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京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

「ハチはなぜ大量死したのか」と”貧困”

2009年05月29日 | 日本ウォッチ
「ハチはなぜ大量死したのか」を読んでいる。
この書は、ミツバチの大量失踪事件を追いながら
失踪の土台的な原因に、
「現在の資本主義的経済システム」があるのではないか?
議論は、後半、その疑問を提示し、深められていく。

228p「現在の経済システムを疑う」

ウェブスターの説明
「私は、健康のあらゆる要素、すなわち持続性、復元力、多様性、生産性が機能して発展できるようなシステムを設計しようとした。そのメカニズムが解明されているかいないかは問題ではなかった。自然は私たちを大きく超えた存在だ。自然のやり方を妨げないことが、私たちとミツバチの双方にとって、将来の鍵を握っている」

「私たちが自然の全てを理解することは、決してないだろう。けれども、自然の慈悲深い心配りと庇護の下で暮らし働くすべを学ぶことは出来る。かっては多くの人々がこうしてきた。今も将来も私たちに同じことが出来ないという理由はない。このように暮らすことは、私たちが今暮らしている略奪的で破壊的な経済システムから離れられるだけでなく、真の代替手段をも創造することになる。このような暮らし方をすれば、私たちはひきも切らずに自然を劣化させることをやめ、かえって自然の回復に貢献できるようになるのだ。」
「もちろん、こうするには長年にわたる貧困が伴う。だが、貧困とはいったいなんだろう?」…「通常、あるいは社会的に容認されうべき財産や所有物を欠いている状態」。「つまりこれは、経済システムという文脈の中だけに存在する概念だ。もし周りの人が持っているのと同じスニーカーやミニバンやステーキが買えなかったために、恥ずかしい思いをしたり、劣等感を感じたり、ただ単に悲しい思いをしたりするとすれば、貧困はほんとうに精神的・物理的苦痛になるかもしれない。けれども、人生の目標が『田舎にいて、農作、庭いじり、そしてとりわけミツバチを飼うことを中心にした快適な人生を送ること』にあるとしたら、貧困は、従来の健康的な暮らしにものすごく近いものに見えてくる」


「貧困」とは、こんな牧歌的なものと、チャゥでぇー
と、すぐ声を上げたくなるが
温暖化対策や世界的規模での社会変革には
ここで著者がいう
”貧困”や、一種の”我慢”が、間違いなく伴うのだろう。
資本主義的な農業が破綻する中で、
さらに資本主義的なやり方で農業の”再生”がはかれるか?
そうしたやり方でなく、ほんとうに「農業」を取り戻すには、
自然の声をしっかり聞く以外にないのだろう。
利潤の獲得、資本の増殖を最大目的とした資本主義的な生産が推し進められ
さらに「市場原理主義」の野放図が世界を吹き荒らした。
若者や労働者が仕事から排除され、
生きるための糧を得る機会さえ奪われている。
この資本主義的”発展”は、
資本の蓄積には大いに役立っただろうが
社会的生物としての人間は、社会的・自然的生物としての悲鳴を上げている。
これを、さらなる資本主義的”進化”で、再生できるか?
できないだろう。

自然の声にしっかり耳を傾けた社会は、発展のない”定常宇宙”ではなく、
自然も人も、そのものの力を引き出す新しい挑戦の社会だろう。
そして、それなしに、
人類の多くが持続的に生き続けて行けないのが、
21世紀の地球と人間の関係なのだと思う。




6月20日に「温暖化防止市民シンポジウム」

2009年05月28日 | 地球温暖化
気候ネットからのお知らせの掲載です。
少し話し手の組み合わせが変わって、面白そうです。
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温暖化防止市民シンポジウム
~コペンハーゲン合意に向けて~
特別講演:「温暖化防止-市民の責任と限界-」山根一眞氏

 今年12月、地球温暖化を防止するための枠組みや削減目標を決めていく重要な
会議がコペンハーゲンで開催されます。世界全体で温室効果ガスの大幅な削減に
向けた合意ができるかどうか、私たちの未来がこの会議にかかっているのです。
 今回のシンポジウムでは、私たちが未来に向けてあらたなステップを歩んでい
くために何ができるのかを考えるとともに、国際交渉の最新状況と日本のポジ
ションの報告、温暖化交渉の課題について議論します。

◆日時:6月20日(土)13:30~17:20

◆会場:京都商工会議所 会議室(京都市中京区)
   (京都市営地下鉄丸太町駅下車・6番出口すぐ)

