前夜は阿寒横断道路を通って弟子屈に前泊。今朝は、マネージャー1名、サポーター1名に伴われて車で会場に到着。朝は靄に包まれていたが、8時半を回って空はすっかり晴れ渡った。朝食に腹一杯ご飯を食べ、カルニチンを3粒、Q10を2粒服用、さらにアミノバリューW1本を途中で飲み、あまり信頼していないはずのアミノ酸補給は完璧だ。あとは走る前にヴァームを飲むだけ。ウエストポーチにはパワージェル4本、カーボショッツ2本、カロリーメイト1袋を携帯した。補食の準備も万全である。
体育館には楽走の幟のもとに数名のランナーたちがすでに陣取っていた。カッチさんは元気そうだった。おやぢさんはいつものように穏やかな様子だ。前日の車中泊にもかかわらずたしろさんには闘志が漲っていた。到着の遅れた私は、一応皆さんにご挨拶したのもの、いかにも強そうな人たちを前にかなり気後れする。なんとも気弱な私であった。さらに荷物のチェックの際に大事なガーミンを車の屋根に置き忘れていることに気付き、早速マネージャーに連絡して届けてもらう。トイレにも行かねばならず忙しい。気持ちを落ち着けようとサブグラウンドでいつものストレッチをして気持ちをほぐす。かくてさんが走って通過したので合図を交わす。今日は今年3回目のサブ4挑戦だが、夏場から秋口にかけての練習不足は目を覆うほどだ。
スタートラインに並んだが気持ちが消極的なせいかつい後方に位置取ってしまった。たまたまクリさんに声をかけられたので、その横に並ばせてもらった。同じとかちeRCのTシャツだ。

10時にスタートとなる。遅れは21秒。狭いトラック内は仕方がないにしても公道に出てからもしばらく団子状態が続く。ラップが6分/kmを示し、千歳の状況が頭によぎる。もう少し前方からスタートすべきだったかと反省するが、それでも2、3キロほどで前が開けた。まっすぐなミルクロードに出るとラインは長く伸び、すでに先頭は見えなかった。街の人たちの声援を受けて進む。(5キロ:28分47秒、5分40秒/km、144bpm)
今回はスポーツドリンクで5キロごとに水分補給することとする。広大な平野部のなだらかな一本道を少しずつ登っていく感じだ。ひっきりなしにガーミンでペースを確認し、1キロ5分30秒で進むことを心がけた。実はこのガーミン、数日前からトランスミッターが不調で、時々突然に心拍数が表示されなくなるという現象が起きていた。心配だったのでトランスミッターの電池を交換したばかりなのだが、今日もそういうことが起きていた。まあとにかくペースさえ分かればそれで良しとしよう。(10キロ:27分35秒、5分31秒/km、156bpm)
中西別では地元の人たちからの熱烈な声援とバナナ・ドリンクのサービスが待っていた。声援にはできるだけ声と手で応え、私は氷砂糖を一つ口に含ませた。これがなかなか元気を出させてくれた。帰りにも氷砂糖が残っていることを期待する。(15キロ:27分51秒、5分34秒/km、157bpm)
コースは言いようがなく単調だった。遮るものが何もないので日が差してくるとかなり暑い。徐々に風が出てきたのでキャップを前後逆にかぶりなおした。ひたすらペースを守って走り続ける。(20キロ:27分48秒、5分34秒/km、157bpm)
半分を超えるとだんだんときつい感じがしてきた。ちょうど折り返しランナーとすれ違うようになる。みんな速い、そして辛そうな顔などしていない。すごいな~、と思う。おやぢさんが来て、かくてさんが来た。少し間をおいてカッチさんが来て、やがてたしろさんが通過していった。たしろさんの「ガンバ!」という大きな声が力を分けてくれた。折り返しのランナーとすれ違うのはペースや順位が確認でき、上位のランナーに力を分けてもらえる気がするのはとても有り難いのだが、そっちの方に気がとられると自分のペースが影響を受けて一定しなくなるのは、まだまだ修行の足りない証拠だ。(25キロ:28分12秒、5分38秒/km、157bpm)
