京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

オリックス水族館ー説明会に400人ー「説明不十分」

2009年07月30日 | 環境
京都の梅小路公園にオリックス不動産が計画している「水族館」
この「開発構想」についての初の説明会が、
昨晩、地元小学校の体育館で開かれた。
暑い中、クーラーもない体育館に
400人以上の市民が集まり
関心の高さが示された。
意見も全体の拍手も、圧倒的に反対の声が多かった。
緑の無い都心の真ん中で、
長い時間をかけて自然が息づき始めている公園、
市民はそれに親しんできたのに
その緑を、オリックスは奪わないでほしい
この訴えは、非常に説得力があった。

そもそも事前に、
オリックスが提出している「開発構想」が縦覧されているのだが
この「開発構想」が全く具体的ではなく
市民をバカにしているのではないかという声が多い。
計画が明らかになって以降
京都市民の中では大きな議論が巻き起こっていることは
オリックスもよく知っているはず
なのに、「開発構想」には具体的なプランは全く書かれていない。
説明会でも、ざっとした説明のあと、
新江ノ島水族館の”イメージ映像”など流していたが
本来、民間と民間の間での交渉であれば
こんな「開発構想」で説得できるはずはなかろうとの批判が出ていた。
まさしく、その通りで、オリックスという企業は、やはりこうゆう企業だなと思った。市民をバカにしている。
京都市側も、オリックスに言いなり、が情け無い。

昨晩の説明会で、地元の女性が
「水族館はいりません」と次のように訴えた。
「水族館建設予定地を”空き地”というが、
ここには自然が戻ってきている。虫も鳥も、戻ってきている。
(別のところにある)命の森では、虫も増えない。
子どもたちには、その生きた自然とふれあってほしい。
オリックスは緑を大切にというが、それを壊してしまうのですか!
ここにサーカスがやってくると、
イカルもこなくなる。オオルリもキビタキも。
この”空き地”には、
何も無いから、虫も増え、鳥たちもやってくる。
建物が出来れば、自然が変わる。
下京区には空き地がない。
梅小路公園の(建設予定地の)猫の額のような自然が
この”空き地”で生まれたのに、
水族館ができればもう戻らない。
なぜ、オリックスは自然を破壊するのですか」

京都市の担当者も「多くの鳥や虫が集まっているのは事実」と、
それを認めていた。
オリックス側の責任者も、その顔を見ると、表情が曇っているように見えた。

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地球温暖化防止へ向けた本格的な日本改革-⑪

2009年07月29日 | 地球温暖化
「地域と人権」京都での連載11を掲載します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地球温暖化防止へ向けた本格的な日本改革-⑪ 
      
宗教者も、医師も、学生も、芸術家も、女性たちも・・・温暖化防止       09.7.20

「温暖化防止」訴えた6日間

前号で、「法然院で、地球温暖化防止」展のオープニング対談について書いたが、全体の取り組みについても紹介しておきたい。6月23日(火)~28日(日)の6日間行われた同展には、延べ600名の皆さんが来場、講堂での「展示」と「日替わり環境トーク」が、その中心企画だった。
23日「里山を語る」(マツタケ十字軍+京都精華大学“ゆい”の会)は、環境グループと学生たちの企画で、講堂は満員だった。トークは1時間あまり延長。ここには途中、大文字山でフィールドワークを行っていた京都大学の学生たちも合流してくれて、いっそう若者たちが目立つ企画となった。
24日の「花の寺子屋・イングリッシュガーデン&エコカフェ」(新日本婦人の会京都府本部+花の寺子屋)では、女性たちのパワーが溢れ、無農薬で作ったお茶やクッキーなどを頂きながらの楽しいカフェに。フードマイレイジや野菜・果物への農薬使用の話が、一日何ラウンドも語られた。
25日の「地球温暖化防止と原子力発電」(京都府保険医協会)では、この間電力会社などが宣伝している「原発=クリーンエネルギー」について、批判的報告が行われた。原発の“温室効果ガス排出ゼロ”は全くの偽りで、原料採掘から廃棄物保管にかかる過程で、さらに大きなエネルギーが使用される。この分野では、電力会社のしっかりした情報公開が強く求められ、運動側でも課題となっている。
26日の「アフリカから見た地球環境」(京都精華大学板倉豊氏)では、家族づれで現地に暮らした講師から、アフリカ暮らしの日々と環境問題が語られた。この日は、型染作品「天馬」の出品者、田島征彦氏も参加され、話にも加わっていただいた。
27日は「北山の異変」(北山の自然と文化をまもる会)。京都周辺の山々で起る昆虫や植物の異変が、地球温暖化の進行との関わりで報告された。今、進行中の「ナラ枯れ」についても報告され、身近な自然の変化に直接触れてみる大切さが訴えられた。
28日は、「センスオブワンダーの朗読・紙芝居・指人形」(レーチェル・カーソン日本協会関西フォーラム+日本環境保護国際交流会実行委員会)。子どもたちは、目の前で朗読される絵本に引き込まれていたが、後日、大人からも同様の感動の声が寄せられていた。
まとめの実行委員会では、身近な食べ物や自然界の異変など、具体的なトークに注目が集まる一方、心を揺さぶる朗読や会場内でのおしゃべりなど、「幅広い層が集まり、バラエティーがあり、よかった」「法然院の緑の中での取り組みは、ゆったりした心地よい企画で、またやってみたい」との声が出されていた。

