福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

韓映画と漢文塾の先生

2020年01月31日 |  〇映画・映画音楽

벌새  「ハチドリ」 2019年  〇〇〇〇〇
(956)



2019年に公開されたインディーズ系の思春期ドラマ。


△主人公の家は商店街の餅菓子屋さん(映画より)

1990年代のソウルが背景。


△少女が通っていた漢文塾「清河書堂」(映画より)

学校では「問題児」(날라리)のレッテルを貼られている
1人の漫画好きの女子中学生を主人公に、彼女が
様々な出来事を通じて、自立に向かっていく様子が
描かれている。


△少女は塾で1人の新しい女性講師と出会う(映画より)

中でも、漢文塾における講師の女子大生(休学中)との
出会いと交流と死別が、物語の重要な軸になっていた。


△教材は明心宝鑑(韓国で一般的な儒教の名言集)<映画より>

講師の女子大生が聖水大橋の崩落事故に巻き込まれて
しまう展開は、あらためて、事故犠牲者への慰霊の
思いを募らせた。


△聖水大橋の事故現場を訪れた主人公兄弟(映画より)

人間の人生は、様々な苦痛や理不尽に満ちている。

それにも関わらず、いや、それだからこそ、人間は
小さな喜びや希望に励まされながら生きていく。

今、少女は自分自身の手で自分の人生の扉を開け
ようとしている。

久しぶりに心落ち着く、いい映画を見させて
もらった。


(終わり)


韓国映画と元美術教師

2020年01月30日 |  〇映画・映画音楽

몽마르트 파파 「モンマルトル・パパ」 2020年 〇〇〇--
(955)



2020年に公開された異色のドキュメンタリー映画。

大邱の中学校を定年退職した元美術教師が、パリ市の
ライセンスを取得し、モンマルトルの丘で約1か月間、
プロの絵かきを経験した。



妻を同伴しての彼のこの挑戦を撮影したのは、息子。



つまり、このドキュメンタリー映画は、親子3人に
よる共同作業の結実なのだ。

結果的に彼の絵は1枚も売れなかったが、皮肉な
ことに街の画家たちのスト(絵を売らない日)には
参加させられるなど、同業者らとのゆるい交流や
連帯感の中で、なんちゃってレベルの画家生活を
満喫できたようだ。

そう遠くない将来、退職を迎える「ヲタク」にとっては、
刺激に満ちた映画だった。

「ヲタク」なら、退職後、まず2,3か月くらい、
プサンの草梁洞にどっぷり漬かり、韓国三昧(ざんまい)
の日々を送ってみたいものだ。

さて、どうなることやら。


(終わり)


韓映画と朝鮮の天球儀

2020年01月29日 |  〇映画・映画音楽

천문 : 하늘에 묻는다 「天文 : 天に問う」2019年 〇〇---
(954)



2019年12月に公開され、199万を超える観客を
動員した時代劇。

背景は15世紀の朝鮮王朝。


△完成した天球儀と主人公の2人(映画より)

主人公は、天球儀や水時計などを作成し、朝鮮第一の
科学者と呼ばれた蒋英実と、彼を大抜擢し後見した
世宗の2人。

世宗とは、言わずと知れた「訓民正音」(ハングル)の
創製者。


△天球儀(映画より)

この映画は、宮廷内の反対勢力や明の意向に抗
(あらが)いつつ、それぞれに「禁じられた夢」を
追い続け、ついにはその夢を実現させた2人の男の
交流と深い信頼関係を描いた。




(終わり)


時には韓国の名画を

2020年01月28日 |  ┗注目女優

남부군 「南部軍」 1990年 〇〇〇〇-
(953)



1990年に公開された実録的戦争映画。原作は、
実在の人物による、同名の自伝的小説。

朝鮮戦争勃発後、北朝鮮人民軍に占領された
ソウルで人民軍の従軍記者として徴集された、
韓国の元通信社記者が主人公。

この映画は、人民軍の兵士となった主人公が、
その後、ゲリラ兵(パルチザン)として韓国の
山岳地帯に入り、最後に智異山で韓国軍の
捕虜になるまでの日々が克明に描かれている。

