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京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

「歴史の中の大地動乱」から

2015年07月01日 | 大地動乱の時代
「歴史の中の大地動乱」(岩波新書)を再読しているが
「今」と比べて”面白い”。
「東北アジアを共通して襲ったの自然災害は地震・噴火のみではなかった。より直接的な影響をあたえたのは、むしろ七世紀後半から顕著になった中世温暖期だった。これが東北アジアに、気候不順、特に大規模な旱魃をもたらした」
飛鳥時代の寒冷な気候(大化改心寒冷期)から奈良・平安時代の中世期温暖期では平均気温が4度ほど上昇した。
この影響についての歴史学からの研究はまだ十分ではないそうだが、
「日本の『続日本記』、韓半島の『三国史記』を読めば、ひとしなみに旱魃・飢饉が多かったことは一目瞭然である」
「W・ファリスは723年の大旱魃とそれに伴う疫病の流行によって、日本の全人口の3割近くが死亡したと推計している。これはにわかに信じがたいものの、この年の旱魃によって、和泉・讃岐・淡路・紀伊・大和・河内、さらには遠江・阿波などの諸国で、飢饉が発生した。この飢饉は一時おさまったものの、しばらくして再燃し、そこに九州から流行しはじめた天然痘が重なって、全国各地で多数の死者を出した」
この天然痘(裳痩・もがき)は「唐鬼」と呼ばれたそうで、外国からの侵入が示唆されている。

「七世紀は・・・いわゆる『大化改新』から『壬申の乱』、つまり中大兄皇子(天智)のクーデター事件と、その弟の大海人皇子(天武)の反乱事件が、日本の国家史の中で大きな画期をなしていることはよく知られている。ただ、この時期の国家が、東北アジアを襲った『大地動乱・温暖化・パンデミック』という自然条件に直面したことは、これまでの歴史学では十分に考慮されてこなかった」
「まず指摘しておきたいのは『随書』倭国伝に載せられた阿蘇山の記事である。そこには阿蘇山の厳石から火が立ち上り、天に接している。人々はこれを神異のことと見て『禱祭』を行っているとある」

本日の「毎日」に井口正人さん(京都大学防災研究所火山活動センター長)のインタビューが載っているが
御嶽山も口永良部島の新岳も、阿蘇山も、浅間山も箱根山も
「大地動乱」を感じざるを得ない。
井口氏は「巨大噴火全体への国としての対策が必要」と強調されているが、本当にそうだと思う。


長野北部地震と「大地変動の時代」

2014年11月27日 | 大地動乱の時代
25日「読売」で、産業技術総合研究所客員研究員の寒川旭さんがコメントしている。
「ひずみ残った可能性」あり、と

「歴史地震の専門家の間では、この断層帯(糸魚川-静岡構造線断層。今回の地震はこの北端部が活動して起こった)は、奈良時代の762年、北部から中部の複数の断層が動いてM8級の大地震を起こしたという説が有力だ」
「その後は1200年以上も大きな地震が起きておらず、ひずみのエネルギーが相当たまっていた。今回の地震はM6.7で、M8級に比べるとエネルギーは数十分の一だから、解放されずに残っているひずみがまだあるはず」
「今回の地震が引き金となって近い将来、より大きな地震が起きる恐れは否定できず、警戒を続けていく必要がある」と
この間の地震学は、「過去100年ほどの近代的な観測に基づく解析や理論の構築が主流で、古文書や遺跡の痕跡などを手掛かりとする歴史地震学は軽視されがちだった」
だが、自然の長い営みの中では、100年などはごく短い期間
だから、数千年の視野を持って、今をちゃんと見つめなさい!
というのが寒川さんの警告だ。
さらに大きく動く時代は、富士山が動く。

京都大学の鎌田浩毅さんの「図解ー地震と火山」というのを読んでいる。
写真がいっぱいでわかりやすい本だ。
鎌田さんは、「はじめに」で
「『3.11』は過去1000年に一回発生するかどうかという、非常に稀な巨大災害だった」
「データを解析すると、・・・その『地殻変動』はまだ終わっていないことがわかる。むしろ、日本列島は地震と噴火の『活動期』に入り、今後の数十年に渡って様々なタイプの自然災害が予想される」
「例えば、巨大地震が富士山などの噴火を誘発することが、過去の歴史から判明している。実は、東日本大震災以後のわが国は、『いつ、どこで地震と噴火が起きてもおかしくない』活動期に入ってしまった。すなわち、1000年ぶりの『大地変動の時代』が日本で始まった・・・」
だから、
「知は力」
地球科学をちゃんと知って、それを活用し「日本列島の上で命と財産を守ろう!」と鎌田さんは訴える。
これに、日本の政治も企業も、対応してるの?

