joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

“SONORITE” 山下達郎

2007年03月07日 | Music

             ピンクのゼラニウムと自転車


山下達郎さんが2005年に発表したアルバム SONORITE を聴きました。

アマゾンで「山下達郎」と検索するとこのアルバムは何と47番目に出てきました。おそらく一番新しいオリジナルアルバムだろうに。このことも、このアルバムがファンの人たちにどう受け止められているかを示しているのかもしれません。

アマゾンのレビューでも賛否両論が分かれているように、このアルバムで達郎さんが挑戦したラップと演歌の二曲は少しアルバム全体から浮いている感じがします。

アマゾンのレビューの中には、「ポケットミュージック(80年代のアルバム)あたりからきつくなった」「For You(かなり初期のアルバム)のような作品はもう望めないのか」といった意見もありました。こういう意見が出てくるのは、私は分かるような気がします。

技巧的には荒削りでも、初期の達郎さんの歌には魂の叫びというか感情的な思い入れがメロディと歌詞に塗り込まれ、それが単なる天才作曲家・歌手という括りから彼を逸脱せしめていたからです。

それが80年代のある時期から、山下さんの音楽は、歌い手のパーソナルな思い入れは薄まり、技術的にとても洗練されたポップミュージックへと変わって行ったというのが私の印象です。

私が山下さんの音楽を聴き始めたのは、すでにその成熟期に入って以降のものです。その私にも、昔からのファンが初期の山下達郎に憧憬をいだく気持ちは分かります。

90年代以降の山下さんの音楽は、技術的には頂点を極め、そのピークをずっと維持しているという印象です。この『SONORITE』も、その流れにあるアルバムです。

ただそれはマンネリでは決してなく、音楽そのものの生き生きした感じは残しながら、ピークを維持しているという印象です。

だから、このアルバムもラップと演歌という毛色の変わった曲は入っていますが、他はいつもの素晴らしい達郎だと思うし、最初は違和感のあったラップと演歌もだんだん馴染んできました。高い完成度の音楽だと思います。

ただ歌詞には少し違和感を感じました。歌詞は10代か20代の男の子が好きな女の子のことを想っている状況を描いているのです。でも結婚もしている人がラブソングを書くなら、それは10代、20代の男の子の歌詞とは違うものになるのが自然じゃないだろうか?と感じてしまうのです。

そういうことについて本人はどこかで語っているのだろうか?