Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

臆病の虫

2015-06-12 01:00:00 | 雪3年3部(夜更けの治療~影響)


雪はゆっくりとその場に倒れて行った。

その顔は真っ青で、口からは荒い喘鳴が聞こえる。



亮は恐る恐る、彼女の愛称を呼んだ。

「ダ‥ダメージ‥?」

 

しかし雪はそれに応える余裕もなく、

お腹を押さえながらガクガクと震え出した。

「おなか‥おなか‥いた‥おなかが‥」



「ほ‥ほんとに‥いた‥死ぬほ‥ど‥」



痛い、と言い終える前に、雪の瞼は閉じた。

雪は縮こまった体勢のまま、それきり意識を失くしてしまった。





「ダメージ!!」



「おいっ!しっかりしろっ!おいっ!!」



どんなに呼びかけても、身体を揺すっても、反応が無かった。

このままじゃまずい。全身から汗が噴き出る‥。










閉じた瞼越しに、光が舞っていた。

そのうち身体がふわりと持ち上がり、聞き覚えのある声が耳に届く。

「119番!119!」



亮は敷地内にある大学病院へと走った。傷だらけの顔で、必死の形相で。

雪はぼんやりとした意識の中で、あることを考えていた。

思い出した



私のお腹の中には臆病の虫が居て‥

普段虫は縮こまって、

逃げて、

身体の中に身を潜めている




普段の私は何食わぬ顔で、

何気なく日々を過ごしているけれど、

虫は時折こんな風に、身体の中で暴れまわる。

そのことを、忘れていた‥




亮は必死になって走った。人々の間を掻き分けて。

薄目を開けた雪の目に、緑の十字が見える。



病院‥



身体の中で暴れまわる、臆病の虫。

それは暗い過去を引っ張り出して、昔の記憶を雪に見せる。

病院は‥



怖い‥。それに‥



長椅子に座った、小さな足が揺れていた。隣には、まだ幼い弟の蓮が居る。

小さな雪は大人から言われたとおりに、大人しくそこに座っていた。



するとそこに、親戚のお姉さんがやって来た。

「雪」



お姉さんは雪に向かって、優しくこう提案する。

「おばあちゃんに会いに行こっか」



「うん!」



お姉さんは雪を抱え上げると、駆け足で病室へと向かった。

すれ違った看護師が、子連れの彼女を見て注意する。

「あら!子供は入室禁止ですよ!」



しかしお姉さんは止まらなかった。

彼女は雪を抱っこしたまま、祖母の居る病室に入室する。



その部屋は、何の音もしなかった。

幼い雪は初めて見るその光景に、なんとも言えない空気を感じ、目を見開く。



雪はお姉さんの首に回した手に、ぎゅっと力を入れた。

彼女は静かに寝台の波間を歩きながら、祖母のそれを見つけて雪に知らせる。

「あそこよ」



「おばあちゃん、雪が来ましたよ」



お姉さんは立ち止まり、寝台に寝ている祖母に声を掛けた。

雪はキャッとはしゃぎながら、おばあちゃんの方に身を乗り出す。

「雪のこと可愛がってたでしょう?」



雪は嬉しかった。

長い間会えていなかった、大好きなおばあちゃんにようやく会えるのだからー‥。




そこで雪の、暗い夢は終わった。

薄れていく意識の中で、もう一度繰り返す。


私のお腹の中には臆病の虫が居て‥

普段それは‥

縮こまって‥





臆病の虫が暴れている。

胸が苦しい。

心が痛い‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<臆病の虫>でした。

今回の雪のモノローグは、記事の中で流れに合うように少し意訳にしています。

直訳を知りたい方も勿論いらっしゃると思うので、以下直訳です↓

私は実は臆病で、縮こまって、逃げて、中に隠れて‥

いつも当たり前のような顔して、何気なく日々を過ごす中で、

それが時折こんな風に、中で破裂するってこと、

忘れてた‥




という感じです。


雪ちゃんの抱えた傷の話が、だんだんと紐解かれて行きますね‥。


次回は<賑やかな病室>です。


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