建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

建築・環境計画研究室

この研究室は,2006年4月に立命館大学にて開設され,2009年10月に東京電機大学に移りました.研究テーマは,建築計画,環境行動です. 特に,こどもや高齢者,障碍をもつ人々への環境によるサポートや,都市空間における人々の行動特性などについて,研究をしています.

*当ページの文章や画像の無断引用・転載を禁じます*

浦添綾子 仙田満 辻吉隆 矢田努;あそび環境よりみた小児病棟の建築計画に関する基礎的研究

2011-04-16 13:01:15 | 書架(療養環境関係)

あそび環境よりみた小児病棟の建築計画に関する基礎的研究

浦添綾子 仙田満 辻吉隆 矢田努

日本建築学会計画系論文集、第535号、99 -10520009

 

1.     研究の目的と方法

 あそび環境よりみた小児専門病院病棟の建築計画資料作成を目的とする研究の基礎的段階として、病棟における詳細な行動観察調査より、病棟内のあそびの位置づけを明らかにする。その後病棟内のあそび環境の実態を各方面より全体的に把握する。またあそび環境よりみた病棟の建築計画のあり方に関して考察する。調査対象病棟に入院する全ての患者を対象とする。各病棟の定期的巡回により行為の内容・場所・相手の記録を作成した。

 

2.     病棟内の行為におけるあそび

 あそびは入院児の行為の中でかなり大きな比重をしめている。また周囲の人の条件・病棟計画など多くの要因が関わる。その中で年齢層別生活自由度の影響力が最も大きい。

 

3.     病院内の環境

(1)   あそび時間

入院児全体の平均値は平均で5.1時間である。またあそび時間は生活自由度によるところが大きい。

(2)   あそび集団

平均規模は1.6人と非常に小さい。年齢層が上がるに従い集団規模はさらに小さくなる傾向がある。そして集団規模2人以上であそぶ入院児のあそび相手は、約半数が他に入院児、約3割が母親である。また行動観察調査結果より、面会者とあそべる空間への配慮が病棟・病室計画において必要である。

(3)   あそび方法

多いあそび方法は静的あそびであり、病棟内のあそびが内あそびに限られていることによるといえる。なので、あそび方法の多様性を確保する上で病棟内の空間的多様性を創出することの重要性、そして多様なあそびが展開するPRを確保することの重要性が指摘される。

(4)   あそび空間

利用が最も多いのは病室である。次に多いのがPRと廊下である。また入院児のあそび行為にとってNSの役割も大きい。

 

4.     あそび行為の要因分析

 あそび行為数は人の要因によるところが大きいが、病棟計画の要因も重要である。すなわちPR箇所数の増大、NSへの病棟の近接、PRへの病室の近接、多床室、4床室はあそび行為数を高めることが分かった。

 

5.     結論

 あそび行為は、こどもの成長にとってかなり大きな比重を占め、あそび環境よりみた病棟計画のあり方の検討には実態把握が必要になってくる。また多床室やPR、面会室とあそべる空間のあり方についての計画検討は今後の課題とする必要性が指摘される。PRは静的あそびから動的あそびまで様々なあそびがみられ、あそび方法の多様性を支える空間として評価される。そしてPR内のあそび行為数もPRの配置等の計画的配慮により高められる可能性がある。

 

6.     感想

   PRや廊下など場所の重要性に,再度気づきました.論文の内容は難しかったのですが,具体的に想像しやすかった.これをどう病院設計に生かすのかが気になりました.

 

 

 

 

千葉紗央里

 

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こどもと家族の利用実態に基づく小児病棟プレイルーム改修における調査・デザインと検証

2011-04-09 19:27:49 | 書架(療養環境関係)

      こどもと家族の利用実態に基づく小児病棟プレイルーム改修における調査・デザインと検証

日本建築学会技術報告集第13巻第25号2007年6月

山田あすか 上野淳

・研究の背景・目的

聖路加国際病院のプレイルームは、こどもたちの生活や遊び場としての新たな提案を盛り込んだ計画を立案し、2005年竣工となった。このプレイルームの改修プロジェクトは先行研究による提言を勘案しつつ、病棟プレイルームの使われ方の実態調査を経て改修提案を行ったプロセスと、改修結果として使われかたの実態及びその検証を報告するものである。本稿の目的は当該プレイルーム改修に関して、1)実施調査、課題点の整理、設計提案、改修後の調査分析による実効評価を1つのリサイクルとする計画研究の一例を報告する。2)プレイルーム改修前後の使われ方を比較し、計画時に指摘した問題点が解消されプレイルームの設置目的が実現されているか、提案した空間が想定のように効果をあげているか、の検証を行うの、2点を目的とする。

