京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

京都オリックス水族館の展示内容

2009年12月26日 | 環境
25日、オリックス不動産は、「仮称・京都水族館の展示内容」を発表した。
本日付の各紙(京都・毎日・朝日・読売)が報道している。
「水族館・水紀行」と題したもので、
コンセプトは「水と共に、つながる、いのち」というものだ。
9のコンテンツで構成されている。
1、ウェルカムゾーン
2、海獣ゾーン
3、ペンギンゾーン
4、大水槽ゾーン
5、海洋プラザ
6、交流プラザ
7、イルカラグーン
8、山紫水明プラザ
9、せせらぎプラザ
それぞれに簡単な説明があるが、
第一印象は、自然と深く関わっていない人が、都会の目線で作ったんだなー
「つながる命」というなら、いま梅小路公園でよみがえってきている生物たちと地域住民のつながりを、こんな巨大建築物で、断ち切らないでほしいと思う。

第二章は、「波打ち際に輝く、生命の営み」「水際に海獣たちの楽園が広がる」
えっ???
水族館は、海獣の”楽園”?

第三章、「来場者は、ペンギンの街をそぞろ歩きするように、ペンギンたちと散歩を楽し」めます。ペンギンたちは、楽しいの?

第四章。最近はやりの鰯もエイも一緒に入れて、捕食者と被捕食者が追いつ追われる姿を見せ、「海の中の命の厳しさを体験」するのだそうだ。

第七章ーイルカの展示は、やっぱり「ダイナミックなジャンプを披露する」ショウとなる。

第八章は、山紫水明プラザ
「1200年の古都・京都の繁栄を支えているのは水である」との引っ張りだが、
“水族館”との語呂合わせだけのようで、無理筋。
京都の水は、北山の谷川や鴨川の水、そして京都の底を流れる地下水で十分と思うが、
なぜ、わざわざ梅小路公園に、人工の海水タンクが必要なの?

オリックス不動産は今年7月8日
京都市に「京都市土地利用の調整に係るまちづくりの関する条例」に基づき、水族館などの「開発構想」を提出
京都市民はこの「構想」への意見を7月13日から8月10日までの期間に提出したが
そこでも「水族館建設」に批判的意見が相次いだ。
事前に京都市が行った「市民意見募集」でも、7割以上が市民が反対を表明した。
山紫水明の街とか言って、京都を持ち上げてみても
そもそも、その京都市民が、梅小路公園の緑は建物など建てずにそのままにしておいてほしいといい続けている。
なのに、オリックス不動産は「計画」を押し付けようとしている。
ここに、今回の最大のミスマッチがある。
梅小路公園は、そのままの姿にしておいてほしい。
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「水俣病と地球環境」フォーラム

2009年12月24日 | 環境

昨日の「水俣病と地球環境」フォーラム、
12月23日という年末の押し迫った時期でしたが
50人の方に参加いただき
内容的にも非常に深い中身で成功でした。

基調報告を行った尾藤廣喜弁護士は、
1932年チッソが「アルデヒド」の製造を開始して以降の
「水俣病」の歴史を振り返りながら
現在進められている「ノーモア・ミナマタ国家賠償訴訟」の意味
そして「水俣病の歴史から何を学ぶか」を簡潔に話されました。
水俣病がなぜ「公害の原点」と言われるか
そこには注目される初期の段階での公害問題のみならず
「公害のあらゆるパターンが組み込まれている」問題であること
そして、それが示すものとは何か、次のように整理されました。

①、水俣病の場合も、「人体で発症する前に、自然界で既に
『太刀魚の水中での狂い死に』など発症が起こっている」
これをきっかけに、人間が自然界に目を向け、
早めに察知すれは、早期の段階で被害を食い止められたこと
これは地球温暖化の問題でも同様であるということ

②、発症は、戦前にもあったが、顕在化しなかった。
なぜか?過去には
国民皆保険などの制度がなく、
地域にも医師が一人しかいないところ(水俣)などでは
医者にかかるのは「死亡診断書を書いてもらう時だけ」
病気は表に出にくかった。
その点で、公害・環境問題は「貧困」と密接に関わる問題であり、
貧困問題の解決、国民皆保険など医療制度の成長と密接に関連している

