joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

“It Takes a Village” Hillary Rodham Clinton 

2006年04月04日 | Audiobook
“It Takes a Village and Other Lessons Children Teach Us”というオーディオブックを聴きました。著者はヒラリー・クリントンで、彼女自身が吹き込んでいます。長さは全体で3時間強ぐらい。

1996年の著書なので、まだビル・クリントンが大統領だったときに出された本ですね。『村中みんなで』という邦題で翻訳も出ています。

内容は、合衆国が直面する教育の問題についてヒラリーが直截に語るというもの。そこに目新しい指摘はありませんが、どれも未解決の問題ばかりです。

・子供を育てる環境として、極端に貧富の差が進行し人種差別もあるアメリカ社会は相応しいか?

・多くの女の子が20歳になるまでに妊娠し、そのほとんどの子が出産・育児に関する公的サーヴィス等の知識をもたないこと。

・テレビニュースで暴力事件を扱う時間の増大。それは暴力によって視聴率が稼げるからだが、それによる子供への悪影響について。

・育児をめぐる女性の不公平。男女の役割分担による育児の女性への負担。

・離婚訴訟において子供が夫婦間の闘争の駆け引きの手段として使われている現状。

などなど。

ヒラリーの問題意識は、新しいものではなくとも、ひじょうにクリアにアメリカ社会の問題をとらえ分かりやすく私たちに教えてくれます。

これを聴いていて、彼女は社会的な善、社会的な公正さという感覚がひじょうに鋭敏であるのだな、ということ。バランスのとれた道徳的感覚をもっているのだなということです。

知識人をひきつけるような本は書かないかもしれませんが、社会が現実に直面する問題については、ヒラリーは何が問題かについて的確に指摘していきます。

あえてこの本で気になることを挙げるとすれば、あまりにも完璧すぎることでしょうか。

彼女の言っていることはすべて重要で、彼女の意見もすべて正しいものに思えます。その破綻のなさが、聴いていて一種の窮屈さをもたらす所があるかもしれません。

ただ、国家の繁栄や防衛といった観念的な利害を顧みず、あくまで社会に着る人々の問題を、子供の教育という点から取り上げる視点は、彼女が弁護士として現場で社会と関わってきたことで培われたのでしょうし、それは彼女が狭い政治の世界だけで生きてきたわけではないことを表わしているように思います。

一貫して社会の中で見捨てられている人たちを、“教育”という視点から取り上げようとする姿勢には潔いものも感じます。

子供が適切な環境で育てられていないという彼女の関心は、おそらくアメリカ社会がその底辺は“貧困の環境”とも言うべき状況にあることから来ているのでしょう。無視できない数の人々がアメリカでは飢えに苦しみ、子供に満足な食事・教育を与えることができていない状況にあります。それは、子供を産む人自身が社会で生きていくために十分な教育を受けず、それだけ社会生活を営む基盤をもたないままに子供を作ってしまうことで再生産されていく状況です。

アメリカの一部は、まさに生きるか死ぬかという状況で多くの人が生きていることが想像されます。

ヒラリーの語り口は明晰で冷静なので、当たり前の問題のように語られていますが、「文明国」「民主主義国」と自認している国で底辺層が貧困と暴力の中で生きていることに、この本を聴くと気づかされます。

まさにアメリカが危機的状況にあることを教えてくれる本だと思います。


涼風

代表チーム

2006年04月04日 | スポーツ

中田 ドイツW杯で代表引退も (スポーツニッポン) - goo ニュース

「ボルトンのMF中田英寿(29)が6月のW杯ドイツ大会を最後に日本代表を引退する考えを示唆した。」


今回松井がWBCに参加しなかったことに関して、松井に対する怒りが僕の中で沸々と湧き上がりつつある。

WBCは今回が一回目。しかも投球制限があるという、おそよ本来の野球からかけ離れたルール。時期もオープン戦の時期だから出場選手のコンディションも万全ではない。主催もあくまでメジャー・リーグ。

総合的に考えれば、とても真剣勝負と言える状況じゃなかったし、松井もワールド・シリーズ優勝という目標の方が大事だったのでしょう。万全の状態でシーズンに挑むには、WBCに気をとられたくなかった。

にもかかわらず、自分のチームだけのプレーに専念して、代表チームに参加しないことに関して、「松井はとても自分勝手」という印象が僕の中で出来上がりつつあります。

もちろんそれは正当とは言えない松井に対する評価。代表チームという考えって怖ろしいですね。

涼風