京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

震災がれき広域処理 こう考える⑤

2012年05月30日 | ガレキ・ごみ・放射線
毎日新聞23面の連載
今回は「人体に影響のないレベル」が大きな見出し

ー「放射性物質を含んだがれき処理への不安は強い」の問いに

「がれきそのものについては・・・・通常の家庭ゴミと同じように扱えます。懸念は焼却と埋め立てでしょう。焼却炉ではバクフィルターで放射性物質をこし取ります。福島での実験では除去率は少なくとも99.92%。仮に残り0.08%が大気に放出されても、拡散希釈されて人体には影響のないレベルです。関西の最終処分場は大阪北港と堺市沖などが想定されていますが、埋め立て方法が決まれば国が個別に安全性を評価することになります」と

「福島での実験ー除去率は少なくとも99.92%」について、環境省近畿地方環境事務所廃棄物・リサイクル対策課(06-4792-0700)に出典を聞いてみた。
出典は、環境省が行った東日本大震災の「第11回災害廃棄物安全評価検討会資料」
(環境省のHpから東日本大震災への対応。災害廃棄物安全評価委員会→「第十一回災害廃棄物安全評価検討会」資料について→5/7 [PDF:2,607KB]の資料9)

読んでみると、バクフィルターの直前と直後でセシウム134.137を計測しており、その結果が数字となっている。昨日の「「第一回京都市災害廃棄物広域処理に係る専門家委員会」でもこの数字が報告されている。

もう一度、環境省近畿事務所に電話して聞いてみた。
「このデータはわかりましたが、これは最初の持ち込みゴミ(例えば1トン)に含まれるセシウム134.137の量を測って、その収支を主灰、飛灰、排ガスなどで出したものではないですね。」
「そうですね」とのことだった。
要するに、99.92%はバクフィルターに排ガスが入る直前と直後の収支。

ゴミに含まれる放射性物質の量を計測し、全体の収支を明らかにする事は
「それは連続的処理の中で、出来ないのでは」という話だった。

放射性セシウム全体の収支が明らかになっておらず、不明のセシウム134.137があると指摘され、不安の声が出されていることを伝え、
そうした計測をしてほしいと要望しておいた。
「本省に伝えます」との事。

いづれにしろ「不明」の分があることは明らか
電話に出られた方は
「炉内に付着しているのでは」と話されていたが、
それはそれで問題となる。
いづれにしろ、「除去率99.92%」を一人歩きさせるべきではない。

昨日の「京都市災害廃棄物広域処理に係る専門家委員会」
こんな質問も出ないで、スイスイと進んで行っていいのか?
「専門家の”科学的知見”」って、あの程度なの?

「クロマグロから微量セシウム」検出ー米西海岸で捕獲

2012年05月29日 | ガレキ・ごみ・放射線
昨日の各紙で上記の記事。

「カリフォルニア州沖で取れたマグロ15匹から、放射性のセシウム134が筋肉1kgあたり平均4.0ベクレル検出された。普通、太平洋の海洋生物や海水からセシウム134は検出されない。やはり放射性のセシウム137が微量検出されるが、昨年とれたクロマグロの測定値は平均値よりやや高い1キロあたり平均6.3ベクレルだった。チームは福島第一原発から放出されたものと見ている」(毎日)

本日の京都新聞
「原発沖の魚 なお高濃度」
東電発表で
「福島第一原発から20㌔圏内の海域で採取した魚介類から、最大で1㎏当たり1880ベクレルと高濃度の放射性セシウムを検出」
「最も高かったのは5月2日に採取したシロメバル。同様に海底近くにすむスズキが同1610ベクレル、ババガレイが同1260ベクレル、ヒラメが同1190ベクレルと高かった。国が定める新基準値である同100ベクレルを超えたのは13種類の魚だった」

がれき問題が起きてから、現在の京都市のごみ(一般廃棄物、3.11以降)焼却後のセシウム134.137濃度と比べる癖がついてしまった。
京都市のごみ焼却後の放射能濃度は最大で10~23ベクレル/㎏
この場合、ごみに含まれる放射性物質は、灰になり33倍化している。
この数字と比較すると
原発沖の魚の放射能濃度はいかに高いか!
焼かれて濃縮された京都市のごみの、81倍から188倍となっている。

