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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

二人のギクシャク

2014-11-08 01:00:00 | 雪3年3部(ディナーショー第三幕)
携帯に夢中になっている福井太一の横で、伊吹聡美は彼にジットリとした視線を送っていた。

しかし太一は彼女の視線に一向に気がつかない。



聡美は何を見ているのかと太一に声を掛けたが、太一は聡美に見えないようにサッと携帯を隠した。

「どうして人の携帯見るんデスか」と言って。



聡美はそれが少々気に障り「何なのと言ってイラついたが、

太一は「俺センシティブですから止めて下サイ」と飄々と言ってのける。



雪はそんな二人のことを気にしながら見ていたが、不意に携帯が震えたのでそちらに目を落とした。

蓮からメールが届いている。

母さんが、今日は絶対早く帰って来て家で夕飯食べろって~



雪が携帯を見ている隣で、聡美は太一に向かってこう言った。

「え~何よ、見てもいいじゃん、あたしらの関係ならさぁ。

てかいつも見てんじゃん、何よ今更」
と。



暫し太一はジッと聡美のことを見つめていたが、やがてポツリとこう言った。

「心して聞いて下サイ。携帯でも何でも、彼女以外には見せませんから。

人のプライバシーを侵害しないで下サイ。分かりました?」


 

いつになくそっけない太一。雪は目を丸くしながら彼の言葉を聞いていた。

聡美はというと、始めは口をあんぐりと開けていたが、次第に腹が立ち眉をひそめる。



焦れた聡美は、太一に向かってタックルをしながら彼に掴み掛かった。

「何言ってんのよ!思春期じゃあるまいし!」「人は変わる日が来るものデス」「笑わせんな!このっ!見せろっ!」



ドタバタと騒ぐ二人を見て、雪は一体この先どうなるのかと気になってソワソワした。

そろそろ次の授業に行かなければならない時刻なのだが‥。

すると太一は二人の方を向き、聡美と雪にこう尋ねる。

「あ、それはそうと二人はいつ俺の家遊びに来ます?

今日の夕飯はどうデスか?」




その太一の問いに、雪は申し訳なさそうに「あ、私今日は早く帰んなきゃ」と答えた。

太一は頷いてから、聡美の方を向く。

「じゃあ‥」



太一と目が合った聡美は、ビクッと小さく身体を強張らせた。

彼から目を逸らしながら、小さな声でこう答える。

「あ‥あたしは雪と一緒に‥」

「俺もそう言おうとしましたカラ。誰も一人で来いなんて言ってまセン」



姉ちゃん三人が気がかりな聡美がそう答えると、太一は聡美の方を見もしないでそう返した。

冷たい態度の太一に対し、聡美の額に青筋が浮かぶ。



聡美はプンプンと怒りながら、「分かったわよ、あたしが悪かったわよ」と謝るが、

太一はそっけなく「何がデスか」と答えるだけだ。

そんな二人の間で、雪は少々気まずそうに状況を見ている。



携帯から目を離さない太一に向かって、聡美は少し心配そうに声を掛ける。しかし太一は淡々とそれに答えるだけだ。

「てかアンタまたバイトすんの?」「はぁ。まぁ‥」

「ねぇ、どうしてバイトすんのよ。お小遣い貰ってんでしょ?ご両親は単位全部取れって言ってたんじゃ‥」

「それでもバイトはしなくちゃデス。学費全部親に背負わせるのは、ちょっと違うでショ」



太一のその言葉に、聡美はギクッとした表情で聞き返す。

「え‥?」

 

太一は思わず「ヤベ」と呟いた。

なぜなら聡美は、学費のみならず将来アパレル系の店舗まで父親から贈られる予定であって、バイトなど全くしていないのだ。

「まぁ‥そうだけど‥」「あ~‥まぁ、人それぞれですからネ!」



そう言葉を濁す太一と聡美の仲は、明らかにギクシャクした。

しかしこれに関しては雪も立場的に間に入るには気まずく、三人の間にはなんとも言えない空気が漂う。

「それじゃこれで」「えっどこ行くの?!」「バイトの面接デス」



そう言って太一は一人、教室のドアを出て行った。後ろ手に手を振りながら。

「履歴書書いてないけど大丈夫カナ~。それじゃバーイ!」



慌ただしく去って行く太一の背中を見ながら、二人は暫し呆然とその場に佇んだ。

雪はポカンとし、聡美は少々不満げだ。

 

