淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」を、遅れ馳せながらやっと観た。

2006年12月31日 | Weblog
 本当は、映画封切り初日に観ようと決めていたのに、何かと忙しく、ついに大晦日前日まで引き摺ってしまった。
 クリント・イーストウッド監督による、映画「硫黄島からの手紙」である。
 硫黄島での戦いを日米双方の視点から描く2部作の「父親たちの星条旗」に続く第2弾だ。

 映画の上映が夜の8時半から。
 日中も色々と忙しく、夕食を採ってから部屋に寝転がる。
 行こうか、行くの止めようか。疲労困憊なのだ。
 外は久しぶりの吹雪模様。雪が激しく降っている。これから車に乗って、郊外のシネマ・コンプレックスまで行くのは面倒だ。
 でも重い腰をあげる。行きますか・・・。

 アメリカへの留学経験を持っていて、ある意味合理主義的な考えに立ち、しかも親米派でありながらアメリカ軍を徹底的に苦しめた指揮官、栗林忠道中将が、家族に宛てた手紙をまとめたという『「玉砕総指揮官」の絵手紙』を基にしてこの映画は成り立っている。

 主演が、ハリウッド映画の「バットマン・ビギンズ」や「ラスト サムライ」の渡辺謙。そして共演がジャニーズ「嵐」の二宮和也。
 この二人、素晴らしい演技を見せる。
 特に渡辺謙。日本軍の指揮官でありながら、部下や組織に対する暖かい眼差し、それからアメリカナイズされた仕草を、なんら嫌味なく演じ切っている。

 戦況が悪化の一途をたどる1944年、日本軍最重要拠点である硫黄島に、新たな指揮官、栗林中将が到着するところから映画は始まる。 
 一枚岩かと思われた組織も、海軍と陸軍の確執や、本部からの「支援出来ず」の非情な決定、それから栗林中将への合理的指揮・指導に対する不満などが重なってゆく。

 しかし栗林は、非合理で馬鹿げた精神論が幅を利かせる日本軍の体質を改め、合理的な体制への移行を強引に整えていく。
 ロサンゼルス・オリンピック馬術競技金メダリストである、西竹中佐のような理解者や、栗林に助けられた一兵卒などが、少しずつではあるが彼の理解者として増えてはいくのだが、反発も根強く、それが大きな悲劇への誘導へと繋がって行く。
 
 そして、硫黄島に篭った日本軍は、圧倒的な戦力のアメリカ軍を迎え撃つために、島中に張り巡らせた地下要塞の建設を進め、アメリカ軍との徹底抗戦に臨むことになる・・・。

 モノトーン映画に近い、くすんで重苦しい画質。
 洞窟のシーンは息苦しく、硬質な熱気が観る者を締め付ける。
 圧倒的なアメリカ軍の大物量作戦に対して、武器も乏しい日本軍はゲリラ的に戦ってゆく。

 クリント・イーストウッドの目線は、至ってクールだ。
 日本軍、アメリカ軍のどちらにも感情移入することなく、この残酷で惨たらしい戦争を冷徹に描く。
 2部作である「硫黄島からの手紙」と「父親たちの星条旗」。
 僕は「硫黄島からの手紙」を高く評価したい。

 映画を観終え、外に出たらまたまた猛吹雪。寒い。11時をとっくに回ってるし。
 もう明日は大晦日。


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