読売社説「原発ゼロでは立ちゆかない」の立ち位置

2012年05月29日 | 原発ゼロ
本日の「読売」社説は、「『原発ゼロ』では立ちゆかない」
これまでと同じ話ばかりで、新鮮味がない。
「電力供給」と合わせて、「原発の安全性」をともに議論しなくて
説得力が出るはずがない。
日本のエネルギーを考える大前提は、日本そのものの存立だ。
福島第一原発事故は、それが失われるかもしれない事態を
現実に生み出した。
「日本のエネルギー」のあり方は、暮らしにも産業にも関わる重要問題だが
原発事故で、日本の存立が脅かされれば、それは意味を失う。
「読売」がそんなことも議論できなくなれば、
「読売」は、”存立の基盤”を失ったも同然となる。

毎日新聞 「維新政治塾 第一クール終了」の記事 

2012年05月28日 | 日本ウォッチ
27日「毎日」、維新政治塾の記事
受講生の声が面白かった。

大見出しは「衆院選『本気度』面接」
小見出しは「『停滞変えられる』『結局は金か』受講生」として
受講生の期待の声と合わせて、
「受講生を評価する維新の議員は新人も多く、本当に選べるのだろうか。維新に否定的な発言をすると落とされるのかなと思った」(40代市議)
「大阪市内の40代の男性会社員は、面接で選挙資金として1000万円を用意できるか尋ねられたといい、『結局は金なのかと落胆した』と語った」と書いている。

新しい政党づくりは、なかなか大変だ。
政党の資金をどうするか?
財界からの政治献金に頼れば、新党も結局は「民主党」「自民党」になってしまう。
「政党助成金」に頼る道。
政党助成金については
そもそも「国民の中には思想信条の違いがあるのに、税金の多額投入はよいのか」という根本問題が問われ続けている。
この点では、”自前の財政で頑張り続けている日本共産党を見習え”という声には説得力がある。
小さな政府とか民間を見習えという民主党は自民党が、この点ではなぜ”大きな政府”なのか?
いづれにしろ、「選挙資金として1000万円を用意できるか」という塾生への問いは、新党づくりを目指す「維新」が突きつけられる「現実問題」であることは間違いない。

京産大の学生と「ナラ枯れ」学習会

2012年05月24日 | ナラ枯れ
京都産業大学のサークルの学生たちと「ナラ枯れ」学習会(懇談会)をしました。
聞くと、授業でナラ枯れの基本的な話は聞いていて
フィールドワークで大学周辺の散策路で現場も見ていて、
話がはずみました。
少し前に、ねっとわーく京都で書いた
「防災・未来バンク」の提案もしておきました。
大学周辺の森を生かして
①、学生たちが森(自然)の実態に直接触れる”生きた環境教育”の場として活用しながら
②、今後の京都大震災(東南海地震)も想定し、自然を生かした投資(未来への投資)を行う。震災時、暖を取るエネルギーも短期間には整備されない事態、簡単に手に入らない事態を想定。その時のエネルギー源の一つとして、ナラ枯れ発生木や発生可能木を適度に伐採し、炭に変え、未来の大災害にむけて蓄える。
③、その作業に沢山の人たちに参加してもらい、災害時などに「配当(炭)」を受けられるようにする。貯蔵・管理は大学に一肌脱いで行う。

これは、ナラ枯れをきっかけに、森林とのかかわりをはじめる活動になるとともに
被害拡大を防止し、大震災に自然の力に依拠しながら備える取り組みとなります。
森を抱える大学の皆さん、いかがですか、このプラン。

大飯原発「再稼動、妥協は禁物」ー双葉町長が京滋に提言(京都新聞)

2012年05月22日 | 原発ゼロ
今朝の京都新聞22面は出色
福島原発事故で被災、町民全員が避難を強いられ、町役場も埼玉県に避難を強いられている双葉町の井戸川克隆町長が
大飯原発再稼動問題で京都・滋賀に「提言」している。
これは、私たち市民への「提言」となっている。
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ー再稼動をめぐる動きをどう見るか
「野田首相に安全が確認できるだろうか。首相は福島第一原発事故は収束したと言ったが、収束と言うのは私たちが双葉町に戻り、生活が出来る事。再稼動は首相が何をチェックし、どう結論に至ったかのプロセスを全部国民に示してからではないか」

