村上春樹の作品を読むのは初めてであった。正直、村上春樹なる作家を知ったのも近年のことである。この本も他のランナーのブログで知った。
翻訳本のような文体、畳み掛けてくる比喩、しかししつこくなく、内容はすんなりと入ってきた。走ることについての記述はすべて首肯できた。自分もランナーの端くれなんだと認めてもらえたような気がした。
小説家の生活と走ることが一体となって語られているのを読みながら、日常生活が、スターティックで、パッシブで、インターパーソナルだと、相補的にアクティブで、フィジカルで、ソリタリーな時間を求めるものかもしれない、と思った。ちょうど自分がそうだ。
「ランニング・ブルー」、昨年の11月にフルでサブ4を達成して以来の自分の状態がまさにそれなのだと合点がいった。今の自分はそこからすこしずつ回復しつつあるのだと分かる。だが、もう昨年のようには自分にとって過酷なランニング生活はできないと確信できる。
走ることを自分の生活の中にどのように位置づけていけるのか、回復には今しばらく時間がかかりそうだ。