宗教者の墨蹟・メッセージやマンガ作品展-子どもたちも、温暖化防止の訴え

講堂での展示は、「温暖化防止」や、生き続けられる地球と命を守ろうという宗教者や漫画家、学生、芸術家、子どもたちのメッセージでうめられた。予想を超える200点以上が出品され、多くの皆さんがここに向けて、作品を作ってくれた。やはり、「温暖化防止」への思いや危機感は広がっていると痛感した。途中、いったいどれだけ集まるか、見当もつかない状況だったが、結果としては、それぞれの方の思いが、出品数の数と多様さに結実した。
講堂は、田島氏の「天馬Ⅱ」が天井を覆い、正面に宗教者の墨蹟・メッセージ展、右にヨシトミヤスオ氏や玉田京子氏、京都精華大学学生のマンガ作品などが並び、左の壁にはアトリエ「遊び木」や法然院森の教室の「森の子クラブ」の子どもたちの作品、入り口正面には川越義夫氏や畑ゑり子氏などの作品・ポスターパネルが展示された。
その中で、宗教者の墨蹟・メッセージ展には31人の方から43点もの作品が寄せられた。これには、最初に作品を出してくれた法然院の梶田真章貫主や檀王法林寺の信ケ原雅文住職をはじめ、浄瑠璃寺の佐伯快勝住職、鞍馬寺の信楽香仁門主、真如堂の竹内長敬貫主や安楽寺の伊藤正順住職、恵光寺の岸野亮淳住職、聖護院の宮城泰年門主、無礙光院の阪口慈航住職、法華寺の杉若恵亮住職、大輪院の石田日孝住職や三千院問跡の小堀光詮門主、五十嵐隆明永観堂八十八世の各氏と、五つのキリスト教会の牧師さんから作品を頂くことが出来た。取り組みは、京都以外にも広がり、滋賀県や広島、福岡、三重、福島の各県や東京都の宗教者の方からも作品を頂いた。最初は、「何を書けばいいのでしょうか」という声もあったが、皆さん、命と生き続けられる地球をこれからもずっと、の思いを作品に表わしてくれた。本当にありがとうございます。なお、作品は8月以降も他の会場で展示が予定されている。
私たちは「温暖化防止」という日本改革を進める上ためには、これまでとは比較にならない市民や企業、様々なパートの参加が必要と考えている。今回の取り組みは、初歩的でもその可能性を示してくれた。この動きを、12月のCOP15に向けて、さらに広げていきたい。
(次に続く)
   



 
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瓜生山のナラ枯れ

2009年07月27日 | ナラ枯れ
瓜生ウォーカーさんからメイルをいただきました。
「久しぶりに瓜生山中腹から眺めました。
カシノナガキクイムシの被害はものすごい勢いです。
今伐採している斜面の対面側にも被害が拡大しています」
現在、伐採作業中かどうか、伺いましたら
今、まさに作業中とのこと
作業そのものが遅すぎて、これでは効果が無くなります。
写真は、吉田山からの遠望ですが、
天気が悪く、判りづらいですね。

