ザ・名も無きランナー

50才から始めたマラソン。こころと身体が一つになって燃焼している感じが好きです。楽しんで走っていきたいと思っています。

マラソンの呼吸法

2008年05月19日 | 参考資料
 先日のフル記録会で、先輩ランナーたちの話から、ランナーは走っている時に鼻で呼吸しているということを知り、私は正直ビックリした。私の場合は鼻腔が狭いからなのか、鼻での呼吸では息が苦しくてとても走ってなんかいられない。だから自然と口を開けて口呼吸で必死に走っている。口呼吸だと喉は渇く。しかし、どう考えても2つの鼻の穴より、口を開けた方が、身体の外界への開口部は遙かに広いと思うから、私としてはこっちのほうが呼吸の理にかなっていると確信していた。でも、先輩ランナーたちは鼻からの方が肺に沢山の空気を直接に取り入れることができるとおっしゃるのだ…。で、調べてみた。

 まず、家にある数少ないランニング関係の本を順にひもとくこととする。
 小出監督曰く、「意識しちゃいけない。何も考えなくても体が勝手にやってくれるから」(1)。ああ~やっぱりという感じ。何らかの負荷がかかった時、体は自然に一番楽なやり方で対処しようとする傾向があるだろうから、確かにそういうことなんだろうと思うが、私の疑問には十分には答えてくれていない。
 次、テレビでおなじみの金哲彦氏。金さんは腹式呼吸の活用を勧めているが、そのくだりの文章に呼吸法に関する記述を見つけた。「腹式呼吸は口から時間をかけて肺の中の空気をすべて吐き出し、さらに鼻からゆっくり空気を吸い込む。このときお腹を膨らませることで横隔膜が動く」(2)。ほ~、なるほど。鼻から吸って口から出すのか。

 そこでやってみた。しかし私の場合、ラン中に鼻で息を吸うことに全く自信がなかったので、ブリーズライトという鼻孔拡張テープを貼って挑戦してみた。まあ確かにやってできないことはなかった。が、鼻で息を吸うことへ常に意識を集中させておかないと、つい楽な口呼吸に戻ってしまう。ついでに鼻から吸って鼻から出してみた。これだといくら拡張テープを貼っていてもやはり長く続けているうちにだんだんと息が苦しくなってくる。それに鼻から出すと鼻水が結構溜まってくることに気がついた。まあ鼻から吸って口から出す方法は、頑張ってやればできないこともないが、私にとって自然なやり方とは言い難いし、この呼吸法には鼻孔拡張テープの存在が絶対に必要である。だが、先日の先輩ランナーの「走っていると汗でテープが剥がれてくる」、「走った後に日焼けのあとがくっきり残ってしまう」というコメントが思い出されて、気になった。

 今度はネット検索。残念ながら、日本語の検索では役に立ちそうなものは全くなかったが、英語の検索では結構引っかかってきた。
 私の感覚と一致したのはこの記事だ。「口からの呼吸がもっとも効果的だ。第一に鼻腔からよりも口からの方が大量の空気を吸入し排出できる。第二に鼻呼吸だと顎を締めて表情筋を緊張させておかなければならないが、口呼吸だと表情筋を弛めておくことができる。ちょうど死んだ魚(dead fish)のように少し口を開けたままにしておくのがよい」(3)。
 さらに、アーサー・リディアード氏の言葉として「呼吸は口からしなさい、鼻からもしなさい、できるんだったら耳からも空気を吸いなさい。」(4)というのが紹介されていた。これは、要するに口でも鼻でも良いからできるだけ多くの空気を吸い込め、ということなのだろう。この記事では「ほとんどのランナーは自然に口と鼻の両方で呼吸している。」(4)と述べていた。

 そこでやってみた。今度は拡張テープは要らない。自然に口を少し開き、顔に力を入れず、鼻と口から息を吸うようにした。別に口と鼻どっちから多くということもなく、自然任せ。これが一番自分に合っている気がした。

 呼吸法を調べるともう二点、重要なことが指摘されていることが分かった。それは呼吸リズムと腹式呼吸の利用についてである。

 呼吸のリズム、つまり何回吐いて何回吸うかというリズムのことだ。これについては小出監督も金さんも触れている。「運動して体がたくさんの酸素を必要とすれば、自然と呼吸は速くなるし、安静にしていれば呼吸はゆっくりになる。ランニング中も呼吸のリズムついては何も考えなくていい。自然に任せ、もっとも楽に感じられる呼吸をしていればいいのだ」(1)。「呼吸の回数は走るリズムとスピードによって違うので何回吐いて何回吸うと決めつけないほうがいい」(2)。これは私もそう思う。1km6分程度のスピードだと、ランのリズムに合わせて「はーはー、あーあー」と2回吸って2回吐くリズムになりやすい。実際に試してみると、利き足から「右ー左ー右ー左」と走っていると、これに合わせて「吐くー弱く吐くー吸うー弱く吸う」というリズムになっていることが多い。しかし1km5分程度にスピードを上げると、「右ー左ー右ー左」のランに「吐く(右ー左)ー吸う(右ー左)」と利き足が地面を踏みしめるリズムに呼吸のリズムが重なっているのに気づく。これは全く意識しなくても自然に体がやってくれることなのだろう。