ー自治体として求めるべき事は
「防潮堤のかさ上げを終えないまま再稼動に突き進むなら、私たちの今につながる。関西電力の財産的な担保の提供も不可欠だ。事故を踏まえ、1兆円でも5兆円でも自治体に供託させるべきだ」

ー財政面の備えが不可欠ということか
「双葉町民が賠償も生活も中途半端で放置されているのは、東電に補償能力もその気もないからだ。責任能力のない会社に原発を運転する資格はない。住民は事故に学び、事故後の担保をしっかりとうるべきだ。それがなければ住民は安心できないだろう。大飯原発を再稼動する次元ではないということだ」

ー具体的には
「被害を受けるのは住民。原発を人任せにせず、自分たちもプロになって住民検査組織をつくり、安全をダブルチェックする。末端の行政機関の市町は災害対応特別基金をつくり、年限を限らず、予算を積んでいく事。事故はないと信じ込まされてきたので、私たちにその備えはなかった。そうすれば国や電力会社に頼らず、動くことができる」

最後に井戸川町長は、京都府と滋賀県知事への「提言」として
「住民の生命財産を守るのは、首長の責務。不安、不信に思ったら絶対に譲ってはいけない」「私たちのようになったら、全部置いて来なければならない。安全に勝るものは何もない。決して妥協してはいけない」と締めくくっている。


5月29日、京都市のがれき持ちこみに関わる「専門家委員会」

2012年05月18日 | ガレキ・ごみ・放射線
京都市へのがれき持ちこみに関する
「第一回専門家委員会」が開かれます。
京都市議会「くらし環境委員会」に「資料」が配られました。(共産党市会議員団より)

京都市は、2月市議会の
「安全な最終処分地を確保することを条件に、関西広域連合の示した基準を参考にして安全と判断される災害廃棄物の早期受入れを検討する」決議(自民・民主・公明・京都・みんな・無所属)をテコに
「関西広域連合の『広域処理の統一基準』」にもとづいて、がれき受入れを前に進めようという方向です。
「専門家委員会」は、その「基準」や「安全性を検証」しようということで開かれますが、こうゆう会議は、「別室」でなく「生」で見たいですね。

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日時:5月29日(火)午後7時から
場所:キャンパスプラザ京都2階 第2会議室
出席委員:浅利美鈴(京都大学環境科学センター助教)
     遠藤啓吾(京都医療科学大学学長)
     武田信生(京都大学名誉教授)
     春山洋一(京都府立大学教授)
     福谷哲(京都大学原子炉実験所准教授)
     松本智裕(京都大学放射線生物研究センター長)
議題:本委員会の進め方、災害廃棄物の受入れの考え方について、その他
一般傍聴は、別室でモニターによる視聴ができます。午後6時半から4階受付で手続き。定員は170名。インターネット生中継も行うとの事 


京都水族館 ゴマフアザラシ「サニー」の死亡

2012年05月18日 | 京都
京都水族館(オリックス不動産株式会社)のHP(2012、4、21)に
下記の記事が出ています。
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ゴマフアザラシ「サニー」の死亡について
当館人気者のゴマフアザラシ「サニー」が、2012年4月19日(木)に死亡しました。
死亡原因については、今後病理検査を行います。
サニーの冥福を祈るとともに、サニーを愛していただいた多くの皆様に心よりお礼申し上げます。
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先ほど、この件でメイルがありました。
地元で「京都・梅小路公園に、オリックスの水族館はいらない」と運動を続けてこられた「梅プロ」の古澤さんからです。

この件について水族館に電話したそうです。少し、紹介します。

古澤さんたちは、京都水族館のゴマフアザラシ「サニー」が4月19日に亡くなり、水族館のHpニュースに掲載されており、「病理検査をする」と書かれてあったので、5月15日に「病理検査結果について聞きに行こう!」と水族館に電話したそうです。