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京都のスコール

2009年07月26日 | 地球温暖化
「スコール=熱帯地方の豪雨」
京都も、毎日毎日蒸し暑く、
決して夕立などでない、「スコール」がやって来る。
「北山時雨」など、昔の話かも知れない。
これからは、「東山のスコール」だ。
雨脚は、タイのスコールのように激しく
しかも、雨上がりは、スカッと晴れず蒸し暑い。
そう言えば、先日インドネシアの人が
「京都は蒸し暑いです」と言っていたが
そうなんだろう。
毎日、石垣島のような朝だ。
西表は、スコールが来ても、雨上がりの風は気持ちよかった。
京都は盆地、
湿り気はたっぷりこもる。
人は「底冷え」で鍛えられたかもしれないが
これからは、この湿気で鍛えられるか?
これだけ蒸すと、吉田山でもシュロがぐんぐん伸びるのがよくわかる。
コナラの後は、アラカシとシュロの山になるか。
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吉田山でのナラ枯れー枯死木

2009年07月25日 | ナラ枯れ
吉田山全域での「ナラ枯れ」枯死木の、現状での把握を行った。
7月20日付の記事「ものすごい事態」の一部を訂正した。
枯死木16本とその前兆5本と書いたが、
この時点で、これらの総数が16本。
歩きながらの掌握だったので、ダブルカウントしたものがあった。
個々に確認してきたが、
すべて今年の新・被害木で
6月下旬、または7月上旬にアタックが始まり、今に至る間で枯死している。
本数は、枯死木9本、半枯れ9本で合計18本
7月19日には見つかられなかった枯死木1本が入っている。
半枯れの中には、上部がすべて枯れたり
三分の二枯れているものも含まれているので
枯死木はさらに増えそう。
写真は、19日の作業の様子だが
地面を見ていただくと
大量に緑の葉が落葉しているのがよく判ると思う。
コナラの防御反応だと思う。
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鉄連会長が、民主の「中期目標」批判

2009年07月24日 | 地球温暖化
22日、日本鉄鋼連盟会長(新日鉄-宗岡正二会長)が
民主党の温室効果ガス排出の「中期目標」(90年比マイナス25%)を批判、
との記事が「朝日」(23日)に載っている。
結局、新政権はこうした財界の圧力に耐えられるかどうか。
鉄鋼連盟は、90年比プラス4%だそうだが、
9月以降は、こうした守旧派との力比べとなるし、
民主党も、「本格的な日本改革」の任に耐えうる党か、問われることになる。
まさしく、歴史の溶鉱炉が、すべてを燃焼させ、それを鍛えていく。
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”自民党おろし”選挙

2009年07月23日 | 日本ウォッチ
「毎日」が「政権選択へ衆院解散・総選挙」の3氏座談会を組んでいる。
御厨貴氏が「(今回の総選挙)、とにかく(自民党の)長老とか
テレビで威張っている人が落ちたところを見てみたいというのが結構ある」と話しているが、その通りで、
これは、うねりとなっている。
「毎日の政治ニュースが一番の楽しみ」
「あの人の落ちた姿を見てみたいんですわー」
こんな談義が賑やかで
「とにかく一度、落ちてください」
今まで政治の話などしなかった人が
いきいきと話している。
政治ニュースの楽しさとは、
今まで偉そうにしていた人が
完全に落ち目の自民党船の中で
バタバタしている姿が、いかにも”身近”で
庶民は完全に自公政権より優位に立っている。
このスタンスで一票を行使するのが
今回の総選挙だろう。
この感覚は新鮮で、小泉ブームへの熱狂という
バブル時、踊らされてしまったあの感覚でなく
政治を自分たちの手で動かし始めている
この”覚醒”に近づいている。
今度の選挙、
有権者が、一丁やったろうと待ち構えている。

岩見隆夫氏の感覚は、このうねりから、ずれている。
情勢認識がずれているのだと思う。
「選挙後には何が起こる」とのテーマでいろいろ語られているが
今回の選挙の深層には
いわゆる、これまで語られてきたような、表層の「政権交代」とは異なる
大きな流れの変化が起こり始めている。
それは、表題にも書いたが、自民党政治そのものの交代に向かうもの
秤の支点は、自民か民主か、その表象的な均衡から
支点そのものを、ずらし始めている。
その方向は、単に「左」などというものでなく
自民党政治なるものの大転換に向かって動いている。
だからこそ、日本の「二大政党政治」なる人工的政治構造は
その”完成”を見ることなく
今回の総選挙で、崩れていくのではないか、と思う。

ちなみに、もう一つ、近所の井戸端会議で話題になったのは
共産党だ。
どうせ、民主政権は間違いない
こうした中、日本の政治の隠れた争点は
共産党が伸びるかどうか。
この話の中で、ニュースで流れていた
志位委員長の演説が話題になった。
「民主党政権にも、いいことは賛成、アカンことには反対
あれはいいですわ。建設的野党」
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温暖化防止ー出前学習会