今日の各紙一面に
「高浜40年原発特別点検」「関電表明、来春延長申請は初実施」(京都)の記事
「関電、黒字へ皮算用」(毎日)
さらに脆さをました「40年原発」さえ動かそうとする関電
そうすれば「「赤字脱却」「月180億円収益見込み」ですか?

いつ、どこで大地震や火山噴火が起こるかもしれないこの時代に
福島第一原発事故の原因も解明されないまま
原発炊いて突っ込もうとは、狂気の沙汰
川内でも高浜でも
警告聞かず、大事故引き起こして
安倍首相も八木社長も、どうして責任とれますか?
原発は必ずジコります。しかも、大事故は必ず起こります。
なぜか?もう、すでに時々起きたから。
それに増して「大地変動の1000年ぶりの時代」です。

事故が起こったら、また「想定外」?
「1000年に一度なんて、わかりませーん…?」と
安倍首相は、学習していません。この人に日本の政治のかじ取りを任すことが間違ってます。
八木社長は、日本国民の命や暮らしより「関電の黒字」です。
政治を変える市民の圧力は、選挙です。

村井俊治・東大名誉教授の「異常変動全国マップ」

2014年10月01日 | 大地動乱の時代
どこかで書こうと思って、「週刊ポスト9-19・26号」を買ってたのに、なかなか書けなかった。
昨日、知り合いの喫茶店のママさんと店先で世間話
はなから、「村井さんの信じます?」
メルマガは購読していないそうだが、ネットで「地震予知」に注目しているそうだ。

村井俊治・東大名誉教授の仕事の仕方、発信に私も注目している。
こうゆう活動の仕方、好きだ。

国土地理院が、94年から各地のGPSデータを測定するために配備した「電子基準点」(日本全国1300か所。誤差わずか数ミリの観測精度)
このデータの変動と実際に起こった地震を比べ、「関係がある」とにらんで(見抜いて)
データ収集を粘り強く行いながら、地震発生の危険性を自ら発信している。

村井氏「これほど緻密なGPS網が国土をカバーしているのは世界でも日本だけです。私はこのデータを地震予測に活かせないかと考えた。そこで00年から07年に起きたマグニチュード6以上の地震162件のすべてのGPSデータの追跡調査を行った。結果、基準点では地震の前に明らかな前兆現象があるということに気づいたのです」
前兆現象とは「土地の微小な変動」
「具体的には、1週間単位の短い期間の間に、電子基準点にどれだけの上下動があったかを調査する。4センチ以上の変動があった場合を『警戒ライン』とし、過去の地震前に起きていた変動パターンと比較した上で、地震発生の可能性を指摘する」

日本の大地は、「大地動乱の時代」には、当然ぶよぶよと動く。
それをつぶさに調べ、実際に発生した地震と比較
大地のくせをそこに見る見方は、ぴったしカンカンといかなくても、道理がある。

その村井さんの最近の指摘は
「(今年)7月6日以降、日本全国で異常変動が起きている。何週にもわたって、これだけ広範囲かつ大規模な動きが見られるのは、3年前の東日本大震災以来初めて。地震が起こる場所を一点に絞るわけにはいかないが・・・」と

村井さんが異常変動を分析した結果「半年以内に震度5以上の地震が起こる可能性が高い地域は4つのエリアに絞られる」

①、南海・東南海
「7月6日の週から、淡路島周辺や四国東部、紀伊半島で異常変動が見られ始めた。・・・4センチ以上の変動まで含めると四国全体から日向灘を挟んだ対岸の宮崎県まで広がっています。現在はエネルギーをため込んでいる状態かもしれません」

②、首都圏・東海
静岡県・神奈川県に異常変動が集中しているが、伊豆諸島にも異常変動点が連なっていることに注目
「父島・母島まで異常変動の範囲が延びてきたことで、大地震の可能性はより高まっている。・・・この中央部に位置する伊豆大島近海には特に警戒が必要」と
ここで地震が起きれば、首都圏への影響も非常に大きいと