古澤さん、いくつかやり取りはあったが、「係のものがおりませんので、連絡先は?」と聞かれ、電話番号を知らせて電話を切ったそうです。
(5月16日、17日は電話無し)
今朝-5月18日、改めて問い合わせたら
「女性が出て、『団体はどういった団体ですか?』と」
「先ほども名乗りましたが、梅小路パークプロジェクトの古澤です」

水族館側:「どんな団体ですか?」
古澤:「質問はこちらがしてます。」
水族館側:「死因は、お知らせ出来ないことになっています」
古澤さん:「2日間待った。その中身でどうして電話くれなかったか?」
(男性に替わって)
おなじ質問を一からしましたが、男性は「死因は知らせられない」とのこと
その後もやりとりが続いたそうですが
「(古澤さんの所属する)梅小路パークプロジェクトは、裁判されている団体ですネ」とも言われたそうです。
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オリックスは、京都水族館について
「京都水族館ではいきものたちと京都が育んできた関係を
伝え、考え、守っていくために、
展示に留まらず、館外活動にも力を注いでまいります」と
述べています。
市民の理解をえて、市民とともに歩む水族館を目指すなら
少なくとも、ゴマフアザラシがなぜ死亡したのかぐらいは
関心ある市民の問いに答えたらどうでしょう。
市民とともに「命」について考えるとは、そうゆう事ではないでしょうか。
これを、そのいい機会にしたらどうでしょう。
そんな頑なに、
「皆さんにはお答えできません」などと対応していたら
“大企業”の名が廃れます。

原発防災ー舞鶴市が暫定計画案公表

2012年05月11日 | 原発ゼロ
本日の京都新聞一面
「原発防災 全市避難も」と、舞鶴市の「原子力防災暫定計画案」(10日公表)について書いている。

「最大で全市民8万9千人を小学校区単位で集結し全市避難も想定している」
「しかしバスによる移動を想定するなどの内容に対し、議員から『具体性がない』『東日本大震災の教訓が生かされていない』と厳しい指摘が相次いだ」とのこと。

ある意味、具体的にならないところに、この”防災”の本質がある。
「全市避難」といっても、一挙に全市民の”避難”など出来るはずが無い。

しかし、こんな時だからこそ、
市は、市民全体に”原発防災”の議論を呼びかけるべきだ。
私は、環境教育関係者に、いま「環境教育のチャンス」と訴えているが、
原発防災は、いづれにしろ市民参加なしには絶対に成功しない。
舞鶴市は、市として公的に、堂々と原発防災=「環境教育」を行うべきだ。
原発の過酷事故を想定した全ての情報を市民に明らかにして
その事態をどう考えるか、
市民ぐるみの学習議論が行われるよう提案したい。

原発稼動ゼロを続けようー5月6日「ゼロ」の日

2012年05月06日 | 原発ゼロ
最新の「ねっとわーく京都」6月号に掲載してもらったものです。
次は、市民の力で「ゼロ」の継続
ドイツは自然エネルギー造りを市民が率先して進めましたが
日本ではこの時点に立っての
電力使用を減らす「減電所」造りの運動と
再生可能エネルギーの活用を大きく進める市民の運動が未来を開きます。

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大飯原発再稼動などあり得ないー「レベル7」をしっかり腹にすえて考える  

北山の自然と文化をまもる会代表幹事 榊原義道

「原発停止で激変の海」が静かな話題に
  「大飯原発再稼動」を許すか否か、この激しい闘いの最中、京都大学舞鶴水産実験所准教授・益田玲爾さんの連載(益田さんのホームページ:京大水産実験所・益田玲爾さんの空中散歩120)が話題となっている。詳しくはHpを覗いてほしいが、ダイビングを趣味とする氏の報告では、過去9年間、毎冬の潜水調査で南方系の魚を見ない年がなかったのに、この冬の若狭湾は様子が激変しているという。
「原子炉の停止に伴い、温排水の供給が止まったため、南方系の生物たちは軒並み衰弱している」。連載最後で取り上げられたのが南方系の「マガキガイ」。高浜原発の温排水で水温が上った音海では年間を通して見られてきたが、今冬は「元気がない」とのこと。続いて、熱帯の毒ウニが死滅し、トラフナマコも目立って衰弱・・・・と南方系の生物の衰弱が示される。氏は、「南の海から来て住み着いた生き物たちにはすまないが、音海の海も本来の若狭湾の生態系へと戻るのが良いことのように思われる」と記事を締めくくっているが、原発が永久に止まることを若狭湾本来の生物たちも願っているだろう。