同族である敵との戦闘のみならず、飢えや疫病、
そして冬季の凍傷との闘いの日々は、常に深い
矛盾に満ちていた。


△人民軍看護兵を演じたのはチェ・ジンシル(映画より)

兄は韓国兵として戦死した1人の人民軍看護兵との
淡い恋と別れが、唯一、この映画に潤いを与えていた。


△何とも愛くるしい看護兵(映画より)

看護兵を演じたのはチェ・ジンシル

今となっては、伝説の名女優だ。


(終わり)


韓国映画と釜山・下関

2020年01月27日 |  〇映画・映画音楽

허스토리  「ハーストリー」 2018年 〇----
(952)



2018年に公開された、慰安婦問題をめぐる社会派
映画。


△裁判の原告たち(映画より)

1992年、プサンに住む元従軍慰安婦の女性らが、日本
政府を相手取り、元従軍慰安婦らに対する公式謝罪と
賠償を求める裁判を日本の下関で起こした、いわゆる
関釜裁判について描かれた映画だ。


△プサン市草梁洞の路地(映画より)

ただし、映画に描かれた物語は、細部にわたって
誇張と創作(虚構)に満ちており、映画の性格は、
どう見ても一種のプロパガンダ映画である。


△山口県下関市の海峡ゆめタワーが見える(映画より)

その制作姿勢は、実際に原告らを支援しながら、
共に裁判を闘った日本側関係者らからも、厳しく
批判されている。(参考サイト


△関釜フェリーは仮想、ロケ地は釜山港国内旅客ターミナル(映画より)

詳しいことを知らない「ヲタク」自身、原告たちが
日本の旅館で、宿泊を拒否されるシーンには、正直、
鼻白んだ。

宿の主人が言うには、他の利用客たちから、原告
たちが使った布団は使いたくないとクレームが
入っているから、というのだ。

結局、原告らは、自分たちで準備した布団を
旅館に持ち込むことで、かろうじて宿泊が
許された。

日本人の差別的な偏狭さを物語るこの逸話も、
もちろん、虚構である。

いくら映画とは言え、見え透いた誇張と虚構の
数々は、社会派映画の真価を落としてしまう。

問題が問題であるだけに、制作陣には、事実的
経過を尊重することはもちろん、被害者や
支援者の思いを、もっと誠実にくみ取る努力を
してほしかったものである。

様々な意味で残念な映画であった。


△下関港(映画より)

しかし一方で、この映画ほど、1本の作品の中で
プサンと下関の街の様子がたくさん登場する映画も
珍しかった。


△プサン市草梁洞、ビル屋上のシーン(映画より)

その点に限って言えば、「ヲタク」の目を非常に
楽しませてくれた。


△上記ビルを特定①(カカオマップより)

少なくともロケ地は、嘘をつかない。


△上記ビルを特定②(カカオマップより)

例によって、ネットのストリートビューを使い、
映画のロケ地をいくつか特定した。


関門大橋(映画より)

陰気な作業ではあるが、ロケ地を探し当てた
時の喜びは、けっこう大きいものがある。


△北九州市門司区の和布刈(めかり)公園から見る関門大橋(グーグルマップより)

ここでは、プサンと下関から1か所づつ、紹介
しておいた。

なお、「ヲタク」の印象で言えば、この映画に
登場した韓国語のうち約8割はプサン方言だった。


(終わり)


19年No.1の韓国アニメ

2020年01月26日 |  〇映画・映画音楽

신비아파트 극장반 하늘도깨비 대 요르문간드   2019年
 神秘アパート  劇場版 空オバケ vs ヨルムンガンド
(951) 〇〇〇--



88万を超える観客を動員し、韓国産アニメとして
2019年度最高のヒットを記録したアニメ映画
(現在上映中)。

主人公は、小学生の姉弟と霊能者の血を引く
少年剣士、そして「神秘アパート」に住む2匹の
オバケ。オバケは姉弟によって、この世に「召喚」
される。


△「神秘アパート」に勢ぞろいした主人公たち(映画より)