・調査及び研究の概要

本研究では、こどもと付添家族の滞在様態と動線の調査によって改修前後のプレイルームの利用実態を多角的に把握した。プレイルーム改修の計画プロセスを整理し、改修前後のプレイルームの利用実態を比較しつつ、その効果を分析する。

・本稿の成果と今後の課題

本稿においては実際のプレイルーム改修プロジェクトの経緯に沿って実地調査からコンセプトおよび空間ダイヤグラムの整理、設計提案、事後調査による計画案の検証、というプロセスを整理すると同時に、計画実施後の使われ方の実態について評価を行った。本稿は、あるプレイルームの断面調査に基づくケーススタディーであり以下の3点を今後の課題と認識している。1)年齢や疾患構成の変動による使われ方の推移を明らかにし、この変動にたえうる計画を考究する。2)ことなる考え方によるプレイルームとの比較を通して居場所の提供を念頭に置いた本提案の効果について検証を行う。3)持続的研究により、こどもやその家族にとってのプレイルームの意味合いや生活・発達への寄与の実態を明らかにする。これらの蓄積により、当該病院のプレイルーム改修効果のみならず、広く医療をバックアップするこどもとその家族の療養生活環境のあり方の効果に迫る知見が得られると考える。

・感想

プレイルームは、こどもの居場所や家族が遊んでいるこどもを見守る場所が大切だと思いました。

改修プロジェクトを取り上げ比較していく点は、改修前と後の良いところ悪いところが浮き彫りになり、医療分野において濃度の高い情報が得られると感じた。これらの研究の蓄積によって医療をバックアップする知見が得られると思いました。

     伊藤弘紀

 

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小さな勇士たち・医者が泣くということ・病院におけるチャイルドライフ・施設環境評価マニュアル

2011-04-09 11:24:09 | 書架(療養環境関係)

・「小さな勇士たち」    NHK「こども」プロジェクト

 

 多床室である利点

 →こども同士が支えられる。

 →家族同士で交流が出来情報交換ができる。

 また本の一文に、「自分は悪い子だ。いらない子」だと考えるこどもも少なくないと書かれていた事が衝撃だった。

 

・「医者が泣くということ」    細谷亮太

 

 医者目線からの話

 病院外でキャンプをしたり、病院内でクリスマスツリーを飾ったり…

 外部との交流を持ったりすることで、こどものストレスを減らす工夫がされている。

 

・「病院におけるチャイルドライフ」  リチャード・H・トムソンジーン・スタンフォード

 

  年齢によって必要な空間に違いがあり、それぞれにあった環境が必要になってくる。そして共通して、他のこどもと交流でき

  るスペースが大事。また屋外の遊ぶ場所は、病院内と外の世界の落差を縮めるのに必要になってくる。

 PRの設計では、安全で監督者がいなくても利用できるように設計するべきである。こども達が自分達で選択できる空間が必要。またさまざまな遊具や場所を作ることによって、こども達が選択できる環境を作ってあげる事が大事になってくる。

 そして入院しているこどもの兄弟姉妹も一緒に交流できる遊び場も大事になってくる。

 

・「施設環境評価マニュアル」    施設環境評価研究会

 

  入院患者や入所者といった利用者の生活環境の視点から考えられている。場所に対して、一つ一つ評価があって必要なものがわかりやすい。

 一般病棟用なので、小児科バージョンがあったら良いと思う。

 

                                                                                                                                       千葉紗央里

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山田哲弥・河原崎澄子・高橋大樹:4床室の準個室化による患者満足度への影響

2011-03-30 19:54:08 | 書架(療養環境関係)
               
4床室の準個室化による患者満足度への影響
多床室の準個室化による療養環境の向上に関する研究その1
日本建築学会大会学術講演梗概集2009年8月
山田哲弥 河原崎澄子 高橋大樹



