今年は山での遭難事故が多いですね。正確な数を把握しているわけではありませんが、報道されることが多いのでそのように感じるのだと思います。
今回の霧島・韓国岳での小5男児の遭難事故ほど「助かってくれ」と思ったことはありませんでした。僕も上の子が4歳の時から山に連れて行っていましたから、ヒヤッとする事は何度もあったのです。それゆえに助かって欲しかったのですが、大変残念な結果になってしまいました。
最初にこのニュースを見たときにすぐに、「この子には弟か妹がいるな」と思いました。案の定妹がいました。それから何度かこの山に登った経験があるんだなと思いました。
小5といえば親と張り合い始める時期です。男の子だったら尚更で、父親よりも早く山頂にたどり着こうとします。さらに下の子がいると、下の子との違いを親に見せ付けたいがために、ひとりでどんどん行こうとするのです。下の子は上の子にはかないませんから、ぐずったりして親の気を引こうとします。そうすると親は下の子にかかりっきりになってしまうんですね。こうなると上の子は面白くないものだから、さらにどんどんと行ってしまうのです。ここに落とし穴があったんですね。
それでも初めての山だったり、人気(ひとけ)のない山だったら、さすがに怖いものだから親と一緒に行こうとしたはずです。きっと以前にも登ったことがあったのだと思います。また行楽シーズン真っ只中の土曜日ですから多くの登山客が韓国岳を目指していたはずです。それで安心して行ってしまった部分もあったと思います。
日本百名山の中では登りやすい山です。えびの高原からだとゆっくり歩いても1時間半くらいで山頂に着けます。だからといって危険がないわけではないんですよね。火山特有の岩がゴロゴロとしていますし、霧島というくらいですからガスがよく出ますし、風が強いことも多いです。どこの山でも危険と隣りあわせということは忘れてはいけません。
後からだったら何とでも言えますが、やっぱり子供はひとりで先に行かせてはいけませんね。親が前後で子供をはさんで先の親よりも先に行かせない、後ろの親よりも先に行かせる、という風にしなくちゃいけないんですよね。わかっていたはずでしょうが、油断があったのですね。
昨年、子供会で軽登山をした時も大人で子供を挟むようにして隊列を組んで登りました。「○○のおじちゃんよりも絶対に前に行かないように、○○のおじちゃんより後ろにさがらないように」と言い聞かせて徹底させました。
亡くなった男の子のお父さんの無念を思うと胸がはりさけそうな感じになります。時間を戻せたらとか、あの時一緒に行っていればとか、ご自分を責めていらっしゃることでしょう。
報道では滑落して、頭蓋骨に骨折が見つかったと書かれていました。きっと落ちた時に岩にでもぶつけたのでしょう。それでもさまよって避難小屋から500mくらいの沢の中で見つかったと書かれていました。寒かったでしょう、痛かったでしょう、心細かったでしょう、いたたまれない気持ちになります。
僕も滑落したことがありますが、滑落したらできるだけ元の場所に戻らなくてはいけないんですね。でも滑落するくらいですから急斜面です。元に戻るのはなかなか困難なのです。怪我でもしていたら尚更です。そうすると下ってしまうんです。それで必ず迷います。迷ったら下ってはいけないのですが、小5の子供にはわかりませんよね。本当に残念でした。
何とも言うべき言葉が見つかりませんが、亡くなられた方のご冥福を祈るばかりです。
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