彼らが空の守り神であるオオワシと力を合わせ、
「空オバケ」たちの住む「空の王国」を、悪魔の
大蛇、ヨルムンガンドの侵略から守る物語。

中高年の「ヲタク」が見ても、そこそこ楽しめる
内容のアニメ映画だった。

この映画で「ヲタク」の印象に残ったのは2つ。

まず一つが、少年剣士が使うアイテムのお札。


△韓国語では「부적」と呼ぶお札(映画より)

これは、間違いなく、現代を生きる韓国の子ども
たちの童心にも、「お札」の持つ神秘的な力に
対する信仰心を植え付けるに違いない。


△慶尚道方言を話すオバケの名はクンビ(映画より)

もう一つが、濃い慶尚道方言を駆使する姉貴
(あねき)分のオバケ。

このオバケが時間を自由に操る妖術を呼び出す
時のかけ言葉が

나온나!시간의 요술!」。

これを博多弁に訳すとしたら

「出て来んしゃい!時間の妖術!」、

北九州弁(「ヲタク」の母語)に訳すとしたら

「出て来っちゃ!時間の妖術!」

くらいが適当だろうか。

いずれにしろ、「ヲタク」も楽しめたユニークな
キャラクターだった。



(終わり)


韓映画とカッパドキア

2020年01月25日 |  〇映画・映画音楽

개  「犬」 2015年  〇----
(950)



2015年に公開された実録風犯罪映画。実際の
事件に着想を得て制作された映画だ。

主人公は、フィリピンやトルコの観光地で韓国人
観光客を拉致、監禁、殺害し、本人や家族から
金銭を脅し取っていた韓国人グループ。


△トルコのカッパドキアで顔が割れるミスを犯した男は粛清された(映画より)

この映画は、彼らの卑劣で狡猾な犯罪とともに、
グループ内での裏切りや残忍な粛清の場面なども
描かれている。

全く救いのない内容の映画だった。

せめて、見知らぬ土地で妙に優しく接近してくる
人間に出会った時には、十分に警戒したいものだ。



(終わり)


釜山の中国語教師

2020年01月24日 |  〇映画・映画音楽

나쁜 놈은 죽는다 「悪い奴は死ぬ」 2016年 〇〇〇--
(949)



2016年に韓国で公開された、中韓合作のアクション
コメディ。


△「僕はプサンで中国語を教えている先生です」(映画より)

主人公は、プサンの小学校で中国語を教えている
中国人青年と、彼の教え子の若い叔母。

中国人青年は、けっこう流ちょうな韓国語を話し、
若い叔母はそこそこの中国語が話せる。


△撮影地はプサンの甘川文化マウル(映画より)

その2人が、済州島を舞台に、観光に来た青年の弟らの
力も借りながら、プサンの暴力組織を壊滅させる。


△撮影地はプサンの甘川文化マウル(映画より)

そこそこ見ごたえのある、国際的なアクション
コメディだった。

괴물들 「怪物」 2018年   〇----
(948)



2018年に公開されたインディーズ系の学園ドラマ。

いじめの被害者が加害者に除草剤入りのジュースを
飲ませ復讐した、実際の事件をモチーフにした映画。

いじめの被害生徒が、ついには「怪物」になって
しまうという、二重の意味で悲惨な物語だった。

ちなみに、この映画は標準語による作品だが、
撮影はプサンで行われている。


△物語の舞台になった高校(映画より)

ここでは1か所だけ、ロケ地を紹介しておく。


△プサン市南区の高校(KAKAO地図より)

例えば、この物語の舞台になった高校は、プサン市
南区にある高校だった。


(終わり)