・背景
多床室の療養環境を改善する対策として個室的多床室の提案がされている。しかし既存の4床室では、こうした対応は不可能に近い。そこで主に既存病室を対象に多床室のベット間にパネルや家具による間仕切りを設置することを含めた病室の改修を行い個室的な環境を提供する試みがある。
・調査概要
パネル設置による環境の改善効果を見るために、既存4床室の病室周りにパネルを設置した事例を対象に調査を行った。調査対象は、大阪府の急性期病院(768床)の入院患者で、準個室化改修を実施した病室を持つ6病棟の入院患者のうち、看護師が自筆回答可能と判断した者に対して調査票を配布し回収箱を利用し回収した。質問項目は、施設・設備環境に関する項目、満足度と入院生活にとっての重要度を5段階(満足~不満など)またプライバシーが守れないと感じた経験を4段階(よくある~全くないなど)で訪ねた。
・準個室病室と通常4床室の比較
医療スタッフと院内施設に関する項目には差がなく、満足度を見ると狙いどおり、「病室内の全体的環境」「プライバシーの確保」「インテリア」で準個室が高い。また「静かさ」や「広さ」「間仕切りの高さ」も高く、カーテンで仕切るよりも開放感があると推察される。
・まとめ
今回設置したベッド間のパネルによる準個室化改修でも、患者の満足度は概ね向上することが確認された。今後は抽出された課題の解決法を検討するとともに、より多くの事例について詳細な分析を行い、準個室化の効果・課題を明らかにしたい。
・感想
一言で、読みやすく面白い論文でした。
素人の私が読んでも全体的に目的意識が明確で、背景からまとめまで筋が通っていると思いました。特に準個室化にデメリットがないか検証しながら、有効性を述べている点は説得力がありました。しかし本稿は、急性期病院に的をしぼった研究であったので、急性期病院以外で同じ調査をした場合どのような変化があるのか気になりました。
                                 

                                  
伊藤弘紀

 

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鈴木賢一,岡庭純子:小児病棟における壁面装飾の印象と効果に関する研究

2011-03-11 01:08:52 | 書架(療養環境関係)

小児病棟における壁面装飾の印象と効果に関する研究

鈴木賢一, 岡庭純子

日本建築学会計画系論文集 第73巻 第625, 511-518, 20083

 

1.研究の目的と方法

本研究は、小児と家族を中心とする療養環境の理念と実績を基礎にしつつ、壁面装飾を中心とするインテリアデザインの効果を分析しようとする研究であり、心理的要求に関わる視点から療養環境向上を目指すものである。研究対象は壁面装飾を用いた小児関連病棟である。看護師、医師、及び一部の小児患者から質問紙票により、病棟環境に関する評価を得、患者の不安軽減については、小児の気持ちを理解し代弁できる付添い、看護師、医師を対象とし、一部回答可能な小児患者のデータを合わせて分析する。

 

2.調査対象病棟の環境設備

調査対象病院は9階に小児病棟、小児外科病棟、新生児集中治療病棟が配置され、入院中の子どもの不安を払拭できる病棟全体の雰囲気づくりのために、物語、テーマカラー、キャラクターなどで病棟の全体的関連性を確保しようとしている。

 

3.調査の概要

調査に関しては患者と付添いに対し質問紙票を手渡しその場で記入を依頼。質問内容は1)テーマの認知、2)通路部分の評価(EVホール、病棟廊下、ピクトグラム)3)諸室に対する評価(プレールーム、処置室)4)壁面装飾の有効性や具体的な効果。

 

4.テーマ・キャラクターの認知程度

小児関連病棟が集まる9階のフロアがひとつのテーマを持ってデザインされていることに医療スタッフは一定の認知度を示しているが、小児患者の認知度は低い。付添いの半数は認知しているが、各棟の愛称とキャラクターに関しては知る条件が同様であるにも関わらず、付添いよりも子どもの方が関心が高い。認知度の高い看護師に対して医師の認知度は20%以下である。

 

