畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載314「カエルの歌が」(その2終わり)

2024-05-29 04:08:59 | 
 二枚の電熱シートの上では、何種類もの苗が芽生え、育っている。

 使わなくなった反射式の石油ストーブが暖房です。

 時折国道を通る車の音。そして、にぎやかに鳴きかわすカエルの歌声。
 
   カエルの歌が(その2終わり)

 国道の歩道を歩きながら、水田に向かって怒鳴る。「バカヤロー、うるさいぞ」なんて大声で。彼らもなかなか耳は良い。怒鳴ったとたんに鳴き声はぴたりと止んで、静寂の夜が戻るのですから。
 アマガエルは先日、足が生えたのにまだ長い尻尾も目立つかわいい姿を見かけたから、そろそろ恋の季節も終わるのかな。
 さて、あの愛嬌者のカエル「トノサマガエル」ってどんな鳴き声だったか思い出せない。個体数が極端に減り絶滅危惧種にさえ仲間入りしそうだという話も聞く。事実、新潟市近辺では「トノサマガエル」の姿はほとんど見られなくなってしまったとか。
 原因は新潟の名産、代表稲作品種と言われる「コシヒカリ」の栽培面積が、その比率を上げたことです。専門外のことで詳しいことは知らず、詳しくは言えないが、コシヒカリは開発、品種の栽培面積の拡大に難点があったと聞く。当初は背丈が伸びすぎて倒伏し稲刈りに難渋したらしい。
 その倒伏を防ぐために考えられた栽培方法が「中干し」と呼ばれる方法で、ある時期に水田の水を落とすと節間の伸びが抑制されて倒伏防止に効果を表したらしい。そのタイミングで困ったのが「トノサマガエル」だった。卵塊、小さなオタマジャクシの段階で水を干されたのではたまらない。かくしてあの愛嬌者、絵本のモデルにもなる「トノサマガエル」の姿がめっきりと減ってしまったという事らしい。
 どんな生物が滅びても、自然の食物連鎖に大きな狂いが出て、人間にはありがたくない生物の増加にもつながりかねない。なんて、夜中のカエルたちの合唱を聞きながらぼんやりと考えたのでした。
        (終わり)

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