最近「TPP問題」学習会の講師依頼が増えています。
今日は、「TPP(環太平洋連携協定)を考える」と題して
以下の筋で話してきました。
・・・・・
1、問題の本質-外圧で、日本全体を変える大掛かりな「構造改悪」
○TPPへの参加は、いのちと暮らしを支える農林水産業はもとより、圧倒的多数の商工業や地方経済に大きな打撃を与え、日本社会の土台を根底から覆す希代の愚策」(「TPP反対の大義」)
・アメリカが事実上主導
・TPPは06年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドで締結。この「自由貿易協定」を太平洋全域に広げる。2015年までに工業製品、農産物、金融サービスなど全ての商品について、関税、その他の貿易障壁を実質的に撤廃する。
・水や空気、教育、医療、公共的な交通機関などに新しい市場を作って儲ける
2、GATT・WTO、TPPの話
○GATTとWTOの違い
GATT時代はモノの貿易(鉱工業製品と林産物、水産物)
モノが国境を越えるときの問題-関税や数量制限を低減・撤廃していく
WTOは、「国境」の話だけでなく、母屋の奥まで踏み込んでくる
(ア)各国の基準を国際基準に合わせる
(イ)貿易の障害となる国内法規制・政策の改変-政府調達。投資関連措置
(ウ)貿易自由化に資する国内法の新設
この推進のために「法的拘束力」を持つ
(例えば)
WTO「衛生植物検疫措置に関する協定」では
・生産物の無害なことは、輸出する側が証明しなくてはならない→輸入する側の責任とする
・ホルモン牛肉(米)にヨーロッパが異議-しかし「欧州は立証しなかった」として、WTOは欧州がWTO義務違反
WTOの紛争解決機関(DSB)が判定-アメリカとカナダは、それによって被った損害額について、自由に選べる欧州からの輸入品に対して100%の関税をかける
・カナダと豪州のサケ類の輸入例
カナダ産のサケに豪州にはいない20種のバクテリアが存在。しかしその「危険性」については、豪州が疫学的な研究を行い、「豪州のサケに感染する正確な確立を数学的に算定しなければダメ」→輸入禁止を認めない
・アメリカ通商部は常に「違反」を監視
BSE対策も「関税障壁」になる
米―全頭検査なし(1%)、30か月以上の牛
肉骨粉の輸入禁止、発生国からの輸入禁止
普通は高い基準で健康をまもる→大商社にはこれが「貿易障壁」に
国内基準だけでなく、国内法や自治体条例も「撤廃」「緩和」が迫られる
進出する外国企業に対して、「一定の受入国国民の雇用」「国内での部品調達を迫る」措置は、「貿易障壁」
農産物も金融商品も、サービスも自由化の対象に。教育も福祉も、水道も電気も
京都の、「スクールニューディール事業」でも
「WTOで禁止されている」との理由で、中小企業向けの発注を行おうとしなかった(京都府)
○なぜ、TPP
●150カ国以上を結集するWTO-「各国の国内法に超越する立法・司法権・報復措置を容認し、自由貿易を世界一律に促進する機関」-内政干渉まで行う
→閣僚会議などがたびたび決裂(うまくいかない)→アメリカなどは「別の方法」でと個々の国々や地域で協定をとFTA(自由貿易協定)促進を狙う
その中での徹底したFTAがTPP(例外なき関税撤廃FTA)
●9カ国+日本のTPPというが、GDP総額の90%は日米―TPPは事実上の「日米TPP」
●24の作業部会
-首席交渉官協議、市場アクセス(工業)、同(繊維・衣料品)、同(農業)、原産地規則、貿易円滑化、SPS、TBT、貿易保護、政府調達、知的財産権、競争政策、サービス(クロスボーダー)、同(電気通信)、同(一時入国)、同(金融)、同(eコマース)、投資、環境、労働、制度的事項、紛争解決、協力、横断的事項特別部会(中小企業、競争、開発、規制関連協力)
3、TPP参加で、日本はどうなる?
①労働者の大規模で自由な輸入
経団連会長―「日本への移民を奨励せよ」自由貿易圏内の労賃は同じに―賃下げを狙う
自由に輸入された労働力を使うことが出来る
労働契約有効期間内の滞在許可-国内の労働法が適応されるのか?失業保険は?
