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参議院選挙で自民党が歴史的敗北を喫した日

2009-07-29 | 記念日
阿倍政権が問われた第21回参議院議員通常選挙は、2007(平成19)年7月29日投票開票された。
自民党は、獲得議席数を改選の64 議席から37議席に減らし、1989(平成元)年に宇野宗佑首相が退陣した過去最低の36議席(第15回参院選)に匹敵する歴史的大敗となった。公明党も選挙区で擁立した5人のうち3人が落選する惨敗で、非改選を含む与党の議席は過半数を割り込んだ。しかし、このような厳しい自民党敗北の結果にもかかわらず安倍晋三首相は、同日夜のテレビ番組で、「私の国造りはまだスタートしたばかりで、総理としての責任を果たしていかなければならない」と延べ、続投する意向を表明した。公明党の太田昭宏代表も首相続投を支持したが、自民党の中川秀直幹事長は選挙結果を受けて「幹事長の責任であるのは間違いない」として、首相に辞表を提出。青木幹雄参院議員会長も責任の重さを痛感している」として、辞意を表明した。一方の民主党は改選議席の32議席から60議席に躍進し、自民党が1955(昭和30)年に結党して以来参院で保ってきた第1党の座が初めて入れ替わった。このため民主党幹部は同日夜、阿倍首相の退陣と衆院の早期解散を要求した。
安倍内閣は「美しい国づくり」と「戦後レジーム(【regime】体制。政治体制。政権)からの脱却」をスローガンに、歴代自民党政権が成し遂げられなかった、教育基本法の改正や防衛庁の省昇格国民投票法などを掲げ、教育については、教育再生会議を立ち上げ、
第166回国会には教育再生関連3法案(第166回国会参照)を成立させた。就任早々には、小泉政権下で首脳の往来が途絶えていた中国や韓国を訪問した。組閣当初は70%近くの支持率があったものの、2005(平成17)年の郵政国会において郵政民営化法案に造反し党を除名された議員を復党させた以降、支持率が急落。さらに、年金記録問題が持ち上がった同年5月下旬以降さらに支持率が急落した。
さらに追い討ちをかけるように、本間正明(大阪大大学院教授)税調会長の愛人の公務員宿舎入居問題による辞任、佐田玄一郎行革担当大臣の架空事務所費問題による辞任、松岡利勝農林水産大臣の事務所費問題によると思われる自殺、疑いが晴れない赤城徳彦農林水産大臣他の事務所費問題などの政治とカネの問題のほかに、柳澤伯夫厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言、久間章生防衛大臣による「原爆投下はしょうがない」といった不用意な発言など、相次ぐ閣僚の不祥事・失言が重った。
それに、2006年の改定教育基本法採決のほか、この2007(平成19)年の第166回国会(安倍内閣)では、とりわけ強行採決が多かった。与党が5月30日の厚生労働委員会での年金時効特例法案、社会保険庁解体・民営化法案など、年金記録問題を中心に、短時間の審議のものも多く、本会議や委員会を含め17回も強行採決を連発した。このような度重なる強行採決に反感を覚えるマスコミ・国民が多く、第21回参議院議員通常選挙での与党大敗の一因となった。
与党が5月30日の厚生労働委員会での年金時効特例法案、社会保険庁解体・民営化法案など、年金記録問題を中心に、短時間の審議のものも多く、本会議や委員会を含め17回も強行採決を連発した。このような度重なる強行採決に反感を覚えたマスコミ・国民が多く、それがこの選挙での与党大敗の一因となったようだ。
自民党が厚い支持層を誇ってきた地方の1人区で6勝23敗と大きく負け越したほか、都市部でも票が伸び悩んだ。公明党も過去最低と同数の8議席にとどまった。公認候補を擁立した5選挙区では、2勝3敗と負け越した。選挙区選で公認候補が落選したのは、1989(平成元)年の参院選以来となった。
朝日新聞社の集計によると、この選挙の投票率は、58,64%で,前回・2004(平成16)年の56,57 %を2%以上上回り、12年に1度の統一地方選と重なって投票率が落ち込む「亥年現象」の年だったが初めてこの現象が起きなかった。又、同社が全国で実施した投票者への出入り口調査でも全体の56%が阿倍首相に「代わってほしい」と答えていたという(2007年7月30日朝日新聞朝刊)。
選挙前からすでに自民党大敗を予測していろいろなことが言われていが、その中に、安倍首相は国民が政治に求めていることをわかっていないという意見があった。そして、永田町界隈で「安倍はKY」という陰口がささやかれていたのだ。「KY」・・つまり、当時から女子高生らの間で流行っていた隠語で「場の空気(K)が読めない(Y)」人のこと(KY語参照)。
民主党の当選者の多くが、勝因について「小泉・安倍構造改革によって、格差が生じ、地方の疲弊を招いた」といった趣旨の発言をしていた。これが、妥当な見方かどうかは分らないが、もし、そうだとすると、2005(平成17)年9月の郵政解散・総選挙での「自民大勝」は何だったのか?