来るべきハンガーノックに備えてここで初めてパワージェルを1つ摂取した。開封に手間取り飲水時に立ち止まってしまった。その後袋への収納にも手間取りペースが乱れた。なかなか難しものだ。この操作の手間取りはその後も毎回続くことになってしまった。一度立ち止まると元のスピードに戻すのにエネルギーが必要なことは分かっていたのに情けない。並んでいたランナーはかなり前方に進んでいた。中西別にさしかかる手前で今度はカロリーメイトに挑戦してみた。これは走行中に袋を破くことはできたが、走りながら口に頬張るのは容易なことではなかった。その後右脇腹が痛み出し、ペースが落ちた。そんななか中西別での熱烈歓迎が待っていた。できるだけ一つ一つ応え、氷砂糖を1粒いただいた。(30キロ:29分38秒、5分56秒/km、155bpm)
30キロでパワージェルを1つ摂取。ここではオレンジジュースとスポーツドリンクをやはり立ち止まって飲んでしまった。ここから一気に挽回したいところだったが、なかなかペースは上がらない。上がらないどころか、1キロ6分を超えるペースが続く。やばいな~と思いながら、パワーを得ようとカーボショッツに手を出してみることにする。これがさらに手間取ることは承知していたのに…。結局手がネバネバになり収納にもかなり手間取ってしまった。さらに胃の中から口の中まで甘ったるくなり、なんだかとても気持ち悪くなる。大失態だ。右脇腹の痛みに気持ち悪さを抱えながら、投げ出してしまいたい誘惑の中、必死でこらえて進む。途中、畑の隅に腰掛けて「頑張れー」と応援してくれるおばあさんがいた。手を挙げて応える。とても投げ出すわけにはいかないと思った。(35キロ:30分53秒、6分10秒/km、154bpm)
だんだんと街中に入ってきた。沿道の人たちが「あと5キロ」「もう少しだよ」「頑張れ」などと声をかけてくれる。有り難いのだが…、大変申し訳ないのだが…、そっとしておいてほしかった。もう限界だった。残りを1キロ5分を切るペースで進めば4時間を切れるが、それは到底無理なことであった。右脇腹の痛みは消えていたが、両脇下部の肋骨のあたりが痛みを発していた。また1週間前の40キロ走で傷めた右第1趾の爪下血腫にはテーピングをしておいたが、それをかばって走り続けたせいか、右足の第一中足骨の内側がズンズンと痛くなっていた。さらにミルクロードを右に曲がるとなんと向かい風が待っていてくれた。(40キロ:33分15秒、6分36秒/km、149bpm)
40キロを過ぎてさらに右に曲がり、さらに強い向かい風のなか競技場方面に向かう直線の道に入ってやや進んだところで、無情にもガーミンが4時間経過したことを知らせてきた。万事休す。我慢の糸が急速に緩み、疲労が全身を包んでいく…。やっとの事で競技場にたどり着き、ふらふらの状態で1周してゴール。(記録:4時間10分47秒、GOAL:16分26秒、7分24秒/km、143bpm)

ゴールの後、私はしばらく座り込んで立ち上がれなかった。頼んでいたコーラをサポーターにもらって飲んだ。マネージャーには顔色が悪いようだとも言われた。確かにもうブドウ糖切れの状態だったのだろう。頭も働いていなかった。正直言って、私は全力を出し切り、完全に疲労困憊していた。これが私という人間の持って生まれた素質を持ってして、現在の生活でできる限りの練習をしての、フルマラソンにおける最大到達地点なのだと思う。サブ4はまたしても達成できなかったが、自己記録の更新はできた。次に繋げることができたという点を評価して、今はこれで満足しようと思う。今夜は3人でゆっくり一休みだ。本当に疲れた~。