5.通路空間のデザインに対する評価

EVホールの印象は全体的に高評価を得られた。しかし、積極的肯定、消極的肯定で分けると立場ごとで割合に違いがあった。また、どの立場にも否定的回答が見られた。病棟廊下の良いと思う要素については、幼児、看護師はナースステーション前の柱の装飾、付添いは壁や床の色彩と模様、医師は扉のキャラクターを約半数が選択した。ピクトグラムに関しては良いと思う理由に「わかりやすさ」「楽しい感じ」「子どもの場所らしさ」が選択された。

 

6.病棟内諸室に対する評価

プレイルームの評価ではいずれの立場も消極的評価が積極的評価を上回っている。印象について小児患者は「病院のような感じがしない」を全く選択していない。付添いは「ゆったりした気持ちになれる」、看護師と医師は「ゆったりした気持ちになれる」「病院のような感じがしない」が多かった。処置室に関して小児患者は6割が肯定的印象。しかし、看護師の多くが肯定的なのに対し、医師は半数以上が否定的印象を持っており、評価の傾向が異なっている。また、付添いの選択率が最も高かった「不安な気持ちをやわらげる」を小児は全く選択していない。

 

7.入院中の不安軽減の効果

入院生活に対するデザインの効果の有無を尋ねたところ、付添い、看護師、医師のいずれもが「気持ちが明るくなる」を最も多く選択している。だが、「不安を軽減する」、「治療に対して前向きになる」効果については選択率が少ない。自由回答においては小児患者のみでなく家族にとっての入院生活、また医療スタッフを支援する効果につながる記述も見られた。

 

8.立場の違いによる評価と効果についての考察

医療サイドはテーマについて一定の認知を示し、受け入側としての体制を整えつつあるが、組織として壁面装飾を活かす運用は徹底していない。小児はテーマを認知していないが具体的で親しみやすいキャラクターには関心を示している。看護師と医師の認知度の違いは患者への接し方、コミュニケーションの違いによるものと思われる。通路空間については肯定的反応が高かったが子どもは大人ほど魅力を感じていない。小児患者は背景的なものより点景要素に関心を示す傾向にある。

 

9.まとめ

・小児患者はテーマやその意味よりも具体的にデザインされたものへの興味関心が強い。

・平常心に回復させる、入院生活を応援するという不安軽減の効果を確認できた。

・小児のために療養空間が付添いの不安も緩和していることで壁面装飾への肯定的関心を得ている。

・壁面装飾を活用する仕組みを構築によって、治療や看護場面の不安軽減効果をより高めることができると思われる。

 

10.感想など

 子どもと大人、患者サイドと医療スタッフの2つで検証できるのが良いと感じた。小児患者と周りの大人の回答の違いがわかりやすく改善点も考えやすいと思ったので参考にしたい。肯定評価をさらに積極的肯定、否定的肯定でわけることで回答がどのようなものなのか想像しやすく読みやすかった。

 

(伊藤 美春)

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浦添綾子・仙田満・辻吉隆・矢田努:『あそび環境よりみた小児専門病院病棟の建築計画に関する基礎的研究』

2010-05-15 19:15:02 | 書架(療養環境関係)

あそびも大切ですが勉強のための環境とかも整えてあげるべきなのかなと思います。
病院のプレイルーム、実はあまり目にしたことがないです。
大きい病院は古くからあると基本的にそういう環境は後付けになるから整いにくいんじゃないかと思います。

コメント (1)
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鈴木賢一・岡崎純子:『小児病棟における壁面装飾の印象と効果に関する研究』

2010-05-15 19:14:22 | 書架(療養環境関係)

何事もほどほどに、が大切だと思いました。
キャラクターものやカラフルな絵で埋め尽くされた壁とかはあまり落ち着かないかと。

コメント (3)
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浦添綾子・仙田満:『あそび環境よりみた小児専門病院病棟の建築計画に関する基礎的研究』

2009-05-07 18:54:51 | 書架(療養環境関係)

2009/05/07(松田優)