③、さらに、原因がチッソの廃液であることが明らかになっても
動かなかった企業・国・行政
これらと国民との関係は、現在の地球環境問題でも本質的には同じで
変わっていない。
ある官僚は
「産業のために、漁民に死んでもらうのは方針だった」と言ったそうだが
これは昭和30年代の過去の問題でなく現在の問題である。

④、慢性微量汚染の怖さーこれは原爆による被爆も同じ

フォーラム終了後
地球温暖化防止京都ネットワークのメンバーで交流しました。
COP15 の結果をどうみるか?
私自身は、今回決着がつかなかった「中期目標」の振り分けや
その実現のための仕組みづくり
これに終始するだけでなく
国際炭素税などの導入で、
企業などが与えた環境負荷がそのまま増税に跳ね返り
その財源が途上国の「命と環境支援」に回る仕組みが作られる
そうした方向で、
これまでの取り組みをさらに発展させることが重要と考えています。
交流会ではトービン税の導入の重要性を訴える声も出されましたが
もちろん同じ脈絡です。
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「京都・梅小路水族館」問題ー「見解書」が読めます

2009年12月17日 | 環境

京都の梅小路公園に
オリックス不動産などが「水族館」「鉄道博物館」建設を計画している問題で
12月9日、オリックス不動産とJR西日本が
「見解書」(開発構想届に対する市民意見への見解書)を京都市に提出しましたが
この「見解書」全文が
日本共産党京都市会議員団がホームページで見られます。

なぜ、これを京都市がしないんでしょうね。
建設局に電話しましたが
「その予定はない」とのこと
共産党の市会議員団のホームページの方が
明らかに役立っています。



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COP15へー5

2009年12月16日 | 地球温暖化
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COP15へー4

2009年12月16日 | 地球温暖化
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COP15へー3

2009年12月16日 | 地球温暖化
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COP15へー2

2009年12月16日 | 地球温暖化
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COP15へ、声を届けよう

2009年12月16日 | 地球温暖化
OUR VOICE to COP15!
写真は、COP15へ市民の声を届けようと
京都で取り組んだ「色紙」です。
賛同していただける京都などの宗教者
仏教者もキリスト教者も、
COP15を、地球温暖化防止へ、実効力あるものとしてぜひ成功させてほしい
この思いで寄せていただきました。
画面の色紙は、いま、コペンハーゲンに行っています。



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COP15 に京都からの声を

2009年12月11日 | 地球温暖化

12月12日午後2時から「京都市役所前」集合で
ク~ルな地球へ!京都アクション2009を行います。
これは、COP15に呼応して
温暖化防止へ、先進国の野心的な目標決定と
途上国にも「共通だが差異ある責任」を認めつつ
国際的枠組みへの参加を呼びかけるデモです。
私は、先約の「憲法大学講座」で
温暖化と憲法25条+9条の世界の報告があり
当日参加は準備だけですが
多くの皆様のご支援・参加を呼びかけます。
・・・・・・・・・・・・・・・・
パレード出発前集会のプログラム(案)

2時 オープニング音楽企画
2時15分 集会開始
 司会 関西NGO協議会 加藤良太
 <30秒リレーメッセージ>
  気候ネットワーク・京都府生協連 小峰 
  地球温暖化防止京都ネットワーク 佐々木佳継
  COP15ネットワーク関西・サークルおてんとさん 山根  
  わかやま環境ネットワーク
  滋賀県生活協同組合連合会 神門
  新日本婦人の会京都府本部 井坂洋子
  みどり関西
  日本共産党京都府委員会 成宮まり子
  京都国際学校
 「京都アクションのめざすもの」確認
   グリーンマップジャパン 右衛門佐美佐子
  行進の説明・注意 地球温暖化防止京都ネットワーク 原 強

2時30分 パレード出発(4時半終了予定)
  
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温暖化防止と憲法25条+9条の社会

2009年12月11日 | 地球温暖化
ねっとわーく京都の1月号に掲載しているものです。
・・・・・・・・・・・・・・・
温暖化防止と憲法25条+9条の世界                     09、11、18