◆参加費:会員 無料、一般500円

<プログラム(予定)>

1.特別講演:温暖化防止-市民の責任と限界
   山根一眞氏(ノンフィクション作家・獨協大学特任教授)
2.報  告:国際交渉の動向(仮)
   瀧口博明氏(環境省国際対策室長)
3.報  告:補助機関会合(SB)報告(仮)
   早川光俊氏(CASA)
4.ディスカッション:「持続可能な社会づくり~地球温暖化と貧困、
           生物多様性の同時解決をめざして」
  パネリスト(予定):山田太雲氏(オックスファム・ジャパン )
            神田浩史氏(AMネット)
            岡安直比氏(WWFジャパン) 他
  コーディネーター:平田仁子(気候ネットワーク)

【協力】:MAKE the RULE キャンペーン実行委員会
【主催・問合せ】:特定非営利活動法人 気候ネットワーク
         〒604-8124 京都市中京区高倉通四条上る高倉ビル305
         TEL:075-254-1011 FAX:075-254-1012 
         E-mail:kyoto@kikonet.org URL:http://www.kikonet.org/
 
<山根一眞氏プロフィール>

1947年東京生まれ。獨協大学外国語学部卒業。環境問題を中心に世界各地で取材
を続け、温暖化危機を訴える講演は500回を超える。イリオモテヤマネコなど野
生動物を通じて生物多様性を探る原点は取材15回のアマゾン。その活動によりブ
ラジルパラー州議会功労勲章を受章。1997年、環境を基軸とする産業革命環業革
命を提唱。週刊誌対談「メタルカラーの時代」は2007年8月まで約17年、およそ
800回続きモノつくり技術者の貴重な証言記録を残し、東京クリエーション大賞
で個人初の大賞を授賞した。また今年1月より日経ビジネス「メード・イン・
ジャパン~メタルカラーの輝き、再び~」で連載を開始した。その著作は20冊を
超えた。NHK総合テレビで通算7年間、ニュースキャスターも務めた。2007年「し
んかい6500」の第1000回記念潜航に同乗、驚きの深海生物世界を20以上のメディ
アで報告した。著書に『環業革命』(講談社、韓国語版化)、『メタルカラー烈
伝 鉄』『メタルカラー烈伝 トヨタ世界一時代の日本力』『メタルカラー烈伝
 温暖化クライシス』(小学館)、『賢者のデジタル』(マガジンハウス)など
多数。宇宙航空研究開発機構嘱託、福井県文化顧問、農水省生物多様性戦略委員
など政府関係委員を多数歴任。2005愛知万博愛知県館、国民文化祭2005福井、各
総合プロデューサー、日本生態系協会理事、日本文藝家協会会員。
山根一眞オフィシャルサイト=http://www.yamane-office.co.jp/

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このシンポジウムは、平成21年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の
助成を受けて開催いたします。
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定数削減?

2009年05月27日 | 日本ウォッチ
「共産党は消えてくれるのは結構だが、
衆院を300人にするという人たちは、公明党に行って許しを取ってこい」
本日付「朝日」が、森元首相の発言を載せている。
「衆院議員の定数削減に“真っ向から”異議を唱えた」と言うが、
これは“真っ向”からでなく、“斜め”だろう。

国会議員の定数削減が、またぞろ叫ばれている。
競って“国民受け”を狙っているかのように見えるが、
私たちは、その狙いをしっかりチェックする必要がある。
本当に“身を削る”なら、年間319億円の「政党助成金」だろう。

昨日の「読売」(4面)が
定数削減は、「(定数)300を軸に議論すべきだ。衆院選の比例を廃止すればいい」
という自民党太田誠一・前農相の発言を報じている。
森発言とともに、彼らの「定数削減」の本質が見えてくる。
比例を無くせば、国会から、共産党は、消えてなくなるので結構、ということか。

国会議員は、選挙で、国民の意思が正確に反映されてこその「人」であり、
それが代議制民主主義の土台だろう。
2005年の衆議院選挙結果を、単純に議席化(比例)してみた。
自民党-2588万票 190議席
民主党-2103万票 155議席
公明党-898万票  67議席
共産党-491万票  36議席
社民党-371万票  27議席
新党日本-164万票 12議席
国民新党-118万票  8議席
新党大地-43万票  3議席

