山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

月光の鳳凰山一夜 平成23年8月12-13日(2日目)

2011年08月18日 | 南アルプス
 鳳凰山砂払山に到着したのは夜の10時半。テントを被って寝たのは12時だったが、寒くて何度も目が覚め、ほとんど徹夜に近い状態で未明3時に起きて活動を開始した。その間にタイマーをかけて白根三山側を1分おきに約170カット撮影したが、残念ながら流星は1個も写ってくれなかった。空を見上げている時に見た流星も1個だけだった。明る過ぎる月とやや霞んだ空のため、あまり条件が良くなかった。

 8月13日(2日目)

 月光に照らされた空は青く映る。それに薄明の青さが加わってオリオン座の浮かぶ空は真っ青に映った。流星はダメだったが、雲海の上に富士山が顔を出し、甲府盆地の光害を雲がかき消してくれたおかげで、美しいオリオン座を見ることができた。しだいに空が明るみ、星が消えて朝焼けの赤い空に染まる。美しい朝のひと時だ。場所を薬師岳に移動する。ここには鋸歯のようにギザギザした岩があり、前景に入れて富士山を撮影するには絶好だ。同じ場所を狙っていたカメラマンが三脚を立てていて、その脇に入れてもらって撮影する。

    夜明けのオリオン座と富士


    薬師岳岩峰と朝富士


    同上  別の場所から。

 さらに観音岳に向かって足をすすめる。朝焼けの空はこの途中で終わってしまい、白根三山の中腹まで朝日が差し込むようになる。途中の白砂帯にタカネビランジが群生している場所があったが、既に花期は過ぎており、痛んだ花ばかりだった。観音岳山頂の岩の上に乗り、周囲の景色を撮りながらしばし休憩し、今度は地蔵岳に向かう。

    薄明の白根三山


    タカネビランジとトウヤクリンドウ


    南アルプス特産種 タカネビランジ


    笠雲かかる北岳(観音岳から)


    朝の白根三山(観音岳から)


    雲湧く薬師岳と富士


    朝日射す岩峰と地蔵岳

 観音岳と地蔵岳のコルのところで少し遅い昼食をとる。時間は8時。これから地蔵岳、高嶺を越えて白鳳峠から広河原に降りる予定だが、寝不足がたたってこの時点で既にヘロヘロ状態だ。見上げる高嶺までの稜線は長く、しかも高嶺への昇りはかなり急峻に見える。食事を終えて出発した頃には雲が湧き始め、すっかりあたりの山々は見えなくなってしまった。案の定、高嶺への昇りは崖を登るような急傾斜で、40分と地図に書かれているところを1時間以上もかかってようやく高嶺の山頂に到着した。時間は10時半、これから広河原までの標高差1,200mを下らなければならない。

    雲巻く地蔵岳


    赤抜沢の頭岩峰  


    赤抜沢の頭から見る地蔵岳

 高嶺から先の道は本当に酷かった。昇って来たよりもさらに傾斜のある急下り、岩につかまりながら慎重に下りる。今度は大きな石の堆積したゴーロ帯だ。急いで歩けるような道ではない。白鳳峠に11時5分ごろ到着し、軽食をとってまた歩き出すが、再び歩きにくいゴーロ帯が続き、樹林帯に入ったと思ったらこちらはスリップしそうな急傾斜の道が続く。そのあたりはまだ良いほうで、ハシゴの連続する急下り、左方向にトラバースしたかと思えばまた急傾斜の下り・・・笊ヶ岳を思い出すような(あるいはそれ以上か?)の傾斜、かつ悪路で、久しぶりに膝がガクガクして力が入らなくなった。

    高嶺への急登  寝不足と歩き疲れで頭がクラクラ・・・


    一瞬だけ見えた高嶺から見る地蔵岳


    高嶺山頂。いつかここで一夜を明かして星空を撮りたいと思っているが、テントを張るのは難しそう・・・。


    高嶺から見る北岳。正面に見えるのが大樺沢。

 地図上では2時間半の道を2時間少々でなんとか下り、1時50分ごろ広河原に到着した。バスの時間は2時だと思っていたのだが、時間を間違えており、1時45分のバスが行ってしまった後だった。しかし、幸運なことにジャンボタクシーがお客さん2人を乗せて出発する直前で、そのタクシーに乗せてもらい、結局はバスを追い抜いて先に夜叉神峠に到着した。2時半、無事に車に到着。

    白鳳峠。ここまでの道は途中が崖のように急峻。


    白鳳峠上部のゴーロ帯。北岳の眺望が良い。この先の樹林帯は再び急峻、途中にハシゴが連なる。


    入り口だけは良さそうに見えるが実際はかなりの悪路。心して通過すべし!

