goo blog サービス終了のお知らせ 

水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

バードマン(2)

2015年04月15日 | 演奏会・映画など

 

  ~ かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。(Yahoo映画) ~


 という作品の主役を演じるマイケル・キートンさんは、現実の初代バットマン役だ。
 バードマンのコスチュームはほとんどバットマンだったが、この虚実皮膜ぶりがすごい。
 日本で言えば … 。うーん、たとえば藤岡弘さんが、何を演じても元ヒーローとしてしか見てもらえないことを悩み、自分で脚本・主演をこなす舞台を企画した … 映画「ライダーマン」、ていう感じだろうか。
 実際日本でも、お笑いで一時代を気づいた芸人さんや、子役として一世を風靡した役者さんが、シリアスな舞台作品にのぞみ、演技派俳優へと転機をはかろうとする例はあるのではないだろうか。

 舞台初日を間近にひかえ、重要な共演者が怪我で降板する。
 代わりに登場したのは、超一流の舞台俳優で、その名前でチケットが売れ、演技にも定評がある役者さんだ。
 中堅の役者さんの代役に、たまたま空いてた藤原竜也がキャスティングできてしまった、みたいな感じかな。
 そのスター俳優のマイクは、リーガンには御しがたい。
 リーガンを、演技力などない、舞台のことを何もしらない、しょせんヒーロー者あがりとして扱う。舞台上でもやりたい放題だ。
 しかし、リーガンも、キップの売れるその役者に逆らうわけにはいかない。
 この役者さんがまた上手なので、実際にこういうことはあるだろうなあと思えてくる。

 ニューヨークタイムスに文化欄を担当する批評家がいる。その人のペン一本で、客が入ることもあれば、プレビューで打ち切りになることさえあるという。ブロードウェイではこういうこともありそうだ。
 規模はちがうが、好意的な公演評が朝日新聞の夕刊に取り上げられた途端、キップが一気に売れる例は多々あるようだから。
 その批評家もリーガンを役者として認めないし、ヒーロー映画よりも舞台の芝居を格上の芸術とみていて、バーで知り合ったリーガンに口をきこうともしない。

 私生活では、別れた妻との関係を修復したいと願い、薬物に依存する娘を立ち直らせたいと思っている。
 なんとか成功させたい自分の舞台はトラブルが続き、世間の目は相変わらず元バードマンとしてしかリーガンをみない。
 本当に自分とは何だ! おれはいったい何者だ! と叫ぶとき、バードマンが登場し、「今のお前が真の姿だ、無駄な抵抗はやめろ」と話しかけてくる。
 うるさい、だまってろ、とあばれるリーガン。
 ちょうど、まんしゅうきつこさんが描いた、現代人の肥大化した自己がバードマンになったかのようだ。
 このバードマンは、リーガンの心象なのか、別の誰かなのか。
 リーガンがいつのまにかコスチュームを身につけたのか、いやリーガンは本当に不思議な力をもつバードマンだったのか。
 どこまでが現実でどこから空想に入ったかの境目がわからない。
 気が付くと、映画のシーンすべてが、鳥の視点で撮られているように見えてくる。
 映画でしかできない表現方法を用い、映画や演劇の世界に生きる人々を虚実おりまぜて描きながら、自我の肥大化した現代人の真実にせまっていく。
 近松門左衛門先生が生きてらしたら、あっぱれと監督さんを褒めちぎるにちがいない。
 見事としかいいようがない。日本版も見たい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バードマン(1)

2015年04月14日 | 演奏会・映画など

 