韓国と日本女性の災難

2020年01月23日 |  〇映画・映画音楽

게스트하우스 「ゲストハウス」 2018年 〇〇〇--
(947)



2018年のピョンチャン(平昌)冬季五輪開催を前に
制作、公開されたインディーズ系の恋愛ドラマ。

舞台は、江原道のカンヌン(江陵)市


△日本人女性が滞在した海辺のカフェ兼ゲストハウス(映画より)

主人公はオリンピック関連の仕事で韓国を訪れた
日本人女性と、彼女が滞在したカフェ兼ゲストハウスの
経営者の青年。

青年は、女性を受け入れた市役所広報課の女性課長の
弟でもある。



△姉に頼まれ、日本人女性を案内する青年(映画より)

日本語を話す姉がいっしょにいる時以外、2人は、
平易な英語でつっかえつっかえ意思疎通を図る。

そして、徐々に惹かれ合うようになった2人が、
様々なハプニングや誤解を乗り越えながら、心の
距離を縮めて行く。


△東海(日本海)を見つめながら語り合う2人(映画より)

最後に、2人の真剣な恋を予感させつつ、映画は
終わる。


△日本統治時代の日本人住宅も登場(映画より)

なかなか見ごたえのある、国際恋愛一歩手前の
物語だった。

ところで、この映画で印象に残ったのは、日本人女性に
ヨコシマな下心を持った現地放送局のディレクター。


△日本人女性にしつこくつきまとった放送局のディレクター(映画より)

彼は、仕事関係の会食が終わった後も、しつこく
主人公女性につきまとい、女性が思い通りにならないと
見るや、大声を張り上げ悪態をつく、という失態を演じた。

酒が入った上での醜態とは言え、相手がかわいい日本人
女性と見るや、すぐに鼻の下を伸ばす、一部韓国人男性の
見苦しい生態が妙に生々しく描かれていた。

これは別に日本人女性に限った話でもないのだろうが、
女性1人での海外渡航に油断は禁物である。


(終わり)


韓映画と済州島の墓地

2020年01月22日 |  〇映画・映画音楽

엄마바람 피게하기 「ママに浮気させろ」 2020年 〇〇--- 
(946) 



2020年に公開されたインディーズ系の短編コメディ。

娘が母親が浮気するように作戦を立て実行に移す、という
一見、ナンセンスなコメディではあるが、その動機は
実に深刻で切なかった。

父親はすでに家庭を捨て、別の女性と事実婚までして
いるにも関わらず、母親は、ただ父親が帰ってくる
ことだけを信じて待っている。

娘は、そんな母親に、父親とはきっぱり縁を切り、
自分の人生を生きるため、新しい一歩を踏み出すよう
促したかったのだ。


△母親の趣味をよく知る父親も娘の作戦に協力させられる(映画より)

結局、母親に新しい恋人を作る作戦は失敗するが、
それでも、母親が心に区切りをつけ、父親と離婚し、
娘と協力して新しい恋人探しに乗り出したところで
映画は終わる。

決してハッピーエンドとは言えない、複雑な余韻を
残して終わる映画であった。

우리를 갈라놓는 것들  「我らを引き割くものたち」 2019年
(945) 〇〇---



2019年に公開された現代史ドキュメンタリー。


△4・3事件の犠牲者も多く眠る済州島の墓地(映画より)

済州島4・3事件智異山パルチザンの関係者や
遺族を韓国、日本、アメリカに訪ね、南北分断の
歴史の起源を見つめたドキュメンタリー。


△智異山(映画より)

済州島にしろ智異山にしろ、朝鮮半島を代表する
ような美しい自然を舞台に、何とも悲惨な事件が
起きたものである。

せめて合掌したい。


(終わり)


韓映画とグループ交際

2020年01月21日 |  〇映画・映画音楽

파수꾼  「番人」 2011年  〇----
(944)