代議制民主主義は、
本来、この国民の意思の反映を、有りのままに受け止める制度であり
決して、この議席配分を見て、
その“好き・嫌い”や、
共産党の議席が多いとか少ないとか、
“政権交代によい”とか“悪い”とかの理由をつけて、
歪めるべきものではないだろう。
しかし、今、日本の選挙制度は、
この「国民の意思の反映」を、大きく歪める方向に進もうとしている。

ノーマ・フィールド「小林多喜二-21世紀にどう読むか」(岩波新書)に、
次の一文があった。
「余談ですが、二大政党制が成熟した民主主義のあるべき姿、と都合のよい神話が罷り通ることによって、日本の議会政治が食らったダメージは無視できません」(9p)
彼女は、「党派性、政治と文学」の項で、このテーマの根源が、
大局的に見て、
過去も現在も、筋を通す共産党が存在し続けていることにある、と述べている。
一方、有権者(読者)にとっては、
「議席の減少-が本質的ダメさの証明のように見えてくる」ことも喝破し、
私たちにとって、重要なことを語ってくれた。

日本政治へのダメージは、国民の暮らしへのダメージとなっている。

「議員定数削減」は、
税金のムダづかいの削減でなく、
日本の「民主主義の大幅削減」になる危険性が大、これは、アカンだろう。





「ナラ枯れ」前線進行中ー「赤旗」新聞が取り上げ

2009年05月26日 | ナラ枯れ
25日付の「しんぶん赤旗」が、
全国で進行中の「ナラ枯れ」を3面で大きく取り上げた。
全般的な様子を書いてくれて
「爪楊枝」を使っての活動は、
詳しく触れる余裕は無い中
肝心な点を載せてくれた。
少し詳しい内容を、「ねっとわーく京都」の6月号に書いたので
関心ある方、読んでいただければ幸いです。
このブログにも
5月21日と22日に掲載しました。

今年の吉田山、
先日歩きましたが、
何となく木々が元気です。
特に、一昨年にアタックされ、昨年はしんどそうだった木が
今年は蘇っています。
こんな木を見ると、嬉しいですね。

温室効果ガス削減の中期目標ー「闘論」から

2009年05月23日 | 地球温暖化
23日付毎日新聞
上記テーマで、「新日本製鉄」副社長の進藤孝生氏が語っている。
冒頭の、
「中期目標は、今後十数年間の国民生活や企業活動を制約する重大な決定だ」
が、全てが語っている。
なぜ、「中期目標は、今後十数年間の世界や日本の人々の、
命や暮らしに関わる重大な決定だ」
から始まらないか?
なぜ、「大胆な中期目標の決定」が、
企業活動を「制約する」ばかりで、
これらを「リードする」ものにはならないのか?
新日鉄にとっては、相当大きな「制約」だろうが
もし、「大転換」が必要な情勢、と認識するなら
「転換」に踏み切る勇気と知恵が求められているのではないのか。
”これまではこうだったから”から脱却できなければ、新日鉄も敗北する。
麻生首相も、斉藤環境相も、
この短期間で歴史に名を残そうとするなら
「大胆な中期目標」を決め、世界に宣言することだ。

「爪楊枝で、ナラ枯れ防止」(下)ーねっとわーく京都の記事転載

2009年05月22日 | ナラ枯れ
京都の月刊誌「ねっとわーく京都」6月号に書いたものです。
昨日の続きです。
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「枯死」が大幅に減った

11月の時点では、まだ「現在進行中」だったので「途中経過」にとどめたが、カシナガによる新たな被害木の発生は、12月に“終了”した。
2009年、最初の作業は1月3日。その後、1、2月は、月に2度ほどの作業と観察を続けたが、この間に新たな被害木は見つかっていない。
この段階で、吉田山での06年からの新たな被害木と枯死木の推移をまとめた。

06年新被害木―8本 枯死木―1本
07年同-30本 枯死木-2本 半枯れ-2本 
08年同-121本 枯死木-3本 半枯れ-3本
*半枯れは、樹木全体は枯れていないが、幹の大枝の半分ほどが枯れていたりするもの。