 どこまでが演技で、どこからが本気なのか――。
 「暗黙の了解」が存在し、お互いの技を受け合って初めて成立するのがプロレスだ。
 時に、それを逸脱しているのではないか、いまのパンチはガチで入ったよね、やばくね? 猪木さん、人間的に危ないよねと、見ている人がつい思う試合をしていたのが新日本プロレスの試合、とくにアントニオ猪木のそれであった。
 村松友視は、そんな猪木のスタイルを「虚実皮膜」と評し、当時ファンの心をわしづかみにした猪木プロレスを理論的に説明した。
 虚実皮膜論。その昔、近松門左衛門が唱えた演劇理論の一つだ。
 真実と虚偽との境目にこそ人間の真実が現れる。
 だからお芝居は、純粋なリアリズムであってはならず、しかし完全なフィクションでもなく、作り物と写実のほどよい境目を表現しなければならないという考え方だ(で、たぶん合ってると思うけど)。

 しかし、おもしろかったな、全盛期の新日本プロレスは。
 本校に赴任して一年目、初めていただいた夏のボーナスで部屋に電話をひき、冬のボーナスでビデオを買ったのは、プロレスを録画して観るためだった。
 人間関係のトラブルで、本当に暗黙の了解を越えたセメントマッチ(本気の試合)になってしまった、アンドレザジャイアントVS前田日明という試合がある。テレビ放映は見送られることになったその試合のビデオを持っていると「週刊ファイト」の読者投稿欄に書いてた人に手紙を送り、数千円でビデオを購入して観たりもした。
 なるほど、本気になると試合は成立しないのだ、それにしてもアンドレを戦意喪失させる前田日明という選手はとんでもなく危ないやつだとわくわくしたものだ。

 前田日明が新日本を飛び出してつくったUWFは、格闘技色が強くなり、「暗黙の了解」をさらに高次元で越えた戦いぶりに見えて、猪木のプロレスに食傷気味になりつつあったファンを虜にした。
 そののち、UWFも、UWFインターも、リングスも、純粋なリアルファイトではあり得ないことがわかってくる。
 だからといって、アメリカを中心に広がり始めた純粋なリアルファイトの殺伐さにも心は惹かれない。
 猪木、馬場、鶴田、藤波、長州 … 。時代の寵児とも言えるレスラーたちが年をとったあと、前田、高田、橋本、蝶野、武藤といったエリートレスラーたちの試合を面白く観戦したものの、前者のように「プロレスが生き方」であった人たちの戦いほどにはのめりこめなかった … 。
 
 ちょっとまって、ちょっとまって、おれ。プロレスの話の予定ではなかった。
 「虚実皮膜」だ。映画「バードマン」を観てまず感じたのは、この理論だった。
 どこまでが虚で、どこまでが実か。
 どこからが虚で、どこからが実か。
 映像も、役者さんの演技も、登場する人名も、設定も、音楽も、そのすべてが、虚と実のあわいに存在するように感じた。
 このセリフってガチじゃね? 的な。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

返り点の練習(3)

2015年04月14日 | 国語のお勉強(漢文)

 

返り点の練習③ 【 】内の読み方に従って返り点をつけてみよう。

1 玲 奈 為 主 役 。【 玲奈 主役と為る。】為  … ~になる

2 玲 奈 為 国 民 所 愛 。【 玲奈 国民の愛する所と為る。】所 V  … Vする者

3 玲 奈 好 我 所 作 炒 飯 。【 玲奈 我の作る所の炒飯を好む。】

4 我 嘗 学 漢 文 。【 我 嘗て漢文を学ぶ。】嘗 … 以前

5 我 不 好 漢 文 。【 我 漢文を好まず。】

6 我 未 好 漢 文 。【 我 未だ漢文を好まず。】未 V ず … まだVしない

7 我 欲 買 写 真 集 。【 我 写真集を買はんと欲す。】

8 我 将 購 入 参 考 書 。【 我 将に参考書を購入せんとす。】将 V せんとす … 今Vしようとする

9 我 将 為 架 純 買 高 価 指 輪 。【 我 将に 架純の為に 高価な指輪を買はんとす。】

10 翼 笑 顔 正 如 花 之 開 。【 翼の笑顔 正に花の開くがごとし。】如  … ~のようだ

11 庭 園 噴 水 猶 水 之 芸 術 。【 庭園の噴水 猶ほ水の芸術のごとし。】猶 ~ のごとし … まるで~のようだ

12 好 麻 衣 者 必 可 行 公 演 。【 麻衣を好む者 必ず公演に行くべし。】可 V … Vすべきだ

13 応 援 珠 理 奈 者 須 買 入 場 券 。【珠理奈を応援する者 須らく入場券を買ふべし。】須 V べし … ぜひVする必要がある
                   
14 何 不 行 劇 場 。【 何ぞ公演に行かざる。】何  … どうして

15 盍 買 入 場 券 。【 盍ぞ入場券を買はざる。】盍 V ざる … どうしてVしないのか、Vしよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

