wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

僕の読書ノート「ロッキングオン 2022年02月号」

2022-02-19 07:37:53 | 書評(アート・音楽)

若い頃は、毎月必ずロッキング・オンを買って隅から隅まで全部読むような熱心な読者だった。しかし、ここ30年近くは、数年に一度の頻度で、これは!と思ったときだけ買って、読みたいところだけ読んでいる。今回のブライアン・イーノ特集はこれは!といえる号だった。ブライアン・イーノ以外にも、キング・クリムゾン、デヴィッド・ボウイ、トッド・ラングレン、写真家のミック・ロック、30年前の1991年特集といった記事もあり、オールド・ロック・ファンの私には満足な号であった。

ブライアン・イーノ特集では、これまでの作品たちの本人による解説、主要な10枚の編集部による解説などがあり、参考になった。ブライアン・イーノの作る音楽は、現代アートのように、前知識なしに聴いてどう感じるかも大事だけれど、作者の意図や背景がわかるとより理解が深まるところがある。個人的には、初期のシュールなポップも、中期以降のいわゆるアンビエントの作品も好きだが、中期のリズムが前面に出ている作品群(ビフォア・アンド・アフター・サイエンスやマイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ)がよくわからなかった。本号の解説を読むことで、それぞれちゃんと背景があることがわかった。

デヴィッド・ボウイについては、幻だった20年前のトイという作品がやっとリリースされたことに合わせての当時のインタビュー記事だったが、トイについてはあまり触れられておらず、とってつけたような記事に思えた。後ろのほうのアルバム・レヴューの記事でどういう作品かわかった。ボウイが未熟だったころに作った曲を、成功して技術も表現力も円熟した今作り直したらどうなるかというコンセプトの作品で非常に興味深いものなのだが、3枚組ボックスで¥5,500の値段は今の自分としては買うことを躊躇してしまう。

1991年特集を見ると、その年はロックにとってすごい時代だったのだと思う。ニルヴァーナのネバーマインド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのブラッド・シュガー・セックス・マジック、ガンズン・ローゼスのユーズ・ユア・イリュージョン、マッシブ・アタックのブルー・ライン、ブラーのレイジャー、マイ・ブラッディ―・バレンタインのラブレスといった、いずれも彼らを代表する作品のうちの1枚であり、私も今でも大好きなアルバムたちが出た年だった。