本日の「朝日(5面)」
「原発を原則40年で廃炉にする野田内閣の方針をめぐり、自民党内から異論が続出」とのこと
”40年は長すぎる”とかの異論?と読んでみたら、違う。
「『部品は定期的に交換されており、40年たったものを技術的に劣化しているとは断じがたい』(細田博之元官房長官)などの反対論が噴出」したそうだ。
今回の大地震で、福島第一原発がどう壊れたのか、まだ調査も検証もされていない。
地震列島は活性期、その真っ只中の日本
部品は新品でも、継ぎ目が各所で破壊されれば手がつけられないだろう。
40年でも長すぎるのに、
民主党の”脱原発依存”もボロボロと崩されていっている。
朝日一面には、「東電、06年に大津波想定」「福島第一『13.5mで全電源喪失』」の記事がある。東電は、06年、大津波に襲われた際の被害想定や対策費を見積もっていたことが内部資料でわかったそうで
「防潮堤建設に80億円」などと試算、
「資料は05年12月から06年3月の社内研修の一環でつくられ」「東電によると研修の報告会で発表」された。
こんな重要情報、幹部は知っていただろう。
日本国民の安全第一なら、こうした情報は早急に深く検討され、対策に万全をきすことになるのが”常識”だ。
「20mの津波から施設を守るには、5,6号機の周りだけで長さ1.5キロの防潮堤が必要で、80億円かかる」計算だったそうだが、
今回東電が、「絶対安全」を叫び続ける中で引き起こした事故の賠償を考えれば、安い。
しかし会社は、安全対策費をつぎ込まなかった。
京都大学教授の植田和弘さんは、2日の「朝日」で
「失敗から学んでいない」と、大飯原発「再稼動」を批判している。
「関電幹部は大飯原発を再稼動させたい理由について『夏場に電気が足りないから』とは決して言いません。『安全だから』動かすという風に言うんです。『足りないから』だと、暑い時期だけ一部の原発を動かせば済む話になる。そうじゃないんです。関電は全ての原発を動かしたい。その背後には経営の問題が透けて見えます」
「この夏を原発なしで乗り切れたら、原発不要論が強まるでしょう。『原子力を基幹電源として維持し、電力会社の経営を助けたい』。経済界から出ているそんな声に今、政府が懸命に応えようとしているようにしか見えません。他の原発も、こんな強引なやり方で次々に再稼動するのではと心配しています。でも、目先の利益のために安全を削るこうした構図こそ、あの原発事故の背景にあったのではないでしょうか」
「目先の利益のために安全を削る」
その通りで
自民党細田氏は「技術的に劣化」云々といっているが、
そこにあるのは東電や関電の会社経営が大事で、
それがつぶれるようでは何ともならないではないか、という議論だ。
ボロボロと”脱原発依存”を崩していっている民主党の議員の皆さんも、そこをよく考えていただきたい。
東電や関電の、現在の”原発死守の経営”を是とすれば、
”脱原発依存”などと言っても、結局”入”に戻ってしまうわけで、
それがこの間の民主党の
国民の圧倒的な支持を受けたにもかかわらず、現在の体たらくに至った過程ではなかったか。
東電や関電の”原発死守経営”が、私たち市民の安全や日本という国の持続と相容れなくなっているのは明らかだろう。
であれば、この「経営」を規制することが、運動上はもちろんだが
制度的仕組みとしても、政治的仕組みとしても、どうしても求められるのではないか。
共産党以外の政党も、本当に、ここに踏ん切りをつける必要がある。
この、目先の利益のために安全を削る資本主義的「経営」には、
絶対に「規制」が求められる。