■1987「1987」 2017年12月公開、現在上映中 〇〇〇〇-
(89)
この間、「ヲタク」がずっと見たいと思っていた映画「1987」が、
やっと「ヲタク」愛用の中国系サイトに登場した。
700万を超える観客を動員し、現在も上映中の映画だ。
朴鐘哲拷問死事件やデモ中、後頭部に催涙弾の直撃を受け死亡した
李韓烈事件など、1987年の民主化闘争に関わる事件を題材にした
社会派映画だ。
2人とも「ヲタク」と同世代なので、生きていれば現在50代。
△映画のワンシーン
この映画を見て、今さらながらに韓国の民主化が国民の生命と直結
する問題であったことが、よく理解できた。
△実際の報道写真(CBSニュースより)
つまり、若者の命を奪う政治(軍部独裁)に対する大きな怒りと、
若者の命を輝かせる政治(民主主義)を求める大きな熱望が、
大統領直接選挙制を勝ち取った運動の基底にあったということだ。
■더 킹 「ザ・キング」 2017年 〇〇〇-- (88)
2017年、500万を超える観客を動員したヒット作(年間7位)。
「出世のためには信念も自尊心も捨て、権力者のライン(人脈)に
つながれ」。
とんとん拍子に出世街道を歩いていた検事が、ある事件をきっかけに
トカゲの尻尾のように切り捨てられ、検事職を追われる。
口封じのため命までねらわれるハメとなった彼を救ったのは、かつて
彼が切り捨てた同郷の友人だった。
友人もまた、組織から切り捨てられた小さな暴力組織のボスで、彼を
助けたことがあだとなり、結局、命を落とす。
失意の中、旧友の友情に救われたことを知った彼は、捨て身の反撃に
打って出ることを決意する。
それは、友人の弔い合戦でもあり、自分自身の信念や自尊心を
取り戻す戦いでもあった。
彼は言う。「この国の王は検察ではなく国民だ」と。
(終わり)
これまで観客動員数が1000万を超えた国産映画は、日本には合計で
9本ある。
一方、韓国では実に15本を数える。(※現在上映中の「神と共に」を
加えれば16本)
△K-MANIAより
韓国の人口が日本のおよそ5分の2(5000万)であることを考え
合わせれば、韓国社会で映画というエンターテイメントがいかに
大きな位置を占めているかが、よくわかる。
ところで、「ヲタク」はこの週末、3作の韓国映画を見たことで、
1000万人以上の観客動員を記録した15作の韓国映画全ての鑑賞を
達成した。
正確に言えば2作(「シルミド」「ブラザーフッド」)については、
かなり以前に日本語吹き替え版をテレビで観た記憶はあるが、細かい
内容は忘れていた。
いずれにせよ、15作を全て観たからと言って、何の自慢にもならない。
例によって、「ヲタク」が小さな自己満足をおぼえただけの話である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■태극기 휘날리며 「ブラザーフッド」 2004年 〇〇〇〇-
(87)
原題を日本語に訳せば「太極旗をはためかせ」。
題名からは、自国の歴史を美化し、ナショナリズムを鼓吹する単純な
戦争映画をイメージしてしまいそうだが、内容は、むしろ社会派映画。
朝鮮戦争の戦場で、弟を早く軍から除隊させたい一心で、数々の
戦功をあげる兄。しかし、ソウルに残した妻は北の協力者として
韓国警察に虐殺され、妻を助けようとした休暇中の弟も逮捕され
処刑場に連行されたまま行方がわからなくなる。
妻ばかりか弟まで殺されたと思った兄は、韓国に復讐するため北の
人民軍に身を投じる。そして、最後は、戦場で再会した敵軍の弟を
助けるため人民軍に銃を向け、死んでいく。
強い兄弟愛を通じ、朝鮮戦争の根本的矛盾と悲劇を描いた傑作である。
■실미도 「シルミド」 2003年 〇〇〇-- (86)
韓国現代史が生んだ不条理、シルミド事件を題材に描いた社会派映画。
土壇場で見せる男たちの友情が、あまりにも悲しい映画である。
■왕의 남자 「王の男」 2005年 〇〇〇-- (85)
「次、また生まれ変わったとしてもカンデ(伝統的な旅芸人)に
なりたい」
芸のため、愛する者(同性愛)のため、命をかけた2人の旅芸人の
物語。
(終わり)