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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

囚われた虎(3)ー史上最悪の日ー

2017-03-20 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)


ようやく日が暮れ始め、街に明かりが灯り始めた。

穏やかな街並みとは裏腹に、痺れを切らした吉川は静香に向かって大声を上げる。

「なんでこんなに遅ぇんだよ!!!」



「おい!もっかい掛けてみろ!

お前変な小細工したんじゃねーだろうな?!」




吉川は静香が呼び出した”金持ちの友達”がなかなか現れないことに焦れていた。

静香はビクビクしながらもう一度携帯を確認する。

「し‥してないってば!携帯が壊れてておかしくて‥」



「ん?」



すると吉川は窓の下にそれらしき人物が立っているのに気が付いた。

静香に呼び掛けてみる。

「おい、あの女じゃねーか?」



「見てみろ」



そこには確かに雪の姿があった。

携帯を片手にキョロキョロと辺りを窺っている。

「そ‥そうです‥」



静香の返答を聞いた吉川はニヤリと笑う。

「中まで連れて来い。逃げられるわきゃねぇぞ、分かってるな?」



コクリ‥






静香は頷くと、震える足で玄関に向かって歩いて行った。

吉川は首を傾げながら窓の下に立っている雪の姿を見て違和感を口にする。

「つーかあの女本当に金持ちなのか?そんな風に見えねぇが‥」

「おっ‥お金持ちよ!!」



「あの子の店も知ってるわ!この辺りじゃ大きくて有名よ‥!」



「と‥とにかく連れて来るから‥!」



静香は上ずる声を震わせながらどうにかドアの外へと出た。

遠出出来ないようスリッパを履いたまま。







胸が、足が重たかった。

まるで足枷が付けられているかのように。







ゆっくりと階段を下りながら、静香は一人呟き始める。

「最低‥最悪‥」



「今日は河村静香の人生の中で史上最悪の日だわ‥」



足が重い。身体が重い。

そして何より、心が重くて仕方がない‥。

「最低‥最悪‥」



「最低‥」



真っ暗になった心の中で、静香は呪いを唱える。

亮のせいであたしまでこんな有様‥

淳のせいで‥ 会長のせいで‥ ババアのせいで‥ 祖父さんのせいで‥




ううん、もとはと言えば早死にした両親のせいよ‥!



全部アイツらのせいでー‥



いつか亮が言った。「頼むから人間らしく生きてくれ」と。

淳は言った。

「お前だったらその話信じるか?」と。



雪もこう言った。

「ずっとこんな風に過ごしてたって何も変わらないって思いませんか?」と。








静香は自分の身体を腕で抱きながら、一人階段を下り続ける。

気を抜くと暗闇から穴に落ち、奈落の底へと引き摺り下ろされてしまいそうだ。

あたしだって分かってる。

考えたことくらいあるわよ、これからの自分の人生のこと‥。

ただ考えない様にしてただけ




落ちぶれた空っぽな女になるかもしれないという恐怖心を、

分からないとでも思うのか




誰よりもよく分かってるわよ‥



ガラス戸の向こう側に、佇む彼女の姿が見えた。

雪も同時に、ドアの向こうにいる静香の姿を確認する。



生き残るためには、赤山雪、アンタをー‥!



暗闇に飲み込まれないように、静香は光に向かって手を伸ばす。

「静香さん!」



「本当に金持ちなのか?」



アンタを道連れにー‥



囚われた静香はドアの内側で、外界に佇む雪に向かって足を踏み出すー‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<囚われた虎(3)ー史上最悪の日ー>でした。

とうとう雪ちゃんが駆け付けましたね〜。

自分の人生を他人のせいにする静香の性格を、雪ちゃんがどうにか変えてくれることを信じて!

次回<囚われた虎(4)ー道連れー>へと続きます。


そして本日3月20日は、雪ちゃんの誕生日ですー



淳のお祝いの時と同じ画像でお祝い‥

おめでとう雪ちゃん
幸せなラストを迎えられますように!!祈ってるわー!!

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囚われた虎(2)ー耳鳴りー

2017-03-18 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)
その頃河村静香は携帯を握り締めていた。

その手は細かく震えている。



静香は心の中でひたすら繰り返した。

いない‥いない‥



けれどいくら繰り返したところで、携帯は鳴らない。

誰もいない‥!