この数字を見ると、爪楊枝打ち込みのこれまでの効果は、かなり明らかだ。2年目、3年目と新たな被害木は毎年4倍増の勢いだが、枯死木の増は大幅に抑えられた。「爪楊枝の打ち込みは効果がない」という論文もあったが、実際は“効果大”だと思う。そもそも、この「批判論文」では、ごくごく少ないサンプルが紹介されているだけで、取り組んでいる側から見ると、歯ごたえがない。ある関係者から、この論文が出た時に、「かなり良い(サンプルの)数字が出てますよ」と言われたが、その「表」の数字を見ると納得する。
吉田山では、コナラに打ち込んだ「全ての爪楊枝の数」と、内側からカシナガに掘り返され「再度打ち込んだ爪楊枝の数」を記録した。これを見ると、「1回だけ打ち込まれた爪楊枝の数」に対し、「再打ち込みの爪楊枝数」は、17.8%となっており、把握できた8割以上のカシナガは、初期の段階で、穴掘りに失敗したことになる。
*「1回だけ打ち込まれた爪楊枝」-カシノナガキクイムシは、幹に穴を開けた後、内部で坑道を広げてペアを形成、繁殖する。その際、ナラ菌を坑道内に植え付けエサにする。その時に、外部に、木屑やフンなどが「フラス」として排出される。「1回だけ打ち込まれた爪楊枝」の場合は、フラスの排出が行われておらず、カシナガがその後の繁殖に失敗したことを示している。
*「再打ち込みの爪楊枝」-この場合は、カシナガが坑道を広げ、内部で展開できる空間が出来ており、繁殖も成功している。カシナガは入り口にある爪楊枝が邪魔になり、それを逆に、内部から掘り返したり、横に穴を開けたりする。

再度、葉を出すコナラ

昨年の作業の中で、驚いたことがあった。雨は少なく、一方で、猛暑が森を襲っていた7月、カシナガの侵入をうけた、そんなに太くないコナラが、一気にその葉を変色させていった。爪楊枝処理は実施していたが、短期間での「枯死」は、少し脅威だった。もうすでに手遅れか。いったん「枯死木」に記録したのだが、その後、このコナラは、葉を落とし始めた。そして、しばらくすると、枝先に、新芽を付け始めた。
やがて、このコナラは、少し小ぶりの葉をそろえて、元気に復活を果たす。猛暑の中、木々は弱っていく。雨がほしいな、と思う。爪楊枝は、蒸散防止にも役立っていそうだ。

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*20日に新緑が出揃った吉田山を観察してきました。
この「復活のコナラ」は葉が少ないですが、元気そうでした。
一昨年被害にあい、昨年を乗り切った尾根の西側のコナラは
たいそう元気で、葉を思い切り広げていました。
一方で、展望台の南にあるコナラの大樹、
これは昨年、一番ひどいアタックを受けて危なかった木ですが
葉が少なく、見たところ”勢い”がなく心配。
しかし、じっと我慢の2009年なのかもしれません。



アオサギ おはよう

2009年05月22日 | 京都
今朝の通勤
鴨川べりを走っているとき
三条大橋の下で
アオサギに逢った。
石垣の上に立って
川面を眺めている。
「オハヨウ」と、声を掛けたら
25度ほど、こちらに顔を向けて
「何のよう」?

目が合って、
今日第一発の大笑い

「爪楊枝で、ナラ枯れ防止」 (上)

2009年05月21日 | ナラ枯れ
京都で発行されるユニークな月刊誌「ねっとわーく京都」
その6月号に「ナラ枯れ」について書きました。
編集部の了解もいただき
2回にわたって掲載します。

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爪楊枝で、コナラを「枯死」から守る
-08年、吉田山でのナラ枯れ防止活動
2009年4月16日 
北山の自然と文化をまもる会代表幹事 榊原義道
                              
「温暖化の影響で木々が枯死」

 先日、京都新聞(4月8日~12日)で、共同通信や地方紙による「環境異変」シリーズ第13部<変わる緑の姿>の短期連載があった。その5に、「変色するカナダの針葉樹」のレポートが掲載された(共同通信社、文・井田徹治)。紙面には、赤く染まる、カナダ・ブリティッシュコロンビア州南西部の針葉樹林の写真が紹介され、温暖化の影響で「明らかに過去のものとは異なる」森林の枯死が報告された。カナダ天然資源省のワーナー・カーツ氏は、「冬に気温が下がらず、虫(キクイムシ)が死ななくなったことに加え、夏の気温も高いので活動が活発になっている。温暖化が関係していると言っていい」と述べ、「枯死」は、森を、これまでの二酸化炭素の「吸収源」から「排出源」に変えている、と警告した。