返り点の練習(2)

2015年04月13日 | 国語のお勉強(漢文)

 

返り点の練習② 【 】内の読み方に従って返り点をつけてみよう。

1 我 通 川 越 東 高 校 。 【 我 川越東高校に通ふ。】

2 我 以 自 転 車 通 高 校 。【 我 自転車を以て 高校に通ふ。】 以  … ~で(by)

3 昨 日 購 入 電 車 之 乗 車 券 。【 昨日 電車の乗車券を購入す。】 ~之~ … ~の~

4 今 日 欲 購 入 定 期 券 。【 今日 定期券を購入せんと欲す。】

5 我 弟 自 幼 好 珠 理 奈 。【 我が弟 幼きより 珠理奈を好む。】 自  … ~から(since)

6 我 欲 為 弟 購 入 珠 理 奈 之 写 真 集 。【 我 弟の為に 珠理奈の写真集を購入せんと欲す。】

7 我 欲 以 自 転 車 行 店 。【 我 自転車を以て 店に行かんと欲す。】
                                                          
8 彼 亦 川 東 生 也 。【 彼も亦 川東生なり。】 也 … ~である 亦 … 同様に

9 彼 女 非 川 東 生 也 。【 彼女は 川東生に非ざるなり。】 非 … ~ではない

10 弟 好 珠 理 奈 者 也 。【 弟は 珠理奈を好む者なり。】 

11 彼 女 非 好 珠 理 奈 者 也 。【 彼女は 珠理奈を好む者に非ざるなり。】

12 部 屋 有 真 希 之 写 真 集 。【 部屋に真希の写真集 有り。】 有 … ある・いる

13 川 東 有 好 真 希 者 。【 川東に 真希を好む者 有り。】

14 川 東 無 不 好 真 希 者 。【 川東に 真希を好まざる者 無し。】 無 … ない・いない

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続ける(2)

2015年04月13日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「続ける(2)」


 英単語集のベストセラー『ユメタン』の著者である木村達哉先生は、灘中学高等学校で教鞭をとられている。もちろん日々の授業や学校業務をこなし、一昨年度までは野球部の顧問をされ、土日は練習試合や合宿もなさっていた。
 そんな生活の中で、『ユメタン』『ユメジュク』『ユメブン』をはじめ、書かれた参考書問題集は数十冊に及ぶ。書店で、キムタツ先生コーナーを見かけた人もいるだろう。
 「どうしてそんなに本が書けるのですか」と聞かれることはよくあるという。


 ~ もし他の人と違う点があるとすれば、毎日やっているという点かもしれません。毎日同じことをやっているだけです。
 昨日は岐阜の義兄が我が家にやってきました。一緒に飲みました。
 とても楽しかった。結構飲んで酔っ払いました。
 でも晩御飯が終わったあとは腹筋を50回やり、腕立てを110回やって目を覚ましてから、いつもどおり本を書きました。
 毎日書いています。
 本ってだいたい200ページぐらいです。
 これ、10日で書くのは専業作家でないときついものがあります。
 僕のように授業の準備やシミュレーションに時間をかけるタイプの教員は10日で200ページを書くことはちょっときつい。
 毎日20ページですからね。
 でも毎日4ページなら書けます。
 それなら50日で1冊は書けることになります。
 毎日続ければ2ヶ月に1冊のペースで書こうと思えば書けるのです。
 問題は毎日やれるかどうか。その1点なのです。
 野球の素振りもそう、英語の勉強もそう、ダイエットもそう、仕事もそう。
 続けていれば何らかの結果を出すことはできます。
 才能なんて要らないと凡人の僕は確信しています。要るのは続けること。
 その1点だけです。
 そうすれば人生において、何らかのものを遺すことができると思いますね。
 四の五の言ってないで、とにかく始めること。そして続けることです。
                (木村達哉「キムタツブログ」2013年5月5日) ~
 