沢山のメールを送っても、誰に電話を掛けても、誰からも返事も着信も来なかった。

静香は携帯を握り締めながら、一人その場でウロウロと落ち着かない。

「クソッ‥クソッ‥」



しん‥



どんなに待っても返信は来なかった。

こんな時に駆け付けてくれるような彼女の味方は、誰もいない‥。

「何なのよっ‥!もう‥」







垂れ下がる前髪の間から、怯えるような目付きで静香は男の方をチラリと見た。

痛いくらいの緊迫感の中で、ようやく携帯が震える。

「!」



「ほ、ほらっ!!返信!!」






勢い良く静香が差し出した携帯を、吉川は指先で摘むように持った。

画面には一通のメールが表示されている。

<クソ女>

分かりました。今から行くので待ってて下さい。








吉川は文面に目を通しても顔色一つ変えることはなかった。

ただ若干首を傾げながら「ふぅん」と言っただけだ。



ドクン‥ドクン‥



静香は吉川の向こう側にある玄関のドアを凝視していた。

なんとかこの男を油断させて逃げ出すことは出来ないものかと。

「と‥」



「と‥友達呼んだんだからもういいでしょ?!とりあえずこの子からお金借してもらうから‥!

この子あたしの知り合いの中で一番お‥お金持ちなの。だから‥」




早口でそう説明する静香の、その口元は終始引き攣っていた。

吉川は首を傾げながら、感じた違和感を口にする。

「けどよぉ、なんかおかしくねぇか?

そんなに携番入ってんのにどうして緊急事態に誰も連絡つかねーんだ?あぁ?」




「たった一人の弟ですら番号変えて姿くらましたんだろ?」



「一体今までどんな暮らしをして来たんだよ。

なぁ?亮の姉貴さんよ」




吉川は触れるか触れないかギリギリの距離で静香の周りをゆっくりと回る。

それは獲物が逃げ出さないよう囲い込み、恐怖を刷り込むのに最適な方法だった。

「言い忘れてたが、俺ぁ今亮のせいで腸煮えくり返ってんだ」



「あの野郎今まで色々な場所を点々と逃げ回りやがるからな〜んか隠してんなと思ったら、」



「家族がいたってわけだ」



急にピタッと動きを止めた男の気配を感じ、静香はビクッと身を竦めた。

予想通りのリアクションに、吉川はニタと笑みを浮かべる。



徐々に染み入るように、静香の身体が恐怖で竦んで行く。

そして吉川はそれを折り込み済みで、言葉を続けているのだった。

「だからこっそりここを見張ってたのによぉ‥もうトンズラした後だったとはな。

あのゴキブリみてぇなクソ野郎が‥」




「とにかくアンタには責任取ってもらわなきゃなぁ」



「アンタ、アイツの実の姉なんだから」



今まで振り払ったり縋ったりした”姉”が、肩に重たくのしかかる。

今静香はその”姉”の責任を、取らされようとしている。

「金がねぇならアンタに金貸して他のヤツに立て替えてもらわなきゃなんねぇな。

それもダメなら‥」


「だ‥だから呼んだじゃないのよ!」



震える声で叫ぶ静香に向かって、吉川は再びニタリと笑った。

「ああ、一人でも来てくれて助かったじゃねぇか」



「でなきゃアンタぐちゃぐちゃになった顔で、一生下向いて生きて行かなきゃならんくなったとこだ」







まるで恐怖の縄で縛られたかのように、身体が固まった。

首元に突き付けられた携帯の冷たさが、体温を一瞬で奪い去る。

バッ



ドクン、ドクンと、心臓が痛いくらい鳴っていた。

耳鳴りのように耳の奥がキンと絞られ、幼かった頃の自分の声が聞こえてくる。

抵抗したってぶっ飛ばされて‥絶対かないっこない‥



まるで水の中に居るかのように、くぐもった声が鼓膜の裏で反響していた。

叔母の怒号が、自分の悲鳴が、鼓動の動きに合わせて歪んで行く。






「‥っ」



静香は震える手を握り締めながら、止まらない冷や汗を流し続けていた。

目の前には、そんな反応を楽しむかのように男が笑っている。








静香は心の中で叫んだ。

あらん限りの大声で。


お願い、早く来てっ‥!!




