ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

「所得格差について」続き

2017年11月06日 | 日記

 2015年1月17日付けのブログ「所得格差について」の続きになります。

 当時、フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の、著書「21世紀の資本」が世界的なベストセラーとなっていて、僕は、英語版(capital in the twenty-first century)のペーパーバックが出たら是非読んでみようと思っていた。

 この夏ようやく発行されたので購入し、9月の末から読み始め先日ようやく読みおえた。多少コンパクトになったが、750ページで、厚さ4.5cmの大作である。 

 概要は、資本主義経済下では、資本の収益率が経済成長率を長期的に上回り、富は資本家に集まり所得格差が広がり社会不安の要因になる。世界レベルで富裕税導入など政府の干渉が必要。・・・過去、300年以上の、ヨーロッパ主要国、米国などのデータを使い、理論というより事実をもって説明しているのが素晴らしい。

 読後、思うことは、

 ①    昔、経済理論を勉強していて、最後まで疑問に思っていたのは、経済分析の基礎である「資本」はどのように私有、所有されるのが、公正なのか、ということ。これは、経済学の範疇ではないようなのだ。ピケティ氏は政治経済学の観点から世に問うている。

 ②    300年もの歴史を通して、昔は、資本は代々相続されてきたものがほとんどだろう。高額の不労所得をえていることになる。しかし、現在は、事業や、スポーツ、芸術などの分野で成功を収め、財を成した人が多いだろう。

 ③    以前、ハーバード大学の政治哲学マイケル・サンデル教授の白熱教室というテレビ番組があった。大教室で大勢の学生たちと議論するものだ。その中で、「日本人の某アメリカ大リーガーは、アメリカ大統領の何倍もの収入を得ている。これは、正義であるか?」のような議論があった。この場での正解はないのである。課題を常に考えつづけ正解をみつけていかなければならない、が結論であった。

 さて、所得格差に関係する課題は時代と国によってとらえ方が色々ある。現在の日本は、経済成長、中間層の所得充実、そして、正規、非正規格差是正、が課題だろう。 

   絵はトマ・ピケティ氏

      2017年11月6日  岩下賢治

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