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横浜映画サークル

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-46)尼崎監禁殺人(34)裁判5

2016-07-09 23:00:15 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-45)の続き。

(c)まり子の父親谷本明さんの裁判コメントに対する筆者の見解

文字数減のために谷本明さんを明と略し敬称も略していることがありますのでご了承ください。

まり子の父谷本明さんの裁判コメント

筆者の見解

に付き従い、多くの犯罪を助長してきたことを思うと、主犯格であると同等の責任があり、極刑を求めてもおかしくないと思っています。

この明のコメントはサイコパス犯罪が残虐であるために、極刑を求める一般的で代表的な見解。サイコパスに取り込まれた人はロボット化し、自分の意志は存在しなくなることを理解してほしい。取込まれた人は、サイコパスの分身のように行動するので、同等の責任があると見える。【太平洋戦争でサイコパス上官の命令に従って虐殺行為を行った兵士は上官と同等の責任があるように見えるが、戦後呪縛解放して苦悩していることが多い】。残虐行為をした兵士と同様に、3人を許してほしいと思う。太平洋戦争のサイコパス上官の具体例は後の項「戦時下のサイコパスの特徴行動」参照。

本件一連の犯行は、の支えなくしては、決して一人では、なし得なかったはずです。

まんじゅうサイコパスは、自分一人ではできない残虐行為を、まんじゅう構造を作りことにより実行可能にする。単独サイコパスにはない特徴。

も、からの信頼が厚く意見を述べることができる立場にあったのですから、妻(初代)と娘(まり子)を助ける機会はいくらでもありました。にもかかわらず、何もせずに2人を見殺しにしたことに対する責任は重いと思います。

は16歳の時に猪俣家から奪われたてきた人で、親が付けた徹也の名前も捨てさせられ太郎に改名させられていた。「信頼が厚い」わけでも「意見を述べることができる立場にもないに逆らって「助ける機会は全くない。明は娘(まり子)から暴力を受けてやっとの思いで逃げたことを、また逃げた後娘の様子を見ようとのマンション近くまで行ったときに、見つかるのを恐れて逃げ帰り、娘を助けられなかったことを思い出してほしい。この3人に「娘を助けられたはず」と言うのは、虫が良すぎるに取込まれた人(角田家または角田ファミリー)内部はサイコ化し、告げ口(密告)システムができた特別な集団で、健常者には想像を絶する。

 妻(初代)と娘(まり子)は何一つ悪いことをしていないのに、言葉では言えないようなひどい虐待を受けた揚げ句、命をも奪われた無念さを思うと、今後も3名の被告を許すことは決してできません

(d)裁判員のコメントに対する筆者の見解 

裁判員のコメント

筆者の見解

40代の男性公務員:「と会わなかったら、普通の人生を歩んでいただろう。かわいそうな人生」と話した。

その通りと思う。

女性会社員(36):「同情したけど、被害者もたくさん出た。正しく判断するのに気をもんだ」と心境を明かした。

「同情したけど、被害者も出した」:この矛盾した状態が本質にある。【太平洋戦争で徴兵された人には同情するが、兵士は大陸やフィリピンや太平洋の島々などで住民の多くを殺した。この矛盾した状態と等しい】

(e)の控訴取下げ理由:不明:は呪縛解放苦悩に陥ったのではないかと思われる。

 の主任弁護人は本人がなぜ取り下げたのか「被告とは連絡を取ってないため理由は把握していない」と述べた。なぜあんな残虐なことをしたのだろうと自分に問いかけ苦悩する呪縛解放苦悩の状態になっていたのではないか。そのため敢えて懲役21年という重刑を受け入れたと筆者は思う。呪縛解放苦悩につては本シリーズ(その4-5)「(ⅰ)サイコパス化過程の4段階」の表の注*3:健常者の呪縛解放時の3つのタイプ、「忘却」「苦悩」「正当化」参照

 (f)の控訴審:控訴審大阪高裁。樋口裕晃裁判長。16/5/25判決、控訴を棄却。1審と同じ懲役21年。弁護側不服2017年6月現在上告中。 

控訴審の検察、弁護側、裁判長の見解比較要点は下記表の通り。筆者の見解は注で述べている。 

検察

弁護:一審判決不当

樋口裁判長:控訴棄却

控訴を棄却するよう主張

起訴された殺人罪について「誰に対しても殺意はなく、指も触れてない*1と、懲役21年とした判決は不当。2件の殺人罪について「殺意がなく、罪は成立しない」などと主張。鄭は「を殺して私も死ぬことができなかったのが悔しい。もっと勇気があればこんなに亡くなる人はいなかった」「私に勇気があれば、被害者を逃がすことができたが、当時は正常な判断ができなかった*2。被害者の冥福を祈り、一生償いたい」とする反省文を朗読した。判決後即日上告。

は、『被害者が死んでもかまわない』という意図を理解して犯行に関わっており、殺意があったと認定できる*3」「主導したのはだが、虐待を黙認した。共同生活で自らの立場を維持する利益があった*4。「監視カメラを調整するなど監禁や暴行に積極的に関与した」「の意向に沿って行動するしかなかったとは言えず積極的に犯行に加担した」全ての事件でらとの共謀を認定*5。1審の判決を支持し被告の控訴を棄却

 筆者見解:上記表の注で筆者の見解を記す

 *1:1審の*13で述べたように弁護側は「関与していない」と事実でない主張をするのでなく、サイコ化犠牲者の実態を明らかにして無罪を主張すべき。サイコパスに取込まれ、人生のすべてを奪われたなどを救うのが弁護士の役目だ。サイコパスが学問的に確立していないので困難さはあるが。

 *2:呪縛解放苦悩が見られる。

 *3:「は『被害者が死んでもかまわない』というの意図を理解して犯行に関わった」と言う樋口裁判長の解釈は次の2つの誤りからなっている。

 は『被害者が死んでもかまわない』という軽い意図ではないは『愛情ある関係を破壊して殺し合わせること、心の破壊』と共に『飲食、睡眠、排せつ、動くこと、のすべての生存欲求を遮断すること、肉体の破壊』に強く惹きつけられている。まとめれば逆転欲求満足(逆転快)の報酬系ドーパミンの快感を求めての強い残虐欲求がある。残虐行為が快感になる逆転快の脳内メカニズムは本シリーズ(4-3)「(a)サイコパスの「痛み」が快感になるメカニズム」参照。

は「の意図を理解して犯行に関わった」のではないサイコ化されて意図を代行したのである。まんじゅうサイコパスは健常者をサイコパスにす強いサイコ化欲求がある。サイコ化した犠牲者は、サイコパスの残虐欲求を代行する。すなわち殺意を代行する。弁護側主張のに「殺意はなかった」は事実だが、殺意がないのになぜ殺しに加担したかの説明がつかない殺意の代行で説明ができ、これがサイコ化事件の本質ある。

 ①②を単純化して言うとまんじゅうサイコパスは残虐欲求とサイコ化欲求をまんじゅう構造で実現する。言い換えると、心の破壊と肉体の破壊をサイコ化犠牲者に最下層の虐待犠牲者に向けて実行させる

 *4:樋口裁判長は「なぜ殺意を代行するのか」の理由も誤って「共同生活で自らの立場を維持する利益」と健常者の自分の延長上で考えた。サイコパスは健常者の延長上には居ない。サイコ化犠牲者が「自らの立場を維持している」のは、『空気』(サイコパスの強い意志)に従っているに過ぎない。犠牲者が自らの意に反してその立場にいることはが停滞期に呪縛解放が進み、逃走したり、自殺未遂をしたりすることで分かる。はなぜ自殺未遂をしたかと聞かれたときに、同時に「マサはなぜ自殺未遂をしたと思うか」と聞かれ「自分と同様にマサ君も角田家におりたくて居るのではないと思います」と答えている。「共同生活に利益」を感じているわけではない。

 *5:まんじゅう構造に取込まれた犠牲者は外部からは常にサイコパスと共謀しているように見える実態は共謀とは無縁の完全な従属である。

 映画トワイライト・ゾーン/超次元の体験、第3話「こどもの世界(IT'S A GOOD LIFE)」(1984年日本公開米国):オムニバスの4つの恐怖話の第3話。まんじゅう構造に取込まれた人が、サイコパスの機嫌を取る姿が風刺的に描かれている。下の画像左は残虐な魔力を使う少年のご機嫌を取る大人たち5人、その右下に魔力を使う少年がいる。子供に合わせ楽しそうにしていないと魔力でひどい目に合うからブランド品をもらい「嬉しそうにはしゃいで見せないと怒られる」(証言)と似た状況。画像右は少年に逆らう言動をしたため口を取られた大人。サイコパスの自由な言論を圧殺する強烈さを表現している。逃げようとして見つかるとさらに恐ろしい目に合うので逃げられない。魔力を持つ子供がサイコパスに相当し、魔力は健常者が逆らうことができないサイコパスの強い意志『空気』に相当する。枝・鄭・健は常に角の機嫌を損なわないようにピリピリしていた。角はサイコ㌟により優しくなったり、残虐になったりを繰り返した。らはそのたびにほっとしたり震え上がったりした。トワイライト・ゾーンの大人たちのように。監督ジョー・ダンテがサイコパスを意識してこの作品を制作したかどうかは不明であるが、筆者にはこう観える。