③、飛騨・甲信越・北関東

④、九州・南西諸島

大きな地震、ホントに近づいているなぁと思う。
わさわさしている感じ。6弱が来たら、直前?
「浜岡原発が割れる」なんて、安倍政権は“想定”していないが、
それが起こったのが「福島」
何度も何度も、偶然は助けてくれない





榛名山の噴火と「よろい着た人」の骨、見つかる

2012年12月11日 | 大地動乱の時代
昨日から今日の各紙で、「よろい着た人骨」の発掘記事が掲載されている。
群馬県「渋川市の金井東裏遺跡で、6世紀初頭の火山灰の地層から鎧を身に着けた成人男性の人骨が見つかった」(毎日)
本人は「榛名山の方向を向き、膝を折った状態でうつぶせに倒れていたことから、・・・『火山から逃げようとしたのではなく、山の怒りを鎮めるため、鎧を着て儀式を執り行っていた可能性もある』と同県埋蔵文化財調査事業団は推測する。

少し前に読んだ「歴史の中の大地動乱」には
当時、大地震や火山噴火に直面し
国と民衆の一大事と尽力する権力者たちの姿が記されているが、
”神の怒りを鎮める”のに必死な様が伝わってきた。
現在の政権や政治家よりも真剣に対処していると思った。

今回の姿は、それを想起させた。

「歴史のなかの大地動乱」メモ

2012年09月19日 | 大地動乱の時代
「歴史のなかの大地動乱」(保立道久)を読んだ。

保立氏は「かぐや姫と王権復活」を執筆する中で、
「この時期の地震・噴火についての文献史料が豊かな内容をもっている事、にもかかわらず、ほとんど研究が行われていない」ことを知り、
3,11の大地動乱を経験する。
この過程で
「この時期の地震・噴火を、国家・王権の対応を含めて説明することは、歴学者の責務」と強く考えたそうだ。
そして本書を執筆する。

本書の構成について(はじめに)
「まず、8,9世紀の地震・噴火を、一つ一つ、その時代背景を含めて説明する」
ここでは、当時の天皇たちの大地震への対応に「この時代の王権の本質にかかわる諸問題が現れている」と

もう一つ注目してほしいこととして、著者は、
「第4章神話の神々から祟り神へで日本神話の本質について論じた」点
「これまで8.9世紀の地震・噴火史料に残る神話意識については注意されてこなかったが、当時の人々が地震や噴火について神話の文脈から考えていたことは疑いなく、この時期の激しい自然災害の中で神話の神々は『祟り神・疫神』となっていった」ことを述べている。

最後に、
この「大地動乱の時代」は日本だけでなく中国・韓国でも同様で
「この時代は東北アジアに共通して『温暖化(旱魃)』と『パンデミック(広域流行病』の時代でもあったというのが、本書の隠れたテーマ」だそうだ。

「古事記の起源」(工藤隆)と並行して読んだので、話がダイナミックに重なるところもあり、
本当に、熱い学際的研究と冷静な検討が必要だと思った。
日本の基層の文化論、社会論として
もう一方で当然のこと、『温暖化(旱魃)』と『パンデミック(広域流行病』も含めた「大地動乱の時代」での日本国民の処し方として、決して狭い学問研究の分野に留めてはならない重要テーマだ。
著者は「はじめに」の最後に
「これは自身の反省でもあるが、地震学が貞観津波の研究によって大津波の危険を明らかにしたにもかかわらず、大多数の歴史学者がそれを知らないなどという事態が、今後あってはならない」と強く述べたが、それは歴史学者に限ってのことではない。
私は、思想信条の違いなど超えて、
特に「日本の政治家にこそ、あってはならない」と思っている。

最後に
今日、この本のことで岩波書店に電話をした。
感想を述べ、一つだけ気になっていた点を質問した。
4pの最後尾から3、4行目
「8.9世紀から11世紀、日本列島の気候は全体として温暖化していった。温暖化とはいっても、温度上昇は年平均1‐2度ほどであるが…」というところ
”温度上昇は年平均1‐2度ほど”は間違いではないか。こんなに上昇したら大地は転覆する。