「ナラ枯れ」続く、瓜生山

 3月、まだ芽吹きには早い瓜生山(左京区北白川)を訪ねた。この森では、06年にナラ枯れが発生し、「爪楊枝の打ち込み」も行われたが、その後は手が回らず、ほとんど自然の成り行きにまかされた場所だ。こうした所で、どのように被害が広がったのか、06年被害地周辺で、コナラを調べた。
06年被害地では、枯死は少なそうに見えた。しかし、谷筋を登っていくと、西側斜面に枯死木が連なっている。昨年の夏、吉田山から見た場所だ。コナラ1本1本に印を付けながら、幹周りを測定、一定エリアのコナラの全木調査をした。「被害が全くないもの」、「昨年の枯死木」、「枯死して既に伐採されたもの」、カシナガに穴を開けられているが枯れずに生きている「生被害木」、これらを記録していく。その後、分類した結果は、次のようなものだった。

コナラの総数-90本
うち、被害木は49本、
その中で、枯死木-22本、生被害木-27本(枯死木のうち3本は他の要因で枯れたと思われる)

54%のコナラが病気、21%が枯死

調査した箇所では、コナラの54%に「ナラ枯れ」の病気が広がり、その4割近く(38%)が死んでいる。死亡したコナラは、全コナラの21%。生き残っているのは、“現段階で46%”だ。ナラ枯れは、今年、さらに進み、枯死木の増加が予想されるので、この数字はさらに悪いものになるだろう。
「新型インフルエンザ」による「パンデミック」(人への爆発的感染)が心配されている。日本でこれが起こった場合、感染者3200万人(全人口の25%)、死者は64万人(感染者の2%、総人口の0.5%)と予想されている。これは大変な数字だが、コナラ世界での「ナラ枯れ」は、これ以上の規模だ。彼らにとって、「ナラ枯れ」は、「森のパンデミック」かも知れない。
カナダの森のように、同じ種類の針葉樹で覆われていれば、見た目にも、その衝撃は大きいが、日本の山は、落葉樹も常緑樹も、様々な木々が入り混じって、見た目には、それほどのものと判らない。しかし、森では、ミズナラやコナラなど、大量の木々が病気にかかり、死んでいる。地球温暖化は、人間にも新たな病気の感染を招く、と指摘されているが、「ナラ枯れ」と付き合って感じるのは、“人間だけ例外”は、決してありえない、ということだ。

「カシナガ被害対策検討会議」での報告

昨年11月4日、府林務事務所で「京都府カシナガ被害対策検討会議」が開かれた。この会議は、京都府や京都市など自治体、国(京都・大阪森林管理事務所)や研究機関、市民団体や企業の関係者が集まり「カシナガ防除対策」について意見交換するもので、「北山の自然と文化をまもる会」も、ここ2回、参加している。
会議では、「市民団体の取り組み概要報告」ということで、07年から08年にかけて吉田山で行ってきた「ナラ枯れ」防止活動について、簡単に報告した。
私たちの活動は、行政の対策の主流が「枯死木」伐採であるのに対して、「カシナガは、生被害木からも、かなりの数が繁殖・飛散する。ナラ枯れ防止には、枯死木だけでなく、生被害木への対応が不可欠」との考えで取り組んできており、「爪楊枝刺し」は、その柱になっている。
この作業は、当初の“ドンキホーテ的”な「爪楊枝刺し」から、いま、虫(カシナガ)と木の力を借りて、ナラ枯れを防止しようというものに発展してきている。当初の活動は、伐採されずに残る生被害木から、大量に発生するカシナガを、穴を埋めて妨害しようという“素朴”な思いから始まった。
7.8月の「爪楊枝刺し」は、こまめにやれば、カシナガのオスを大量に駆除し、その後、ペアを形成した段階での取り組みは、フラス(カシナガのペアが、樹木内の坑道をさらに延長する過程で排出される木の削りカスや糞など)の排出を邪魔することになる。
その後、「爪楊枝刺し」の位置づけは、上記の点とあわせて、樹木の「枯死防止」、カシナガと木の助けをかりて森を守る方法につながるのではないかと、その展望を広げつつある。
この間、吉田山では、全ての被害木についての継続的調査を行っており、この中で、「前年被害木」の翌年の状況(カシナガのアタックとの関係)が明らかになってきている。翌年のアタックは、前年被害木の状況(アタックの時期とアタック数)によって異なるが、「前年被害木」で早期から一定量のアタックを受けたものは、翌年、カシナガのアタックを殆ど受けなかったり、受けた個体でも大量のアタックには至らない傾向が明らかになった。これが「予防接種」のような効果を引き出さないか!被害木が「枯死」せずに生き残り、その後カシナガのアタックから免れれば、結果として森は生き残っていくことになる。これは、アタックを受けたコナラが大量に枯死しないことが、当然の前提になる。

(続く)

