悲しい逢瀬をかさね
どれだけ 傷つければ
どれだけ わかりあえれば
共に歩けると言うのだろう
時空の狭い世界の
感覚と感覚の間で
情意の凍る中で
何を望めると言うのだろう
そうだからこうだと
接点の諸刃を渡ろうと
いつまで続く訳でない
夜と夜を結び
二人だけでいられるならば
光よ 坩堝に帰れ
遠きの日々を思い出し
胸中消えぬ黒点を見詰め
歌姫の唄 流れる中
情意は枯れる
傾いた六畳の
散らばる詩編の中で
何を望んで明日を見る
時間ばかりが過ぎてゆく
壁には一枚の聖母子
微笑んで見詰める
一縷の救いはそこにある
荒んだ空間の
古びた調べの中
業なるゆえ 文綴る
そのたび陽は登り
懈怠だらけの顔照らし
陽は沈みゆく
過ぎて行った日々を
哀れだったと形容し
せめてお前の名を
・・・・恵美 と口ずさむ
東京には空がないと 智恵子は言った
私には似合わないと 恵美は言った
それはそうだとしても
あの頃 ああだったら
風は靡いた
ここには 居なかった
甘い大気の中を
明日ある国を目指し
太陽の子を道連れに
あなたは漂った
夢の様なリリカルを
この手で掴むと言い
願いは虚し
夢と消えた
ヴェルレーヌと言う悲話に
せめてエピソード
白薔薇を
ヴェルレーヌの涙
拙い涙
我呼ぶ 涙
そして続くけだるさ
これとばかりの吐息
皆 あの日と変わらない
青になれない黒のような
たえず群青を夢見んと
眩さを怖れ
避けてしまう この弱さ
恍惚の日々は流れる
訪れる光もない
感涙にむせぶこともない
時間の無い世界をゆくような
罠ある坩堝に吸い込まれるような
そんな日々 送る
やがて誕生し
そこにある世界見て
なんだか嬉しく 笑ったはず
それから時が立てど
四半世紀も過ぎぬのに
悪態 戯れ言 口に出る
ああ 新生せねば
生きよう 生きよう
どうせ刹那な光
そんな光の尾を見よう
生きよう 生きよう
どこまでも生きよう
どこまでも どこまでも 永遠に
果たして本当の自由を
何が自由か
自由ゆえに知らないのです
自由という重みを
柵を取りたくて
あくびに疲れたのか
自由を捨てにかかるのです
いつもの繰り返しです
人は戦うのが好きなのです
何だか それもわかります
笑ったり・・・・
泣いたり・・・・
ミーイズムの戯れ言でした
後悔の日々 そこにあり
どうやら びっこの足取り
ちびた下駄は物語る
濃霧の中の迷い子
昨日もなければ 明日もない
愛しき顔も見えない
どこかで ごぜも泣いている
ここを過ぎてゆけど
遊惰の国の人は
悲しみを知らないのです
ここを過ぎて半歩出て
帰れぬ故国を思うたび
亡国の民となるのです
言葉を追う狩人は
瀕死の病人でもありました
お出でお出でのデーモンに
罠を掛けられてしまったのです
閉ざされた世界の
内面に浮く大地の中で
すべて仮象と知りつつ
シニカルな矢を向けるしかないのです
神の兵隊に殺されようと
ラディゲは笑ってました
あまねく 笑ってました
死相を超えた顔貌には
絶望すら ありません
惚けた笑い顔 だけがあるのです
千年に一度近付く彗星のように
あまたの闇から闇へと
空間と次元を超え
妖光は過ぎゆくのです
七色変化の仮面付け
全知の眼持ち
永久から永久へと
尾を引く光は過ぎるのです
妙なる刹那を愛すごとに
こんな光 あんな光
時空の彼方で光ってます
哀れな民を愛しんで
こんな光 あんな光
光ってるのです
アニノムの手記はそこにあり
開かれる必然を待つもの
そこへ宿命人
流れのままに棹される
綴られたは世迷い言
世捨て人の嘆きか憂悶か
とぎれとぎれの戯れ言
字面を追えば 靄の中
あてもなき定め記され
知るや良しなに半歩出て
一抹の風に背を向ける
どう仕様もないと思うとき
そこにある実体 崩れかけ
すべて幻影だと 誰言う声がする
どうこうするうちに
後にも先にも進めず
空が落ちて来て
地が裂けるような日々 送る
滅びの調べであろうか
琵琶の音 悲しく響く
一夜の饗宴
お前の胸に縋る
優しさだけの女
あたえるだけの女
その胸で 我はいやされる
慈母のような女
無償の女
我は 眠りゆく