 

 画像出典左:Movie Monday。Twilight Zone: The Movie!http://robkellywriting.blogspot.jp/2012/12/movie-monday-twilight-zone-movie.html (閲覧2017/6/19)  画像出典右:Alchetron。Twilight Zone: The Movie.https://alchetron.com/Twilight-Zone:-The-Movie-29160-W#- (閲覧2017/6/19)

 (K-5-3)マサ裁判:1審神戸地裁裁判員裁判:裁判長平島正道。判決2015/11/13無期懲役。裁判員120日。控訴棄却で2017年6月現在上告中。 

マサ裁判全般マサ疑似サイコ後期に至り自主的に残虐行為をするまでに至ってしまったことが分かる貴重な例の裁判である。6裁判すべてが05年橋本久芳虐殺から逮捕までの7年間だけを対象とした裁判。その前の橋本家、猪俣家、皆吉家などマサがまだと知り合う前ののサイコパス特性が現れている犯罪は取り上げられていない。裁判対象の7年間はマサによってサイコ化され「暴力装置」になった後で、マサの暴力が特に目立つ、マサにとって極めて不利な裁判である。マサの暴力が目立つため「マサによって凶暴にされた」とまったく逆の誤った報道さえ行われた。判決は結果責任をマサに被せた懲罰(こらしめる)判決で、なぜそういう行動をマサがとったかが解明されない、原因解明がない裁判になっている。その為、社会で同様の犯罪が再発することを防止することには全く役には立たない裁判

 マサのサイコ化要点マサは母が皆吉長男と再婚して皆吉家の一員になる。義理の父皆吉長男がに取り込まれ借金まみれになった時にマサ名義で借金され、取立人がマサの勤める会社に押しかけてマサ辞職。暴力団風の男たちと父皆吉長男がマサ宅へ押しかけ、マサ暴力団風の男たちを背景にしたのサイコ3手法(強弁、長時間拘束、眠らさない)で屈服し、のマンションに移らされ、虐待を受ける。家族にの手が及ばないように離婚し子供たちと別れた(離婚はの命令でもある)。の手が及ばないように離婚したのは谷本隆と同様。谷本隆は虐殺されたがマサは徐々にサイコ化され、の暴力装置の位置になり、直系内部と傍系谷本家、川村家を恐怖に陥れた。が「やめと言うまで殴り続ける」。マサは06年に自殺未遂後に疑似サイコ後期に至り自主的に最下層の犠牲者を虐待するようになった。逮捕後マインドコントロールの本を読み「これ俺のことだ」と述べ、「誰も信じられない、異様な世界だった」(被告人質問)と振り返り、呪縛解放が進んだ。 

a1審検察、弁護側、裁判長の見解比較 

下記表に鍵点(キーポイント)ごとの見解を示す。筆者の見解を表の注で記す。

鍵点

検察:求刑無期懲役

弁護:懲役15年相当、主張総崩れ

平島裁判長:判決無期懲役

ほぼすべて検察主張通り

サイコ化

指示通りに暴力を振るうなどし、約7年間にわたって殺人行為を繰り返した」「すべての事件で意向に沿い、暴行や虐待などを担当し、中核的な役割を担っていた」「責任は他の共犯者に比べ格段に重い」「各犯行になくてはならない重要な役割を担い、次ぐ重い責任がある」*1「犯行の全てを押しつけるような答弁しかしておらず卑怯で反省していない*2

から指示されたことをしたにすぎない*3に従わないと自分が標的にされる恐れがあった」「嫌な役を押しつけられた」「絶対的な支配者のに逆らえなかった。進んで加担していない*3と反論

マサらとの関係について「絶対的権力で忠誠を誓わせる*4角を恐れ、被告らは服従していた」「監禁方法を提案するなど積極的に犯行に関与し、指示のままに従っていた他の共犯者とは質的に違う*3」「は『汚れ役』として利用したが、マサは進んで『汚れ役』を果たしていた」

饅頭構造

一連の事件は「角田家」がピラミッド型の疑似家族を形成し、が頂点に君臨し「が絶対的に支配する中で起きた事件」、実行役として各事件で重要な役割を果たしたマサでさえ、「従属的」とせざるを得なかった*5

「角田家ではが絶対的な存在で、従わないと自分が標的にされる恐れがあった」

の手足となったマサいなければ、一連の犯行は不可能だった」*6死刑の選択も検討せざるをえない事案だが、角を頂点とする特殊な共同体*5の中で起きた事件」

動機と殺意と共謀

久芳「保険金目的で卑劣極まりない*7崖の上に立たせ、「はよせな」と声をかけて飛び降りを強要した。

以下は動機説明がない*8

まり子「飲食や睡眠を制限して衰弱させ、暴力を加えたのは非道

次郎「常態的に暴力を加えて悲惨な犯行

起訴されたすべての罪でと共謀を主張*9

3件の殺人罪について「に逆らえず、殺意はなかった」「死ぬとは思わなかった」などと起訴事実の多くを否認*10

まり子について「虐待も死に直結しなかった」と監禁致死か傷害致死罪にとどまるとした*10

初代の傷害致死罪では「頭を揺さぶっていない」「自分は、暴力は振るっていない」と無罪を主張した*11

久芳について、「飲食制限など度重なる暴行を加え、飛び降りて死ぬ以外を選択できない精神状態に追い込んで殺害した」「久芳さんに自殺の意志がなかったことをマサ認識していた」と殺意を認定*10、殺人罪が成立するとした。まり子については「衰弱が顕著になった後も、睡眠や飲食のほとんどを制限して虐待を続けて殺害した」と殺意を認定*10。声を震わせながら「「強い殺意までは認定できないが、虐待によって自尊心を徹底的に奪い、想像を絶する苦痛や無念さを考慮すると、なぶり殺したと評するにふさわしい残酷な犯行」*10と非難した。次郎も物置に監禁して暴行し、殺害した、とした。「監禁方法を提案するなど積極的に犯行に関与し、指示のままに従っていた他の共犯者とは質的に違う」「積極的に暴行するなど匹敵する重要な役割を果たした*10」と述べた。監視モニターの設置虐待方法を提案したことなどにも触れ「いずれの犯行においても重要な役割を積極的に果たした」と非難した。初代に対する傷害致死は「頭髪をつかんで揺さぶり、その後死亡させた*11と弁護側の主張を退けた。全事件でとの共謀を認めた*9

酌量と判決

論告で裁判員に「過去、3人を殺害した被告は精神的に問題がある場合などを除き死刑になっている」と話し「本来、死刑求刑が相当だが、絶対的な立場にいたの影響が大きいことも考慮すべき」「に匹敵するとまでは断罪できないが、に次ぐ責任がある」「各犯行は意向によるもので死刑は躊躇する」と無期懲役を求刑

「角田家の中で最も低い立場にあり関与は従属的、反省している、無期懲役は重すぎる」と反論し懲役15年が相当。

判決は、集団生活の中心にいたのもと、格闘技の経験もあるマサが虐待の提案や実行行為を担ったとし、その役割は「匹敵する」と指摘した。「死刑の選択も検討しなければならないほど重大な事件、長期であっても有期懲役刑では軽すぎる」と言及する一方、「の存在は大きく、従たる役割であることは否定できない」「ほかの被告たちが口をそろえて、存在の大きさを強調する以上*12、死刑を選択することは躊躇せざるを得ない」と無期懲役の判決

 

(b)筆者の見解:上記表の注で筆者の見解を記す

(その4-47へ続く)

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-45)尼崎監禁殺人(33)裁判4

2016-07-09 23:00:10 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-44)の続き。

(b)まり子の父親谷本明のコメントに対する筆者の見解

谷本明はサイコ化した娘まり子に殴られるなどの虐待を受け、血だらけになって逃走したが、サイコ化を直感的に理解し、まり子の本心ではないことが分かっていた。従ってその後もまり子を悪く言うことはない。明は自分が逃げる直前にまり子を逃がしたが、まり子は自らすぐにのいた谷本家へ戻った。まり子のこの行動はまり子がこの当時完全に自分の意志を失っており、逃げるという意識が生じなかったと考えられる。この後谷本隆と共に長兄が潜んでいた会社寮へ行き、連れてこようとしたが拒んだため、の電話指示通りに長兄に殴りかかっている。またのマンションへ移動するが、その時のまり子は自ら進んで行くように見えたとの証言がある。この後仲島と結婚させられた。

まり子の父谷本明のコメント

筆者の見解

「娘の夫である仲島被告に対しては何度も娘を助ける機会があったにもかかわらず、なぜ助けてくれなかったのかという思いがこみあげ、父としては許すことはできません。」「自分かわいさに娘を見捨てた」「娘の父親として、私自身は今後も決して許すことはできません。娘を助けることができたのに見捨てたという点で、被告の罪は重いと思っています。」

明は自分でも助けることができずに逃げるのがやっとだったことを思い出してほしい。仲島に助ける機会はなかった。助けようとしたときは殺されるとき。は仲のいい二人になったからこそ、その一方の仲島にまり子を虐待させる。仲島はの逆転愛情欲求の犠牲者と言える。明は、まり子がサイコ化していたことを理解したように、仲島もサイコ化していたことを理解してあげるべき。自分を虐待した娘を許したように、仲島を許してほしいと思う。

