後藤和弘のブログ

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森一弘氏の講演、「これからのの日本のゆくえ」(2)格調高いスイス、フランスの憲法の前文と日本の比較

2014年08月05日 | 日記・エッセイ・コラム

現在、自由民主党は現行の憲法を全面的に改正する草案を国民へ発表しています。

全面改正の理由は現行憲法が日本文化にふさわしくないという理由です。

占領軍の押し付けた憲法は翻訳調の文章であり、その上、日本古来の「和をもって尊しとなす」という伝統が含まれていないからというのです。そして第9条の戦争放棄条項も改正します。

さてそれでは欧米諸国や韓国や中国の憲法の前文はどうなっているでしょうか?

森一弘氏の講演ではそれらの前文のコピーを配布して詳しく説明してくれました。

特に近代民主主義を確立したフランス革命と1789年の人権宣言と自由・平等・博愛の理念は現在の世界の憲法の基底になっています。

講演ではそのフランスの影響を受けたスイス憲法の前文の格調の高さとすべての人類への普遍性を強調して説明してくれました。

下の参考資料に前文が掲載されていますが、 森一弘氏が強調した部分は以下の文章です。

・・・・国民の強さは弱者の幸福によって測られるということを確信し、次のとおり、憲法を制定する。・・・・この文章の意味はスイス国民はその弱者や下層階級を幸福にする程度こそが国力を示しているという意味です。格調が高いのです。

安倍総理をはじめ多くの日本人は「国力とは経済力と軍備のよって決まる」と信じています。

そして一方、フランスの憲法では随所に自由、平等、友愛の精神に従う内容の文章になっています。立派な憲法です。

しかし森弘一氏はスイスでは外国人移住者を排斥しようとしていて憲法通りでないことも鋭く批判します。

その上、フランス憲法はフランス固有の文化とフランス語だけを強調した内容になっていたのが欠陥だったと指摘します。その結果、ドイツはドイツ、イギリスはイギリスの憲法を作り互いに国家間の対立を生み、最終的には第一次世界大戦へとつながったのです。

今回の記事はここで終わりにします。次回は韓国と中国の憲法について書く予定です。

今日の挿絵代わりの写真は昨日、小金井公園で撮ってきた花園の写真です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

後藤和弘(藤山杜人)

====参考資料=======================

(1)フランス革命と近代民主主義の確立:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E9%9D%A9%E5%91%BD をご覧下さい。

1789年に始まった革命に端を発する混乱の最終的な決着は、第三共和政(1870?1940年)の成立を待たねばならず、革命勃発より80数年を要した。

フランス革命が掲げた自由、平等、友愛の近代市民主義の諸原理は、その後市民社会や民主主義の土台となった。今日、日本を含む世界中の多くの国家がフランス革命時に掲げられた理念を取り入れている。・・・以下省略

(2)各国の憲法の前文の比較検討:

憲法前文に国の歴史・伝統・文化が語られるのは当たり前?

http://blog.goo.ne.jp/GB3616125/e/aab6ebc167279644716772bf9dbc2f05

スイス憲法の前文:

全能の神の名において!
 国民及び州は、 被造物に対する責任を自覚し、世界に対する連帯及び開放の精神において、自由及び民主主義並びに独立及び平和を強化するために同盟を刷新することを決意し、 相互に配慮し、尊重しつつ統一の中の多様性の下に生きる意思を有し、共同の成果及び将来世代に対する責任を自覚し、自由を行使する者のみが自由であるということ及び国民の強さは弱者の幸福によって測られるということを確信し、次のとおり、憲法を制定する。

フランス憲法の前文:

フランス人民は、1789年の人権宣言により規定され、1946年憲法前文により確認かつ補完された人の諸権利と国民主権の諸原理に対する忠誠、および、2004年環境憲章により規定された権利と義務に対する忠誠を厳粛に宣言する。
 これらの原理および諸人民の自由な決定の原理の名において、共和国は、加盟意思を表明する海外諸領に対し、自由・平等・博愛の共通理念に依拠し、諸領の民主的発展をめざして構想された新制度を提供する。

(3)自民党の憲法改正草案:

http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf をご覧下さい。

現行憲法の前文は、全体が翻訳調でつづられており、日本語として違和感が
あります。そして、その内容にも問題があります。
前文は、我が国の歴史・伝統・文化を踏まえた文章であるべきですが、現行憲法の前文には、そうした点が現れていません。
また、前文は、いわば憲法の「顔」として、その基本原理を簡潔に述べるべきものです。現行憲法の前文には、憲法の三大原則のうち「主権在民」と「平和主義」はありますが、「基本的人権の尊重」はありません。
特に問題なのは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という部分です。これは、ユートピア的発想による自衛隊の放棄にほかなりません。
こうしたことを踏まえ、今回、現行憲法の前文を全面的に書き換えることとしました。

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