はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

全日本フィギュア終了 感想

2019年12月23日 | フィギュアスケート

2019/12/23

 

昨夜の男子フリーの結末から、どんな感想を書こうかといろいろと考えていた。

本当は、考えははっきり固まっていたのだけれど、GPFの時と同じで、これを書いてよいものか迷っていたのだ。

でも、やっぱり書いておこうと思う。ごく個人的な感想です。

 

皆さんがおっしゃる、5週間で3回の国際試合、長距離を移動、身体的疲れがたまっていたのは、ほんとうのことだろう。

もしかしたら、足に問題があったのかもしれない。終わった後のインタビューで、「足はちゃんとついているだろうかと足を見た」という驚くべき言葉は、足の感覚がなかったことを意味しているし、事実、試合直後、足首を触っていた。

 

これを書くのはためらわれたけれど、ファンの誰かがそれを言ってやらないと、そう言う人が一人でも出てこないと、彼は安心して休むことができないと思った。とにかくファンのいうことをよく聞き、その言葉を大事にする人だから、少し休みなさいと言わないと止められないだろうと思ったから書くのだけど。

 たぶん、彼は燃え尽き症候群のような、もう試合をすることに興味が持てないレベルではないかと私は感じたのだ。

彼自身、表立って言わないだけで、それを鮮明に感じているかもしれないし、あるいは、限界を超えたところに意識を持っていく状態を長く続けてきたので、意識下に抑え込んでいるのかもしれない。

これまでの延長で「次こそ勝ちたい」とか、「見てろよ、こんなものではない」と言っている。それは言いなれた、使いやすい言葉なのだ。とりあえず何も考えずに口にのぼらせることのできる言葉なのだと思う。

私は、ときどきネイサンのことを思うのだ。そして比べるのだ。

ここでネイサンのことを出すのもどうかと思われるかと思う。でも、あえて比べようと思う。ネイサンは一人で暮らし、大学へ通い、友達にも会う。それがとてもうまくまわっている感じなのだ。

 

「幸せを捨ててきた」という言葉がずっと気にかかっていた。どういう幸せだったのだろう。もしかしたら、ネイサンのような当たり前の青年の生活?と考えたりした。

気晴らしというか、同年代の友人との会話だとか、みんなと街に繰り出して遊ぶだとか、大学の仲間との議論だとか、そんな生活が必要な気がしてならない。

愛されているけれど、誰よりも孤独。大きなものを背負っている。

ネイサンとは、背負っているモノ、日米のフィギュアスケートの注目度の違い、文化の違いはあるだろうけれど。

インタビューの「自分の精神状態と、肉体の状態と、イメージが全部バラバラって、乖離(かいり)していった感じですね」という言葉の意味は、演技を見ているとなんとなくわかるのだ。心がどこかに飛んでいる。うわの空といった感じを受けたのだ。

腕を伸ばすしぐさでも、心ここにあらずというような、ただ振付けだから伸ばした、というような、今までは見たこともない動きだったのだ。

 

インタビューより

「こんな演技でも、本当にたくさんの方々がすごく応援して下さっていて、最後まで力を下さっていて。最後の最後、こけちゃいましたけど、それでも歯を食いしばってやれたと思っているので。最後まで見て下さってありがとうございますとしか言えないです」

 ――世界選手権も控えています。

「まあ、また考えます。はは。そうですね。うーん……。何に出るのか、わかんないですけど。本当に、今もう、弱っちいので。ループもトーループも跳べないようじゃ、話にならないですし。アクセルも跳べないようじゃ、本当に話にならないですし。はあ。悔しいしかないです。悔しいです。次があれば、次に向けてがんばります」

 ――強くなるためにどうしていけばいいと思っていますか。

「いやあ、わかんないです。もう、やれることはやってたと思いますし、6分間(練習)まではよかったですし。感覚はそんなに悪かったわけではないので。まあ、なんか、自分の精神状態と、肉体の状態と、イメージが全部バラバラって、乖離(かいり)していった感じですね」


 ――今回負けたことで、勝たなきゃいけない、という重圧抜きで戦っていけるのでしょうか。

「常に勝ちたいなと思っていることは間違いなくありますし。もちろん、最大限のことは、ここではできなかったですけど、でも、僕なりに一生懸命はやったと思ってますし。まあ、何て言えばいいんですかね。別に、なんかプレッシャーから解き放たれたわけではないです。」

 ――ご自身としてはちょっとびっくりするところがあったのでしょうか。いつも通りにいかないという予兆などは。

「まあ、でも、調整がうまくいかなかったです。ずっと。うん、なんか、自分の体がどんどん、なんだろ、日に日に劣化していく感じはあって。でも、SPの前からもう、ずっと変だなとは思っていたので。でも、それでもやっぱり、僕は恵まれているので、本当に、すごい、いろんな方に支えてもらって。体の状態も今できる最高の状態にしてもらったうえで、これなんで。正直いって、まあ、僕の実力と技術が足りなかったっていう感じですかね。でも、それでも、うん、うーん、死力は尽くしたと思っています」

――諦めなのか、集中が切れていたような箇所も。

「どこらへんですか。ルッツぐらいですか。ふふふ。なんか、びっくりしちゃって。自分のなかでも。あれって思って。感覚がふと、なんか、本当に乖離してたんですよ。今も乖離してるんですけど。自分の言動がどうなっているか、はっきりいって全然わかんなくて。気持ちとしゃべっていることもまた、別々になっているところが多々あるし。やっぱり。
でもなんか、あの、やっぱイメージと自分の体のキレみたいなものは分離はしていて。その、体力があるうち、たとえばショート(SP)とかだったら、まあなんとかなったのかもしれないですけど、どうしようもないところが出てしまったなと思っていて。

でも、はっきり言ってしまえば、はあ、競泳の選手なんか、何レースもやるわけですし。内容が違うかもしれないですけど、なんか、そういうのに比べてみたら、僕なんか5週間で3回しか試合やってないですし。それでこれくらいの体力しかないのかと思うと、本当に自分が力使って跳んじゃっているんだな、と。
もっと力を抜いて、自分らしい、いいジャンプが跳べるようにしなきゃいけないなと、今は考えています。考え始めました。はい。諦めてはないです。ホントに、最後まで死にものぐるいでやってました。そうじゃなきゃ、フリップ跳ばないです」
 (構成・山下弘展)朝日デジタルより

 

考えれば、今までにない不思議なインタビューの答えである。疲れてしまったのだと思う。だが、疲れたのは体よりも精神のほうだと感じたのだけれど。

四大陸出場、 どのような決定をするか、どのように生きていくかは、その人の人生だから、他人がとやかく言うことではありません。自分の人生を悔いのないようにやりきって、その先のステップに進んでいってもらいたいと思います。

四大陸に出ることになれば、私たちはまた見る機会が増えてうれしいし、また何かと心配をするのでしょう。

 



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