Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

元凶

2016-11-11 01:00:00 | 雪3年4部(忠告と真実〜二人の休日)
雪は酩酊する静香を見下ろしながら、こう思っていた。

気になるのは、果たしてこの人がその後の私の反応を、どのように予想するかだ。



静香は、無言でその場に立つ雪とは裏腹に、佐藤の髪の毛を掴みながら大声で彼に絡んでいる。

「男なんていらねーんだよぉ!」「ちょっ‥違っ‥俺は‥俺は‥」



周りを巻き込み、傍若無人に振る舞う静香。

彼女のその振る舞いを見ながら雪は、数日前に目にした河村氏の横顔を思い出していた。



麺屋赤山の前の細い路地で、一人涙を流していた彼。

雪の心の中に、静謐だが熱い炎がチリチリと燃える。

この人のせいじゃないか



先ほど耳にした静香の言葉がリフレインした。

「チクったら、あの父親アイツに対する態度が目に見えて変わるのよ。

それがもう面白いったら‥」




事件の詳細を全て知っているわけじゃない。

けれど静香のその言葉によって、それまで雪が手に入れて来たあらゆる事項が繋がったことが分かる。



いつか先輩の家で聞いた、彼の語る彼女との関係性の話が蘇った。

「君には俺と静香の関係は理解し難いかもしれないけど‥」



「俺には兄弟もいなかったし、静香とは性格も話をするのも、

意外に一度もぶつかることが無くて、良い関係だったんだ。

それで俺にとって静香は、友達の姉以上の存在だった。

少なくとも、高校の時までは‥けど結局、胸の内は違ったんだよ」




昔のことを語る先輩の横顔は、

諦めたような、苛立っているような、全てに蓋をしてしまいたいような、

そんな表情ばかりだった。

「俺は何もかも気に入らない」



そして父親とのことを語る時、彼の瞳の中に感情が揺れた。

「まるでどこかから俺のことを見ていたかのように、それが間違っていると言うかのように。

そんなに俺はおかしく見えたのかな‥」




まるで小さな子供のような、彼の一面。



全てに恵まれ、何の問題も無いように見えるのに。



「雪ちゃん!」



彼の心には闇があった。

自身を侵害するものを、強制的に受け入れさせられた鬱憤が生んだ、深い闇が。

「正直留学でも何でも、二人ともどこかへ行って欲しいさ。

そう思うのは間違ってる?そんな人達が君の家に何年も住んでると考えてみて?

俺の考えは幼稚だろうか?」




彼らの過去についてまだあまり知らなかった頃、

先輩の話を聞いて、こう思ったことを覚えている。

ん‥先輩は正しいよね‥。成人したら誰だって自活する努力をすべきだし‥。

けど河村氏はともかく、そのお姉さんに相当問題があるような‥






その推測は正しかった。

全ての元凶は、彼女にあったのだ。


「あの‥」



「何か辛いことがあるなら‥話してくれよ」



テーブルに突っ伏す静香に向かって、佐藤は小さな声でそう切り出した。

「俺じゃ頼りにならないかもしれないけど‥」「あぁ?」



佐藤のその言葉に、不服そうな声を出しながら顔を上げる静香。

酔ってぼやける視界の先に、自身を見下ろす雪の姿がある。



「あれ?あれあれぇ?誰かと思えば‥淳の女‥」「ちょ‥静かに‥」



「ちょっと!」



静香は大きな声で、雪に向かって絡み始めた。

「ちょっと!アンタの男もあたしの弟も、あたしに害を与えるなんてもってのほかよ!でしょ?

‥まぁ亮はしょうがないにしても‥。とにかく!」




「誰もあたしを責める権利なんてないの。

亮も、アイツも、」




「アンタもね!」



呂律の回らない舌で噛み付く静香のその言葉を、雪は無言のままただ受け取っていた。

笑いながら潰れて行く彼女の周りで、佐藤と恵が困った顔をしている。

「あたしを責めていいのは、これまでな〜んにも悪いことしてこなかった奴だけよぉ?

分かったぁ?あぁ?」
「ちょ‥どうしたんだよ。止めろって」



静香はニヤニヤした笑みを浮かべながら、雪に向かってもう一度口を開く。

「アンタさぁ、淳がどんな奴なのか知ってんの?」



「あれはとんでもない狐野郎よぉ‥恐ろしい奴なんだから‥」



「マジでおかしな‥奴‥」







静香はクックと笑いながら、やがて突っ伏したまま眠ってしまった。

そんな彼女を前にして、佐藤は大きく溜息を吐く。

「はぁ‥」



理解出来ない彼女に対する苛立ちと、ようやく眠った安堵で、佐藤は少し饒舌だ。

「ただでさえ女性と話すのは苦手なのに‥特に彼女は気難しくて‥」

「あぁ‥」



「本当に申し訳ない。迷惑を掛けてしまって」

「大丈夫ですよ。私近所ですから送って行きます」

「助かるよ」



ザワザワとした喧騒の中で、静香は眠り続けた。

この先の展開を、未だ予想することも出来ずに‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<元凶>でした。

皆さま、お久しぶりです

出産の際は、メッセージありがとうございました とっても嬉しく拝読いたしました!

年子育児、大変っすね‥ 自分のキャパの足りなさを痛感する日々です。

河村姉弟のお母さんも大変だったんだろうな‥と彼らのママを尊敬したりして


さて今回は静香が事の元凶だったと知った雪が、

これまで聞いてきた先輩の話と辻褄を合わせている感じですね。

静香が口にした「アイツは恐ろしい奴よ」というセリフは、



一部での亮のセリフと同じです。



二人共淳の気持ちを理解せず、離れてしまったという象徴ですね。。

次回は<弱味>です。

今後は3日おきの更新になります〜^^よろしくです!

☆ご注意☆ 
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています〜!