堰はまだ開かない

COP15を前にして、温暖化防止を本格的に進めるための堰は、まだ開かれていない。バルセロナからの「eco」通信(11/6)は、「誰もがコペンハーゲンで法的拘束力を持つ文書が採択されるべきだと言っているように聞こえるが、彼らの殆どは『十分な時間がない』・・・と話している」と各国の態度を批判した。
アメリカ議会上院での温暖化対策法案審議の遅れは、オバマ大統領の「明確な目標提示」を縛り、先進国全体をブロックしているかのように見える。途上国は、先進国が積極的な削減目標を示さないことに抗議し、「資金援助」の点でも不十分と主張している。11月17日付の「朝日」は、「COP15準備会合開幕、途上国への援助焦点」、「途上国に対し、ポスト京都で一定の削減を求めるには、・・・2012年までの資金援助が不可欠」と書いている。途上国の主張は、「資金援助や技術供与」は「施し」ではなく、気候変動の原因を作ってきた先進国の「補償」であり「義務」、というものだ。ここには金額の多少だけではない、本質的な問題が存在する。
11月13日に行われた温暖化防止国際シンポジウム(気候ネットワーク主催)で、アメリカのアース・ジャスティス所属の弁護士のアリス・トーマス氏は「COP15は、何が起こるかわからない情勢」と述べたが、情勢は決してほどけぬ輪ではない。あきらめず、大きな流れを見据えて、前進する必要がある。

温暖化防止と貧困撲滅の同時的解決

2009年6月20日、京都で規模は大きくはなかったが、あるシンポジウムが開かれた。気候ネットワークが行った「温暖化防止市民シンポジウム」。その第二部で「持続可能な社会づくり-地球温暖化と貧困、生物多様性の同時解決をめざして」と題したパネルディスカッションが行われた。気候ネットワークの平田仁子氏、CASAの早川光俊氏をコーディネーターに、世界の保健健康問題に取り組む「オックスファム・ジャパン」の山田太雲氏、「AMネット」の神田浩史氏、「WWFジャパン」の岡安直比氏が報告、地球的レベルで起こる「温暖化」や「生物の絶滅と環境劣化」「世界の貧困問題と弱者の健康と命が守られない問題」などの”同時的解決”というテーマで議論が行われた。ディスカッションでは、このテーマを介して、それぞれ格闘している問題が、バラバラではなく共通性を持っているとの認識が共有された。岡安氏は、生物多様性の保全問題で、「『生物を守ろう』ではすまなくなっている。地球一個分で人間が生活できるような社会に転換するため、先進国のあり方の抜本的転換が必要」と述べたが、これは、今後の歴史の流れの中で、資本主義そのものの転換と同じ意味を持つことになるだろう。こうした問題意識が、様々なところで共通して浮上してきているところに、ある意味、09年の大きな変化がある。

途上国の声をどう聞くかー「共通だが差異ある責任」

07年6月、ドイツのボン会合で、インド政府が2020年の中期目標として「先進諸国は1990年比で79.2%の削減が必要」と主張したことが当時、関係者の間で話題になった。その根拠は、先進国も途上国も「産業革命前からの温室効果ガス排出量を、2020年で人口一人当たり同等とする」というものだった。このびっくりするような中期目標の提案に対して、当初「むちゃなことを言う」という反応もあったが、ここには私たちが受けとめなくてはならない、非常に大事な基本的問題がある。
温暖化は、これまでの発達した資本主義国が引き起こしたものであり、その点では明らかに「加害者は先進国」である。そして、当然、地球上で生きる全ての人々には、平等に生きる権利がある。この極めて当然なことを、インドの人々の命と暮らしを守る立場から表明すれば、先のインド政府の主張となる。
日本では、“温暖化の原因は、みんなが豊かな暮らしを願うから”などという“一人一人が責任”論がずっと流され、旧政権も「温暖化防止へ、一人一日1キログラムCO2削減運動」などと宣伝してきたので、今でも温暖化の責任の所在がはっきりせず、世界中どこでもそうなるのが当たり前であるかのように捉えられてきたが、それは違う。責任は、そのほとんどが先進国にあり、明らかに途上国とは「差異」がある。このことを、私たち先進国の市民や政府が本当に認識し理解することなしには、本格的な温暖化防止へ、世界的流れを作り出すことは出来ない。だからこそ、先進国の目標は、「野心的」でなくてはならず、途上国とともに温暖化防止に取り組む上で、そこへの「資金や技術の供与」は積極的でなくてはならない。