私の妻の件では仲島は起訴されていませんが、仲島は妻初代にも暴行を加えたことがあったと聞いています。本来であれば守るべき自分の妻まり子、さらに義理の母に手を掛けたことは、絶対に許されるものではないと思います。

同上

娘に対する、聞くに堪えない想像を絶する酷(ひど)い虐待の状況を聞かされました。このような酷い虐待を数カ月にもわたって受けた末に命までも奪われた娘の苦しみ、恐怖、絶望、そして無念さを思うと、仲島被告に対してはもっと重い刑を求めてもよいというのが、私の率直な気持ちです。

人の怒りは「自分は行わないことを、他の人が行った」時に生じることが多い。サイコパスの残虐行為は、自分のどこを見ても行う要素がない、全く自分の心とは逆のことなので、怒りは激しいものになる。だがなぜそのような残虐行為を行うかの理由が分かれば怒りは納まり、冷静な判断ができるようになるのではないかと思う。その意味からもサイコパスの学問的解明は重要。サイコ化した仲島が残虐で、仲島自身が残虐なわけではない

(c)裁判員のコメントに対する筆者の見解

裁判員のコメント

筆者の見解

仲島の印象

A(50代男性):最初は「人の良さそうな方だな」と思ったが、裁判で経過を聞くうち流されやすい人なのかな」と。(人生の)分岐点というか、ターニングポイントで、「自分の姿勢や意見を出さないまま今日に至っているという印象。

この裁判員はサイコパスに会ったことがなく、サイコパスの恐ろしさ、やサイコ化を理解していない。この裁判員には仲島がの前で自分の意見を出せばいいのに出さないのは本人の気質と見える。サイコ化の大原則言われたとおりにする」が理解できてない。自分の意見を持つことは許されない。意見を出せば虐待・虐殺される状態を理解していただきたい。

A:「職業がいくつも替わっているのはなぜか」と質問し「長く同じ職場にいて、責任が重くなるのが嫌だった」という答えだった。「やっぱりそういうタイプの人なんだな」と感じた。

会社で責任が重くなるのが嫌だと言う人はたくさんいる。人柄とサイコ化はほとんど関係しない。「出会った誰もがの餌食になり得た」。いじめ事件でいじめられる側に原因を探そうとする人がいるが、原因はいじめる側にあるのと同様。弱いものをいじめることが多いが、弱いことに責任はない

B(50代女性):「優しい性格」という証言もあったが、間違っていることを間違いと強く言えないから、こういう結果になったのかなと思う。

上記2つの見解と同様。「間違っていることを間違いと強く言える状態でないことがこの裁判員には理解されていない

 の事件の動機

A:はどういう形にせよ、自分の家族というか、そういうものを作りたかったのかなと。自分の生まれ育った環境や恵まれなかった部分を踏まえ、自分なりに家族と言えるものを作ろうとしたのかなと思う。

この裁判員は自分の延長を理解しようとしている。延長上にはいない。残虐(逆転欲求)を味わうための対象としてのみ人を集める。いずれも保険金殺人の対象で、愛情のひとかけらもないサイコパスまんじゅうという人の集団は健常者の家族とはあらゆる面で逆転した内容を持っている。

B:の行ってきたことは、私では考えられないことばかり。どういう心理状態でそういうことをしたのか、理解できない

サイコパスの心理は一般的には健常者には理解できない逆転欲求構造が分かって初めて理解できる。

 の音声録音

A:想像していたタイプのしゃべり方そのままだなと。声とかしゃべり方とか、エネルギーとか。被害に遭った人たちがこういう風に言われたんだなというのは分かりやすかった

サイコパスは記録を残す。

B:怒鳴るだけで角田家を支配していた訳ではなく、アメとムチを上手に使い分けていたんだと思う。参考にはなった。

サイコパスは懐柔期、取込期に、甘い言葉を使い、豹変期には狂暴になることをこの裁判員は言っている。

写真動画記録

D(60代男性):検事さんと弁護士さんのやりとりがあり、その中で写真などの証拠が出てくると、頭の中では動画ができあがるみたいに鮮明にストーリーが浮かび上がった。

サイコパスは記録を残す。

サイコパスの実態を知らないと、逃げる機会があるように見える。いじめ集団からそうやすやすと逃げられないのと似ている。見えないロープ(サイコパスの強い意志)でがんじがらめ状態と考えなければならない。安住しているように見えるのは、「言われたとおりにしていた」からである。いじめ集団に取込まれていると安住しているように見えるのと類似。

A:仲島被告はいくらでも逃げる機会はあったかと思うが、そこ(角田家)に安住していたのではないかなという気がした

 (K-5-3)裁判:1審神戸地裁裁判員裁判:裁判長増田耕児。判決2015/9/16懲役21年。裁判員140日。09年裁判員制度始まって以来最長。:控訴せず確定。:控訴したが取下げ確定。:控訴棄却で2017年6月現在上告中。

 上告まで頑張る鄭の弁護側の主張『殺意はなかった』にサイコ化事件本質がある。殺意はサイコパスにあり3人にはない。サイコ化犠牲者サイコパスの分身のように殺意を代行する。殺意に理由はない。カラ理由はある。逆転欲求が本質的理由で、従来の「物取り・怨恨」の筋では動機・理由を測れないカラ理由については本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(d)虐待行為にどうでもいい理由を必要とする」参照。

は5歳の時からに従属、2回逃走を試みたが失敗。19歳頃から売春をさせられ48歳までに約3億円を取られ、その間に子供もに取られた。その子が角田太郎。56歳の時に服毒自殺未遂。真白後期(感情を失い虐待・虐殺を見ても何も感じない。言われた通りにするロボット状態)を40年近く強いられた。は27歳の時にの内縁の夫になり以来従属、54歳の時に石川県に逃げるが3か月で捕まり、目にトイレの洗剤を入れられるなど激しい虐待を受けている。次郎虐殺時には監禁小屋を中から開かなくしたり、緊縛用の丸太を自主的に探したりなど疑似サイコ後期に至ったと考えられる。は猪俣家4男の3男、らが猪俣家に乗り込んだ時、16歳でに連れ去られ、猪俣徹也から角田太郎に改名させられた。監禁小屋で衰弱した次郎をが「猿芝居するな」と暴行を加える時に、同調して「反省しろ」と次郎を蹴っており疑似サイコ前期に至ったと考えられる。の3人とも保険金が掛けられており、は橋本久芳が、からトラックに飛び込んで事故死(自殺は保険が下りない)しろと命令されてもなかなか実行できなかったときに、自分に死ぬのが回ってくると思いハラハラしていたが沖縄万座毛へ行ったときに飛び込むのは久芳だと知りほっとしたと証言している。の停滞期に呪縛解放が進み、恐怖を感じるまでに回復していたと考えられる。から「角田家のために死んでくれ」と言われていたので久芳の代わりに自分が死のうかとに言ったとき「お前は保険金が久芳より少ないからダメだ」と言われ、ほっとしたと証言した。 

a1審:検察、弁護側、裁判長の見解比較 

下記表に鍵点(キーポイント)ごとの見解を示す。筆者の見解を表の注で記す。 

鍵点

検察:求刑懲役30年

弁護:懲役10年以下

増田裁判長:懲役21年判決

サイコ化

「リーダーののもと、集団で行動し、犯行の重要な場面に居合わせ、人手が必要であれば実行もしていた」*1

「一連の事件はがいなければ起きなかったと断言できる。中心となって犯行を思いついた人と従属的であった人とは区別されるべき」*2

「犯行は非常に悪質残虐だが、絶対的な存在の意向に逆らうことは相当困難。3人の関与は従属的*2

まんじゅう構造

一連の犯行は3人らの連携プレーで可能になった*3事件が長く発覚しなかったのは、各事件のプロセスを連携プレーでこなしたからだ*4を頂点とするピラミッド型を形成し3人は上層部に位置した。角田家では指揮命令系統があり*53人も次の各自の役割を受け入れた。

:水商売で稼いだ3億円以上を差し出し、集団生活の家計を支えた*6。家事や子育ても担当し、角田家の「母親的存在」だった*7

の子供たちで作られた「子供会」のまとめ役。の意思を子供たちに伝達し、子供たちがから責め立てられた際には仲裁することもあった*8

:食事の際にはが最初に手をつけてから他が食べ始めるなど、「一家の長」として立てられていた側面もあった*9

同上

同上

殺意

集団の力を背景に、落ち度のない被害者を虐待し苦しめ、命すら奪うことを繰り返した犯行の重要な場面に居合わせ」「死亡の危険性が高いと認識していたはず」「緻密で計画的、平然と隠ぺい工作を行った」と殺意を主張*10

が圧倒的に主導的役割を果たし、3人は従属的」で殺意はないと主張。

久芳事件「崖で取り囲んだりするなどして精神的に追い詰め飛び降りを強要した」、まり子事件「死亡の危険性が高いことを認識していた」として殺意を認定殺人罪。次郎事件「具体的な監禁状態を見ておらず、数日で死亡する危険性の認識があったとはいえない」として殺人罪でなく傷害致死罪を適用*11