 才能が不足しているとか、環境に恵まれてないとか、自分でマイナス要因を探す前に、まずは続けてやってみることだ。木村先生が凡人とは思えないが、あの膨大な著作が「継続の賜物」であることだけは間違いない。凡人の我々が続けなければならないのは当然だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アル中ワンダーランド

2015年04月12日 | おすすめの本・CD

 

 主婦で漫画家のまんしゅうきつこさんが、自己のアル中体験を赤裸々に綴ったエッセイマンガ。


 ~ 私は普段、決しておしゃべりなほうではないと思います。例えば居酒屋で4~5人で会話しているとするじゃないですか。酔っていない私は、その間ほぼ無言で、人の話をただヘラヘラ聞いているだけなんです。そうすると家に帰ってから「あ~あ … 。気の利いたこと一つも言えなかったなぁ」ってひどく落ち込むんです。でも、お酒を飲むととっても饒舌です。 (まんしゅうきつこ『アル中ワンダーランド』扶桑社)~


 わかるなぁ、これ。
 でも、力を借りて饒舌になったまんしゅうさんは、本当のまんしゅうさんではないのだろうか。
 いあ、それもまんしゅうさんだ。
 お客様の前でクマムシを歌い踊るオレは本当の自分だろうか。それとも一人さびしく海を見つめる孤独なオレが本当の姿だろうか。多くの人は前者を本当の姿を言うかもしれないが、オレのなかでは人見知りで、他人に話しかけるのが苦手で、つい一人で行動してしまう自分の方が本物の気がしている。
 それでも、自分という存在を知らしめるために、つい目立つ自分を演じてしまう。

 自分の存在を自分だけで確信するのは難しい。
 他人に笑ってもらい、よろこんでもらい、ほめてもらい、メールをもらい、役に立つといってもらい、ありがとうと言ってもらい、何らかのつながりを自覚してはじめて自分の存在が確信できる。
 誰からもメールがこなかったり、ラインが既読にならないと不安なのは、伝えたい内容や知りたい内容が伝達されないことではなく、存在を意識されていないことが不安になるのだ。
 だとしたら、まんしゅうさんがお酒におぼれることと、たとえばブログを更新して誰かコメント書いてくれないかと気にすること、精神の方向性としては同じではないだろうか。
 部活や勉強でがんばることも、仕事や趣味に打ち込むことも、他人に認められたいという気持ちがゼロの人はいないはずだから、自己の存在証明としてがんばったり打ち込んだりしてるのだ。


 ~ キャバクラで女のコたちは、お客の「指名〈料〉」ほしさに、仕事中以外も「営業メール」でお店に誘ったり、「同伴出勤」したり、決してラクな仕事ではないと思います。でも人はキャバクラに限らず、恋愛・結婚にしても、仕事にしても、「指名」を欲して生きているのではないでしょうか? お金以上に、私は「人生の指名」がほしい。 (まんしゅうきつこ『アル中ワンダーランド』扶桑社) ~


 「おれを見ろ!」「あたしを見て!」という人たちで、町はあふれている。
 地味な格好で目立たないようにしている人も、そういう自分として扱ってほしいという気持ちをアピールしまくっている。
 みんな、おそろしいほどの自分依存なんじゃないの。
 現代人て、みんな自分依存症なんじゃないの。
 スマホ依存、恋愛依存、子供依存、部活依存、仕事依存、趣味依存、努力依存、宗教依存 … 。
 どれも、自分依存の一形態だ。
 気づいてないけど。
 おれは気づいてる分だけ、症状は軽いな。

