに行かない現状に苛ついて、
やる気もなく寝る奴も居る。

退屈が蔓延する。
どこへ行ったって
何をしてたって
つまらなくって仕方がないのに
上手く繕った自分の姿を
人々は簡単に信用して
人間関係は思い通りに進む
これまでだってそうして来た
これからだって‥
「ぷっ」



開け放した耳から聞こえてきた、

小さなノイズ。

あちらの方から、




退屈を引き裂く、小さな嘲笑。
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