②サービスや投資など広範な分野を対象にする
教育市場は2兆ドル。保険市場は3,5兆ドル
環境も景観保護も、水道も・・・・・
③徹底した関税ゼロ-完全な自由貿易を受け入れれば、「日本農業は壊滅」する
・貿易自由化の理念は、個々の国が負う、異なった条件という現実を無視
農家一戸あたりの平均耕地面積-日本(2,2ha) 米国は(180ha)。
日本のコメは800%の関税で何とか守られている-条件が違う「米づくり」
「参加」で、食料自給率は13%にまで低下
北海道農政部の試算
北海道内の農業生産・関連産業等への影響は、2兆1千億円。雇用は17万3千人の減少、農家戸数は3万3千戸の減少。農業生産額は半分以下。農家戸数は7割以上減少。
国内の農産物の生産額は、4兆5千億円の減少。食料自給率は40%から13%に。農業の多面的機能は、3兆7千億円喪失。関連産業への影響は、国内総生産で8兆4千億円、就業機会の減少は350万人。(農業の多面的機能は8兆円)
・田畑は、“競争力”だけでなく、日本の土台そのもの
「社会的共通資本の存在を全面的に否定」-多国籍企業はこれらを保障しない
自然環境(山、森、川、海、大気など)、社会的インフラ(道、鉄道、港、上下水道、郵便、通信・・・)、制度資本(教育、医療、金融、行政、文化・・・)
4、反対の声が広がっている
5、日本政治とTPP
○菅首相は、「食料主権はそのとおり」「両立させたい」などと言っているが、
財源の展望なしのマニュフェストと同じ-実際は経団連-自動車、電機産業が求め、農産物の輸出で利益を上げようとしている米・豪の大商社の利益に
GDPはほとんど増えない(プラス0,48~0,65%)玄葉大臣
○強いものに擦り寄り、新自由主義的政治に再び大きく足を踏み出した「菅政権」
大きな運動と共同作り上げ、絶対にやめさせる-日本の未来に大きな災い
○世界の食糧は・・・
○求められる本当の「政治改革」
今日は、「TPP(環太平洋連携協定)を考える」と題して
以下の筋で話してきました。
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1、問題の本質-外圧で、日本全体を変える大掛かりな「構造改悪」
○TPPへの参加は、いのちと暮らしを支える農林水産業はもとより、圧倒的多数の商工業や地方経済に大きな打撃を与え、日本社会の土台を根底から覆す希代の愚策」(「TPP反対の大義」)
・アメリカが事実上主導
・TPPは06年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドで締結。この「自由貿易協定」を太平洋全域に広げる。2015年までに工業製品、農産物、金融サービスなど全ての商品について、関税、その他の貿易障壁を実質的に撤廃する。
・水や空気、教育、医療、公共的な交通機関などに新しい市場を作って儲ける
2、GATT・WTO、TPPの話
○GATTとWTOの違い
GATT時代はモノの貿易(鉱工業製品と林産物、水産物)
モノが国境を越えるときの問題-関税や数量制限を低減・撤廃していく
WTOは、「国境」の話だけでなく、母屋の奥まで踏み込んでくる
(ア)各国の基準を国際基準に合わせる
(イ)貿易の障害となる国内法規制・政策の改変-政府調達。投資関連措置
(ウ)貿易自由化に資する国内法の新設
この推進のために「法的拘束力」を持つ
(例えば)
WTO「衛生植物検疫措置に関する協定」では
・生産物の無害なことは、輸出する側が証明しなくてはならない→輸入する側の責任とする
・ホルモン牛肉(米)にヨーロッパが異議-しかし「欧州は立証しなかった」として、WTOは欧州がWTO義務違反
WTOの紛争解決機関(DSB)が判定-アメリカとカナダは、それによって被った損害額について、自由に選べる欧州からの輸入品に対して100%の関税をかける
・カナダと豪州のサケ類の輸入例