参院選大敗後の8月27日、安倍改造内閣を発足。同時に自民党役員も一新した。そして、9月10日、安倍首相は第168回臨時国会の所信表明演説(以下参考の「第165回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説」参照)を行なったが、代表質問が始まる予定の9月12日、緊急記者会見を開いて首相の職を辞することを表明した。表向きの理由とは別に本当は過度のストレスによる機能性胃腸障害(以下参考の※:「機能性胃腸症とは」参照)の悪化によるものらしいが、海外メディアを含めて「敵前逃亡」「政権放りだし」「偽りの所信表明」などと散々な酷評を被る事態となった。
阿倍首相は辞職表明と同時に総裁選で早急に後継総裁を選ぶよう指示。これを受け、9月23日に自民党総裁選が行われ、党内8派閥の領袖から雪崩現象的に支持された福田康夫候補が麻生太郎候補を133票差(福田330票、麻生197票)で破って総裁に選ばれた。しかし、その後の内閣総理大臣指名選挙(首班指名選挙)において与党が過半数を占める衆議院では圧倒的多数で指名されるが、逆に野党が過半数を占める参議院では、民主党の小沢一郎が指名されるという“ねじれ国会”(逆転国会)の象徴的現象が起きた。
両院協議会が開催されるが議論はまとまらず、法規に則り衆議院の議決が国会の議決となり、福田が内閣総理大臣に指名された。福田首相は記者会見で、この内閣を「背水の陣内閣」とネーミングした。
しかし、その福田首相も、ねじれ国会の中で、民主党小沢代表との間での大連立構想が模索されたりしたが頓挫し、その後、与野党は対決姿勢を強めることになり、翌・2008(平成20)年1月第169回国会では、参議院で問責決議が可決されたが、翌日には内閣信任決議が衆議院で可決され、首相に留まることができた。その後、同年8月2日、内閣改造により福田改造内閣を発足させ、麻生太郎を幹事長に指名するなど、自民党執行部の人事も刷新したが、その1月後の9月1日、午後9時30分より、突然緊急記者会見を開催し、その席上、「内閣総理大臣・自民党総裁を辞職する」ことを表明。記者との「安倍晋三前首相も唐突に辞められ、あなたもこのような形で辞められることに対して、国民の間から政治不信が起こるのではないか?」との質疑応答の中で最後に、「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」の有名な言葉を残し、9月24日、内閣総辞職。尚、国政選挙の結果を経ずに成立し、かつ、在任中に国政選挙が無い内閣としては、羽田内閣以来の内閣となる。
9月24日、第170回国会において首班指名が行われたが、前任の福田就任時と同じくねじれ国会のあおりを受け、前回同様に衆参で首班指名が異なり、衆議院は自民党・麻生を指名し、参議院は民主党の小沢を指名。そして、両院協議会でも成案を得るに至らず、衆議院の優越により衆議院で指名された麻生太郎を国会の指名として衆議院議長が奏上した。
解散ができなかった福田にかわり、自民党内の圧倒的人気を得た麻生は「選挙の顔」として「解散・総選挙を行うことを前提に」首相になったとも言われており、野党も速やかな衆議院解散・総選挙の実施を要求してきたが、結局、景気対策などを理由に「国民に信を問う」こともなく、ずるずると、今日まで、政権の座に居座り続けた。
首相になって以来、マンガ好きの首相は、漢字が読めないことでも有名になり、空気の読めないKY度は阿倍首相の比ではない。もう、海外でも有名なKYの代名詞にさえなっている。よくもこれほどと言えるほどに失言も多く、国民の支持率は下がる一方で、同じ身内の自民党内からも反麻生を叫ぶ人が次々出る始末。解散するにも解散できない糞詰まり状況の中、とうとう、どうせするならもっと早くすればよいのに、何故こんな時期に・・・?と思われる今頃になって解散を決意??
2009(平成21)年7月21日午後、衆院解散が決議された。
郵政民営化の是非を問うと小泉首相(当時)が2005(平成17)年8月に行って以来4年ぶり。その後、衆議院において自民党圧倒的多数の中、1年ごとに安倍、福田、麻生と政権のたらい回しした後、麻生内閣の任期満了(9月10日)目前の解散・総選挙となった。総選挙は8月18日公示、同30日投票となった。
今度の選挙では、官僚主導からの脱却と「しがらみのない政治」実現のため、政権交代を唱える民主党か?それとも、1955(昭和30)年の結党以来続いてきた自民党か?この2大政党のどちらにこれからの日本の将来を委ねるのか・・・。国民一人一人の良識が最も問われる大切な選挙となるだろう。よくよく判断し、全員が投票する・・・ぐらいのつもりで臨んで欲しいと思う。
(画像は、7月29日午後11時2分、自民党本部で質問の答える阿倍首相【中央】、左は、丹羽雄哉総務会長、右は、中川秀直幹事長。2007年7月30日朝日新聞朝刊より)
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参議院選挙で自民党が歴史的敗北を喫した日:参考

2009-07-29 | 記念日
参考:
第21回参議院議員通常選挙- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC21%E5%9B%9E%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E9%80%9A%E5%B8%B8%E9%81%B8%E6%8C%99
参院選2007 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin2007/
第42回<戦後レジームからの脱却>(法学館憲法研究所)
http://www.jicl.jp/chuukou/backnumber/42.html
asahi.com:自民の地方幹部が苦言 首相続投は7割が支持
http://www2.asahi.com/senkyo2007/news/TKY200708010480.html
場の空気 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%B4%E3%81%AE%E7%A9%BA%E6%B0%97
第44回衆議院議員総選挙 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC44%E5%9B%9E%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99
機能性胃腸症とは
http://www.ne.jp/asahi/clinic/hirano/SYOKAKI/FD.htm
時事ドットコム:特集 衆院解散、総選挙へ
http://www.jiji.com/jc/v2?id=20090712_asou.ministry&rel=j&g=phl
特集 衆院解散、総選挙へ【1】21日午後、衆院解散
http://www.jiji.com/jc/v2?id=20090712_asou.ministry_01
第165回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説
http://www.kantei.go.jp/jp/abespeech/2006/09/29syosin.html