 我々は生活の中でふつうは自然に胸式呼吸をしている。つまり息を吸う時に呼吸筋を収縮させて肋骨を持ち上げて胸郭を広げ、胸腔スペースを広げることで肺に酸素を取り込み、息を吐く時は呼吸筋を弛緩させて肋骨が下がって胸腔が収縮するのと同時に肺から酸素を外に排出している。ランの時にもふつうはこの胸式呼吸をしているわけだが、横隔膜を収縮させて胸腔の下壁を下方に引き下げて胸腔を拡張させる腹式呼吸の方が、上に示した胸式呼吸よりも次の2点で有利なのだという。
 ひとつは、腹式呼吸の方が胸式呼吸よりもより多くの空気を肺で換気できるということ(3)。つまりスピードが速くなって呼吸数が増え呼吸が浅くなった時に、腹式呼吸だと深い呼吸ができるので、できるだけ多くの酸素を取り入れ、できるだけ多くの二酸化炭素を排出することができるという観点から、非常に有利なのだという(5)。
 もうひとつは、胸式呼吸には「つい肩が上がってしまい、肩が上がると身体の重心に狂いが生じ、そうなると上半身と下半身のバランスが悪くなり、まっすぐ前進するためのエネルギーをロスしてしまう」(2)という欠点があるので、それが少ない腹式呼吸の方がランには適しているのだという。
 ラン中に腹式呼吸が自然に出てくれば良いのだが、これにはやはり訓練が必要なようだ。実際にやってみた感覚としては、息を吸う時に腹を突き出すようにすれば良いように思う。まあこれも意識していないとつい胸式呼吸に戻ってしまうので、かなりの注意集中の持続が必要だ。私の場合はせいぜい時々気がついた時に腹を突き出して、呼吸の際に横隔膜を利用し、呼吸筋の労作の節約を目指すということになろうか。


(1) 小出義雄:「知識ゼロからのジョギング&マラソン入門」p38、幻冬舎、2002年。
(2) 金哲彦:「3時間台で完走するマラソン」p84~85、光文社、2006年。
(3) Mindy Solkin:”Every Breath You Take”;http://www.marathonguide.com/training/coachmindy/everybreath.cfm
(4) Hal Higdon:”Learn To Breathe Properly On A Run”;http://www.runnersworld.com/article/0,7120,s6-380-381-386-245-0,00.html
(5) 金哲彦:金コーチが指導する確実に速くなる走り方p36~38、ランナーズ、2003年。

第1回eRCとかちフル記録会in音更

2008年05月03日 | イベント

 第1回eRCとかちフル記録会in音更が、GW晴れのもと、音更川河川敷のチェリングロードにて開催された。「ichan&たしろ」さんの尽力によるまさに手作りの大会といえる。私も当日お手伝い兼ランナーとして参加させていただいた。詳細についてはお二人のブログをご覧いただきたい。

 ランニングウエアーはもちろんこれ!昨年のオクトーバーランのユニフォーム。 

 一体どのくらいの参加人数かと不安であったが、流石「ichan&たしろ」さんの人望のなせる技で、口コミやネット情報から19人ものランナーが集合した。顔見知りの人もいれば、初対面の人も多い。いよいよichanの挨拶で開催宣言。ピカピカな「eRCとかち」の幟がなびいている

 10km、20km、30km、ハーフ、フルの5種目、給水、給食は自分の用意、記録は主催者側でも採るが、自己申告も可である。本日初対面のKさんの号砲でスタート。私は第一折り返し地点に急ぐ。

 コースの理解が不十分であったようで、折り返さずに先まで進むランナーがいて慌てる。次回から十分に徹底させる必要がありそうだ。でもこれも手作り大会のご愛敬ということで、ご勘弁。

 晴れ男ichanの威力抜群で、この時期にしては近年まれな猛暑であった。フルの人たちにはかなり厳しい条件であったが、3人が完走した。凄い!

 私は途中で一人10kmに挑戦した。頑張って走ったが、ベストには遠く及ばなかった。皆さんとお話していて知ったこと…、走る時には口じゃなくて鼻で呼吸するものだったんだ~。真っ赤に日焼けし、なかなか楽しい一日であった。「ichan&たしろ」さん、お疲れさま、そしてありがとうね!