2011年に公開されたインディーズ系の思春期ドラマ。

仲の良かった3人の男子高生のうち、1人が学年の番長に
なった頃から、3人の関係がぎくしゃくし始める。

番長の子分になりたくなかった1人は、番長との
関係に嫌気がさし、番長グループからの暴行事件を
きっかけに転校した。また、番長の嫉妬から恋人との
関係を割かれた一人は高校を退学してしまい、
番長との縁を切る。


△仲の良かった3人がバラバラになり、1人は自死してしまう(映画より)

2人の友人が離れて行った後、番長は、自分自身に
嫌気がさし、自死という極端な選択をする。

壊れやすいガラスのような思春期を描いた作品、とでも
言えばよいのか。

「ヲタク」的には、3人の誰にも感情移入ができない
映画だった。


△インチョンの中華街を訪れた6人グループ(映画より)

それでも、3人が仲の良かった頃、3人の女生徒と6人で
インチョンの中華街に遊びに行ったシーンは印象に残った。


△3代続く老舗の中華料理店<実在>に入った6人(映画より)

6人とも高校の第2外国語で中国語を学んでいた
ようだ。

知っている中国語のフレーズを言い合いながら、
談笑するシーンには、中国語学習の先輩(?)として、
大いに気が和(なご)んだ。

その微笑ましいシーンにも、中国語の

「チーファンラマ?」(ご飯は食べたか?)

が韓国語の

「シーバルノマ」(このくそ野郎)

に聞こえる、という定番のお笑いネタが登場
していた。

結局、「ヲタク」にとってこの映画は、物語の
本筋とは関係のないところの方がおもしろかった
映画、ということになる。


(終わり)


韓国映画と恋のパソ通

2020年01月20日 |  〇映画・映画音楽

■접속 接続」 1997年  〇〇〇--
(943)



少し古いが、1997年最高のヒット作。

パソコン通信のチャットで知り合った男女が、
紆余曲折を経て最後に結ばれる恋愛映画。


△モニター画面に映し出されたメール(映画より)

パソコン通信の経験のない「ヲタク」ではあるが、
ブラウン管モニターは懐かしかった。


△パソコン通信でメールやチャットをする主人公(映画より)

この20年、いわゆるIT革命は、私たちの通信環境や
電子機器を劇的に変えてきたが、主人公たちの
恋物語は、決して古ぼけてはいなかった。

いつの時代も、恋とは切なく、そして尊いもの
である。

古い失恋歌のフレーズにはなるが、

心の支えは いつの時代も 男は女 女は男
CHAGE&ASKA「男と女」

ということか。


(終わり)


韓映画と探偵とパタヤ

2020年01月19日 |  〇映画・映画音楽

불량탐정 : 미싱 「不良探偵:行方不明」 2019年 〇----
(942)



2019年に公開された成人指定のお色気探偵ドラマ。

不良探偵のアシスタントをしている女性の友人2人が、
タイのパタヤに旅行に出かける。


△パタヤを旅行する2人(映画より)

しかし、2人の友人は、現地で闇のゲストハウスを
経営する変態韓国人にだまされ、薬を飲まされた
あげく、監禁されてしまう。


△サービスのジュースには睡眠薬(映画より)

行方不明になった2人を心配したアシスタントが、
探偵に調査を依頼する。


△写真を手掛かりに2人を探す探偵(映画より)

探偵は、パタヤに出かけ、無事、2人を救出するが、
おかしな催淫剤を飲まされていた2人は探偵相手に
欲求解消を迫る。

当然、探偵は受けて立つ。

安っぽいちょいエロ探偵映画ではあったが、そこそこ
ストーリー性はあった。


(終わり)


韓映画と冬のスラム街

2020年01月19日 |  〇映画・映画音楽

친애하는 지도자동지께  「親愛なる指導者同志へ」 2015年
(941)  〇〇〇〇-



2015年に公開された異色の社会風刺映画。インディーズ系の
成人指定作品だ。


△冬のソウルのスラム街(映画より)