温暖化が引き起こす社会の不安定化

 レスター・ブラウンは、その著書「プランB3.0」の中で、「文明は、気候が極めて安定していた時代に発達したが、この時代は幕を閉じようとしている」「私たちの新しい時代は、急速かつ予測不可能な気候変動の時代」と述べ、最近では気温上昇による影響が農作物の収量にまで影響し始めた、と指摘している。02年、03年、05年、06年の4年、世界の主要な食料生産地域で、記録的な高温のため作物が枯れる現象が見られるようになり、温暖化はさらに、「地球の貯水池である『天空』=氷河と山々の積雪」を消失に向かわせている。その影響は非常に大きいものになるだろう。(ガンジス川の水の70%を供給するインドのガンゴトリ氷河は数十年で消失、流域に住む4億700万人のインド人・バングラティッシュ人の生活は大きな影響を受ける。中国の黄河や長江も氷河の消失に脅かされており、2060年までには、中国氷河の三分の二が消失すると予測されている。それは流域のコメや作物の生産に大きな打撃を与え、黄河流域では1億4700万人、長江流域では3億6900万人に影響が出る)
これが、インドや中国の「国内問題」でなく、世界の食料問題であることは明らかで、食料自給率40%の日本にも深刻な影響を与える。一例に過ぎないが、こうして起こる温暖化被害は、周辺地域に止まらず、社会の混乱を世界に広げていく。

危機にも「格差」がある。しかし「壁」では防げない
 
 温暖化が引き起こす問題は、このまま時間が過ぎれば過ぎるほど、その被害も影響もグローバル化する。しかし、その危機の受容には、はじめ、「格差」が生じる。海面上昇の影響は、デルタの河口付近に住まざるをえない貧困層を直撃し、食糧危機が引き起こす穀物価格の高騰は、当然のこと貧しい人々を飢餓に陥れる。感染症も、明らかに確率的には貧困層への影響が大きく、こうした事例は、未来のことではなく、すでに世界各地で始まっている。
こうして発生する庶民の暮らしの破壊や、生み出される苦しみは、社会の不安定化を促進する。希望が奪われ、暴力の温床も拡大するだろう。レスター・ブラウンは先の著書で、「破綻国家」という概念を紹介し、これらが現在「世界の治安と安定にとって最も脅威を与える存在になっている」と警告している。社会や国家までもが破綻し、生み出された無秩序は、“脅威”となり国境線を越えていく。これは人類内部の“脅威”であり、「武器」も「壁」も役立たないことは、すでに各地の例が示し始めている。

共通の危機に、「命は平等」の思想で対処する

 危機の受容に、当初は「格差」があるように見えても、それは間違いなく全人類的規模での社会的危機となる。だからこそ先進国からの「援助」は、「共同の対処」へと発展せざるをえない。「命は平等」の考えは、その根底をなす。
 二宮厚美氏(神戸大学教授)は、その著書「憲法25条+9条の新福祉国家」の中で、人類がたびたびの世界戦争を経て、苦悶の中でつかみとったものが、「戦争国家」ではなく「福祉国家の歴史的選択」だという。それは、生存権保障の出発点となった「ワイマール憲法」から、1930年代、アメリカ・ニューディールの名の社会改良主義の実験へ、さらに大西洋憲章を経て、「戦争放棄」や「生存権」を掲げる日本国憲法にも受け継がれており、憲法前文が言う「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」宣言は、その証だと述べている。
ファシズムとの対決の中で、二度も繰り返した世界戦争を、三度繰り返さないようにするには何が必要か。人類が血の歴史を経てたどり着いた知恵が、全ての人間の生存権を保障することと戦争の違法化だった。大砲でなく「バターの選択」が、その核心をなす。
「生存権を欠いた社会に発生する貧困は、何をもたらしたか。実は、これこそが戦前の日本の戦争国家化の社会的背景をつくり出したのである」(憲法25条+9条の新福祉国家:18p)
「歴史の教訓は、貧困は、それを放置しておくと、必ずしも福祉国家に向かうエネルギーとはならず、へたをすると戦争国家へ向かう力にねじ曲げられて利用されかねない」(同上19p)。
 これは、世界の温暖化対策を進める上でも生かすべき人類の知恵である。どんな国の人々であっても、人の命は平等であり、その暮らしを「欠乏」から免れるようにしてこそ、地域や国の安定、世界の平和を確保することができる。その意味で、「温暖化防止と貧困」は同時的解決が目指されるべきであり、途上国への「資金援助や技術協力」は「施し」などではなく、これから私たちがともに行う「共同の事業」となる。温暖化対策を、こうしたビジョンで進めることは、すでに「理想」でなく、「現実的な課題」になってきている。そして、当然これは、戦争政策や軍拡とは相容れないビジョンであり、利潤追求を第一義とするやり方とも矛盾する。