カナダ産のサケに豪州にはいない20種のバクテリアが存在。しかしその「危険性」については、豪州が疫学的な研究を行い、「豪州のサケに感染する正確な確立を数学的に算定しなければダメ」→輸入禁止を認めない
・アメリカ通商部は常に「違反」を監視
BSE対策も「関税障壁」になる
米―全頭検査なし(1%)、30か月以上の牛
肉骨粉の輸入禁止、発生国からの輸入禁止
普通は高い基準で健康をまもる→大商社にはこれが「貿易障壁」に
国内基準だけでなく、国内法や自治体条例も「撤廃」「緩和」が迫られる
進出する外国企業に対して、「一定の受入国国民の雇用」「国内での部品調達を迫る」措置は、「貿易障壁」
農産物も金融商品も、サービスも自由化の対象に。教育も福祉も、水道も電気も
京都の、「スクールニューディール事業」でも
「WTOで禁止されている」との理由で、中小企業向けの発注を行おうとしなかった(京都府)
○なぜ、TPP
●150カ国以上を結集するWTO-「各国の国内法に超越する立法・司法権・報復措置を容認し、自由貿易を世界一律に促進する機関」-内政干渉まで行う
→閣僚会議などがたびたび決裂(うまくいかない)→アメリカなどは「別の方法」でと個々の国々や地域で協定をとFTA(自由貿易協定)促進を狙う
その中での徹底したFTAがTPP(例外なき関税撤廃FTA)
●9カ国+日本のTPPというが、GDP総額の90%は日米―TPPは事実上の「日米TPP」
●24の作業部会
-首席交渉官協議、市場アクセス(工業)、同(繊維・衣料品)、同(農業)、原産地規則、貿易円滑化、SPS、TBT、貿易保護、政府調達、知的財産権、競争政策、サービス(クロスボーダー)、同(電気通信)、同(一時入国)、同(金融)、同(eコマース)、投資、環境、労働、制度的事項、紛争解決、協力、横断的事項特別部会(中小企業、競争、開発、規制関連協力)
3、TPP参加で、日本はどうなる?
①労働者の大規模で自由な輸入
経団連会長―「日本への移民を奨励せよ」自由貿易圏内の労賃は同じに―賃下げを狙う
自由に輸入された労働力を使うことが出来る
労働契約有効期間内の滞在許可-国内の労働法が適応されるのか?失業保険は?
②サービスや投資など広範な分野を対象にする
教育市場は2兆ドル。保険市場は3,5兆ドル
環境も景観保護も、水道も・・・・・
③徹底した関税ゼロ-完全な自由貿易を受け入れれば、「日本農業は壊滅」する
・貿易自由化の理念は、個々の国が負う、異なった条件という現実を無視
農家一戸あたりの平均耕地面積-日本(2,2ha) 米国は(180ha)。
日本のコメは800%の関税で何とか守られている-条件が違う「米づくり」
「参加」で、食料自給率は13%にまで低下
北海道農政部の試算
北海道内の農業生産・関連産業等への影響は、2兆1千億円。雇用は17万3千人の減少、農家戸数は3万3千戸の減少。農業生産額は半分以下。農家戸数は7割以上減少。
国内の農産物の生産額は、4兆5千億円の減少。食料自給率は40%から13%に。農業の多面的機能は、3兆7千億円喪失。関連産業への影響は、国内総生産で8兆4千億円、就業機会の減少は350万人。(農業の多面的機能は8兆円)
・田畑は、“競争力”だけでなく、日本の土台そのもの
「社会的共通資本の存在を全面的に否定」-多国籍企業はこれらを保障しない
自然環境(山、森、川、海、大気など)、社会的インフラ(道、鉄道、港、上下水道、郵便、通信・・・)、制度資本(教育、医療、金融、行政、文化・・・)
4、反対の声が広がっている
5、日本政治とTPP
○菅首相は、「食料主権はそのとおり」「両立させたい」などと言っているが、
財源の展望なしのマニュフェストと同じ-実際は経団連-自動車、電機産業が求め、農産物の輸出で利益を上げようとしている米・豪の大商社の利益に
GDPはほとんど増えない(プラス0,48~0,65%)玄葉大臣
○強いものに擦り寄り、新自由主義的政治に再び大きく足を踏み出した「菅政権」
大きな運動と共同作り上げ、絶対にやめさせる-日本の未来に大きな災い
○世界の食糧は・・・
○求められる本当の「政治改革」