酌量と判決

本来は死刑か無期懲役」だが、被告らがに取込まれた経緯など事件の特殊性や3人は従属的な立場だったことなどを配慮、が最初に一連の事件を自供したことも考慮し、「有期刑の上限」と全員に懲役30年を求刑*12

10年以下の懲役刑を求めた。最終弁論でまり子と次郎について「被告3人以外の暴行による衰弱死で、3人は関与していない*13とした。

「犯行は非常に悪質残虐だが、絶対的な存在の意向に逆らうことは相当困難。3人の関与は従属的で、犯行に至った経緯には一定の酌量の余地もある」と懲役21年*14

 (b)筆者見解:上記表の注で筆者の見解を記す 

*1:検察は3人が自分の意志で実行したと見ている。ロボット化の理解全くなし。 

*2:弁護側と裁判長は従属していることは理解した。ロボット化は単純な従属ではないことを理解していない。 

*3:まんじゅうサイコパスは一人でできない残虐行為を、まんじゅう構造を作ることにより実行する。 

*4:事件が長く発覚しなかったのは、3人が連携プレーをしたからではない。猪俣家、皆吉家、谷本家の被害者や近所の人が何度も警察に訴えても、身内の問題には立ち入らないとして、無視したことに根本的な問題があり、この3人に責任を押し付けることは、警察が何の力にもならなかったことを覆い隠すことになる。逆に警察はに利用されまり子を捕まえることに加担し、市役所が利用されて初代を捕まえることに加担した。この利用された問題を裁判で取り上げられることはなかったが、判決に影響する重要な観点である。この問題点は後の項で「警察の問題点」として述べる。 

*5まんじゅう構造指揮命令系統を持ちピラミッド型をしている。検察はまんじゅう構造の表面的な形態を理解したが、取り込まれた人がロボット化、サイコ化することは理解していない。サイコパスは、大脳新皮質は健康なために組織形成の合理性を持つ。だがすべての合理性は逆転欲求追求のために収斂する。健常者の組織との違いは後の項「経営とサイコパス」で詳細を分析する。まんじゅう構造の基本的な特徴は本シリーズ(その4-5)「(f)サイコパスまんじゅうの構造」参照。

 *6:検察は「3億円以上を自ら進んで出した」と誤認している。真白後期は「言われなくても『空気』に従う」状態である。外部からは自ら進んで行動しているように見える。瑠衣は自ら進んで行動していると思ったと証言し、後に「いやいやだった」と聞いて驚いたと証言している。検察はの「いやいやだった」という証言を無視し、瑠衣の「自ら進んで」を受け入れた。 

*7が「角田家の母親的存在」と言うのは瑠衣証言である。6裁判すべてで瑠衣証言はもっともらしい証言として受け入れられたが、瑠衣にはサイコパス特性があることに気が付く裁判関係者はいない。瑠衣証言には真実と他者を陥れる虚偽とが複雑に混在している可能性があるので注意が必要。また、ロボット化したを見て「角田家のために一生懸命努力している」と明らかに誤った瑠衣証言。の真意「子供を取られたとき以来を殺したいと思い続けていた」を聞き瑠衣は「信じられない」と証言している。 

*8が「子供たちを責め立てる」は、言葉で責め立てるだけでなく、暴力や飲食制限や正座などの虐待のこと。が仲裁した具体的内容の情報はないと思う。健が仲裁できたのだろうか?誰の証言だろう?筆者には仲裁と言えるほどのことができたとは思えない。角田家の子供は川村の子供2人、瑠衣との子供2人、他にもいたとの情報があるが詳細不明。子供の情報はほとんどないが、いずれも子供の親との愛情関係は破壊されていたと考えられる。瑠衣は自分の子供をと同調して虐待している。 

*9が「一家の長」とは瑠衣証言か?とてもそのような位置ではない。いつでも虐殺される側に回る弱い存在だった。は逆らわずに自分の『空気』をよく読む人を優遇する。3人がピラミット型の上層にいたのは長い間に『空気』をよく読むようになったためである。食事の際にが最初に手をつけてから他が食べ始めるようなことは、『空気』をよく読めば優遇されることを他の従属者に見せつけるためと考えられる。が「角田家の母親的存在」と瑠衣に見えたのも同様の理由。3人は無意識のうちにの機嫌を損ねないように、たとえ残虐行為を見ても何も言わないようになっていた、すなわちロボット化していた。はロボット化にとどまっていたがの残虐期にサイコ化にまで一時的に至たり残虐行為を直接行った。【太平洋戦争の人体実験を行った関東軍第731部隊はサイコパス石井四郎軍医により作られたが、従う兵士たちは優遇された。食べ物は豊富に本土から取り寄せ肉野菜米がふんだんに与えられ、ステーキも食べている。食糧不足の国内では考えられない。そのため森村誠一は『悪魔の飽食』(飽食: あきるほど腹いっぱい食べること)と呼んだ。731部隊については後の項「戦時下のサイコパスの特徴行動」参照】 

*10*5で述べたように真白後期の犠牲者は「言われなくても『空気』に従う」状態である。外部からは自ら進んで行動しているように見える。検察はこのことを理解せず、自分の意志で犯罪行為をしたと誤解している。 

*11:裁判長の「具体的な監禁状態を見ておらず」はには当てはまるが、は次郎に直接暴力を加えるなど行っており当てはまらない。3人を同じように減刑をするために無理しているのではないかと推察する。 

*12:「事件の特殊性」を考慮して極刑を懲役30年に減刑したとあるが、本質的な「事件の特殊性」は考慮されていない。この事件はサイコ化事件であり被告はサイコ化犠牲者であることは考慮されていない。「事件の特殊性」を考慮した筆者の判決は本シリーズ(その4-43)「(a)筆者の判決の考え方」参照。 

*13:虐待犠牲者は「衰弱死」ではなく「虐殺」が妥当。「3人は関与していない」ことはなく、次郎については、は暴力で直接に関与は監禁小屋を開けなくすることや緊縛用の丸太を探すなど間接的に関与は「知っていた共謀」に相当する関与がある。弁護側が主張すべきは「関与していない」ことではなく、「関与しなければ自分が虐殺される」というサイコ化事件の特殊性である。 

*14:「絶対的な存在のの意向に逆らうことは相当困難。3人の関与は従属的」とサイコ化犠牲者の理解を示しながら、「酌量の余地」があるとして、30年を21年に減刑した。前項の仲島裁判の*6で述べたように「このようなバーゲンの値引きのような情状酌量はサイコ化事件の本質を見えなくする」ダメ判決である。

(その4-46)へ続く。

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-44)尼崎監禁殺人(32)裁判3

2016-07-09 23:00:05 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-43)の続き。

(K-5)6裁判の詳細

(K-5-1)裁判:1審神戸地裁裁判員裁判:裁判長増田耕兒 (こうじ)。判決2015/3/18懲役17年。控訴せず確定。裁判員132日。

(谷輪太郎、角田太郎)はの子供で、生まれた時からの支配下。久芳殺害時18歳、逮捕時24歳。

(a)検察、弁護、裁判長の見解比較

下記表に鍵点(キーポイント)ごとの見解を示す。筆者の見解を表の対応部分の注で表の後に記す。

鍵点

検察:求刑懲役25年

弁護:ほぼ無罪長期刑不要

増田裁判長:懲役17年判決

サイコ化

室内で正座している被害者の写真を示し、虐待は「日常的に起きていたこと。数カ月に及んだ虐待もあり、同じ屋根の下で暮らして気付かないはずがない」「虐待についてよく知らない、係わっていないとする供述は不合理」「不合理な弁解に終始し、反省もない」「他人への共感に乏しく平然と隠蔽工作をするなど非情*1

「虐待を見るのが苦手で、極力関心を持たないようにしていた」と、大半を把握していなかった*2と主張

「被害者を責めたてる会議に同席、死ぬのを渋る久芳につかみかかる瑠衣証言)*3など犯罪の重要な局面に立ち会っていて、角田家の一員として関与していたと認められる」「(虐待に)気がつかないとは考えられない」。瑠衣証言は嘘だとの優反論は認められない*3

角田家立場と饅頭構造

誕生日にからブランド品を贈られた*4が「苦しゅうない」とはしゃぐ映像を流し「に気に入られ、家庭の位置づけは高く従っていれば地位や生活は安泰だった」

の前では楽しそうにしなければ怒られ、逃げたら殺されると思っていた。自由はなく、望んで生活を続けたわけではない」*5と反論。

弁護側の精神科医の診断から「困難な事態に直面すると無関心に陥る心理状態事件に影響した」とする主張も「事件前の写真ははしゃぐなどしており、採用できない」と退けた*6

疑似家族の集団の力を背景に犯罪を繰り返し、落ち度のない被害者の尊厳を踏みにじった」「角田家の皆が角に従い、誰も被害者を助けなかった*7の立場は「幹部とも言えるもので、愛情を受け別格瑠衣証言*8だった」