2009年07月23日 | 地球温暖化
地球温暖化防止京都ネットが昨年からすすめて来た
「温暖化防止」”出前講座”
この7月で、53回となった。
3人集まれば学習会で
「温暖化防止と日本改革」を1時間程、語る。
宣伝してどんどん申し込みを、と企画したが
実際は、つながりでの「依頼」が9割
多くは10人から30人までの集まりで
質問も結構でるので面白い。
「気候保護法の署名運動をしたいが、
質問されたらちょっと答えられないので、来てほしい」
「エコ・産直クッキングで、昼食をとりながら、話題提供を」
「温暖化をテーマにした演説会」
「自治体の政策づくりで取り上げるので、報告を」
「弁護士会で温暖化問題に取り組むので、
自然への影響について報告を」など、
取り組みは昨年を上回るペースで広がっている。
私自身は、
3月以降、毎月3回程のぺースで学習会にうかがっているが、
温暖化対策のためには、日本政治と社会のどこを変えないといけないか
この認識は、確実に広がっている。

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温暖化対策ー各党に聞く

2009年07月22日 | 地球温暖化
市民討論会「温暖化対策 各党に聞く」を開催します。

以下、「開催要綱」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
地球温暖化防止をめぐっては、IPCC第4次報告書が指摘するように、世界の科学者の総意としてまさに緊急の対策を求めている。問題は、政治がこれに対してどのような結論をだすかというところにある。ことし12月、コペンハーゲンでCOP15が開催される。ここで「京都議定書」につづく国際的な取組の枠組みが議論になる。その成果が地球の未来を決めるといわれるように、きわめて重要な国際協議の場となる。
これにむけて「2050年、世界のCO2排出量の半減化」にむけて、国際交渉もヤマ場をむかえている。このようななかで、わが国の温暖化対策、とりわけ、CO2排出削減の中・長期目標の設定と、その達成にむけての具体的な対策がどのようなものになるのかが注目されている。これは、日本政府の課題であると同時に、日本の各政党の課題でもある。   
今回の市民討論会では、各党から、地球温暖化防止のために 
①、どのようなCO2削減の中・長期目標を設定するのか
②、その達成のためにどのような対策をとるのか
を明示してもらい、わが国の温暖化対策の確立にむけて率直な意見交換を行います。  
日時:2009年8月11日(火)午後7時から
場所:ハートピア京都4F第5会議室
―プログラムー
・趣旨説明
・各政党代表から政策提案
・意見交換             
(定員)50名<無料・参加自由>
主催:地球温暖化防止京都ネットワーク、気候ネットワーク
(連絡先:地球温暖化防止京都ネットワーク ℡075-251-1001 FAX251-1003)
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ナラ枯れーすごい事態

2009年07月20日 | ナラ枯れ
19日、午後1時半から
吉田山での、三回目の爪楊枝打ち込み作業を行った。
参加いただいた8名の皆さん、お疲れ様でした。
驚いたのは「枯死」の広がり
ざっと数えたところで16本が枯死、または、その前兆を見せている。
この1,2週間余りの中での激変で
昨年被害が広がった今出川からの登り道の上部と
東斜面で発生している。
個々の個体の細かい分析は出来ていないが
東斜面は、すべて今年の「新被害木」で
7月4日に発見したが打ち込みの手が回らず
昨日の作業となったもの。
枯死木は、18ほどの穴で枯死しかけているものや
100ほどのアタックで同様の状態になっているものなど
「ナラ菌」の感染力が強くなったのか?コナラが弱っているのか?
昨年も、アタックを大量に受ける前の「早めの対処」が必要だったが
今年もこれは当然変わらない。
今年はさらに被害木の”爆発”が予想されるので
こちらも爪楊枝打ち込みを行う人を思い切って増やすべしで
この間の取り組みとなっているのだが・・・
それにしても”ものすごい事態”で
吉田山から見える北白川瓜生山も
ざっと170本が確認できる。
絵としても白山などの写真と同じ様相で
こうして、一気に大量のコナラを失う事態は
今後、大きな問題になるだろう。
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地球温暖化と南北問題