いつまでも睨み続ける聡美に向かって、雪が恐る恐る声を掛ける。

「アンタ達どうなってんの‥」



聡美は「知らない」とそっけなく言い放った後、下を向いてこう言った。

「あれ以来、太一も特に何も言わなかったから、変わらず接してたけど‥。

あたしも‥まぁ、そんな感じで‥」




そう言ったきり、聡美は言葉を切って口を結んだ。宙ぶらりんな二人の関係に、徐々に変化が表れているのだ。

不満気な彼女の横顔に、そこはかとない寂しさが見え隠れする‥。



雪は彼女の心の奥底にあるそんな寂しさを思い、「教室まで一緒に行ってあげよっか?」と声を掛けた。

聡美は嬉しそうに雪に飛びつくと、「やっぱりあたしにはアンタだけよ~」と口にして笑う。



次の授業開始時刻が迫っているのは分かっていたが、雪はそのまま聡美と共に廊下を歩いた。

太一が居ない二人だけの空間は、やはりどこか寂しい感じがする‥。


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<二人のギクシャク>でした。

福井家の夕食会は、水に流れたわけじゃ無かったんですね~!

聡美と太一がどうなっていくのか、二人の関係が気になります^^


最後の方の太一の台詞、直訳だと

「保険証ないけど大丈夫カナ~」



みたいです。韓国ではアルバイトをする際に健康保険証とは別に、保健所にて証明証がいるとか。

ここらは日本とは違うところですね~。


次回は<共に授業を>です。


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知らないところで

2014-11-07 01:00:00 | 雪3年3部(ディナーショー第三幕)
「はい、はい。スタミナのつく料理ッス。そう、鼻血出して大騒ぎだったんスよ」



河村亮は、雪の母親に電話を掛けていた。

明らかに寝不足で、かつ鼻血まで出した雪のことを心配して、

亮は雪の母親にスタミナのつく料理を作ってあげるようお願いをしているのだった。

「分かりました?はい、んじゃ切りますー」



通話を終えた亮は、玄関で靴を脱ぐとリビングに入って行った。

そこに寝転がる姉に、チクチクと小言を言う。

「最近クラブには行かねーのか?生活に困ってるワケじゃなさそーだな」



まだ夜も早いのに家に居る静香を見て、亮はそう言った。

すると静香はバッと振り返り、変な表情をしながらこう聞く。

「ねぇちょっとアンタ‥淳ちゃんから何か聞いた‥?」

「は?何お前、また何かやらかしたんか?!」



静香の頭の中に、昼間の出来事が過った。

淳の彼女‥赤山雪と、あわや喧嘩沙汰かと思われたあの出来事‥。



淳に知られたら‥と思って気が気じゃなかった静香だが、どうやらまだ大丈夫らしい。

静香は「別に」とそっけなく言い放つと、姉に苛つく弟から目を逸らした。



亮はふと、姉が手元に広げている本に目を落とした。

その本には、様々な絵画が載っている。



それを見た亮は姉に詰め寄った。

「何だぁその本?お前マジで美術するつもりか?!」

「あーもうほっといてよ!ただちょっと見てるだけよ」



亮は自分の知らないところで、姉に動きがあることを不審に思った。

あれだけ嫌悪していた美術の道に、再び静香は進もうとしているのだろうか?