 「が全てを決定し、直接指示していた。序列が高くても、責任の度合いが高いわけではない*9と主張

家族ぐるみで被害者を追い込み、長期間死の恐怖と直面させるなど悪質な犯行」

久芳殺害

久芳殺人、詐欺罪については、死亡保険金を得るため、崖の上でそばに立ち、逃げられないようにして飛び降りを強要した「計画的で身勝手な犯行」

「角に逆らえず転落現場にいただけで関与が低い点を考慮すべき」「当時18歳で、大人のそばにいただけ」として殺人罪を否認し、自殺ほう助罪を主張

死ぬよう命じて飛び降り以外に選択できない状態にし、殺害した」と認定。「久芳は自らの意思で飛び降りを決めた*10との弁護側の主張を退けた。当時未成年(18歳)で「非難の程度は弱まる」と述べた。

まり子殺

長期間監禁し、虐待した残虐極まりない事案」と指摘。「監視カメラで動向を確認し、に報告する(瑠衣証言)など積極的に加担した」と主張。

カメラでの監視を否定した*3

「死亡の危険性が高いのを認識しながら、虐待を止めず監禁を続け、助けなかった*7とし、弁護側の無罪主張を退け、殺人と監禁が成立するとした

動機と共謀

「恵まれた生活を維持するため、の虐待を認識しながら従った共謀が成立する*11

 

 

は生まれながらにして暴力が日常的な特殊な成育環境」「学校にも行けず」「子どもの頃からに暴力で支配され、いずれの事件にも積極的な関与をしていない共謀に当たらない

には衣食住を満足させてくれる角田家にいる利益があり、生活を維持するために積極的に関与した」「目的を認容し、意思を通じており、共同正犯」起訴の全てでとの共謀を認定*11。初代の加害目的略取、みつゑの監禁罪もとの共謀を認定。無罪主張を退けた。

求刑と判決

「本来なら無期懲役か、懲役30年が相当だが、一連の事件はが主導し、の子として育ち、十分な教育を受けられなかった面があり、従属的だった」ことから求刑懲役25年

次郎の死体遺棄罪と久芳の自殺ほう助罪以外は無罪を主張し、長期刑は必要ないと主張した。

「極めて悪質で、被害者には何の落ち度もなく、苦痛は計り知れないが、従属的で反省の兆しも見える」「角田家の子として生まれ育ち、学校教育を受けられなかった」ことを考慮しと懲役17年

(b)筆者見解:上記表の注で記す

*1真白後期で目の前で虐待が行われても何も感じない、記憶にもはっきり残らない、見なかったと同じ状態になる。検察担当者は「自分なら気が付いて虐待を止めようとする」と自分の延長上で考え、「他人への共感に乏しく」「非情な人物」にが見え、「不合理な弁解」をしていると映る。検察の見方は人生でサイコパスに会ったことがない人が陥り易い一般的誤り。平然と隠蔽工作をするのも、サイコ化犠牲者の行動原理「言われなくてもサイコパスの『空気』に従う」である。真白後期では感情を失っているのでもともと「非情」である。検察担当者はサイコ化事件を全く理解できてない。は逮捕後、呪縛解放した。の子であるが、に取られの子として育てられ、幼い時から虐待を受け続けた。の例は生まれた時からまんじゅう構造に組み込まれても、まんじゅう構造から離れれば呪縛解放する貴重な例になる。

*2はうそを言っていない。関心を持てば心が破壊する。関心を持たない真白後期になることで生き延びられた。【戦争の残虐な現場では、恐怖などの感情を失った真白後期にならなければその場に存在することができないのと類似である】

*3裁判は瑠衣証言が大きく影響した。瑠衣はサイコパス特性を持っており、は「瑠衣は事実ではないことを言っている」「復讐しようとしている」と訴えた。瑠衣は復讐しようとしたわけではなく、理由なく「恨(うら)みたい、憎(にく)みたい」欲求で「復讐しようとしている」ようにには見えただけ。増田裁判長はこれが分かっていないので「瑠衣は、不利益な証言をする必要はない具体的で信用性は高い」と誤った。検察もは「不合理な弁解に終始し、反省もない」とした。は素直に証言したが理解されることはなかった。「検察の言うことに納得できない」とが述べたのは、正直に話したことを嘘だと言われたため。瑠衣のサイコパス特性については本シリーズ(その4-34)「(d)(ⅲ)瑠衣の精神鑑定」参照。例5「神戸連続児童殺傷(酒鬼薔薇聖斗)事件の少年Aが「幼いころ自分は母親に虐待された」と訴えて、まんまと精神鑑定医の判断を誤らせたようにサイコパスは精神鑑定医や裁判長でさえ騙す。瑠衣は、「が虐待に加わっていた」と訴えて、まんまと検察、裁判長の判断を誤らせた。サイコパスは刑務所に入っても逆転欲求は消えることがなく、人を殺したくてしょうがないという欲求が強いサイコパスは、刑務所の中で他の囚人を殺すことが見られる(M.ストーン)。裁判所だからサイコパスの逆転欲求や狡猾さが影をひそめるとは限らない。少年Aについては後の項「1.24元少年A更生の失敗と『絶歌』:元少年Aへの呼びかけ」参照。

*4:虐待対象者に金品(ブランド品)を与えるのは、サイコパスの代償感覚と推察される。本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(c)虐待犠牲者に代償感覚を持つ」参照。検察は代償感覚をの愛情と誤った。

*5:弁護側はまんじゅう構造を把握しているが、実際はこのようなはっきりした意識はなく、反射的にの『空気』(の強い意志)に従ったと考えられる。

*6:精神鑑定医の診断が裁判長に無視された。サイコパス犯罪に対する従来の精神鑑定がいかに無力であるかを示す例になる。

*7:まんじゅう構造に組込まれた犠牲者は他の虐待されている犠牲者を決して助けようとしない。いじめ集団の中からいじめられている人を助けようとするものが出てこないのと同様。この点は本シリーズ(4-15)「(F)まんじゅうの皮となった人は犠牲者に優しい同情の言葉をかけることはない」参照。

*8は小学校、中学校にほとんど行かせてもらえず、生まれた時から虐待対象だった。などに人前で殴られ、腫れた顔で外を歩かされたこともある。初代が腫れた顔で外を歩かされたのと類似の虐待。瑠衣が「愛情を受け別格」と言うのは当たらないが、検察と裁判長は瑠衣の言葉を信じた。はまんじゅう構造の中で互いに恨み合う関係を作るので、を別格のように扱い他の従属者との間に溝を作ったことは考えられる。への愛情ではない。

*9:まんじゅう構造の序列はサイコパスによって作られたもので、虐待をする側に回った高位の人の責任が重いわけではない。すべて同じ犠牲者である。弁護側はこのまんじゅう構造の実態を把握したが、検察及び増田裁判長は把握できていない。博・裕・香裁判の細井正弘裁判長は実態を把握した。特に大阪高裁の横田信之裁判長の理解はまんじゅう構造の本質をとらえており画期的なものがある。両裁判長については後の項「博之・裕美・香愛裁判」参照。

*10は久芳が本当に自分から飛び降りたと思ったのでそう話しただけ。検察はが嘘を言っていると理解した。虐待犠牲者はあたかも自分の意思で自殺するかのように高所から飛び降り、電車に飛び込む。サイコパスは「あいつ、やっと死んだぜ」と「自殺させた」ことを快感にする。【太平洋戦争の特攻自爆攻撃をした兵士は、久芳と同様にあたかも自分の意思で飛び込んでいったと見える。サイコパスの上官は「あいつ、やっと死んだぜ」と「自爆攻撃をさせた」ことを快感にする。特攻の心理は本シリーズ(その4-17)参照】

*11サイコ化犠牲者はサイコパスの『空気』(サイコパスの強い意志)に従い虐待などを実行するが、『空気』は見えないので、サイコ化犠牲者が自分の意思で行っているように見える。すなわち、サイコパスと共謀しているように見える。実態は共謀したわけでなく、「言われなくても『空気』に従う」というサイコ化犠牲者行動原理を実行しただけである。

虐殺の動機:「恵まれた生活を維持するために」なぜは虐殺に加担するのか?これに答える動機解明は裁判では行われなかった。サイコパスの残虐行為の動機は逆転欲求以外にない。カラ理由はある。の虐殺に加担する動機はの逆転欲求の強い意志『空気』にある。従来の司法ではこの動機を正確に扱うことができない金銭目的などの健常者の延長上で扱える動機にしがみつき、本質から離れてしまうのが今までの司法である。

 K-5-2)仲島裁判:1審神戸地裁裁判員裁判:裁判長佐茂剛(さもたけし)。判決2015/3/19懲役15年。控訴せず確定。裁判員70日。

 仲島は橋本次郎が東京潜伏時に次郎のところに居候し、次郎が捕まる時に角と知り合った。捕まった次郎が角に言われるまま仲島を尼崎に呼び、仲島は逃げられなくなった。まり子と結婚させられ、2人で逃走したが捕まり監禁小屋で激しい虐待を受けた。次郎とまり子の殺人、みつゑの監禁の罪など。

 a)検察、弁護、裁判長の見解比較

下記表に鍵点(キーポイント)ごとの見解を示す。( )内朱書きは筆者コメント。筆者の見解を表の注で記す。

鍵点

検察:求刑懲役20年

弁護:懲役7年が相当

佐茂裁判長:懲役15年判決

サイコ化

「非道な虐待を執拗に加え殺害した残虐極まりない事件」「人間の尊厳を根こそぎ奪い去った、類を見ない悪質な事案」に対する自己保身から仲島は「立場の弱い者の虐待に加わった」*1サイコ化理解なし、本人責任にする