浦添綾子・仙田満
『あそび環境よりみた小児専門病院病棟の建築計画に関する基礎的研究』
日本建築学会計画計論文集2000_09


☆はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆日本小児総合医療施設協議会
☆今後の小児医療は単なる治療にとどまらず,こどもやその家族の「生活の質」の向上を目指すことが求められている.
☆家具,玩具等の配置,寸法を実測調査
☆病棟における入院児の行為の中であそびは行為数,時間数とも最大.
☆あそび行為に着目すると,疾患別,性別,慢性/急性などでは行為数,時間数とも構成比にほとんど違いがみられないものの,年齢層,生活自由度などでは実数,構成比とも大きく異なる.
☆居場所が少ないために面会者が入院児の病床に座りこんであそび相手をする例
☆入院児のあそび行為にとってナースステーションの役割が大きい.
☆あそび行為数は入院児属性,周囲の人の条件および病棟計画のアイテムによりかなりの程度説明可能.
☆看護婦との関わりが入院児のあそび行為にとって重要
★教育
☆プレイルームは利用人数は3割強と利用の多い空間であるが,あそび行為数は約1割にとどまる.あそびのための空間として実質的利用がなされる条件を検討する必要があるが,要因分析では少なくともプレイルームへの近接性が病棟内のあそび行為数と深く関わることが示されたことより,プレイルーム内のあそび行為数もプレイルーム配置等の計画的配慮により高められる可能性が示唆される.

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浦添綾子・仙田満:『あそび環境よりみた小児専門病院病棟におけるプレイルームの建築計画に関する研究』

2009-05-07 15:19:51 | 書架(療養環境関係)

2009/05/07(松田優)

浦添綾子・仙田満
『あそび環境よりみた小児専門病院病棟におけるプレイルームの建築計画に関する研究』
日本建築学会計画計論文集 2001.12 


☆はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★こどもに自分だけの場所は必要か.
☆プレイルーム内のあそび行為数を高め,それがあそびのための空間として実質的に利用されるための条件の検討を今後の課題として指摘した.
☆プレイルームタイプ
★中学生のための場所,小学生のための場所,幼稚園のための場所は分けた方がいいのか.
★少し病気を忘れられる場所
☆プレイルームの遊び集団の規模
集団規模2人以上であそぶ入院児のあそび相手は,5割強が他の入院児,約3割が母親
☆「あそびのための空間」としてプレイルームを確保することの重要性は既に指摘したとおりであるが,これはとくに幼児・小学生にとって重要な配慮といえる.
☆利用が最大の空間はカーペット上
☆あそび行為数,時間数
☆プレイルームは静的遊びから動的あそびまで様々なあそび方法が展開しており,あそび方法の多様性を支える「あそびのための空間」としてのプレイルームの確保が特に幼児・小学生にとって重要.
☆プレイルームと廊下の配置

☆プレイルームタイプの選択,病床とプレイルームの近接,プレイルームの病棟内箇所数の増加,プレイルーム配置における循環性の確保,ナースステーションとプレイルームの近接
★中学性にアンケート:どんな場所が好きか.何をやっている時間が楽しいか.
  →中学生に必要な設え
★子どもが遊ぶ時に気をつけていること,気をつけなければいけないことは何か.

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仲綾子・仙田満:『入院児の遊び環境意識調査にもとづく小児専門病院病棟の建築計画に関する研究』

2009-05-07 15:16:34 | 書架(療養環境関係)

2009/05/07(松田優)