 汗だくだったので芦安の山渓園といういつも利用している温泉に立ち寄って汗を流した。休憩室でちょっと横になったら1時間ほど意識を無くしていたようで、目を覚ませば4時半を回っていた。鳳凰山はどこから登っても下りても大変、睡眠不足で歩くような山ではないことをあらためて感じた。
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月光の鳳凰山一夜 平成23年8月12-13日(1日目)

2011年08月18日 | 南アルプス
 ペルセウス座流星群が極大の頃を迎えるお盆の週末、明るい月が邪魔をするが空気の澄んだ山の上ならば観察できるかもしれない。しかし、仕事の都合で13日の土曜日か14日の日曜日のいずれかは、短時間ながら出勤しなければならない。となると、選択枝はかなり限られてくる。夜でも簡単に登れる近場の山に行くか、それとも金曜日午後に強行して登って翌日下山するか・・・この頃の月は南南東の低い位置から昇って来るので、鳳凰山から見ると富士山に近い位置から昇り、北岳あたりに沈んで行くのを以前から計算してあった。ベストは鳳凰山薬師岳あたり、しかし、夜叉神峠から登ったとして少なくとも7時間はかかる。しかも夜道となると・・・。土曜日の天気予報は午後雨、迷いに迷ったが、雨と午後の雷を避けて安全に登るにはやはり12日の金曜日しか無い。午前の業務を終え、意を決して午後から甲府を出発し夜叉神峠登山口に向かう。

 8月12日(1日目)
 歩き始めたのは午後3時近くになってしまった。足の遅い私は果たして何時に薬師岳に到着するのやら。夜叉神峠を4時に通過、杖立峠6時、その先にある火事の跡地には6時半ごろ到着した。ここで軽食をとって休憩し、日没を迎える。夜叉神峠では雲のかかっていた白根三山が少しずつ姿を現し始め、東の空には金色の月が昇って来ていた。火事場の跡地の上部に富士山が見える場所があるのでそちらに行ってみたが、厚い雲に巻かれて富士山は全く見えなかった。

    夜叉神峠中腹に咲いていたバイケイソウ。花は緑色と思っていたが、白い花も咲くらしい。


    夜叉神峠から見る白根三山  雨が降りませんように・・・と祈る。


    火事場の跡地  ここで日没となる。


    夕暮れの白根三山  火事場の跡地から撮影。この頃には空が次第に晴れてきた。

 ヘッドライト点灯してさらに登ってツガの樹林帯をひたすら行くと、ようやく苺平に到着、時間は8時。さらに南御室小屋には8時40分になんとか到着した。ここで水を汲んで休憩しているとテント泊の若者が1人やって来た。単独行で、5泊で塩見岳まで縦走するという羨ましい限りの山行だ。私もやってみたいが、体力的に2泊3日がせいぜいだろう。

    夜の南御室小屋。月光が射し込む。

 9時、南御室小屋出発。月の位置がだいぶ高くなってきている。急がねば、と思いつつも遅い足はどうにもならない。10時半に砂払到山到着し、薬師岳はもう目の前だったが、薬師小屋の前を通って薬師岳山頂に寝るのはさすがに気が引けてしまい、白根三山の眺望が良い場所を選んでそこでテントをかぶって寝ることにした。

    月光射す入道雲と滝雲  滝雲のかかる山は辻山、入道雲の中には富士山が隠れている。(砂払山から)


    月光射す砂払山


    同上  別の角度から。向こうに見えるのは薬師岳から観音岳に続く稜線。


    月光の白根三山  空には雲があり、流星撮影は難しそうだ。


    月昇る白根三山  (正確には沈んで行く月ですが・・・)


    やがて月は北岳あたりに沈んで行く。その間、撮影したのは約170カットだが・・・

 月光に照らされ、雲と霞に巻かれた白根三山が幻想的に浮かんでいた。白根三山側の空は雲がかかってしまい、ペルセウス座流星群の撮影はちょっと厳しそうだ。岩の上に三脚を立て、タイマーで1分おきにシャッターが切れるようにセットして12時、明日の下山のことを考えて一旦寝る。シュラフカバーとウォームアップシーツの中に潜り込み、さらにテントをかぶったが標高2,700mの山上の夜はやはり寒く、何度も目が覚める。そして東の空にオリオン座が昇って来る未明3時、相当眠かったが気を引き締めて起き上がり、装備を撤収して今度は富士山の見える東側の撮影にとりかかる。(2日目に続く)


    薄明に昇るオリオン座
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