恐怖を骨の髄まで植え付けられ、支配された。恐怖心から言われるまま動くロボットのような心理状態だった。出会った誰もがの餌食になり得た」*2サイコ化の現象理解はある

従属的な立場であったが、角田家の一員として重要な行為を果たした部分もある」 「角田家の最下層の者として汚れ役を押し付けられていた」とした。(なぜ仲島が汚れ役をするのかの動機、すなわちサイコ化の理解はない。本人の意思で従属したと考えている。サイコ化すると本人の意思はない状態であることは理解されていない

まんじゅう

情報元に関連の記述なし

同上に含む

は「人の弱みにつけ込み、直接、間接の暴力で屈服させることにたけていた」。親子や夫婦で相互に暴力を振るわせるなどして家族関係を崩壊させ、恐怖を背景にの意向を絶対的とする生活共同体に組み入れたとした*3(まんじゅうの現象理解、本質理解なし)

まり子

「夫である被告が唯一の頼みの綱だったのに、暴行や監視などの実行行為を分担した」*4なぜ行ったか動機解明がない

まり子とみつゑ事件はほう助罪にとどまると主張した。(サイコ化としての無罪主張はない

「まり子の逃走を困難にし、著しく衰弱した後も、過酷な虐待を伴う監禁を続け、苦痛を与えて人格を踏みにじった末に殺害した」仲島はその殺害の「主要な部分の一端を担った」として殺人罪を認定。(サイコ化理解なし

次郎

「次郎を丸太に縛りつけた」(なぜ行ったか動機解明ない)

次郎の殺人など「緊縛などの実行行為の重要な部分を担当した」(検察の追従?、動機解明なし

みつゑ

みつゑが「閉じ込められているところを目撃した後も共同生活を続けていた」として共謀を認定。(傍観共謀罪、見て何もしないことが共謀になる

共謀

の指示に従っており、共謀関係にあったと主張した。

従属的だが角との共謀関係を認めた。(従属的実行共謀罪)(検察の追従

酌量理由判決

「事実を潔く認め、自らもから虐待を受けており同情すべき点もある」*5と懲役20年を求刑

「犯行に関わった経緯には同情すべき点がある」*2「犯行に従属的で反省している」「真実を明らかにすることで責任を取ろうとしており、長期の服役は必要ない」懲役7年相当

「懲役20~23年が相当」だが、いずれの事件でも立場は従属的で、「被告も物置に監禁されて過酷な虐待を受け、角に逆らえば再び虐待を受けるかもしれないという緊張感の中に置かれていた」犯行への加担は「の意向に従わざるを得ず、非難を軽減すべき事情がある」*6情状を酌量し判決懲役15年とした。(サイコ化理解なし

(b)筆者見解:上記表の注で記す。

*1:検察は結果だけを見て「悪質」とした。なぜ仲島が「悪質」行為をしたかの動機解明がない。動機らしいものは「自己保身」だが、全く的外れ。自己保身どころか、仲島は自己を失っていた。仲島の心は破壊された疑似サイコ前期に陥っていた。仲島の最終意見陳述での次の言葉に象徴される「当時は人の命の重さに無関心で、感情を持たない人間になっていた。亡くなった人の痛みや苦しみを思うと胸が締め付けられる。本当に申し訳ない」。【仲島の当時の心理状況は戦場で相手を殺すときの兵士の心情そのものである】。さらに仲島は公判で「僕にと闘う勇気があれば、ここまで多くの人が亡くなることはなかった」と述べ呪縛解放苦悩に至った。だがこれは仲島の当時の状況とかけ離れている。もし「勇気を出したらまり子より先に虐殺されたに違いない。おそらく仲島は呪縛開放忘却を伴い、当時の状況を思い出すことができないで、周囲の話から、あるべき姿として「勇気」の話しをしたと考えられる。サイコ化した犠牲者の証言は記憶が確かでないので注意が必要。

*2:言われるまま動いたのは「恐怖心から」ではなく「恐怖などの感情を失ったから」である。この違いがサイコ化を理解しているかどうかの違いになる。弁護側はもう一歩と言うところで重要な理解をできていない。せっかく現象を把握していながら主張が「経緯に同情すべき点」と的外れな主張に転換した。「経緯」に同情すべき点などない。サイコ化された事実に同情すべき点がある。と会った経緯に同情するのでなく、仲島がサイコ化された事実が重要。「出会った誰もがの餌食になり得た」と現象をよく理解しているので弁護側はサイコ化事件として刑法39条の心神喪失の無罪を主張すべき事案。出会ったのが、運が悪かったのだから罪に服するべきというとんでもない論理になっている。筆者の判決は前項「(K-4)司法の問題」参照。

*3:佐茂裁判長はまんじゅう構造を「の意向を絶対的とする生活共同体」と理解していたが、がなぜそのような共同体を作るのか、や内部のメカニズムの解明はできていない

*4:仲島とまり子は強制結婚させられたが、逃走の中にお互いに支え合い、愛情が芽生えたといえる。は2人の愛情を不快に感じ、徹底的に愛情を破壊する。そのために「夫で唯一の頼みの綱」である仲島にまり子を虐待させた。この行為にの逆転愛情欲求がよく表れている。検察はこのことを全く理解できていない。

*5:「同情すべき点」は仲島が「虐待を受けたことより*2」でも述べたように「サイコ化されてしまったことに同情しなければならない。

*6:佐茂裁判長は「逆らえば再び虐待を受けるかもしれないという緊張感の中に置かれていた」「の意向に従わざるを得なかった」ことを理解していながら、仲島がサイコ化したことを理解できていない。このようなバーゲンの値引きのような情状酌量はサイコ化事件の本質を見えなくする。本来刑法39条の心神喪失が適応されるべきもの。

(その4-45)へ続く。

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-43)尼崎監禁殺人(31)裁判2

2016-07-09 23:00:00 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-42)の続き。

(K-4)司法の問題:「法の下の平等」が崩れ犠牲者を重罪に処す誤り:サイコ化事件を扱えていない

各司法関係者のサイコ化事件の理解の深さが異なり、理解の差で判決の大きな違いになって、理解がある場合は刑が軽くなり、理解がない場合は重くなる。「法の下の平等」が崩れている。また、理解がないためにサイコパスに寄生された最も悲劇的な人生となった犠牲者たちを重罪に処す誤りを犯している。この誤りはサイコパスの知見がないだけでなく、サイコ化事件に対処する法体系が整備されていないことからも生じている。法整備は司法だけでなく、サイコパスという病気に対処する医療の法整備を必要としている。

例えば川村博之は母親和子を虐殺しドラム缶にコンクリート詰めにして遺棄したが、執行猶予の軽い刑。一方谷輪美子は子供のころからに支配され、19歳から48歳まで売春をさせられて約3億円を取られ、子供を取られ、2回逃走を試みたが失敗し、56歳の時には薬物自殺を図るなど、悲劇的な人生となった犠牲者だが懲役21年の重刑となっている。この大きな違いは司法関係者のサイコ化事件の理解の違いから生じている

下記表は6裁判の検察求刑、弁護側主張、判決をまとまたもの。最下段に筆者が判決したらどうなるかを記した。弁護側が無罪を主張しているのはサイコ化事件の理解が深い場合である。表の「懲」は「懲役」、「3予5年」の表示は「懲役3年執行猶予5年」のことである。具体的裁判の詳細は次の「(K-5)6裁判の詳細」で述べる。

6裁判

裁判

仲島裁判

裁判

マサ裁判

瑠衣裁判

博・裕・香裁判

博之

裕美

香愛

1審神戸

検察求刑

懲25年

懲20年

懲30年

無期懲役

懲5年

懲5年

懲4年

懲4年

弁護側    主張

ほぼ無罪 長期刑不要

懲7年       相当

懲10年以下 相当

懲15年     相当

懲15年     相当

無罪

判決

懲17年

懲15年

懲21年

無期懲役

懲23年

懲3年6月

2予3年

3予4年

2審大阪高裁  判決

控訴せず

控訴せず

控訴せず  控訴取下げ控訴棄却

棄却

控訴せず

3予5年

同1審

同1審

最高裁

のみ上告中

上告中

上告せず

無罪主張上告、棄却

筆者の判決*1

講習*2+   3予5年*3

講習*2+   3予5年*3

講習*2+     3予5年*3

講習*2+  医療*4+刑

(講習*2+)医療*4+刑

講習*2+2審大阪高裁判決の刑

(a)筆者の判決の考え方:表の対応部分の注で筆者の見解を記す

*1罰を与える量刑だけではサイコパスから社会を守ることはできないというのが基本的な考え方。サイコ化事件の犠牲者の場合、被告は必ずサイコパス講習を受ける。この講習があることが他の犯罪と異なるところになる。