仲綾子・仙田満
『入院児の遊び環境意識調査にもとづく小児専門病院病棟の建築計画に関する研究』
日本建築学会計画計論文集 2002_11



☆はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆病室は病棟における中心的遊び空間として,プレイルームはあそびを主目的とする空間として,あそび環境よりみた病棟計画の検討において重要な空間と考えられるが,病院についての要望の中で,病棟とともに病室,プレイルームの位置づけおよび具体的な要望事項の把握を試みる.
☆屋外空間に関わる要望が,あそびと関わるものを中心にかなりある.
★遊ぶ→何か起こらないか心配
☆入院児が希望する病室病床数は年齢層により大きく相違し,小学生では6床室,中学生以上では1~2床室が多い.したがって,小学生は多床室,中学生以上は準個室を希望する傾向にあると見ることができる.ただし,現状と同じ病室病床数を希望する入院児が全入院児の約半数を占める.一般的にこどもは比較による判断が困難とされ,これが一因であろう.
面会者においても入院児とおおむね同様の傾向,小学生以下は多床室,中学生以上は準個室を希望する傾向がある.
→病室病床数の希望は入院児の年齢層により相違すること,面会者は現状より少ない病室病床数を希望することが特徴的である.
★どの年齢も個室の方がいいと思っていた.
 子どもにとってのプライバシー
 子どもにおける多床室の良さ
☆希望する病室配置の条件は入院児の年齢層とは関連がない.
★病室ではどんなことが行われているのか.(遊び,食事,勉強...)
★病室,プレイルーム以外に遊び場所はあるか.
☆満足度評価を高める病棟計画の条件とあそび行為数を高める病棟計画の条件はおおむね同様.
☆満足度
・プレイルームの数
・廊下の循環可能な部分に配置
・プレイルーム面積
・病床からプレイルームまでの距離
・病室面積
・病床とナースステーションとの近接性
・プレイルームタイプ
☆プレイルームは病室と違うところでのあそびを支える場として評価される.
☆あそび行為数

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鈴木賢一・岡庭純子:『小児病棟における壁面装飾の印象と効果に関する研究』

2009-05-07 15:10:36 | 書架(療養環境関係)

2009/05/07(松田優)

鈴木賢一・岡庭純子
『小児病棟における壁面装飾の印象と効果に関する研究』
日本建築学会計画計論文集 2008.03



☆,無印はレビュー(本文より抜粋,要旨)
★はレビュー者によるコメント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小児を取り巻く大人の影響

付添い:小児患者の性格,ふるまい,癖などを理解しており,患者に適した療養生活を送るための個別の情報を有している.
    小児患者との間に一定の信頼関係を築いており,影響力も大きい.
医師 :患者の治療方針を組立て,入院生活全般をコントロールする立場.
看護師:医師の指導のもと看護にあたり,入院生活の管理指導を行う.
 
医師,看護師は多くの患者と家族に接しており,専門的見地から患者の反応,患者と家族の関係を理解している
☆小児患者を取り巻く大人は,患者の療養生活を支えるのに不可欠な役割.
☆大人の感情は,小児患者の心理状態に影響を与える.
☆心理的要求に関わる視点から療養環境向上を目指す.
☆幼稚園や保育園,小学校などとの大きな違いは,子どもの年齢層,病気の重さが常に変化しているということ.
☆壁・柱は遊びの対象になる!?
 ここでは,壁に装飾がなされている.
(☆どんな風に感じるか聞くやり方は,なんかジャンプのアンケートに似ているな.)
☆壁の装飾は,付添い自身の不安を受け止め,穏やかにさせている.
☆小児は,全体テーマの認知は低いが,具体的で親しみやすいキャラクターには関心を示している.
☆小児は「色」や「絵」など具体的に関心を示すのに対して,大人は「ゆったりした気分」を感じることや「病院らしくない」ことなど,気分や雰囲気を評価する傾向がみられる.
☆処置室:医療スタッフによる治療行為の円滑さと,処置に対する患者の不安が交錯する場であり,患者と医師において肯定と否定評価が混在した.
☆入院プロセスの違い(初めてか繰り返し入院か),在院段階の違い(入院直後,中期,退院直前),発達段階(年齢)の違いなどにより,不安軽減の意味や効果も異なる.

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藤井あけみ:チャイルド・ライフの世界

2009-04-18 08:04:56 | 書架(療養環境関係)

2009.04.15 松田優

『チャイルド・ライフの世界』
こどもが主役の医療を求めて 

藤井あけみ 

新教出版社

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*引用文
「信頼している両親やお医者さん、看護婦さんでさえ口にできないほど怖いものなのですから。このような環境の中でこどもたちは、常に死の影という得体の知れない不安に怯えていかなければならないのです。これでは本末転倒だと私は思います。主人公はこどもたちであって死ではないはずです。それなのにおとなたちはこどもたちから貴重な《死》を学ぶ時を奪って、かえって恐怖心を植えつけてしまっています。こどもたちの人生をこどもたち自身に返すべきです。そして人生最大の課題ともいうべき死を闇から光の中へ戻すべきではないでしょうか。こどもたちを孤独に陥らせないために。生きること、死ぬことを分かち合うために。そのためにはまず、おとなである私たち自身が、死から目をそらさない練習から始めていかなければなりません。」