ほんとうにありがとう忌野清志郎

2009年05月19日 | 日本ウォッチ
19日付の毎日新聞夕刊に
よしもとばななさんが
「ほんとうにありがとう忌野清志郎」を書いている。
同じ団塊直後世代の夫婦は、
テーブルの向こうのテレビのコンサート映像を見ながら
首を傾げていたが
「思ったことすぐ実行する、うそをつかない生き方」
これができなくて、悔しくて悔しくて
悔しい思いをかみ締めてきた
ほんとうは自由を愛したい者にとって
清志郎が「救い」だったこと、よくわかる。
「こんなインチキな時代にインチキな大人を見て育ってきた私たちが、どんなに清志郎に救われてきたか。うそをつかない生き方をしながら作品を創ることが、どれだけ意味のあることか、教えてもらった」「私は…どんなに年を取っても、言ってることとやってることが違って読者をいやな気持ちにさせることは、絶対しません。嫌われたり、いやな人と思われても、正直でいます。そして、いつまでもバカみたいな自由を夢見続けます。…ほんとうにありがとう、清志郎。」(よしもとばなな)
ビビらず、突き抜ければいいと思う。
忌野清志郎さんの死をきっかけに噴出した
社会の、突き抜けようとする思いに、感激する。


地球温暖化防止へ向けた本格的な日本改革⑥

2009年05月17日 | 地球温暖化
京都の「人権連」の新聞で連載しているものの⑥です。
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地球温暖化防止へ向けた本格的な日本改革-⑥        
続・「中期目標」-内閣官房が開いた「意見交換会」             09.5.7

「地球温暖化の中期目標に関する意見交換会」

ズルズルと先送りされてきた日本の「中期目標」の確立。その決定に先立って、全国いくつかの都市で、「意見交換会」が開かれた。関西では、4月22日、大阪市中央区の国民会館武藤記念ホールで開かれたが、ホームページを見て参加したというある学生が「激しくて、びっくりしました」と言っていたように、一定の意図が、公然と現れた催しとなった。席はほとんど、背広姿の人で埋まり、発言では“大幅削減などもってのほか”というものが相次いだ。NGOの関係者は、事前に東京での同様の「懇談会」の様子を聞いていたので、驚きはまだ少なかったが、そうではなかった人には“びっくり”だったろう。ここには、地球温暖化対策だけでなく、日本の政治と社会、経済が直面する「転換」と、それを「逆転」させようという者の歴史上の交錯、その一断面が見られた。
「会」では、最初、内閣官房参事官の鎌形浩史氏が報告、その後、関西経済連合会と大阪商工会議所、
そして市民団体からはCASA(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の代表が発言し、あと、会場の「一般参加者からの意見」となった。「お一人様の発言は、2分(厳守)」とされ、司会者が前の三列で3人、後ろも三列で各一人ずつなどと、「発言を希望する人」を当てていった。

 続々と、「①がいいです」
 
 最初、発言では「①がいいです」、が相次いだ。①とは、内閣官房が説明した「中期目標の6つの選択肢」のうちの①。1990年と比較してCO2「増加」を認めたもので、「1990年比でプラス4%」-「努力継続ケース」と命名されたものだ。これはズバリ言えば「京都議定書つぶし」、京都議定書は現段階でも認めないという宣言で、発表時、「いくらなんでも」とひんしゅくをかったものだったが、あえてこれを提示し、「賛成意見」を続出させたところに、彼らの明確な意図がある。
発言者は、名前と所属を述べてから話すルールなので、①案支持者は、ある意味、所属が判りやすかった。地域名だけの人は不明だが、はっきり判ったのは「関西電力」「関西電力労働組合」「関経連」「住友金属」などの大量排出企業関係者だった。一方で「日本は不当な外国の圧力に屈するな」という傾向の発言もあった。
「①支持」発言が続くので、”なるほど、こうゆう会議だったのか?”とあきれかけ、これはいくら手を上げても当たらないかと思ったが、それでも挙手し続けると、途中で、発言が当たった。最前列に座っていたので、後ろを向いて、参加者全員に話すつもりで、2点、簡潔に意見を述べてきた。