瞼の裏に、駆けて来る彼女の姿を祈るように描き続けながらー‥。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<囚われた虎(2)ー耳鳴りー>でした。

吉川社長怖っ‥

あの亮の同僚の男とずっと亮探ししてた印象しか無かったですが、

結構怖い人だったんですね。。


(↑こういうなんだかおちゃめ的な人物の印象だった‥)

そして静香のトラウマ発動‥全ては雪ちゃんに掛かって来るこの状況!

次回<囚われた虎(3)ー史上最悪の日ー>へ続きます!

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囚われた虎(1)ー来訪ー

2017-03-16 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)
「許さないわよ、赤山雪」



そう言って静香はギリッと歯を食いしばった。

みるみる形相が歪んで行く。



バンッ!



静香は勢い良くドアを開けると、怒りにまかせて出掛ける準備を始めた。

じっとしてなんかいられない。

「ぶっ飛ばしてやるわ」



「あたしの人生を滅茶苦茶にしやがって!」



しかしドアを出る直前に、散らかっていた部屋の中で蹴躓いてしまった。

「うっ!」



「くうっ‥」



胸の中でメラメラと炎が燃える。

静香は這いつくばった格好のまま、低い声で呟いた。

今自分がこうなってしまった原因になった人物達の名を、次々と。

「あのクソ女の次はババアで‥その次は淳‥次は亮‥会長‥あたしをシカトした奴ら全員!!」



その時静香は気付かなかった。今携帯に一通のメールが届いていることを。

「一緒に美術館へ行かないか?」と、佐藤広隆からのメッセージが入っていることを。

「全員ブッ殺してやる‥!!」



静香は目の前の憎しみに囚われ、どこへも行くことが出来ないで居た。

するとそんな静香の元に、一人の人物がやって来るー‥。

カチャッ



「!!」



思わず静香は音のした方を振り返った。

トントン、と誰かが扉をノックしている。



「り‥亮‥?」



静香は掠れた声でそう言った後、一目散に扉の方へ走った。

「亮?!」



たった一人の肉親が、自分の元へ帰って来たのだとー‥。

「りょ‥」













しかしそこに立っていたのは、見たこともない人物だった。

男は静香のことをジロジロと見た後、ニヤリと口角を上げる。

「あぁ、これがその姉ちゃんか」



そして静香は、男の背後でガチャリとドアが閉まる音を聞いたー‥。







一方雪は、大学のベンチに未だ腰掛けているところだった。

遠藤の隣で、彼から貰った缶コーヒーに口をつける。



けれど心は落ち着かなかった。

握り締めた携帯が、ずっとチカチカと点滅している。



その点滅を見た遠藤が、それについて言及した。

「さっきからずっと携帯が鳴ってるが‥青田からか?」



「あ‥いえ‥」



静香さんからか‥と思いながら雪はメールボックスを覗いてみた。

静香からのメールが随分と溜まっている。

着拒中だからめっちゃメール送ってくるな。今来たのは‥



そしてメールを開いた途端、画面いっぱいに文字が表示された。

どうして電話出ないの?あたしお金無くてもう何日もご飯食べてないんだけど。

あたしの携帯今調子悪くていつ切れるか分かんないの。ねぇ電話出てよ!

アンタ最後まであたしの勉強見てくれるんでしょ?マジで頼れる人が居ないし、誰一人として電話に出てくれないの。

来てくれそうなのアンタだけなのよ。お願い、見捨てないで‥マジ腹ペコなのよ‥








思わず目が点‥。

見なきゃよかったと後悔する雪を、遠藤は不思議な顔で見つめている。



「お先失礼します」「おお」



雪はそう言ってスックと立ち上がると、遠藤に向かって深々とお辞儀をした。

「ありがとうございました」







遠藤は駆けて行く雪の背中を無言で見つめていたが、やがて前を向き口を開いた。

礼儀正しく情に厚いその後輩に向けてのエールを、空に放つ。

「そうだ」



「心のままに走って行けばいい」



遠藤からのアドバイスは、冬の空へと溶けて行った。

かつて押し殺した自分を赦すような心持ちで、遠藤はずっと空を見上げていた‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<囚われた虎(1)ー来訪ー>でした。

ここの静香のセリフで出てくる「ババア」ですが、



これは「叔母さん」、つまり河村教授(おじいちゃん)が亡くなった後亮と静香を引き取って虐待したあの叔母さんのことです。

「叔母‥」と呟くのも変なのでBBA呼ばわりしてしまいました‥ 叔母さんサーセン!

