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淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

蛭児神健の「ある『おたく』の生涯 出家日記」は、ここ数年の中で稀にみる奇書だっ!

2006年09月18日 | Weblog
 ということで、唐突ですが帰ってまいりました。
 「今度、会う時は木枯らしの季節だね」などとほざいていたくせに、もう「キース・リチャーズになりたいっ!!」復活です。
 本当に節操がないですね。

 で、この本。奇書というか何というか。久しぶりです、この衝撃度は!
 ロリコン漫画家の吾妻ひでおが書いた「失踪日記」も確かに凄かったけれど、これを読んだあとは、余りにも凄まじくて、一種の爽快感を感じたほど。
 ここまで人生を極めれば、俺の苦悩なんて屁だね、屁!!

 まずこの蛭児神健という人物、ひるこがみけんと言う。元が付くから今は違っている。
 帯に「昔、ロリコン。今、坊主」と謳っているように、1970年代後半から、80年代にかけて、怒涛の如く社会を席巻した「ロリータ」ブームの中心人物だった人間の自伝である。
 僕はまったく知らなかった。第一ロリコンじゃなかったし。興味をそそられることもなかった。

 しかし、凄まじい内容の本である。
 本当に、というか本当の事しか書いていないと思うけれど、よくもまあこんな波乱万丈な人生を送れるものだ。
 誠実で真摯で生真面目なのである。本質は。
 でも家庭環境や幼児に受けたトラウマが原因で、彼の人生は大きく変わる。

 初のロリコン同人誌の発行や、吾妻ひでおとの交流などはまだ序の口。人間関係や業界のゴタゴタから、彼は精神さえも病んでゆく。
 そして一切のシガラミを断ち切って、業界から身を引してしまう。
 で、彼はなんと僧侶になる!

 後半が凄い。
 僧侶生活における妻との描写がきつい。きつ過ぎる。
 でも個人的には、ロリコン・ポルノ雑誌業界での出来事よりも、その後の彼の人生を描いた後半に惹かれてしまった。

 いやはや。奥さんは重い精神障害に陥り、多重人格者として病んで行くし、僧侶といっても寺を引き継いだわけでもなく、単なる資格僧侶ということで、最後にこの夫婦は生活保護受給者になってしまうのだ。

 最後がいい。僕は深く感動した。
 「私は幸福である。幸福の絶対基準など存在しない。自分が幸福だと思えば幸福で、不幸だと思えば不幸である。それが真理だ」

 ちょっとハードな本なので、好き嫌いははっきり分かれるだろう。途中で厭になって投げ出す人もいるかもしれない。
 でも僕はこの奇書・快書に感動した。

 
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