 「超おもしろい! 超笑えない!」という的確な推薦文が帯に書いてあった。
 アル中のまんしゅうさんが晒した失態が笑えないのではなく、そこまで自分に依存し、イタいほど自己の存在をアピールしてしまう姿に、みんな自分を重ねてしまい笑えないのだ。
 いつか間違いなく現代文や小論文のネタで使える作品だ。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

週末

2015年04月11日 | 日々のあれこれ

 

 土曜日。今週は長かった。
 今日のお弁当は自分の分だけだから、夕べのカレーをご飯にかけるだけでもいいかと思ったが、朝けっこう余裕で起きられたので、酢豚と、さつま揚げと大根の煮ものを作った。酢豚は、オタフク「甘酢あんかけのたれ」を用いれば、100%失敗なくおいしく作れる。
 現代文と漢文を一コマずつ。漢文の導入は同じネタばかり数回目だが、クラスの雰囲気にあわせて、例文に本田翼ちゃんをいれようか、桐谷美玲ちゃんにしようかとバリエーションを変えれるので、自分では楽しい。

 3時間目のLHRは避難訓練。全体の点呼が終わったあと、防災設備担当の業者さんから消化器の使い方レクチャーと、災害時の心の持ちようを話していただく。
 「頭ではわかっていても、いざ火を見る、けが人を前にするとパニックになる場合もある、普段からいろんなことを想定して過ごそう」という内容だった。
 たしかに。ただ、普段から災害的な状況に頻繁に出会わせるわけにはいかない。授業でも行事でも部活動でも、いろんな経験を、自分がしたことのない経験を積ませ、心を鍛えないといけないと思う。そのだんどりが教員の仕事だ。究極、生徒の命をどう守るかという仕事だから、自分達が囲い込むことではなく、想定外の経験をさせるにおはどうすればいいかという観点で、自分たちの仕事の方向性を検討する必要があるだろう。
 だから、たとえば修学旅行では、世界一安全なディズニーランドで一日過ごさせるより、花の都大東京に一日放って班行動させる方が、主旨にかなってるのだ。

 今日の部活は、勧誘を行わずに自分たちの練習。個人練、パート練の後合奏。ミニコンサート用の曲をさらい、課題曲2曲をゆっくり合奏した。マーチ2曲に絞ることにした。

 一昨日購入した福山雅治の新作CD「魂リク」を聞いてたら、たまらなく歌いたくなった。歌詞カードに、なんとギターコードがふってある。なんと使えるCDだろう。しかも「心の旅」「チェリー」「糸」 …、というラインナップだ。ビジュアルばかりか、持ち歌までこんなにかぶるなんて。
 せっかくなので、夜の吹奏楽部保護者会の役員さん懇親会にはミニーギターを持ってでかけ、これで引退となる三年生の保護者の方に向けて、心をこめて「糸」を歌わせてもらった。
 役員のみなさま、おつかれさまでした。ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続ける