*2サイコパス講習:単なる講習でなく、研究協力を含む次の3項目からなるものを筆者は考えた。

サイコパスの実態がどういうものかの講習。呪縛解放が促進することも狙う。

②体験に基づくサイコパス研究の協力

③サイコパスに取込まれないための対策作りの協力

サイコパス研究は、健常者をいくら調べてもわからないので、実際に犯罪に巻き込まれた、このような犠牲者の協力は不可欠である

*3:サイコ化犠牲者は、呪縛解放すれば再犯の可能性がなく、基本は犠牲者として対処すべきで、本来懲役刑とするべきでない。懲罰刑(殺人などの罪を犯すとこのような厳しい刑が待っているぞ、と脅して犯罪の拡散を防ぐための刑)とは別に考える必要がある。被害者遺族が「決して許さない」と思うことに対してもサイコパス犯罪のまんじゅう構造の実態を遺族に理解していただく必要があり、サイコパスという病気の社会的認知が必要である。筆者の判決が執行猶予刑であるのは、「2度とするなよ」と言う意味で、一般的な初犯の場合の刑である。また、博・裕・香裁判の2審大阪高裁横田信之裁判長の判決に準じている

*4医療施設マサが自律的に残虐行為をしたのは疑似サイコパス後期に至ったためで、本人の資質ではないマサは06年に自殺未遂後疑似サイコパス後期に達し、2006~2011年の約6年の長期間その状態を維持し逆転快ドーパミンを味わう残虐行為に快感を得る状態にいたので、裁判時には呪縛解放しているが、再発がない状態を確認する必要がある。必要な偏桃体機能回復のホルモン治療などを受け、回復したことが確認できるまで医療施設に入る。同時にサイコパス講習を受ける。再発がない状態を確認後、すなわち健常者に戻ったことを確認後、健常者の初犯相当の懲役3年執行猶予5年の刑を受ける。マサには別れた妻や子供たちと暮らせる日が再び来ればいいなと筆者は願うが、現行判決無期懲役はそれを不可能にしている。

瑠衣の場合はサイコパス特性を持っている可能性が大きいので、サイコパス治療を十分行う必要がある。偏桃体機能回復のホルモン治療などが考えられるが、2017年現在サイコパス治療法は確立していない。医療施設でサイコパス特性がなくなったことを確認後、サイコパス講習を受ける。サイコパス特性を持っているうちは講習を行わない。サイコパスは講習が逆効果になり習得知識を、逆転欲求を追求するためにさらに狡猾に使うからである。また、講習そのものをぶち壊す欲求を持つので、研究の協力を得ることが不可能なためである。医療施設でサイコパス特性がなくなったことを確認できなければ、サイコパス研究の対象サイコパスとしていつまでも医療施設にいることになる。健常者として講習を受けることができるまでになれば、講習の後に懲役3年執行猶予5年の刑とする。また、瑠衣は生きる意欲がないサイコパス特性を持つ可能性があるので、特に自殺を防止する配慮が必要と思う。

もしが生存していた場合の筆者の判決:瑠衣と類似であるが、サイコパスであることがはっきりしているので、サイコパス講習はない。無期懲役に相当する無期医療施設収容とし、サイコパス治療法を含めて研究貢献義務を負わせる。サイコパス研究の対象として残りの人生のすべてをサイコパスに強い社会を作るために貢献させるのような明確にサイコパスと分かる人は社会にとって貴重なので、死刑にしてはならない。サイコパス専門の研究治療機関が必要となるが、残虐性、凶暴性があり、容易に人をだますので一般的な医療施設とは大きく異なることになる。

b)筆者のサイコ化事件の量刑の考え方

(ⅰ)筆者の考え方、と現状の量刑の2つの欠陥:刑法第39条に「心神喪失者の行為は、罰しない」「心神耗弱(こうじゃく)者の行為は、その刑を減軽する」とある。これは「責任能力がなければ刑罰なし」の原則による。

筆者はサイコ化した人は、一見加害者に見えても、実態は犠牲者で第39条が適用できると考えている。裁判時には呪縛解放して健康な精神状態に戻っているので、サイコ化の理解がない司法関係者は、健康な精神状況で犯行をしたと誤解して厳しい量刑を課すことになる。この量刑は2つの欠陥を持つ。

呪縛解放した健康な人を長期に拘束し、人生を台無しにしてしまう(被告人から見て)。

②健康な人を長期に拘束するので、予算・刑務所施設などを浪費する(社会から見て)。

(ⅱ)現状の量刑傾向:ほぼサイコ化レベルの量刑に近い:例えば以下の表のどのレベルまで健常者がサイコ化したかで量刑が評価される傾向がある。表ではサイコパスまんじゅうをグループという身近な表現にしている。これは「いじめグループ」に巻き込まれる健康な少年少女も同様であるので参考にしてほしいとの思いからである。表の犯罪・虐待を「いじめ」と置き換えてほぼ対応する。表の下端に「現行法の罪」を記している。

サイコ化レベル

真白前期

真白後期

疑似サイコ前期

疑似サイコ後期

レベルごとの犠牲者の行動

逃げられそうでも犯罪グループから逃げない。学習性無力感

グループの虐待行為を見ても何も言わない

グループボスの指示通りに虐待を行う

グループの誰もいなくても自主的に虐待を行う

現行法の罪

犯罪を知っていた共謀の罪

犯罪を傍観した共謀の罪

従属的実行共謀の罪

主犯の罪

 筆者の原則は「サイコ化された本人に責任を負わすことはできない」である。すなわち表の「現行法の罪」は適用できないと考えている博・裕・香裁判大阪高裁裁判長は筆者と同じ考え方で、他の裁判長はほぼ「現行法の罪」の考え方が適応されている

 【戦場の健常者兵士がサイコ化することを非難することはできない。サイコ化しなければそこに生存できないからである。非難されるべきは健常者兵士をサイコ化するまんじゅうサイコパス軍中枢幹部と、自ら思う存分残虐行為をする単独サイコパス兵士である。戦場では敵も味方もサイコパスだらけになる。このことを後の項「戦時下のサイコパスの特徴行動」で見る】

(c)現行「心神喪失者等医療観察法」(医療観察法)の問題点:サイコパスの医療処置の問題

(ⅰ)医療観察法の背景:本シリーズ(その4-2)「1)サイコパスの逆転生存欲求」で説明した「附属池田小事件2001年(小学生8人刺殺、教師を含む15人重軽傷):犯人宅間守(当時37歳)」の事件。それまでは「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」第29条の措置入院制度が適用。加害者を一旦入院させて、他害のおそれがなくなった場合には症状消退の届出をして退院させるという制度。附属池田小事件犯人宅間は犯罪経歴があり統合失調症として処置入院し、症状消退で退院した後に付属池田小事件を起こした。この反省から処置入院の退院後に保護観察を加えた新しい制度「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法、医療観察制度)」が2005年に施行された。「重大な他害行為」とは、殺人、強盗、傷害、傷害致死、強姦・強制猥褻、放火の6つを指す。罪を問うのでないので「他害行為」という用語になっている。いずれもサイコパスの特徴行動に対応し下記表のようになる。詳細は後の項「平和時のサイコパスの特徴行動まとめ」参照。

医療観察法6他害行為

対応するサイコパスの特徴行動

1、殺人

人を殺したい衝動による。動機はなく、ただ殺す。カラ理由(表面的な深みのない理由)はある。首の切断、内臓や脳の摘出、頭皮剥ぐ、身体解体など単なる殺人でなく、ぐちゃぐちゃにする

2、強盗

サイコ屈服3手法(強弁、長時間拘束、眠らさない)などにより金品財産を略奪する。反社会性人格障害者や貧困から生じる健常者の押し入り強盗とは異なる形態になる

3、障害

人を傷つけたい、痛めつけたい衝動により、熱湯や薬物も使う。

4、傷害致死

監禁し、飲食、睡眠、排泄などのあらゆる生理的欲求と心を破壊して死に至らしめる

5、強姦・強制猥褻

相手が嫌がるあらゆる性的行為を、嫌がれば嫌がるほど、恐怖で震え上がればふるいあがるほど興奮して実行する

6、放火

車や家屋など物的な放火だけでなく、生きた人への放火に引き付けられている

新しい医療観察法は主に次の2点からなる。

①厚生労働大臣指定医療機関に入院し、専門的医療を受ける:従来の処置入院に相当

②退院後に法務省所管の保護観察所で社会復帰の準備:これが新しい

(ⅱ)医療観察法の問題点この新しい制度はサイコパスに対処できない。理由は次の通り。

付属池田小事件犯人宅間は典型的なサイコパスであるが、統合失調症として処置入院を受けた。サイコパスと統合失調症は全く別の病気である。このことは本シリーズ(その3)「1.15(4)サイコパスと他の精神障害との関係1)統合失調症」参照。処置入院の治療は的外れなもので、サイコパスの治療は全く行われずに退院した宅間は、サイコパスとして再び行動し付属池田小事件を起こした。事件後統合失調症と以前診断したのは、宅間がうそを言っていたために誤診をしたとして新たにパーソナリティー障害と診断された

