京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

「沖縄サンゴ 死の白線」

2007年06月28日 | 地球温暖化
6月24日の「朝日新聞」が、上記の記事を
ショッキングな写真とともに載せている。
「白化現象」とは違うサンゴの病気で、感染症の一種とみられ
サンゴの真ん中を突っ切る“白線”(病巣)が、一ヶ月に20センチも移動し
サンゴを死滅させていく、と。

ワールドウォッチの「地球白書」2000~01(レスター・ブラウン)は
第二章の「予期せぬ環境異変に備える」の中で
「サンゴー海水温の上昇による死滅」を書いた。

「サンゴ礁は、自然界におけるもっとも壮大な集団構造と言えるかもしれない」
とはじまる報告では、
サンゴ礁が海洋総面積の約0.3%を占めるに過ぎないにもかかわらず、
海洋魚種の少なくとも65%がここに生息していると指摘、
ところがここで、1980年以降
「全く類例を見ない」規模の白化現象がひろがっていることを
グラフも示し、明らかにしている。
「サンゴの白化現象」とは、海水温が約30度のレベルを超えると
共に協力しながら生きてきた藻類がサンゴから抜け出してしまい
その結果、サンゴは光合成が出来なくなり死滅する現象だ。

「1990年代後半では、サンゴ生息域の大部分で海面温度が過去最高を記録し
白化現象がさらに深刻化した。アフリカ東岸からインド南部にいたるインド洋の広大な海域では、サンゴの70%が死滅したと推測されている。」
そして「問題はサンゴだけにとどまらない。藻類と共生する他の生物、イソギンチャク、海綿生物、さらには特定のタイプの軟体動物も含むーにも白化現象が起きている」
その後半で「サンゴを襲う様々な病気」として、朝日の記事にあるホワイトバンド病やブラックバンド病など「他の非常に多種多様な病気」の急増について警告を発していた。
「フロリダ州沖合いのサンゴ礁では、過去10年間に病気の数が5種類ないし6種類から13種類に急増、1996年には、この海域に生息するサンゴ種44種のうち9種が病気にかかっていたが、その一年後、感染したサンゴ種の数はさらに28種に増えていた。太平洋とインド洋のあらゆる海域、またペルシャ湾や紅海でも、サンゴの病気が増加している。白化現象と同様、これらの病気も史上前例を見ないスケールで広がっている。」

07年5月30日の「沖縄タイムス(夕刊)」が、
「サンゴの病、海水温と関連/ホワイトシンドローム/米・豪チーム調査」を載せている。
「サンゴが白っぽくなって死ぬ『ホワイトシンドローム』という病気が、
海水温の上昇によって増えることを、米とオーストラリアの研究チームが、
オーストラリアのグレートバリアリーフでの大規模調査で三十日までに確認、
米国の専門誌に発表した。この病気は慶良間海域安室島南岸でも発生している。」
「チームは『今後、予想される地球温暖化による水温上昇で、ホワイトシンドロームやほかの病気も増える恐れがある』と指摘している。」
この初の大規模調査は、1998年から2004年にかけて、毎年行われ、グレートバリアリーフの1500キロの範囲にある48のサンゴ礁で、1500㎡あたりのホワイトシンドローム発生サンゴ群数を調べ、海水温のデータと照らし合わせたものだそうだ。
結果は、「週単位の海水温が平年より一度以上高くなった回数が多いと、この病気が増えることが判明。調査期間中2番目に海水温が高かった01年から02年にかけての夏の後は、病気が発生した群れの数が約20倍になっていた。」とのことだ。

先に紹介した「地球白書」は、
「これらの病気が最近出現した病原体によって引き起こされるという意味での『新しい』現象とはまず考えにくい。
おそらく、病気に対するサンゴの脆弱化が新しい現象なのだろう」。
そして一部では、この脆弱性は何らかの相乗作用として引き起こされる、とも
指摘している。

東山や北山で、ナラ枯れを追い続けていると
山でも海でも、やはり『何か』が起こっている、と思わざるを得ない。




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