そして遠藤さんからのアドバイス‥染みますね。

心のままに生きていけなかった遠藤さんが言うからこその重みというか。

さて次回は急展開!吉川社長が静香の元に‥!

次回<囚われた虎(2)ー耳鳴りー>へと続きます。

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遠藤助手のアドバイス

2017-03-14 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)
空は、厚い雲に覆われていた。



雪は一人、鈍色の冬空を見上げている。

「‥‥‥」



冬休みなのになんで大学来てるんだろ‥?



ベンチに凭れながら、雪はぼんやりとそんなことを思っていた。

辺りはしんと静まり返っている。



静寂はいつも、考えないようにしていることばかり思い出させる。

「そして雪はその手を離せない」







先輩が言ったあの言葉ばかりが、ぐるぐると脳裏を巡っていた。

雪は一つ息を吐くと、ふと今座っているベンチに目を落とす。

「ん?」



そういえばこのベンチって‥



蘇って来たのは、忘れることの出来ないあの衝撃場面だ。

「メシでも食いに行こうよ」



それまで話すことはおろか自分と目も合わせなかった彼が、微笑んでそこに立っていた。

春風の中で、髪の毛をサラサラと揺らしながら。

あの時は、あまりにも現実感が無くて



からかわれてるんだと思ってた。







戸惑いながら彼を見上げたあの時から約一年。

二人の関係は随分と変わったけれど、雪は今でも戸惑い続けている。



立ち尽くす彼の口元が、僅かに動いた。



雪が言葉に出来ないその気持ちを、代わりに彼が口にするー‥。







目を見開いた雪の耳に、声が届いた。

「長い休憩だな」







瞬きをすると、そこに佇んでいたはずの彼は消え、代わりに遠藤助手が立っていた。

「遠藤さん」



遠藤はそのまま、無言で雪の隣に座ったのだった。





「ほら、風邪引くぞ」「ありがとうございます」



遠藤はそう言って、雪に温かい飲み物を手渡した。

手の平にじんわりと熱が伝わって行く。







遠藤は雪の横顔を見ながら話し出した。

「最近どうしてそんなに元気ないんだ?何かあったのか」



「‥‥‥‥」



そう言われて、雪はきまり悪そうに頭を掻いた。

普段あまり会うことのない遠藤にまで心配を掛けてしまうなんて、よっぽどなんだろう。

雪は視線を下に下げながら、ゆっくりと口を開く。

「ただ‥人間関係って悩みがつきものなんだなって。いつも感じてたことですけど、最近は特に‥」



「それでも以前はどうにか解決方法を探してましたけど、

おかしなことに、今は何をどうすべきか分からないんです」




雪の話を聞いて、遠藤はふぅと一つ息を吐くと、空を仰いだ。

「何があったのか詳しくは知らないが、恋愛なんて本来そういうものだろ」

「ひっ‥どうしてそれを‥」「バレバレだ」



まるでその厚い雲の向こうにある青空を見せるかのように、遠藤はこうアドバイスする。

「会いたきゃ会いに行けばいいし、会いたくないなら会わなくていい。

したいようにすれば良いんだよ」








意外なまでのストレートなその答えに、雪は思わず遠藤の方を見た。

遠藤は少し自嘲気味に、そんな自分を皮肉って笑う。

「まぁ、俺が言うのも変な話だけど‥」







その後二人は何も会話を交わさずに、ただそのままベンチに隣り合って座っていた。

そして雪は下を向いたまま、その遠藤の言葉を心の中で反芻している‥。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<遠藤助手のアドバイス>でした。