2009年07月19日 | 地球温暖化
この間、これに関連しての動きとしては、
6月20日、気候ネットワークが行った
「温暖化防止市民シンポジウム」の
第二部パネルディスカッションがある。
この企画の表題は、
「持続可能な社会づくり
-地球温暖化と貧困、生物多様性の同時解決をめざして」で
世界の保健健康問題に取り組む「オックスファム・ジャパン」の山田太雲氏、
「AMネット」の神田浩史氏、
「WWFジャパン」の岡安直比氏の三氏が報告、
気候ネットワークの平田仁子氏と
CASAの早川光俊氏がコーディネーターを勤めた。
注目は、表題の
地球的レベルで起っている「温暖化問題」「生物の絶滅と環境の劣化の問題」「世界の人々の貧困問題・国際保健-弱者の健康と命が守られない問題」などの
”同時的解決”というコンセプト
これらについて、個々バラバラの問題でなく、
共通性があり、この「同時解決」というコンセプトが必要と強調された。
岡安氏は「生物多様性の保全」問題では、
「生物を守ろうでは済まなくなっている。地球一個分で人間が生活できるような社会の転換するためには、先進国(いわゆる高度に発達した資本主義国での生産のあり方の規制がどうしても必要)のあり方の抜本的転換が必要」と述べたが
ここに今回の企画の核心部分のひとつがある。

昨日のアタックの企画の問題意識も同様のものだった。
以下、榊原報告のレジュメです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地球温暖化/COP15と南北問題                       09.7.18 
地球温暖化防止京都ネットワーク代表委員
榊原義道
1、地球温暖化-気候変動による環境悪化の現状認識
①、桜前線の異常-08年の「サクラ前線」の“遅れ”の問題
・1.2月の低温と桜の開花―休眠打破(平均気温が3℃から9℃で起こる)の影響が減退
②、北山での異変、ナラ枯れの異常な進行と広がり
・花をつけても実にならない北山のブナ
・新型インフルエンザによる「パンデミック」をはるかに超えるナラ枯れ病の進行
ナラ枯れの異常-北白川瓜生山登山道での調査(榊原)
   コナラ226本中62%に病気が広がり、49本(21%)がナラ枯れで枯死
③、温度上昇という「環境破壊」―環境の土台に作用する
④、こうした環境劣化による結果の総体が、食料問題や新しい病気、水争い、気候災害などを生み出し、紛争の拡大や「破綻国家」の広がりにもリンクする
*地球温暖化被害と貧困
  サイクロンの襲来・巨大化と沿岸地域の居住区
  食料危機と貧困層
     
2、そもそもの「地球温暖化」の話
①、温室効果ガスが地球のオーバーの役割
②、「温暖化防止」とは、気温上昇を産業革命前から「2℃」以内に抑えること
・「後戻り出来ない変化」-自然の限界点に達する前に、危険を回避する
③、そのためには、現在出している温室効果ガスを50%以上削減する
・先進資本主義国では、80%以上の削減
・地球上での二酸化炭素の収支
  72億トンの排出のうち、22億トンが海に、9億トンが陸上の土や植物に吸収(43%)
  57%は“環境借金”として毎年、大気の中に蓄積
・現在排出している量の半分以上を削減しても、すぐに“涼しい地球”にはならない
④、早く減らせば減らすほど、被害を減らせる
・「中期目標」の意味と重要性/なるべく早く、ピークを迎える
・本格的削減へ-09年COP15の重要性-この数年間の政治的変化は決定的

3、地球温暖化防止と日本改革―何が問われてきているか?
①、地球温暖化防止と日本
・第一次期間(2008年から12年)の6%削減目標も達成できず(07年で+9%)
・なぜ、減らない?-気候ネットワークによる情報公開
日本の166の事業所で日本全体のCO2の50%を排出(8割以上は公共・産業部門)
大量排出する大企業の生産活動を変革するための規制を行わない―電力と鉄・・・
・きとんとした(義務づけられた)削減目標の設定でなく、「自主目標」に固執
・原発頼み(80%以上の稼働率めざす)が、「停止」続きで、石炭火力増える
  二酸化炭素の“濃い電気”と“薄い電気”
  CO2排出係数  中小水力を1とした場合
       石炭火力     88.6 (天然ガスの1.8倍)   
       石油火力     67.5
       太陽光       4.8
       風力        2.6 
・省エネの呼びかけや「新しい機器の購入」では、減らない!
②、ここにメスを入れる「日本改革」が求められる
・大企業からの放出の規制
  公的な協定を結び、確実に目標を達成してもらう
  排出量取引制度(キャップ&トレード)-毎年の削減目標を決め、達成できない時は罰金、または目標を達成した企業から達成分を購入する制度
・炭素税導入-人間生存に大きな影響を与える「温室効果ガス」の排出をタダにしない
・再生エネルギーの比率を大幅に増やす