3.11から3.10の一年
 大震災と原発事故から一年の3月10日、円山音楽堂(京都市東山区)と周辺では、「バイバイ原発3.10京都」の集会・デモが行われ、京都の脱原発集会・デモとしては5000人以上が参加する画期的なパフォーマンスとなった。実行委員会が出来てから3ヶ月、賛同は152団体・個人177人に達し、これまでの脱原発の市民団体や環境グループ、京都総評などの労働組合とともに、京都府保険医協会や京都民医連など医療関係団体、生活協同組合や産直グループなど、取り組みの輪は昨年9月と比べてもさらに広がった。集会の申入れは、お寺やキリスト教会、数十の幼稚園・保育園、近所のお店や喫茶店にも行われ、ある幼稚園では、対応された園長さんが「うちの園では、お母さんがビラを持ってこられ、もう宣伝されていますよ」と話してくれるなど、各地で好意的な反応が返ってきた。 
京都での脱原発デモ(大集会)は、昨年6月26日の梅小路公園での取り組みが最初で1000人弱、続いて9月10日、11日(円山公園)の二つの集会・デモは合わせて3700人、それと比べて今回は円山音楽堂に入りきれず(文字通りあふれ)、その参加形態も、個人個人の個性溢れる表現で意志を示した。
  こうした中、政府は、バタバタだがしゃにむに大飯原発3.4号機の再稼動を進めようとしている。これに対し、「不同意」を示す近隣首長の動きも続いている。嘉田由紀子滋賀県知事は「安全性を一部捨ててまでなぜ急ぐ」(4月5日)と批判し、山田啓二京都府知事も「恒久的な対策はこれからではないか。再稼動させることは無理がある」(12日)と表明、原発を止めようという世論の発展がこうした変化を生み出している。京都でいえば、この一年、脱原発の大集会・デモは5倍化した。運動の発展が社会と政治を変える力を生み出していることは間違いない。同時に、この世論と運動の「発展」は、さらに大きく広がることが求められている。

「脱原発」80%、同時に「電力供給に応じて必要な分だけ再稼動」の声も
  3月18日、日本世論調査会が行った原発事故などに関わる世論調査(10,11日)が発表された。「脱原発」が79.6%(賛成43.7%、どちらかといえば賛成35.9%)と高い支持を示す一方、国内の全原発停止後「定期検査後、安全評価で問題がなかった原発についての再稼動をどう考える」かの質問には、「再稼動を認める」(15.6%)、「電力供給に応じ必要な分だけ再稼動を認める」(53.5%)と答えている。
バイバイ原発・3.10のポスターを快く貼らせてくれた伏見区のある蕎麦屋のオーナーさんが、一緒にポスターを貼りながら「電気は大丈夫?」と質問してこられた。北区の仁和学区で原発ゼロの署名取りをしていた時も、結構真剣に原発について考えられているお母さんが、同じ“不安”をぶつけてきた。
昨年、多くの原発が止まった時、それに変わる化石燃料の輸入量増大で「電気料金が値上がりする」と大宣伝されたが、石油などの輸入量はほとんど増えなかった。気候ネットワークは2月15日、「化石燃料増加とCO2排出増に関する分析」で、日本全体の化石燃料輸入量は2010年度-13924pj(ぺタジュール)、2011年度-13928pjと、震災の前後でほぼ同じであり、原発の発電量減少分の半分程度しか火力での燃料使用は増えておらず、他の分野での化石燃料使用での省エネ効果が表れていると指摘したが、こうした事実はまだよく知られていない。
世論は発展してきているが、それをさらに広く、深く耕すことが求められている。“しゃにむに再稼動”は、この隙間を突いて強行突破を図ろうとしている。
 
