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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『サマーヒル教師の手記 世界でいちばん自由な学校の二年間』 ジョン・ポッター(著)

2008年07月21日 | Book
ご存知イギリスの歴史あるフリースクール、サマーヒル・スクールで先生をしていた方の、学校在籍時の日記を本にしていたもの。

著者は今では日本の大学で先生をしているみたい。


サマーヒル・スクールの特徴は、一応カリキュラムが用意されているけれど、授業に出る出ないは子どもの自由であること。また学校の運営が生徒たちにも議決権がある集会によって運営されていること。


こういう理念を掲げている学校についての本だけれど、本の大半は学校の日常生活における些細な煩わしい出来事に教師がうんざりしている記述で占められている。

それは子どもたちに対してではなく、教員間のいざこざといったことに対して。

これだけを読むと、サマーヒルという世界中のフリースクールの象徴的な存在で働くことは、それほどいいものでもないと思えてきます。

あと、全寮制という学校で働くことによるストレスも大きいみたい。24時間学校の業務に拘束されるわけですから。


それでも、この学校の意義については著者ははっきりと記しています。


「サマーヒルにも反社会的なところのある子はいる。そのうちの何人かには、ほとんど進歩らしい進歩はみられない。いっぽう、サマーヒルに来て劇的に変わった子もある。私がここへ来てからの二年間だけを見ても、たとえばルーシーなどは、最初の頃にくらべればとても社会性があり、ずっと幸福な子になっている。あの頃は、こんなに変わるだろうとはとても思えなかった。

来たばかりの頃は大変な問題児だと思われた子でも、今では共同体の中で最も協調的で、人から好かれるようになっている者もある。クレアとアンドラの二人も、サマーヒルのおかげで素晴らしくなったと、私が自信をもっていえる子らである。もしこの子らが公立学校の厳しいやり方で教育されたら、今とはすっかり違った人間になっていたのは間違いない。

現在いる問題のある子供のことを考えるときには、このように素敵な子に変わってきた子が何人もいるということを思い出すことが大切だ。中には、サマーヒルのやり方が向いていないという子もいないとはいえないだろう。しかし、サマーヒルへ来たために公立学校へ行ったのよりも悪くなったというような子どもは、まずあり得ないにちがいない」(p.213)。


なぜそんな素晴らしいことが子どもに起こりえるのかなんて考え込む必要はないでしょう。ただ自由を与えられれば、人間は正しい道を進むのですから。


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