③、従来型で、目先の利潤追求にしがみつく日本経団連と自民・公明政権
・2020年目標は、90年比で「+4%」を主張-「中期目標検討委員会」
④、世界の流れは、財界の生産活動のあり方の規制へ
「気候変動」阻止の立場から、現状への「規制」・ルールづくりが始まっている
  科学と政治をつなぐーEUや欧州諸国は「温暖化研究をめぐる科学の成果を早くから受け入れ、それを域内・国内対策づくりの土台とするとともに、国際交渉の際にも基本的足場とし論戦をリードしてきた」
・スターン報告(06年10月発表―「気候変動の経済学」)
 「気候変動は経済学に対して今までにない類の挑戦を迫っている。それは未だかって見られなかった、非常に深刻で広範囲に及ぶ市場の失敗である。」
 「このような投資が賢明に行われるならば、対処できる範囲のコストに抑えることができるだけでなく、さらに成長と発展の幅広い機会を得るチャンスとなる。」
・これまでの資本主義的生産においては、それが自然環境に与える環境破壊の負苛について、価格に反映されるものではなかった。しかし、人類の生産力の発展は、資本主義のもと、そうはいっておれない段階に到達、このもとで、「環境負荷」を価格に反映される仕組みを作って、規制する。―「炭素に価格をつける」
・「排出量取り引き」の仕組みを導入するEUやアメリカ
   アメリカでの仕組みづくり-新法案。イギリスの「気候変動法」成立
日本でも「気候保護法」づくりの運動が始まる
・「中期目標」設定の議論通じて、“ごまかせない事態”に突入

4、問われる社会的公正と「環境正義」
○G8サミットとMEF(主要経済国フォ-ラム)
・G8の「2度以内」「2050年世界全体で50%以上、先進国で80%以上の削減」
  科学に基づく「原則的主張」
・「2度以内」のMEF合意
・これらは、資本主義国での生産のあり方の規制に大きな力。人間が生き続けられる地球環境を保持するため重要な上限
○途上国の主張-インドは、2020年先進諸国は、1990年比で79.2%の削減(6月ボン会合)
意味-産業革命前からの先進諸国、途上国の排出量を、2020年で人口一人当たり同等とする
○最も、基本的な二つの問題が問われている
①、最も基本的なことは、「現在の市場は、生態学的な真実を語らない」こと
  市場は、気候変動コストを反映していない-資本主義的生産が、人類の地球上での持続的生存を脅かすようになった-共通する危機
②、「まず、加害者は先進国」であり、生きる権利は全ての国の国民に平等にある
○原則的に、紆余曲折があっても、この方向に進まざるを得ない
  意味-上記の、「抜本的な温暖化対策」の厳しい実施-この点からの生産活動の「規制」
○共通の危機に、「平等の思想」で対処する 
・「差異ある責任」が含む大資本の生産のあり方への規制
   敵視する日本経団連、電力・鉄鋼産業
・「環境破壊ドミノ」から破綻国家→地球文明的破綻へ波及する
求められるには、「援助」から「共同の対処」への移行
 「利潤第一」を最高の価値とする「資本主義の論理」とは、両立しないもの


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「ナラ枯れ」問題で、京都弁護士会公害対策・環境保全委員会が学習会

2009年07月16日 | ナラ枯れ
15日、京都弁護士会の公害対策・環境保全委員会が
「ナラ枯れ」問題で学習会を企画されました。
以下、榊原が報告したレジュメです。
関心ある方、ご覧ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京都弁護士会公害対策・環境保全委員会学習会での報告
京都の森で、何が起っているか
―ナラ枯れ被害の拡大と吉田山での爪楊枝を使った被害防止活動―
2009年7月15日 榊原義道

