小田原でJRに乗り換える。シートに携帯がある。ポケットから落ちたのだ。階段へ急ぐ人々に大声で「携帯忘れていませんか」と叫ぶ。こんな時は元俳優は声を出す勇気がある。しかし反応なし。
電車は走り出す。どうするか。誰か友人にでも電話するか。携帯はロックされている。
早川、根府川と過ぎる。前のシートに20才前後の性格のよさそうな女の子がいる。「あなた、どこで降りる」と聞くと次の湯河原だと答える。
ローン会社のチイシュの宣伝の裏紙に、小田原発の時間、車両の番号などを急いで書く。
「済みませんが湯河原で駅員に渡してもらえませんか」と女の子に言うと「いいですよ」と。
「明日、小田原へ行くので、小田原で駅員に渡す」ともいう。
「湯河原で駅員に渡しなさい、任せたほうがいいよ」と私が。
湯河原で降りた女の子は、携帯とメモを胸の前に差し出すように持ち、わたくしはネコババしませんよの意思を表明するかのように階段へ歩く。
昨日は優先席でも何でも座る。今日は忘れ物を気軽に届けてくれる。同じ湯河原の女性だ。この子の将来、日本が健全に存在していることを、祈る。
電車は走り出す。どうするか。誰か友人にでも電話するか。携帯はロックされている。
早川、根府川と過ぎる。前のシートに20才前後の性格のよさそうな女の子がいる。「あなた、どこで降りる」と聞くと次の湯河原だと答える。
ローン会社のチイシュの宣伝の裏紙に、小田原発の時間、車両の番号などを急いで書く。
「済みませんが湯河原で駅員に渡してもらえませんか」と女の子に言うと「いいですよ」と。
「明日、小田原へ行くので、小田原で駅員に渡す」ともいう。
「湯河原で駅員に渡しなさい、任せたほうがいいよ」と私が。
湯河原で降りた女の子は、携帯とメモを胸の前に差し出すように持ち、わたくしはネコババしませんよの意思を表明するかのように階段へ歩く。
昨日は優先席でも何でも座る。今日は忘れ物を気軽に届けてくれる。同じ湯河原の女性だ。この子の将来、日本が健全に存在していることを、祈る。
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