「レベル7」とは、どんな事態なのか
  昨年、ねっとわーく京都7月号で、「レベル7」について少し触れた(「原発なくす温暖化も止める」)。事故直後は隠されていたが、その後、当時の菅政権内部で昨春「最悪の想定」が議論になり、その報告がされた事が明らかになっている。「最悪のケースでは首都圏の3000万人が避難対象となる」。この結果に菅前首相は、「国が国として成り立つのかという瀬戸際だった」との認識を示している。
私は、この「国家崩壊の瀬戸際」にまで立ち至ったことへの認識が、まだあまりにも弱いと思っている。「レベル7」とはどのような事態なのか。このことについて日本国民が共通認識を勝ち取ることは私たちの責務であり、この認識こそ新しい日本づくりの土台、出発点になるものだ。しかし、これはまだ非常に不十分だ。
  「脱原発」学習会では、この「レベル7」について必ず触れる。昨年、立命館大学の学生たちの学習会で「レベル7」について聞いてみた。「それはチェルノブイリと同じレベルです」と答えてくれた。それは正しいが、では「被害」とはどれ程のものか?今回は、それに比べてどうなのか?
チェルノブイリの場合、放射性物質による高汚染地域は半径300キロ圏にまで達し、55,5万ベクレル/㎡(セシウム137)以上の区域は「義務移住区域」となった。義務移住とは「強制移住」のことだ。それは、汚染地図で300キロ圏にまで達するエリアに、大きく湖のように広がっている。
今回、福島第一原発からの300キロ圏は、どこまで広がるか?福島第一原発を中心に半径300キロを円に描けばすぐにわかることだが、南西方面は、埼玉、東京を越え神奈川にまで広がる。

新幹線は東京までやってくるのか?
学習会では、もし、東京など「300キロ圏内」を、チェルノブイリと同様の被害が襲った時どうなるかを考えてもらっている。
「東海道新幹線は、東京までやってくるか?」
「そんな時でも、国会は東京で開かれるのか?国会議員は全員東京に残り、対策に当たるのか?」「大企業の東京本社は、引き続き東京で仕事をするのか?」
「皇居は・・・?」
3000万人の市民の、避難は可能? その時の食料は? 企業の株価はどうなる? 日本
の国債は? 円高はそのまま続く?
 新幹線は東京まではやってこないだろう。大企業の東京本社は、東京から脱出するだろう。日本経済や政治は大きく信頼を失い、円が暴落すれば、60%を外国輸入にたよる日本人の食料は大打撃を受けるだろう。エネルギーも同じだ。3000万人市民の避難は不可能だろう。
「レベル7」の事態が、まともに関東を直撃していたら、日本の国が現実的に崩壊の危機に直面したことは容易に想像できる。今回、私たちの国で起こったのは、その「直前の事態」だった。あえて言うが“運良く”被害は現状レベルとなっているが、現実は、チェルノブイリの直前にまで来てしまった。もっと人口密度の高い日本で。
「レベル7」とは、それを示す。私たちの国が、そこまでは行かなかったが、その「直前」にまでやって来てしまったことを、本当に真剣に、しっかり腹に据えて考えなくてはならない。これを見過ごせば、後はないだろう。
 11月16日、気象庁気象研究所は、今回の原発事故で大気中に放出された「放射性物質のうち、特にセシウムは4月までに70~80%は海に落ち、陸地に降ったセシウムは30%程度と推定される」(京都新聞2011.11.17)と発表した。新聞紙上の写真では、日本列島から太平洋側に大きく広がる放射性物質の帯が、赤黒い龍のように口を開けていた。今回の陸上の被害は、その「一部」なのだ。

大飯原発再稼動は、あり得ない
日本はまだ、やっとこさ“偶然”に助けられている。しかし、神や仏の顔も、何度も使わさせてもらえないだろう。
こうした中で、民主党政権の“しゃにむに再稼動”には、一片の理もない。福島原発で起こった重大事故の検証も出来ていない、それを行う専門家の体制さえ作られていない中での「政治判断」など狂気の沙汰だ。関西電力の「工程表」は、防潮堤のかさ上げなど工事計画を列挙しただけ、免震棟の完成は2015年度。それまでの“安全”はどうするのか?これこそ“安全神話”のよみがえりではないか。“無理が通れば道理ひっこむ”と言うが、そんな事態を許してはならない。ひとかけらの理もなく“しゃにむに再稼動”に突っ走る民主党の政権は許されない。もちろん自民党に戻る道理もない。政治は、おおもとから変えなくてはならない。