季節は冬。

北朝鮮式朝鮮語のアクセント丸出しの北朝鮮工作員が、
ビデオカメラを手に、ソウルの一角に存在するスラム街
(実在)に、秘密取材に入る。


△取材対象は4人の少年少女(映画より)

工作員は、スラム街に住む、高校を中退したばかりの
3人の少年と、変質的なアメリカ人宣教師に性的暴力を
振るわれている少女に目を付け、その都度報酬を手渡し
ながらの
密着取材を開始する。


△スラム街の冬は厳しい(映画より)

取材中、3人の少年はそれぞれ、社会の不条理の中、
大切な家族の命を失ってしまう。


△1人の少年にはアル中の父親と知的障がい者の兄がいる(映画より)

激しい怒りに突き動かされた3人は復讐に立ち上がり、
工作員の協力を得ながら、大切な人の仇(かたき)を
討ち、殺人犯となる。


△1人の少年の兄は軍で上官に強姦され自死した(映画より)

3人が復讐を成し遂げ、アメリカ人宣教師が少女を
強姦した後、工作員は、南朝鮮社会の闇を告発する
密着ルポを完成させる。


△スラム街の商店(映画より)

そして、貧富の格差にあえぐ南朝鮮人民の現実を
告発した「英雄」として3人をスカウトし、北朝鮮への
移住を勧める。


△犯罪者となった3人はスラム街を出る決心をする(映画より)

3人が工作員の提案を受け入れ、「英雄」として
北朝鮮に移住したところで映画は終わる。


△闇に包まれた夜のスラム街(映画より)

ナンセンスと言えばナンセンスな映画だったが、
非常に斬新で見ごたえのある風刺映画だった。

호흡 「呼吸」 2019年 〇〇---
(940)



2019年に公開されたインディーズ系のドラマ。

過去、幼児を誘拐し親から身代金を奪った
女性が、清掃業の仕事を通して、偶然、その時の
被害幼児だった青年と十数年ぶりの再会を果たす。

女性は事件後、逮捕をまぬかれたまま、すでに
時効も過ぎていた。ただし、身代金で手術を
受けさせた1人息子は、手術の甲斐なく命を
落とした。

一方、被害幼児は、事件後、両親を失い孤児に
なった。成長後、人生につまづいた青年は、
窃盗を重ね、1年間の服役後、出所して来た
ばかり。

2人の再会後、女性は青年に援助の手を差し
伸べるが、女性の正体を知り、衝撃を受けた
青年は、女性を拒む。

それでも、2人が寄り添いながら生きていく
未来を予感させながら映画は終わる。

何とも切ない展開の映画だった。

(終わり)


韓国映画と国家人権委

2020年01月18日 |  〇映画・映画音楽

4등 「4位」 2016年 〇〇〇〇-
(939)



2016年に公開された社会派のスポーツドラマ。

国家人権委員会が企画、作成した異色のインディーズ
映画だ。


△現役時代、自分がされたそのままに気合を入れるコーチ(映画より)

素質はあるものの毎回4位の成績に終わっていた
少年スイマーが、熱意溢れる暴力コーチと出会ってから、
成績を伸ばし始める。

暴力コーチは、プサン方言丸出しの元韓国記録保持者。


△コーチはプサン出身の元韓国記録保持者(映画より)

しかし、真に彼の才能を開花させたのは、コーチの
暴力でもなければ母親の献身的バックアップでもなく、
彼自身の水泳への強い愛着と主体的な意志の力だった。


△コーチ役のパク・ヘジュンにとってプサン方言は母語(映画より)

体罰を容認する結果至上主義が根強く残るスポーツ界の
問題を、鋭くえぐった作品だ。

単純な善悪二元論に立って悪者を仕立てることのない、
なかなか見ごたえのある映画だった。

また、母語であるプサン方言を存分に駆使しながら、
暴力コーチの役を熱演したパク・ヘジュンの演技も、
実に渋くて印象的だった。


(終わり)