「軍事費半減」という課題

 軍事力がいくら強力でも、温暖化防止には役に立たない。それどころか、軍備拡大は、温暖化を促進する、その最たるものの一つだ。
日本環境学会会長の和田武氏は、近著「環境と平和」で「地球環境の破壊要因としての軍事活動」を告発している。(以下、同著65~71P)
「F15ジョット戦闘機はたった1分の飛行(最大推進力)で908リットルの燃料を消費し、それは普通乗用車一年分の燃料消費に近い量(1リットルの燃料で10キロ走行の車が年間1万キロ走行の場合)」
「戦車の場合、1時間の走行で普通乗用車の1年分の燃料消費」
「(不確実性がつきまとうが)世界の軍隊のCO2排出量は、世界の総排出量の3%にあたり、これに軍需産業のエネルギー消費量を含めると、数値は優に2倍になる」。
考えてみれば、戦争や軍事兵器が、省エネと両立するはずがない。“太陽光パネルで動く戦車”や“省エネ速度を守る戦闘機”、“軍事車両の装甲はなるべく薄くしてほしい。砲弾も最小限の使用を”など、なんとも牧歌的だ。戦争を行うためには、速いスピードや強力な破壊力、固い防御が最高の価値基準として求められる。こうして作られる軍備や戦争そのものが、温暖化防止と全く逆の存在にならざるを得ないのは明らかで、軍需産業と軍事力増強は、温暖化防止の点からも強力に規制されるべきである。
ニコラス・スターンは、2006年に行った有名なスターン報告で、「気候変動について何も対策を取らなければ、世界経済は、今世紀を通して毎年5%~20%の範囲で押し下げられる恐れがある」。一方、いま財源を投入して対策をとるなら、「温暖化対策は、世界総生産の1%(6500億ドル)をつぎ込めば、その重大な影響を回避することができる」と結論づけた。それは、アメリカがベトナム戦争につぎ込んだコストにほぼ等しく(地球白書2008~09)、「世界の軍事費を半減すれば、十分に賄うことが可能」(前掲書:和田武氏)な額だ。アメリカは軍事費に5287億ドルをつぎ込んでいる。温暖化の危機の進行を考えれば、人類は今、軍備拡大などに精を出す余裕はない。今後、温暖化の進行は、軍事力増強による安全保障という考えが、非現実的なものであることを、さらに判りやすく示すだろう。世界の政治の大転換は、ここにもまっとうなメスを入れることを求めている。憲法9条を持つ日本が、軍事費を大幅に削減する政治を実現すれば、それは世界を大きくリードするものになるだろう。

地球温暖化防止京都ネットワーク代表委員 榊原義道












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地球温暖化防止へ向けた本格的な日本改革ー⑮

2009年12月10日 | 地球温暖化
「地域と人権京都」に連載してきた最後のものです。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「地球温暖化防止へ向けた本格的な日本改革」-⑮        
2010年、劇的変化のはじまりの年に
                                     09.12.04
北山の自然と文化をまもる会代表幹事
地球温暖化防止京都ネットワーク代表委員
榊原義道

