レースで無事に速く帰ってくるためには、パワーを無駄なくロス無く推進力に向け多走り方が必要となる。それに寄与するためのランニングフォームについて考えてみたい。
<1> 金哲彦氏の最近の考え方は体幹重視であり、その肝は丹田にある。
①体幹を胴体の中心を通る1本の柱と考え、体幹を中心に胴体を左右に回して走ると、前後左右にカラダがブレることなく前進できる。
②丹田とはへそから5cmほどの部位で、ここに重心を置くことでカラダのバランスがとれ安定した状態を保つことができる。
③リズミカルに肩甲骨を引くことで骨盤が回旋し、骨盤が回旋すると足が勝手に前に出る。走るためのエネルギーは肩甲骨から生まれる。
④骨盤を回旋させると同時に骨盤を前傾させる。そうすれば胴体がしっかり安定して楽に走ることができる。
以上の丹田・肩甲骨・骨盤に意識を集中してフォームを崩さないことが長距離を走る秘訣である。その他の注意点としては以下の通り。
⑤顔:目線はまっすぐ前に向ける。
⑥腕振り:肩甲骨が動くから腕が振られるという感覚。肘はカラダより前にでない。
⑦着地:まっすぐに足を下ろして着地し、しっかり足全体で全体重を支える。
なんらかの理論的裏付けがあるのだろうが、丹田はともかく肩甲骨を意識するのは実際にはかなり難しい。説明の単純化が理解の難易度を上げている気がする。
<2> 川越学氏も体幹重視だが、各部位の説明はより具体的だ。
①腕振り:肘を直角くらいに曲げ、そのまま肘を後ろに引いて戻す感覚で前後に振る。脇が開かないようにする。腕がきちんと振れていれば足も自然と前に出る。
②着地:必ずカカトから地面に着け、足をカラダの真下に着地させる。着地後スムーズにつま先へと体重を移動させる。最後に足先をしっかり進行方向に向け、拇指球から自然に体重を抜いていくように地面を蹴り出す。
③腰の位置:腰を同じ位置に保つことを意識して、腰高のフォームを作る。歩幅を広くするためには腰を高い位置に保ち、足をより強く蹴り出さねばならない。
④目線:まっすぐ前を見る。
⑤走線:左右の足が両側に開かず、常にカラダの中央付近に着地し、ほぼ一直線上を走るようにする。右足を振り出すときには腰の右側が前に出て、左足を振り出すときには腰の左側が前に出るように。
正しいフォームをカラダに覚え込ませるまではなるべくゆっくり走ったほうが良いという。悪いフォームの例として以下のことが対策とともに挙げられている。
⑦肩が上がっていると、余計な力のために疲れやすく、腕振りもうまくいかないのでスピードが出ない→肩をリラックスさせ、腕をカラダの横にまっすぐに下ろし、肘を軽く曲げる。
⑧腰が落ちていると、足の筋肉、膝、腰に負担をかけ、ストライドが広がらず推進力が得られなくなる→背筋をまっすぐに伸ばし、腰を高い位置に保つように意識する。
⑨あごが上がると、カラダのバランスが崩れ腕振りがスムーズに出来ず、推進力が得られなくなる→まっすぐ前を見ることによって自然に正しい位置に来るようにする。
⑩カラダが前に傾いていると、着地や踏み出しが後方で行われるので、十分なストライドが確保できず、また重心が前に来ているので、つま先からの着地となり足への負担が増える→背筋を伸ばし姿勢をまっすぐにし、目線は前に向ける。
⑪カラダが後ろに反っていると、重心も後ろに移動し、推進力が後方に逃げるのでスピードが落ち、呼吸もしづらくなる→カラダの軸を意識してまっすぐ立ってからウォーキングから再開する。
⑫左右のバランスが悪いと、どちらか一方の足への負担が大きくなって故障につながる→カラダの軸を意識し、頭の位置を一点に保つように意識する。
⑬腕振りのバランスが悪いと、上半身の力が下半身にうまく伝わらず、推進力が失われスピードが出ないし、無駄にスタミナをロスしてしまう→腕に疲労を感じたら、肘を後ろに引くようにして、前後にリズミカルに腕を振って修正する。
自分のフォームが良いのか悪いのかは自分だけではなかなか分からない。コーチや仲間がいれば指摘してもらえるが、せいぜい街中のショーウィンドウに写った自分の姿で推測する他はない。最近は家族に携帯電話のムービーで撮ってもらう方法も利用できるかな。
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