2015年04月10日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「続ける」

  ずいぶん前に、野球評論家の江川卓氏が「3連敗しないチームをつくるのが大事」と言っていたのが記憶に残っている。
 プロ野球の長いシーズンの間には、チームの好不調の波が必ずある。
 打撃陣が好調で、同時に投手陣も開幕以前に想定していたより良い状態になる時期があるかと思えば、主力の何人もが怪我で戦列をはなれてしまうような事態も起こりうる。
 調子の良いときに連勝できるチームをつくることはできる。
 しかし、調子が悪くてもカード3連敗しないチームをつくるのはなかなか難しくて、最終的にシーズンを制するのはそういうチームである、という話だった。
 野球シーズンよりももっと長い、高校3年間、大学4年間、人生数十年、という単位を生きることに、この考え方はよりあてはまるはずだ。
 今一つ調子が出ない時期に、何連敗もしない状態の自分であること。
 人間だから好不調の波は必ずある。
 やることなすことうまくいく時期もあれば、何をやっても裏目に出る時期もあるかもしれない。
 そんな時でも、やけをおこさずに地道な日常を積み重ねていけるかどうか。
 高校生活は、そういう自分をつくるためにある。
 勉強についていえば、どんなに不調の時期でも「勉強ゼロの日をつくらない」ことだ。
 今のみんなは、通学は大変になっただろうが、まだ勉強や練習に追われている状態ではない。 部活が正式に決まり、毎日19時バスで帰宅するようになり、宿題がじわじわと増えてくるにつれて、入学当初の気持ちと今の自分の体とが乖離していく。
 家に帰ったらへとへとで、「今日はあえて勉強しないで、体を休めて明日に備えよう!」というような理屈を思いつく日はきっとでてくる。
 そして「土日にがっつりやろう」などと思いながら、日曜がくると「やっぱ日曜は身体を休めなきゃな」となっていくのだ。
 30分でもいい。
 必死で机に向かい、結果的に5分でおちてしまったとしても、ゼロよりは無限大によい。
 もちろん、基本的には最低2時間の勉強時間は確保したい。森園先生がおっしゃっていたように、毎日3時間続けられる人は、医学部を除いて日本の大学ならどこにでも合格できる。


 ~ みんな毎日いろんなことを考えながら頑張ってると思うのですが、結局のところ上手くいってる人って「続けてる」というのが強みで、多少不器用であっても続けていれば何とかなるものなんですよね。 (木村達哉「キムタツブログ」2015年4月3日) ~


 すでに勉強量の確保に目処が立っている人は、ぜひ頑張って今後もキープしていこう。
 今の時点で、すでに何日間かの勉強ゼロ日をつくってしまった人は、今踏みとどまろう。
 なんとしても、わずかであっても、家での勉強時間は必ず毎日確保しないといけない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

返り点の練習(1)

2015年04月10日 | 国語のお勉強(漢文)

返り点の練習プリント① 【 】内の読み方に従って返り点をつけてみよう。

1 我 読 書 。 【 我 書を読む。】

2 我 読 週 刊 誌 。 【 我 週刊誌を読む。】

3 我 不 読 書 。 【 我 書を読まず。】 不 … ~しない

4 我 不 読 週 刊 誌 。 【 我 週刊誌を読まず。】

5 作 炒 飯 。 【 炒飯を作る。】

6 為 翼 作 炒 飯 。 【 (本田)翼の為に 炒飯を作る。】  為 … ~のために(for)

7 不 為 翼 作 炒 飯 。【 翼の為に 炒飯を作らず。】

8 為 架 純 作 炒 飯 。【 (有村)架純の為に 炒飯を作る。】

9 不 為 架 純 作 炒 飯 。【 架純の為に 炒飯を作らず。】

10 我 欲 行 海 。 【 我 海に行かんと欲す。】 欲 … ~しようとする(will)

11 我 欲 与 彩 行 海 。 【 我 (上戸)彩と 海に行かんと欲す。】 与 … ~と(with)

12 我 欲 与 真 希 行 海 。 【 我 (堀北)真希と 海に行かんと欲す。】

13 我 欲 与 彩 行 遊 園 地 。 【 我 彩と 遊園地に行かんと欲す。】

14 我 欲 与 真 希 行 遊 園 地 。 【 我 真希と 遊園地に行かんと欲す。】

15 我 不 欲 与 真 希 行 遊 園 地 。 【 我 真希と 遊園地に行かんと欲せず。】

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

永い言い訳(2)

2015年04月09日 | おすすめの本・CD

 