その根底に、どんな思惑が隠されているというのか‥。



亮の心にモヤモヤとしたものが広がった。しかしそれきり、姉弟が会話をすることは無かった。

半径三メートル以内に存在している、何より近い存在である二人。

けれど二人は違う人間で、それぞれ違う思考回路を持っている。


同じ空間にいるからといって、常にコミュニケーションが取れるかといったら、

そういうわけじゃない。更に、顔を合わせていても解決策が見えない時がある。




秋の空は青く晴れ渡っているが、雪の心の中はどこか曇っていた。

いや、顔を合わせた時の方がもっと‥



雪は自分の気持ちを持て余しながら、トボトボと見慣れた通りを歩いていた。

そして通りがかった店の前で、雪は立ち止まった。視線の先には、彼の後ろ姿がある。



彼は、仕事をしているところだった。

社長である雪の父に何かを言われ、彼は頷く。微かに微笑む口元が見える。



雪はビクッと身体を強張らせると、弾かれるように後ろを向いた。

彼から、見えないように。彼のことを、見ないように。

一度も経験したことの無い状況の前では、理性も感情も解決策を見い出せないようだ。

だからー‥




雪は彼に声を掛けられないまま、そのまま早足で駅へと向かった。

結論の見えない彼との関係が、雪の心をモヤモヤと曇らせる‥。




「赤山雪っての知ってるか?赤山雪!名前合ってるよな?」

「はい‥多分‥」



その頃大学では、亮が地方で働いていた時の元同僚の男と社長が、雪のことを絶賛捜索中だった。

声が大きくガラの悪い社長はA大では見るからに浮いていて、質問された学生達は皆怖がって去って行く。

俺の方が先に亮を探し当てないといけないんだけどな~‥どうしよ‥



元同僚の男は、どうにかして亮に連絡を取って今の状況を話さないといけないと思っていたが、

携帯の番号も職場も変えた彼への連絡手段が無く、途方に暮れていた。

そんな男の心中など知らない社長は、道行く学生に手当たり次第に赤山雪のことを尋ねる。

「ちょっとよく分かりません。学生って言っても沢山いるんで‥」

「知らないっスー」 「ここにはいないと思いますよ」



二人はなかなか有力な手がかりを掴むことは出来なかったが、

暫くするとどうやら彼女を知ってるらしき人物に行き着いた。

「番号まではちょっと‥。てかどなたですか?」



その黒髪の子は、二人を訝しがって言葉を濁していた。

社長はこれ幸いと、少し強気な態度で彼女に詰め寄る。

「おいちょっと!教えてくれよ!一つばかし聞くだけじゃねーかよ!」 

「キャッ!何するんですか!」



そんな彼らの様子を、その男はその場でじっと窺っていた。

そして彼は社長の背後から近づくと、よく通るその声で、こう声を掛けたのだった。

「何してるんです?」



横槍を入れられた社長は、幾分声を荒げながら振り返る。

「何って人を探してー‥」



振り返った社長の目に入って来たのは、真っ直ぐに自分の方を見ている、一人の男の姿だった。

その男は高級そうな服に身を包み、何もかも見透かすような瞳で人のことを凝視する。



青田淳は目に宿した強い光を絶やさぬまま、そっと口元を微かに上げた。

屈服はしないが完全なる拒絶もしない、彼の表情はそう語る。



なんとも言えないオーラを纏った淳に、社長は多少気圧された。

「‥?どなたですか?」



こう聞く社長に対し淳は、穏やかなトーンで「そちらこそ」と返し、言葉を続けた。

「どういった理由で、あの子を探されているんです?」



淳は同学科の黒髪女子の前に出ると、笑顔を纏いながらストレートにそう聞いた。

突然割って入ってきたその男に、社長は怪訝そうな顔で「お前こそ何だぁ?!どういう関係だよ!」と声を荒げて聞き返す。

すると淳は、ニッコリと微笑んだ。

「僕は赤山雪の彼氏ですので、何かあれば僕に仰って下さい」



その淳の答えに、社長は目を剥いた。

「は?!彼氏?!」



社長は口をあんぐりと開けたまま、隣の男に向き直って会話を始める。

「彼氏って‥亮じゃねーのか?!」「いえ‥特にそういうわけじゃ無かったような‥」

「いや女を探せっつったら、普通そりゃ彼女だと思うだろーが?!俺の言うこと間違ってっか?!」



不意にその中年の口から出た名に、淳の身体が微かに反応する。

淳は小さな声で、聞き慣れたその名前を口に出した。

「亮‥?」



各々が知らないところで、歯車が廻り出していた。

各自一本道だと思っていたその道が、知らないところで交差して行く‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<知らないところで>でした。

今週から休載かと思われましたが、アップされましたね!バンザーイ

本家冒頭の雪が地下鉄に乗っている場面は、前回の<痕跡の正体>にくっつけましたので、良ければそこもお読み下さい^^


亮さん雪のこと心配して、雪のお母さんに電話まで‥うぅ‥T T

でも雪ちゃんには避けられて‥うぅ‥T T


そして先輩派の皆様に‥今回のイケ淳をプレイバック!



このイケメン、これからスネ淳になるのかな‥悶々‥



次回は<二人のギクシャク>です。


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