1、京都の森で何が起こっているか?
・ナラ枯れが止まらない―1991年以降の大江山からの「ナラ枯れ」の拡大が止まらない。
「1980年代までの間、散発的に山縣、新潟、福井、滋賀、兵庫、耕地、宮崎、鹿児島の各県で被害が報告されている。この頃の被害は比較的短期間で終息することが多く、また地域的にも現在のように広域への拡大が生じることはなかった。現在のような被害の拡大が継続するようになったのは、1980年代末以降のことである」(「ナラ枯れの被害をどう減らすか」―森林総合研究所関西支所)
・森での病気の広がりは、“新型インフルエンザ”の予測をはるかに超える広がり
 新型インフルエンザによるパンデミック-「予想」は、総人口の25%が罹患、0.5%が死亡
一方、コナラ(北白川)を見ても、被害率62%、致死率21%は異常な被害の広がり
北白川瓜生山での調査から―総数226本中、枯死木52本(ナラ枯れ原因が49本―21.6%)、
生被害木92本(40.7%)、被害なし82本(36.2%)
吉田山では東斜面や資材置き場西で、ほぼ100%に被害
コナラやミズナラなどの大量死が引き起こす環境破壊
・治山治水/生物の絶滅/景観/温暖化との関わりでは、「吸収源」が排出源になる

2、ナラ枯れとは・・・
・どんぐりの木にカシノナガキクイムシが穴を開け、その中で「ナラ菌」を育てる。この菌によって枯死すると言われている。
・「乾燥による影響」も観察されている

3、原因と対策
森林総研などが考える<原因と対策>
行政機関などは、「里山放置説」-里山に手が入れられなくなり、老齢木が放置されているから
・「大径木が被害を受けやすい」(森林総研関西支所12p)との説明
「今までの調査事例を通して、被害木は、樹齢が40~70年、直径の大きな木が株立ちになっている事例が多い」
・里山林も変化する中で引き起こされた現象
  「地球温暖化現象の影響も指摘されることがあるが、社会的要因を無視して環境要因のみを強調すると、『被害を減らすのは不可能』という結論に陥ってしまう」と、温暖化の影響については否定的
・里山林の放置は危険―更新が効果的―伐採が重要
国と京都府、京都市の対応
・枯死木の伐採が中心-伐採木は薬でくんじょう
・府(府研究者)は当初、「生被害木では、虫は死ぬ。中からは虫はでないので切るべきでない」
・現在、木の根元にスカートのように厚手の合成樹脂フィルムをはかす方法も一部採られている
・薬剤の樹木への注入

北山の自然と文化をまもる会の考え
・「里山放置説」については「疑問」を提起している
当初から、「なぜ、和歌山、鹿児島から北に広がらないか?」「なぜ、芦生で広がったか?」など疑問を提起
・実際の現場調査から-カシナガは「高齢の大径木を好んで繁殖」というが、実際の現場では、小径木などから広がる場合もあるし、被害発生から3、4年後の「局地的占領」期になれば、大小ほとんどどの木にアタックが行われる(吉田山のコナラの事例)
「カシナガは高齢の大径木で好んで繁殖し、1930年~50年代の報告にも『50年生以上の老齢樹に被害がでた』と書かれている」(森林総研12p)と、書かれているが・・・
被害木の全木調査(吉田山)から見える事例は、それとは異なる
・里山に「高齢な大径木が残っているから」被害が広がっているのでなく、別の要因で、カシノナガキクイムシの大量発生が起こっていることが、「甚大なナラ枯れ被害の拡大」を引き起こしている
・コナラとアラカシでの穿孔の違い(別紙)
  コナラとアラカシへのカシナガのアタックを比較した場合、励起ともいえる事態を生み出すコナラに対し、アラカシの場合は、何らかの抑制的傾向が見られる(07年の吉田山でのアタック木全木の隔日調査から)
・カシナガが大量発生できる「環境要因」として、温暖化による生息域の拡大、一方で樹木が温暖化によって受けるマイナスの影響の増大、さらに、それらと結びついて、カシナガがミズナラ・コナラなどと「接触」してしまったことが考えられる
・いずれにしても、ミズナラやコナラを大量に枯死させながら病気が広がっている状態は「異常」
人間界だけ、こうした病気と無縁でいられるかは疑問