久々のガッツリ登場遠藤さんですね^^

佐藤先輩といい遠藤さんといい、元気ない人にこうやってコーヒー渡せる人って素敵ですよね。

二人が並んじゃうと同族嫌悪になっちゃうけど 笑




そして雪ちゃんがベンチに凭れているこのコマは



4部31話で休学を決意し、現状が「虚しい」と感じていた雪ちゃんと同じ構図です。



奇しくもこれが先輩が「メシ行かない?」と声を掛けたのと同じベンチなんですね。

う〜んなんだか感慨深いです。


次回は<囚われた虎(1)ー来訪ー>です。


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迷子達

2017-03-12 01:00:00 | 雪3年4部(穴〜囚われた虎)
深く暗い夜が明けて、暗闇に取り残された迷子達にも朝が来る。



たとえ眠る場所は違っても、二人は同じ空の下。

携帯という道標を隣に置いたまま、二人は深い眠りの中に居た。



そして偶然にも同じ時刻に、二人の携帯のアラームが鳴る。

ピピピピピピ‥



ガバッ



涎を垂らしながら飛び起きる雪と、ゆっくりと上体を起こす淳。

まるで静と動のような二人のリアクション。

「あーっまた膝やっちゃった‥!」



二人はそれぞれ動き出した。

各々が向かうべき場所への準備。日々のルーティンだ。



どんなに重たい悩みがあろうとも、ずっと目を閉じていたかったとしても、

彼らは平気なフリをして、何でもないような顔をして、それぞれ外へと出掛けて行く。

同じ重荷を背負いながら。



鏡に映った自分の姿をチェックして、知り得ないけれど二人は同時刻に家を出た。

そこから向かうべき場所への手段は随分と違っているけれど。



「おはよう!」「おはようございます〜」「早く早く!」

「おはようございます。清々しい朝ですね」



雪は大学で、淳は会社で、二人はそれぞれ一日の始まりを迎えた。

それぞれがすべき仕事を手に取って、彼らは歩き始める。



立ち止まらず、考え込む事無く、日々のルーティンに身を任せ、ただ流されて行く。

淳はPCに向かいながら、単調な作業をこなしていた。



カチャカチャカチャと、キーボードを叩く無機質な音がオフィスに響く。

その規則的な音の中で淳は、いつしか意識が深く自己の内面に潜り込んで行くのを感じていた。




「お前の思い通りになるわけじゃない」







いつか聞かされた父の訓戒が、鼓膜の裏で反響する。

「お前の思い通りになるわけじゃない」



あの時、淳は笑顔を浮かべながらも心の中では抗っていた。

たとえ想定外の変数が現れても、計算式は、その答えは、この手の内にあるのだと。

「雪はその手を離せない」



それは根拠だった。

彼女を繋ぎ止めておくための。

扉の内側でそっと握って来た、一番大切な根拠だったのに。



変数が式を狂わせる。

「今は前よりもっと、先輩のことが理解出来る気がします」



その後悔を軸にして、変数もまた変化し始める。

「一度見限ったら最後、そんな恐ろしい姉ちゃんの一面‥」



繋ぎ止めたこの手を離される時が来るだなんて、



彼女が変わってしまうだなんて、考えもしなかった。

「少し休みたいんじゃないですか?」「私もです」



そしてこの現状に導いたのは、変数をもたらした犯人は、間違いなく自分なのだ。



全部俺のせいか?



俺のせいなのか?




「先に始めるのはいつだって俺じゃない」

いつか亮に語ったその方程式が、あっけなく崩れて行くー‥。




まるで真実から目を背けるかのように、淳はギュッと目を瞑った。

するとそんな彼を見て、上司が声を掛けて来た。

「どうした?」「いえ、ずっと計算ばかりしているので‥」

「後で外回り行くか?」「はい」



淳は頷くと、普段通りに微笑んだ。

グチャグチャに荒れ果てた内面のことなど、微塵も表情に出さずに。







その後淳は、用意された仕事を淡々とこなしていった。

PCのキーボードを叩く無機質な音が、心の表面を滑って行く‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<迷子達>でした。

えっ淳部屋そのままで出社‥!?

お手伝いさんビックリでしょうね‥泥棒が入ったと大騒ぎになりそうです‥。


二人の朝の風景が同時進行するコマ、新しいですね!

似た者同士な二人を表現してるんでしょうかね。貧富の差はあれど‥


そしてこのコマの淳のセリフ‥

「ずっと計算ばかりしているので‥」



ほんとにな!笑


次回は<遠藤助手のアドバイス>です。

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