  一気に人生を凝縮してみせたかと思うと、ディテールを積み重ねて人物を浮かび上がらせる描写もうまい。
 幸夫は、夏子と旅行先で亡くなった「ゆき」の家を訪ねる。


 ~ 四人がけのダイニングテーブルの上には、公共料金の領収書や学校や保育園から出された保護者宛てのプリント、買い置きのレトルト食品やら洗剤やらが、雑然と積み重ねられている。台所とその奥の居間との間の鴨居に噛みついた洗濯ハンガーには、衣類がみなくっきりと洗い皺をつけたまま、天地の規則性もなく吊り下げられ、その重さのあまりハンガーの横軸が弓なりに撓んでいる様子は、まるで今の我が家を見るようだと幸夫は思った。   匂い立つほど不潔というわけではないが、明らかに女手が抜け落ちたとわかる行き届かなさである。しかし鈴なりの洗濯物をかき分けて奥の六畳間に入ると、背の低い棚の上に新品らしい小さな白木の仏壇が据え置かれ、ネズミのキャラクターの描かれたパールピンクの写真立てに飾られた「ゆきちゃん」は、その中で、はじけるように笑っていた。彼女のそばに寄り添うように置かれた子供用のマグカップには、ほのかに青臭い香りを放つシロツメクサが三本、生けられている。幸夫は、自分の書斎の机の端に、天井を見上げたまま放置された夏子の立派な遺影のことを思い、胸が差し込んだ。 ~


 トラックドライバーの父親とまだ幼い子供達とが、懸命につくっている暮らしが目に浮かんでくる。
 経済的には何の不自由もない幸夫との対比も鮮やかだ。
 幸夫が、この大宮一家を食事に誘うシーンも象徴的だった。広尾とかだったかな、店名の看板が出てないような隠れ家的なフレンチのお店に誘うのだ。なんでも好きなものを食べていいと子供たちに言ってもどしようもできない。幸夫の、悪気のない無神経さが端的にわかる。
 そんな幸夫が、この家族といつしか深く関わるようになり、彼の生き方の大きな変化が生まれる。
 父親が長距離に出ているとき、妹の灯(あかり)を幼稚園に向かえにいったり、夕食をともにするようになったり。同時に夏子が、この家族とどんなつきあい方をしてきたかも明らかになっていく。
 もちろん、幸夫がただいい人になっていく、妻への仕打ちを反省するようになる、といった単純な話にはならない。灯や兄の真一とも、また父親とも時にぶつかりながら、しかし(「だから」かな)離れられない関係になっていく。
 大事な人を失ったあと、人はどう生きていけばいいのか。
 生き残ったことに罪悪感を感じてしまうのは、日本人の心性だという文章が、昔東大の二次試験に出たことがある。太平洋戦争の遺骨収集を今も続ける人、戦友の慰霊をし続ける方の存在は、端的にそれを表しているのだろう。
 他者の死が、生き残った自分をそこまで規定するということは、逆に自分もうかつに死んでは申し訳ないという事実にも気づけるのだ。
 気づいたからといって、自分ではどうすることもできないのだけど。


 ~ 死は、残された者たちの人生に影をさしこませる。その死の成り立ちようが、痛ましければ痛ましいほど、人々は深く傷つき、自らを責め、生きる意欲を奪われ、その苦しみは、また別の死の呼び水にもなり得る。俺みたいなやつがくじけることで、真ちゃんやアーちゃんを、この上一瞬でもそんな気持ちにさせるのはいやだと思った。あの子たちはもう十分失い、そして闘っている。俺の死を完全に無視するには、彼らとは、すでに関係を持ち過ぎた。
 「生きてるんだから、生きててよ」って、そんな簡単なもんかねと思うけど、案外そんなもんかもね。あのひとが居るから、くじけるわけにはいかんのだ、と思える「あのひと」が、誰にとっても必要だ。生きて行くために、想うことの出来る存在が。つくづく思うよ。他者の無いところに人生なんて存在しないんだって。人生は、他者だ。ぼくにとって、死んだ君が今の今になって、「あのひと」になりつつあるような気もするよ。遅いかあー。 (西川美和『永い言い訳』文藝春秋社 ~


 すぐに二回読み直したほど文章はすごいし、登場人物のキャラの立ち方、視点をかえながら進めていく語り口、そして人間の弱さと傲慢さを浮き彫りにしながら、一筋の希望の光を見せて終わるストリーも、現代小説の頂点の一つがここにあるのではないか思えた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする