気ままにフィギュアスケート!

男子シングルが好きです。

氷の国の物語 3 (イラスト付き)

2010-01-11 20:24:11 | 氷の国の物語
kumさん、改めてお誕生日おめでとうございます!
そしてkumさんと、混乱させちゃった皆様、ごめんなさい!

<氷の国の物語 3>

kumはマントを織り急いでいた。マントは戴冠式までに仕上げて城に納めればよい。しかし彼女にはマントを急いで仕上げたい理由があった。
そのため寝る間も惜しんで織り続け、体調を崩してしまうほどだった。一緒に暮らす父親が心配したが、医術にも通じているkumは自分で薬草を煎じて飲み、治してしまった。
織り上げた布地の縦糸を切って織り機から外すと、それをきめ細かな針目で縫い、布地と同じ糸をよって紐を作り形を整えて房飾りとし、マントを仕立て上げた。
マントが仕上がった翌朝、kumは自分の身の回りの物と一緒にまとめた荷物を担ぎ、家を出た。歩きでも昼には城に着けるだろう。
短い夏は終わり束の間の秋を経て、季節は冬の初めへと入っていた。山々は白く輝き、平地のこの辺りでもすでに初雪は降り、道すがらそれが所々斑になって残っていた。もうしばらくすればどこもかしこも厚く雪が積もり、一面白銀の世界に覆われてしまうだろう。
過ごしやすい夏ではなく、この時期に王選びの試練を行うということに、kumは不安を感じていた。

kumの年頃では他の娘達はとっくに嫁ぎ子供を儲けていたから、両親からそろそろ嫁ぐように言われていた。そんなとき、好きな人がいないから興味ないわ、と答えたり、私が嫁いだら父さんが一人になっちゃうでしょ、などと言ってkumははぐらかしていた。
母親と弟は城でdai王子に仕えているから、kumが嫁げば確かに父親は一人になる。しかし母親がdai王子のお側で身の回りの世話を続けるのも、もう長くはないだろう。母親はdai王子が王になり妃を娶れば、後のことは妃に託して城から暇をもらうつもりだと言っていた。
kumには織物と医術の腕があったから、一生独りで暮らしていくことができた。それで両親はkumの口実をそれ以上追及しなかった。
近隣の村や町に住む若者でも、城勤めの若者でも、kumに言い寄ってくる者はいたし、kumも自分の夫や子供を持ちたくないわけではなかった。
ただ、今はそんなことは考えられなかった。きっとdai王子が妃を娶れば、その後ならば自分も心に区切りを付け相手を見つけられるだろう、kumはただそう思って自分の先のことは考えないようにしていた。

dai王子は王になった暁には美しい妃を娶るだろう。可愛らしい王子や王女が次々と生まれることだろう。kumの胸に幼い頃のdai王子の面影が浮かんだ。
幼いdai王子は、本当に愛らしい子供だった。大きな目にふっくらとした頬と唇。何とも言えない愛嬌ある顔立ちで見る者を惹きつけ、そのくせ本人は泣き虫の弱虫でしょっちゅう泣きべそをかいていた。
姉や従兄弟達にいじめられた、厳しい先生や乳母に叱られた、苦手な虫が出て怖い、そんなことを大きな瞳一杯に涙を溜めて一々訴える王子を、kumは姉らしい態度でなぐさめ、ぎゅっと抱きしめた。
すると王子の心の傷は瞬時に消え、輝くような笑顔でkumを見上げてはしゃぐ。そんな王子が可愛くて、王子の役に立てたことが嬉しく誇らしくて、kumはいつも王子の心の傷を癒してやった。

「小さな弱虫daiと優しく暖かいkum」by ゆゆんさん
(このイラストの掲載はゆゆんさんの許可を頂いています。転載・使用・コピーはご遠慮下さい。)

だがあるときこれを母親に咎められた。kumの癒しの力は母譲りだが、母のものよりずっと強い。だから母はすぐにはkumのしていることと、その害に気付かなかったのだろう。
「もうおまえのその力をdai王子に使ってはいけません」
王子の乳母である母はそうはっきりとkumに告げた。
「王子にだけではない。その力を使っていいときと悪いときの区別が付けられるようになるまで、その力は封じ込めておきなさい」
そのときに受けた衝撃を、kumは今でもはっきりと覚えている。母の言葉はそれこそkumの心の傷になったし、人の心の痛みを癒すことがなぜ悪いのかと反発もした。
だが成長するにつれてkumには母親の言葉が理解できるようになっていった。力を禁じた訳を説明しなかったのが、幼い娘に対する気遣いだったこともわかった。
daiは体こそ小さめだったが、頭は利発だし体も丈夫ではしこい。ただ心だけが同じ年頃の他の子供たちよりも少し幼く、いつまでも弱虫だった。
このことを思い出すとき、kumは罪悪感に駆られる。
人の精神の成長に、心の痛みや苦しみは不可欠だ。心の疼きや苦しみに葛藤し、自身で乗り越えていくことで人は大人になっていく。
心に痛みや苦しみが生まれた瞬間に拭い去ってしまうことで、kumはdai王子の心が成長する機会を奪っていたのだ。
その後dai王子が順調に成長し、外見だけでなく内面もたくましい若者に育っていくのをkumはほっとして見守っていた。
そして大人になるに連れて、自分の癒しの力の用い方もわかっていった。大切な人を亡くすなど、自分では乗り越えることもできないほど大きな不幸に見舞われ、生きる力を失った人々には、必要とされ感謝される力だった。
この力は用い方さえ誤らなければ、やはり人々に必要とされる力なのだ。kumは自分自身の生まれながらの力に誇りを取り戻した。
だが王子を守りたいという気持ちは消えない。ならばせめて体が傷を負ったとき、病を得たときに治してやりたいと、kumは近所の魔法使いや魔女に習い、徐々に医術を身に付けていった。

dai王子が魔法使いnikに付けられた心の傷が、右足の傷と共に癒えていったとき、母はkumが癒しの力を使ったのではないかと疑っていたようだった。
だがこれは違った。kumは足の傷の治療と、体が活力を取り戻すように薬草を煎じた薬を飲ませただけで、心に関しては特に何もしなかった。心おきなく話せる乳兄弟として、治療の合間に話し相手になっただけだ。
王子といるkumには、彼の苦しみが手に取るように伝わっていた。kumさえその気になれば、王子の心の苦しみを取り除いてやることができる。それができるのに、じっと見守るだけでい続けるのは辛かった。だがkumは王子を信じて耐えた。
王子の心の傷が癒え元のような快活さを取り戻したのは、一度どん底まで落ちた王子の心が、苦しみ抜いたあげく自ら解決を導き出し、一回り大きくなって戻ってきたからだった。
今の王子にはnikといたとき以上の度量の大きさがある。試練を乗り越えることで、王にふさわしい器量を身に付けたのだ。   <つづく>

話が全然進みません。しかし幼いdai王子は余りにかわいいので、外せませんでした。(笑)

夢追うチカラ

2010-01-11 14:56:19 | 高橋大輔その他
昨日の「夢追うチカラ」、倉敷のリンクの話でしたね。
短い番組の中にあの頃の映像がぎゅっと詰め込まれていて、懐かしさとあの頃の切なさと、解決したときの喜びなどが思い出されて、胸が熱くなりました。
リンクを閉鎖するためにリンクの氷を壊す映像は私は初めて見たので、涙が出そうになりました。

久々にテレビで見た「お父さん白鳥」の大ちゃんのスワンは本当に暖かな笑顔。
あの頃の彼は自身も辛いことを抱えていたのに、リンク問題まで背負っていて、どれだけ辛かっただろう、それでも人前では弱音を吐かず、穏やかな笑顔も消さなかったな、なんて想いを馳せていました。

何度も書いていますが、大ちゃんって本当にすごい男です。
臨海のほうはまだ完全解決していませんが、リンク問題が解決に向かったのは大きな感動でした。
あきらめさえしなければ、可能性は残されているんだな、ということを教えられました。そして大ちゃんは不可能を可能にする男だと思いました。
リンクに直接関係ないたくさんの人の関心をリンクに向け、立場の違う多くの人の心を一つにしたのは彼の力だったと思います。

夢を夢だけで終わらせない男、大ちゃん。バンクーバーであなたの夢を現実に!

見逃した方は再放送がありますよ。
1月13日(水) 1:55~1:59 テレビ朝日系列

それから1月24日(日)の放送は鈴木明子ちゃんです。これも楽しみ~!

「夢追うチカラ」HP