市民が進める温暖化防止2009

11月28、29の両日、同志社大学で、気候ネットワーク恒例のシンポジウムが開かれた。気候ネットワークの浅岡美恵代表が「毎年取り組んできたが、今年は最も高度な会議となった」と開会挨拶で述べたとおり、会議では、COP15直前の情勢から「低炭素社会と経済問題」「国内排出量取引制度」や「森林問題」など最新のテーマが報告され、濃密な議論が行われた。
 詳細は、シンポジウムの資料集や今後の気候ネットのホームページを参照していただきたいが、少し違った立場から、変化の一断面を示した今回の取り組みについて述べてみたい。
 シンポの1日目、民主党の福山哲郎参議院議員が外務省副大臣として登場、質問なしの報告を行った。福山氏は、「(鳩山首相の25%発言によって)日本がプレイヤーとして(温暖化問題に)しっかり参加することになり」「半年前と温暖化をめぐる景色が変わった」、取り組みが「遅いといえば遅い」が「国民の負担36万円説は崩れ」、企業の中でも温暖化対策が公然と話せるようになったことや、日経BP社主催のエネルギーに関する企画に300社も集まるなど状況が変わった、途上国支援については「財政的余裕があるかどうか、難しい話」などと発言した。
帰り際に浅岡代表から、「政府は、もっと頑張ってほしい」と“激励”があった。福山氏は「頑張っていることを評価してほしい」。浅岡氏は「評価はしているが、頑張ってほしい」と、双方引かずのやり取りだったが、この場面、ある意味、日本政府の置かれている状況を反映していた。
旧自公政権の体たらくはもちろん問題外で、鳩山政権が新プレイヤーとして世界の場に登場したのは確かだが、現状に満足できるか?情勢との関わりで十分か?率直に言って、NGO側からこうした思いが出されて当然の状況が、日本政府の側にあるのは確かで、二日間はそれを浮き彫りにした。

前に進む東京都、煮え切らない環境省

2日目、「低炭素時代の環境経済と企業戦略」分科会が開かれた。この分科会では京都大学経済研究所の一方井誠治氏が基調講演を行い、気候ネットワーク東京事務所の平田仁子氏が「地球温暖化対策税と国内排出量取引制度の提案」について、WWFの提案概要を京都大学の諸富徹氏が報告、その後、環境省の地球環境局地球温暖化対策課市場メカニズム室長と東京都環境局理事、諸富氏、浅岡代表の白熱した討論が行われた。
この中で、温暖化対策への実践的な踏み込みを感じさせたのは東京都で、日本の温暖化防止対策をリードすべき環境省は、踏み込み不足が目立った。
東京都は、すでに2020年の削減目標-マイナス25%を決定し、それをやりあげるための実践を、この間進めてきた。企業の「自主計画」の推進やその「評価づけ」を行ってきたが、これだけでは、「とてもじゃないが、2020年のマイナス25%は達成できない」ことが明らかになった。そこで、削減目標達成のため、「何よりも排出総量が削減されなければならず、その確実な実現をめざす基幹的な施策として、総量削減義務制度を導入」「義務違反には、罰則や課徴金など制度の実効性を確保する措置」が必要であり、一方で、その回避のため、目標未達成の部分を他の目標超過達成企業から買い上げできる制度作りを決断、その「キャップ&トレード制度」は、来年から東京都で始まることになっている。さらにこれを、首都圏に広げる議論も始まっている。
東京都は、この実践を踏まえて、国と全国の自治体に対し「キャップ&トレードの全国導入についての提言-東京における実績を踏まえて」を発表し(09年11月27日)、この動きをさらに促進させようとしている。
これは<国家キャップ&トレード制度>と<地域キャップ&トレード制度>の二つを柱にし、<国家制度>は、直接排出方式で算定し、年間CO2排出量が10万トン以上の大規模な排出事業所(発電所や製鉄所などの大規模工場が中心で、全国約500事業所)が、排出総量に関する義務的削減目標とそれを確実に達成する仕組みを持つものだ。(地域制度は略)

直接排出方式で算定を

この「直接排出にもとづく算定」について、今回、“剥いた議論”が展開された。環境省の担当者は、「電力について『直接排出』で算定するか、『間接排出』で行うか、省内でも議論がある。結局、経済界に受け入れられるか否か」と発言、他の報告者から、なぜ直接排出で算定し、大量排出源での削減に踏み切らないかなど、次々と疑問の声が出された。
参加していた企業関係者の中からも「直接排出で算定してもらって、価格とエネルギー単価に転嫁してもらった方がいい」との声が公然と出された。1日目のパネルディスカッションで、植田和弘京都大学教授が「“産業界”という言い方は、問題ですね」と語っていたが、これはシンポジウムの中でも浮き彫りになった。
日本の現実は、産業界全体がこぞって温暖化対策に反対しているわけではなく、抵抗勢力は、日本政府がいまだにきっぱりとした対応が取れない電力産業などが目立ってきている。29日の分科会は、キャップ&トレード制度が「初めて公開で議論された」会議だったそうで、これには少しびっくりしてしまったが、その意味は、制度の一般的説明が初めてなされたなどということでなく、その進展を何が阻んでいるかが公然と議論されたという意味だ。これが公然と明らかにされたということは、もうこの流れは止まらないことを意味している。2010年、抵抗があっても、この流れは大きく促進されざるをえないだろう。やはり、合理的なことは現実に転化せざるをえない。