致命的欠陥商品-「中期目標検討委員会の分析結果の概要」

最初の説明で鎌形氏は、「地球温暖化対策の中期目標について-『中期目標検討委員会』の分析結果の概要」という10Pの冊子を使って説明した。この資料は、インターネットなどで簡単に手に入るので、直接見たい方はそちらをあたってほしいが、この柱は、簡単に言えば、「同じ資本主義国どうし、経済への“負担(率)”は平等で行きましょう」、国民と企業は、「地球温暖化対策にかかる経済的負担、国民の暮らしへの負担との関わりで、今、取るべき政策を選択しましょう」というもので、日本の財界(電力業界や鉄鋼など)に都合がよくなるように組み立てられている。
「懇談会」で述べた批判の1は、「中期目標検討委員会」の「経済への影響の分析②」について。この特徴は、「経済への影響の分析」というが、「温暖化」による環境破壊が引き起こす「暮らしや経済への影響」の分析が全く欠如していること。7Pには、「光熱費負担」がどうなるかは書いてあるが、温暖化による、例えば、災害の増加、これによる国民の経済的負担の増加などは全く書かれていない。そもそも「負担増」について真剣に比較検討するのなら、温暖化防止に真剣に取り組まない場合、日本経済や企業、国民はどれほどの被害を受けるのか。一方、それと比べて、地球温暖化対策に十分力を込めて政策を進めた場合、企業や国民の負担はどれほどのものか、直ちに着手する場合と対策を先延ばしした場合との比較はどれほど違いが出るか。これらを比べることによって、企業も国民も、初めて「地球温暖化政策」の選択が経済的にも可能となる。これを全く示さず、「温暖化対策」が負担増だけを強いるもののように描くことは、全くのアンフェアであり、ミスリードで、これでは、まともな「地球温暖化対策」の検討にならず、「地球温暖化対策」への『対策』でしかない。
質問に鎌形氏は、日本の排出量の増減とのかかわりだけでは、それに基づく「被害予測」は出しにくいと言われたが、この対比は、日本の目標と連動させなくても、世界の排出削減が2020年で+4%の場合、+-0%、-7%、-15%、-25%の場合の日本経済・企業と国民の被害予測と経済的打撃を数量化し、「世界的に温室効果ガスの大幅削減の必要性」を明らかにするだけでも十分な力を持つ。こうした議論の土台を設定せずに、恣意的計算で「日本では二酸化炭素などを大きく削減すると企業も国民も経済的負担が増える」と宣伝し、この方向を国民に強硬に押し付けようとしているところに、今回の「中期目標」検討の致命的欠陥がある。
(次号に続く)























地球温暖化と民主党代表選挙

2009年05月15日 | 地球温暖化
googleで<鳩山 地球温暖化>と<岡田 地球温暖化>を検索した。
<鳩山由紀夫氏>・・・意欲的な言及がほとんどない。
4番目に「鳩山邦夫!のエコトーク」が出てくる。
3番目に、民主党代表として「アメリカの京都議定書からの離脱に強く抗議~鳩山代表が談話が出てくるが、これは”党の仕事”だ。
<岡田克也氏>・・・岡田かつやHPの後に、
国会での「地球温暖化」問題での質問が続く。
鳩山氏と比べ、意欲の違いは明らか。
「次の首相になるかもしれない人の選挙」などと言われるが、
鳩山氏に意欲が感じられないのは、いかがなものか。
岡田氏は、この間、日本の温暖化対策を進める上で
長期的な視野に立てない経団連のあり方を批判している。
日本の財界が、科学を学ばず
世界の動きにも取り残される
何よりも、地球温暖化の危機を正面から受け止められない事態を
国民の世論と運動、政治が克服していかなくてはならない。
この点から言えば、
小沢氏辞任の「原因」である企業献金問題は
民主党の本質的な問題であり
この「禁止」の行方を、注視していきたい。

カシナガ駆除ー行動日

2009年05月11日 | ナラ枯れ

6月以降の東山と山科での行動日が決まりました。
以下、お知らせビラを貼り付けます。
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ナラ枯れをくいとめようーご協力をお願いします
6月28日(日曜日)
7月12日(日曜日)
9月27日(日曜日)

東山・将軍塚 10:00 将軍塚駐車場集合
山科・封じ山 13:00地下鉄御陵(みささぎ)駅
    三条通④番出入口集合

山科・封じ山でのカシナガ駆除についての
連絡・問合せは、やましな山の会自然保護部へ。
今後は上記の日程でカシナガ駆除を行います。ご協力ください。

4月12日(日)は天気にも恵まれ15人が参加されました。主原さんの
話では、将軍塚については枯死木が20本台に減少したそうです。
今年の活動成果を見て来年には封じ込め成功宣言が
できるかもしれないそうです。
 ねっとわーく京都6月号に、
榊原さんが『爪楊枝で、コナラを「枯死」から守る
ー08年、吉田山でのナラ枯れ防止活動ー』というレポートを
書かれています。
興味のある方はファックスか郵送なら送れますので
ご一報ください。