*チャイルド・ライフ・スペシャリストの説明
保育士→「集団の援助」
チャイルド・ライフ・スペシャリスト→「個人の援助」
      こども中心の世界を創造
→今から考えようとしていることは、これの空間構成版
・「プリパレイション」:検査前、検査中の心理的サポート
           鉄則:うそをつかない ☆心の抵抗力☆


*本文中で気になった言葉
・遊びは生きている証
・面会時間の制限
・親がこどものケアに関われること、たとえ何もできなくてもこどもの傍らにいられること—これはまさに癒しのプロセスなのです。親にとっても、子供にとっても。
・「こどもへの共感」はたしかに必要だが、両刃の剣となり、チャイルド・ライフ・スペシャリスト自身をも苦しめる。
・患者である小学生とその兄弟姉妹のためのサマーキャンプ
・こどもは治療を受けるだけでがんばっている。
・おもちゃの力
 ・入院生活はこどもたちを被支配者にさせる
遊びの中では主体者に→遊びの中で味わった有能感、自己肯定感
・洞窟は子供の天国
・母子臨床
   「こどもをケアすることは、お母さんをケアすること
    お母さんをケアすることは、こどもをケアすること」
・「こどものしていることをそのまま描写すること。そうすることによって、こどもは自分が感じた喜びを再確認して、それが自信につながっていくの」
・こどもを一個の価値ある存在として尊重する考え方
→本来の自分に戻って
・こどもの「遊び」をどのように扱うかは、こどもをどのように扱うかと同じ。
・プレイルームだけは、こどもが本来の自分自身に戻れる場所として、病気のことも忘れられる場所として存在してほしい。
こどもにとって居心地のよい空間は、おとな中心の世界から遮断され「こどもの世界」として守られている空間(ドアは閉じる)
   ⇔
「見守るおとな」の存在。プレイルームに専任のスタッフが常駐すること。

*考えたこと、疑問
・普通の大人との違い 配慮しないといけないこと
 →親が大事。手術当日、病院からコーヒーとマフィン
 →こどもにとって「遊び」って。。??なんだ?
・病院での生活の中に、どのような種類のものがあるか。
  ○検査、説明、食事、遊び、おしゃべり・・・・
 ・ケアの幅(兄弟、親まで)が必要だ。



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細谷亮太:医者としてできること できなかったこと

2009-04-18 07:58:29 | 書架(療養環境関係)

2009.04.15 松田優

『医師としてできることできなかったこと』
細谷亮太
講談社+α文庫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*一度読んでみたらいいなと思った本
患児向けの本 『君と白血病』
『チャーリー・ブラウンなぜなんだい?』(岩崎書店)

*本の中で心に残った言葉
・こどもにうそをついてはいけない(こどもの人格の尊重)
・こどもにいつも何らかの希望を持ってもらうこと
・こどもはそのときの身体の感覚だけをたよりに、ごく自然に未来を向いて生きている。
・病気のことを他人からとやかく言われるのは、とても嫌なものだ。
→知っている人と知らない人の差
・治療されるとき、なにをやられているのかきちんとわかっていないと結構恐ろしい。
・治癒が望めなくなったこどもたちもいる
・「早くおうちに帰りたい」

*考えたこと
・病気を治すこと、病気と闘うこと
=本人にとって一番望まれる形で生きること、生き方
                              ではないだろうか。
・聖路加国際病院の小児病棟では治療が終わった後にも関係が続けられている
→治療が終わった後も心の治療をしなければ。‘心のケア’が大事
・病気に対する周囲の目への対処の仕方
・医療者であろうと、家族であろうと支える人の重要さがわかった。
・病気と闘っているこどもたちと周囲との溝
 →きちんとコミュニケーションをとることが大事
・子供にも、親、兄弟が苦しんでいることがわかっている。
・細谷さん(著者)は、医療と、ケアと両方をしている?
でも、医者という立場上できないこともある。
(完全に病気のことを忘れさせてくれる存在ではないということ)
→先生も助からないと落ち込む。
・その病院を使うとき、居場所として考えなければいけないのは、
病院全体なのか、遊び場としてだけなのか、それとも生活全体なのか。


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