*09年1月から始まった連載が今回で十五回、当初の連載の組み立ては、今年、私が身近な所で体験し、感じたことを通じて、2009年の温暖化情勢と日本の改革をいっしょに考えるものに変わりました。とりあえず、今回で連載は終わります。読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
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「水俣病と地球環境」フォーラム

2009年12月09日 | 環境
フォーラム「水俣病と地球環境」を開くことになりました。
以下、そのお知らせです。
改めて、地球温暖化の問題と水俣病が
企業の社会的責任、地球的責任を問う問題として
浮かび上がってきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日時:12月23日(水)午後1時半から3時半
会場:ハートピア京都大会議室
基調講演:尾藤廣喜弁護士
うた:野田淳子さん(歌手)
報告:大石利生さん(不知火患者会会長・原告団団長)
徳井義幸(ノーモア・ミママタ近畿訴訟弁護団団長)
門 裕輔(不知火・水俣病大検診医師団)
NGO関係者

主催:フォーラム「水俣病と地球環境」実行委員会(連絡先:鴨川法律事務所)
・・・・・・・・・・・・・
趣旨
 IPCCの最近のレポートによれば、温室効果ガスの濃度はかってなく高いものとなっています。まさに地球温暖化の問題は、人類の未来にとって焦眉の課題となっています。この問題を考える時、日本の公害の原点・水俣病のことを忘れるわけにはいきません。
水俣病の本質的問題の一つは、公害を引き起こしたチッソが、その犯罪を隠しながら、長期にわたって人々の健康と環境を破壊し続けてきたことです。温暖化による人の命と環境への影響は、さらに長期にわたり、地球的規模で、人々の命と環境の破壊をすすめるものとなります。
水俣病が公式に発見されてから53年、「水俣病問題」は未だに解決されていません。04年、最高裁はチッソと国、熊本県の責任を明確に認め、それまで国の認定基準では排除されてきた水俣病患者の救済を求めました。しかし、その後も行政は、厳しい認定基準を変えようとせず、逆に水俣病問題の幕引きが図られようとしています。
今年7月、自民党・公明党・民主党の3党は、「水俣病問題特別措置法(チッソ救済法)」を成立させましたが、これには、患者側や支援グループから「チッソ救済を真の目的とする法律」「加害企業が全被害者の補償を行わないうちに免責される法律」との強い批判の声が起こっています。
患者側は05年、チッソと国・県を訴える新たな裁判を開始、原告は2000名を超える大きな闘いに発展しています。
今回のフォーラムでは、「水俣病問題」の経緯を振り返りながら、この問題の解決には何が必要かを明らかにするとともに、水俣病と地球規模の環境問題とのかかわりを、問題にかかわってきた弁護士や原告、医療従事者、NGOメンバーを中心に、参加者とともに討論します。

現在の呼びかけ人-12月7日現在(アイウエオ順)

安達正明(京都府勤労者山岳連盟)・井坂洋子(新日本婦人の会京都府本部副会長)・岩橋多恵(弁護士)榎田基明(京の道ネットワーク事務局長)・川越義夫(小倉山を見つめる会代表)・榊原義道(北山の自然と文化をまもる会代表幹事)・佐々木佳継(京都・水と緑をまもる連絡会事務局長)・四方功一(京都・水と緑をまもる連絡会代表)・辻 昌秀(京都総評副議長)・永井弘二(弁護士)・中島晃(弁護士・まちづくり市民会議)・中林 浩(神戸松蔭女子学院大学教授)・中村和雄(弁護士)・野田淳子(歌手)・原 強(コンシューマーズ京都理事長)・尾藤廣喜(弁護士)・右衛門佐美佐子(NPO法人グリーンマップジャパン理事長)
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