共催:北山の自然と文化をまもる会 &
 いいまちねっと東山&
 京都府勤労者山岳連連盟・自然保護委員会
 連絡先:榊原or前田

温暖化対策の中期目標についての意見

2009年05月07日 | 地球温暖化
「地球温暖化の中期目標」について

日本政府は、この6月、地球温暖化対策にかかる「中期目標」を
決定しようとしているが、
これに先駆けて、「パブリックコメント」を募集している。
ぜひとも、積極的な目標決定を望みたい。
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以下、5月7日に提出した意見

○日本が掲げる目標は、1990年比で、
2020年に25%を超えて、30%以上を求めます。

大阪の「懇談会」に出席しました。説明者は、「地球温暖化対策の中期目標について-『中期目標検討委員会』の分析結果の概要」の冊子を使って説明しましたが、その柱は、簡単に言えば、「同じ資本主義国どうし、経済への“負担(率)”は平等で行きましょう」、国民と企業は、「地球温暖化対策にかかる経済的負担、国民の暮らしへの負担との関わりで、今、取るべき政策を選択しましょう」というものだったと思います。
こうした側面からアプローチするとしても、この「分析」は、地球環境を、多くの人々が引き続き生存可能な状況に保つという一番大きな獲得目標を実現する点で、またそれをフェアに示すと言う点で、根本的欠陥を持っています。
「経済への影響の分析」と言いますが、ここには、「光熱費負担」がどうなるかは書いてあるが、「温暖化」による環境破壊が引き起こす「暮らしや経済への影響」の分析、例えば、温暖化による災害の増加、これによる国民の経済的負担の増加などは全く書かれていません。
そもそも「負担増」について真剣に比較検討するのなら、温暖化防止に真剣に取り組まない場合、日本経済や企業、国民はどれほどの被害を受けるのか。一方、それと比べて、地球温暖化対策に十分力を込めて政策を進めた場合、企業や国民の負担はどれほどのものか、直ちに着手する場合と対策を先延ばしした場合との比較はどれほど違いが出るか。これらを比べることによって、企業も国民も、初めて「地球温暖化政策」の選択が経済的にも可能となるのではないでしょうか。これを全く示さず、「温暖化対策」が負担増だけを強いるもののように描くことは、アンフェアであり、ミスリードで、これでは、まともな「地球温暖化対策」の検討になりません。
質問に対して説明者は、日本の排出量の増減とのかかわりだけでは、それに基づく「被害予測」は出しにくいと言われましたが、この対比は、日本の目標と連動させなくても、世界の排出削減が2020年で+4%の場合、+-0%、-7%、-15%、-25%の場合の日本経済・企業と国民の被害予測と経済的打撃を数量化し、「世界的に温室効果ガスの大幅削減の必要性」を明らかにするだけでも十分な力を持つと思います。こうした議論の土台を設定せずに、一方的に「日本では二酸化炭素などを大きく削減すると企業も国民も経済的負担が増える」と宣伝するのでは、本格的な地球温暖化対策は進みません。この「中期目標」検討の致命的欠陥を改めて、2020年までの温室効果ガスの大幅削減の軌道を引きなおしていただきたいと考えます。

























瓜生山、ナラ枯れの状況

2009年05月07日 | ナラ枯れ
この連休、京都市左京区の北白川瓜生山を歩いてきた。
と言っても、南北200メートル程の尾根周辺を
3時間程歩き回っていただけで
登山口から最初のこぶまで
西斜面の全コナラの被害状況を調べた。
07年には、入り口の被害地しか見ていなかったが
こぶの西側の谷にはさらに被害が集中しており、
伐採処理後の切り株が沢山残っていた。
調べた「全コナラ」は226本、
被害がなかったものが82本(36.2%)
生被害木は92本(40.7%)
こぶ近くが新しい。
枯死木は、切り株も含め52本、
うち、ナラ枯れでの枯死は49本。
全体の62.3%が病気になり、
全コナラの21.6%が死んでいる。
調査中にお会いした、北白川にお住みのTさんから
更に奥の状況をメイルで知らせていただいた。
「被害木は(瓜生)山頂南西直下と東方直下と
比叡アルプスへの取り付けの小尾根に被害木がありますが、
枯死木はありませんでした」
今度登る時には、爪楊枝を打っていただけるとのことだった。