以前の診断でうそを見抜けなかったことは問題にされていないようである。サイコパスは思考の根本を規定する偏桃体が機能不全なので、表面的な出まかせを平気で言うことができる病気でもある。また、大脳新皮質は健康で相手に同情することはないが相手の心を読むことができるので、サイコパスの本質をつかめていない精神鑑定医は手玉に取られてしまう。宅間は精神鑑定医を手玉に取ったのであろう。例5神戸連続児童殺傷事件元少年Aも少年でありながら大人の精神鑑定医を手玉に取った。「パーソナリティー障害」は「犯罪傾向のある様々な人をいっしょくたんにして作った診断名で犯罪者を識別するには役に立たない」〔日経サイエンス、K.A.キールp13〕。特にサイコパスの識別には使えない。パーソナリティー障害については本シリーズ(その4-6)「11)用語(b)「反社会性人格障害」と「反社会性パーソナリティー障害」参照。

以上の通り、問題点はサイコパスが学問的に位置づけられていず、パーソナリティー障害という的外れな診断名で対処していることにある。元少年Aもこの医療観察制度で社会復帰をしているが、サイコパスは治っていず、大きな問題を抱えている。後の項「1.24元少年A更生の失敗と『絶歌』:元少年Aへの呼びかけ」参照。

前の項「(a)筆者の判決の考え方」で述べた「サイコパス講習」の内容はサイコパスを学問的に確立するためにも必要と考えている。サイコパスは大学の研究室で古い文献を調べることや、多くの学生たちを集めて実験してもほとんど役に立たない。実際のサイコパス特性がはっきりした人を分析し、治療して初めてサイコパスの本質が見えてくる。の諸情報と6裁判はサイコパス特性がはっきりした人の分析として、またサイコパスにサイコ化された犠牲者の実態としてとても重要なものである。

健常者の民主的冷淡をサイコパスの残虐冷淡と混同してはならない:ランダムに多くの学生を調べても250人に1人程度のサイコパス特性を持つ人を見つけることは極めて難しく、民主的冷淡相手が多少困っていても助けを求めてこない限り、相手の領域へ入り込まない冷淡。相手を尊重した冷淡)を計測するに過ぎない。NHK心と脳の白熱教室第3回「あなたの中のサイコパス」の講師ケヴィン・ダットン(Kevin Dutton)は多数の学生を集めてインタビュー実験をして、この民主的冷淡をサイコパスの残虐冷淡と混同して、「誰もがサイコパス特性を持つ」と大変混乱した誤った主張をしている。民主的冷淡は、現生人類が労働編成と共に獲得した精神構造で健常者のだれもが持つ。このことは後の項「経営とサイコパス」で説明する。 

(その4-44)へ続く。

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-42)尼崎監禁殺人(30)裁判1

2016-07-09 22:59:50 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-41)の続き。

裁判については前のページ(その4-41)の後半の項「(K)田美代子のサイコ化事件裁判」からです。

(K-2)虐待犠牲者(被害者)15人から見た罪状

下記表の左端列が犠牲者の15人、内生存しているのは川村家の下端3人で他は虐殺された。上端行が事件化の9つの罪状。表で色は立件されたが不起訴で事件化しなかったことを示す。例えば皆吉母ノリはマサと瑠衣が傷害致死で立件されたが不起訴になったことを示す。はすべての事件に関わっているが本人死亡で不起訴又は公訴棄却のため表では省略。

用語解説:罪状=罪の内容

 

殺人

傷害致死

監禁

死体遺棄

傷害

逮捕監禁

強要

保険金詐欺

加害目的略取

傍系虐殺

橋本家芳子

この4名と皆吉家母ノリ、谷本隆の虐殺は、事件化せず司法では解明されなかったが、サイコ化事件として学問的に重要。証拠に基づく罪状究明は諦めたとしても、学問的究明対象として取り上げてほしいと筆者は願う*1。そうでなければ犠牲者が浮かばれない

猪俣家

長男息子

高知息子

直系虐殺

皆吉家ノリ

 

マサ

 

 

 

 

 

 

 

谷本隆

 

直系5人

 

 

 

 

 

 

 

橋本久芳

直系6人

 

 

 

 

 

 

直系6人

 

谷本家母初代

 

鄭マサ瑠仲

 

 

 

 

 

 

直系6人+*2

安藤みつゑ

 

直系7人

直系7人

 

 

 

 

 

 

谷本まり子

直系7人

 

直系7人

 

 

 

 

 

 

橋本次郎

直系7人 -優

 

 

直系7人

 

直系7人 -優

 

 

 

傍系

虐殺

川村家 大江和子

 

川村3人*3

川村3人

川村3人+マサ

 

 

 

 

 

虐待受

川村博之

 

 

 

 

 

 

マサ*4

 

 

川村裕美

 

 

 

 

 

 

 

 

大江香愛

 

 

 

 

 

 

 

*1:サイコパスの研究は経済学に近く、実験で再現することができず、全く同じ現象は2度と起こらない。再現できることを基礎とする物理化学とは根本的に異なる学問になる。本シリーズがサイコパス研究に役立てばと願う。

*2:枝の逮捕容疑の谷本初代への加害目的略取は、起訴時に加害目的略取幇助に変わった。

*3:川村家3人とも逮捕容疑は殺人だが起訴時に傷害致死に変わった。

*4:強要は離婚させた博之と裕美を再婚しろと強要したこと。再婚後どちらかを殺し保険金を得る (略奪寄生) 目的もあるかもしれないが、離婚させた後に今度は再婚を強要する、犠牲者の心をどこまでも破壊しようとする、まんじゅうサイコパスらしい行為である。

皆吉ノリ虐殺後と皆吉長男が逃走後に長期にわたり2人の年金はに取られた。係わった枝と瑠衣が年金窃盗の罪で懲役2年の判決を受けたが表では省略している。

(a)罪状の表から分かる重要な3

 (ⅰ)犠牲者が虐殺されていながら事件化できない現実:皆吉家母ノリは肋骨が3本折れ、埋められ、谷本隆も同じ場所に埋められて発見された。いずれも殺害されたのは明らかだが事件化に至らない。橋本家母芳子や猪俣家の3名については立件もされない。当局は適当な罪状、例えば傷害罪など時効期間の短い罪状を当てはめて時効として処理する意外にいい方法が見つからなかったのだろう。サイコ化事件では「殺害動機」が見つからないので犯罪立証が困難になる。「殺害動機」はサイコパスの逆転欲求、すなわち「健常者に心の交流のある人(例えば母親)を殺させたいという欲求」が「動機」であるが、従来の捜査にはこの動機のカテゴリーがないので対処できない。

(ⅱ)虐殺されていながら殺人罪適用できない現実:事件化した6人の殺害のうち3人は殺人罪にできずに傷害致死とした。前項(ⅰ)と同様「殺害動機」が見つからないので殺意が立証できず殺人罪とすることが困難。殺人罪が適用された3人は、久芳が「保険金目的という動機」で、まり子と橋本次郎が「いずれ死ぬと認識していた」ことを殺意として殺人罪を適用した。いずれも無理やり殺人罪を導いた感がある。実は殺人罪に問われた被告人のいずれも筆者は原則無罪であると確信している。の作ったまんじゅう構造の中で、サイコ化してしまった結果、「の意思」に従ったに過ぎない。「自分の意思」はなかったので無罪。川村博之の「息をする以外は、すべてに従った」という言葉に象徴される。筆者の判決の考え方は後の項で「筆者の判決」として述べる。

(ⅲ)川村家は傍系サイコパスまんじゅうを形成したことを証明している:川村家母和子への傷害致死罪、監禁罪を行ったのは3人(博裕香)で子供たち3人が母和子を殺したことをこの罪状関係は示している。死体遺棄だけにマサが加わった。博之は裕美と香愛に対し傷害罪と逮捕監禁罪を行っており、博之がまんじゅうのアンの位置になり、裕美と香愛が従属するサイコパスまんじゅう構造ができていたことがわかる。直系の人が関わっていなので、傍系であることも分かる。

(K-3)サイコ化犠牲者(加害者)11人から見た罪状

下記表の左端列は裁判の被告であるサイコ化犠牲者(加害者)10人と最下端にを記した。上端行は9つの罪状。色は不起訴(は起訴される前に自殺し被疑者死亡で不起訴となった罪)。色は公訴棄却(角が起訴された後に自殺し被告人死亡で起訴が取り消される公訴棄却となった罪)。は告訴が半分程度行われた最中に自殺した。

 

殺人

傷害致死

監禁

死体遺棄

傷害

逮捕監禁

強要

保険金詐欺

加害目的略取

直系

久ま次*1

みま

 

 

久ま

隆み

みま

 

 

 

久ま次*1 

隆み

みま

 

 

初*4

マサ

久ま次

ノリ

みま

次和

 

久ま次*1

隆み

みま

 

 

瑠衣

久ま次

ノリ隆初み

みま

 

 

仲島

ま次

初み

みま

 

 

 

傍系

香愛

 

 

 

 

 

 

裕美

 

 

 

 

 

 

博之

 

裕香

 

 

 

久ま次

ノリ隆初み

みま

次和

裕香

*1鄭枝健の次郎に対する殺人罪は判決では傷害致死罪が適用された。他の罪はすべて認定された。

この表からも川村和子殺害は博之、裕美、香愛の子供たち3人が行った傍系サイコパスまんじゅうでの犯罪であることがわかる。和子が「娘たちに殺される」と家の外を歩いていた人に助けを求めたことがあるが、「に殺されるでないところにの『空気』(サイコパスの強い意志)で娘たちがサイコ化している様子がわかる一言である。

(その4-43)へ続く。

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