4、爪楊枝打ち込みでナラ枯れを防止する取り組み
・出発点は、被害の先端地で、「生被害木」を残す行政のやり方では、止められない―申入れ
・「生被害木」について-府は「生被害木では、虫は死ぬ。中からは虫はでないので切るべきでない」-実際の観察とは違うことから、この点、繰り返し「申入れ」を行い、現在は「生被害木では虫が死ぬので、出ない」との「見解」は語られないようになった。
・東山でのボランティアの呼びかけ-06年、07年、08年、09年
・山科
・吉田山-06年、07年、08年、09年
   <被害木・枯死木の推移>
・07年、08年の吉田山での取り組みと生被害木・枯死木の推移
 被害木の総数 新しい被害木 枯死木  半枯れ  枯死率
06年   8     8     1          0    12.5%
07年   35    30     2(別要因1)   2     6.6%
08年  152    121     3         3     2.5%
09年        100
*北白川瓜生山登山道付近のナラ枯れ被害地
(06年に爪楊枝打ち込みを行ったが、07年、08年と放置されている場所)との比較
-被害木の総数(144本)、内枯死木(49本)-被害木に対する枯死率は34.0%
・カシナガの侵入を受けても、枯死を防ぎ、虫と木の力を借りて森を守る
 06年から07年の「前年被害木」の翌年の状況(表1)
 7年から08年の「前年被害木」についても、同様の状況が出ている
前年、比較的早い時期から大量アタックを受けたコナラは、翌年アタックが少ない
前年、遅れて少量のアタックしか受けなかったコナラは、翌年早期からアタックが普通に行われる
 一昨年被害木S6の場合-一昨年、一定量のアタックがあり、昨年はほとんどアタックがなかったが、今夏、240ほどの穿孔がある。観察中。
5、今後の取り組み
○吉田山-7月19日(午後1時半:吉田山山頂公園トイレ前集合)
○東山-9月27日(午前10時将軍塚駐車場集合)
○山科、吉田山-同日(午後1時から)
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非法則的変化と「政変」

2009年07月14日 | 日本ウォッチ
13日、各紙は、民主旋風第一党、都議選で自公過半数割れ
麻生降ろし「加速」、「激化」、「拡大」などと書いたが
今日は、首相側「麻生降ろし早く封印、
首相奇策ー解散予告。総選挙は8月30日」」(朝日)だそうだ。
首相側は「解散『14日にやる。絶対やるからな』」
しかし「気迫実らず」(読売)だったそうで、
14日を主張するのに対して、
自民党の首脳や盟友たちが「こん身の説得」(同)、
7月21日解散、8月30日投票に落ち着いたそうだ。
これは、首相側からの「打ち手」もオーソドックス
落ちつき具合もそれなりだが、
果たして変化はこんなに”法則的”か?
都議選の結果は、麻生降ろしというより
”自民党降ろし”の様相でなかったか?
こうした時、変化はカオス的となり
通常ではない事態を生み出す。
だから、柳の下の二匹目のドジョウを狙った
そのまんま劇場は開幕前に閉幕
「多くの国民は、自民党政権の交替を求めている」と
都議選大勝利の民主党は信じて疑わないが
本当は、政権交替でなく、
「自民党政治の転換」ではないか。
こうした情勢のもとで
変化は一見”非法則的”となる。
財界が望んだ「二大政党政治」は
二つの”大”があってこそだが、
でない事態となれば、
日本の政治は、新たな局面を迎えることになる。
その時、政治の争点は、
「自民党政治」全ての転換
これは、法則的変化だ。
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京都・オリックス水族館ー「開発構想」について、「市民縦覧」「意見募集」始まる

2009年07月13日 | 環境
8日、オリックス不動産が京都市に提出した「水族館と鉄道博物館」の「開発構想」について
京都市は「構想」の「市民縦覧」と「意見募集」を開始した。
期日はそれぞれ、「市民縦覧」が8月3日、
「意見募集」は8月10日までとなっている。
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地球温暖化防止演説会

2009年07月11日 | 地球温暖化
昨晩、京大会館で行われた
「地球温暖化防止演説会」で話してきた。
日本共産党京都左京地区委員会が企画したもので
地球温暖化防止と日本の政治選択を考える「初の屋内演説会」となった。
原俊史衆議院京都選挙区2区予定候補と、私が話した。
参加者は全部で10人
多いか少ないかというと
同地区の”力量”から言えば少ないが、
今回の取り組みは
参加者を募って、というよりも
「お知らせ」の立て看板を15本ほどを出しての取り組みだったので
よく来ていただけた、と思った。
Y紙の記者が来られていたが、
目のつけどころ、さすが
これまで、京都市長選挙や参議院選挙で
私たち、環境グループ主体の「地球温暖化防止演説会」は行ってきたが
一行政区の政治単位である地区委員会が
屋内の会場を借りて、
このテーマでの演説会にチャレンジしたのは
これも、”さすが”
このテーマで、各党もこうした企画をどんどん持ってほしい。
「地球温暖化と日本の政治選択」は
充分、総選挙の争点にすべき課題だ。
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