お正月1月3日のスポーツジムは、がらんとしている。夕方5時という時間帯もあるのかもしれない。
みんな、新年3日目の夕げを囲みながら、それぞれの一家団欒を楽しんでいるのだろう。
5日振りのジム。今年最初のジム。
真っ暗な外は、さっきまでの雨から濡れ雪へと変っている。ヘッドライトを点けた多くの車が家路を急いでいる。
時速12キロを維持してランニング・マシンで走っていたら、備え付けのテレビで「龍の伝人~青森ねぶた祭り名人たちの奮闘」という番組が入っていた。
昨年、勤めていた高校教師を若くして辞し、ねぶた師の道を選んだ某氏がテレビ・インタビューを受けていて、「このまま教師を続けていたら、確かに20年、30年と安定した生活を送れるかもしれません。でも、今ここで辞める決断をしなかったら、絶対、いつか後悔すると思うんです。だから、昔からどうしてもなりたかった『ねぶた師』の道を苦しくても選びました」と、しっかりした口調で前を見据えながら話している。
その困難な道を、この臆病な俺は選べなかったのだ。
安定した道を選択し、おせちや美味いものを喰らい、小さな殻の中で蠢(うごめ)きながら、今こうしてランニング・マシンの上で汗を搔き、健康に気を使い、老いることへの恐怖に耐えている。
でも、あと442日。あと442日でそこから解放される。
それだけが嬉しい。物凄く嬉しい。
やっと、自分のやりたい事が出来るんだ・・・。
それでも本当は知っている。
442日が過ぎたとしても、開放なんて絶対にないことを。
組織から逃れ、新しい生き方を選択したとしても、人生は過酷で、苦しいことがずっと続いてゆく、そのことを・・・。
ジムで今年初めての汗を流し、濡れ雪が降る中、車を走らせ、家へと帰り、読売テレビ開局55年記念番組として1月2日の深夜にオンエアされた「遊川和彦への挑戦状『30分だけの愛』」を観る。
遊川和彦は脚本家である。
怪物番組「家政婦のミタ」を書き、NHK連続テレビ小説「純と愛」を書いた、あの脚本家の遊川和彦である。
今回、お正月の特別企画として「テレビドラマの限界に挑戦する」をコンセプトに、ドラマ設定も全くの白紙状態からスタートしたらしい。
番組が始まった直後、「主人公の職業」と「ドラマのカテゴリー」と「テーマ」の3つから、遊川和彦本人がダーツの矢を投げるという手法が取られる。
8つの設定が書かれた回転ボードに、それぞれ1回だけダーツを投げ込んで決定するのである。
その結果、主人公の職業は「マッサージ師」に、カテゴリーは「ラブストーリー」に、そしてテーマは「泥沼に咲く花」に決定し、そこからドラマが始まった。
ドラマのタイトルは「30分だけの愛」。
主人公、女性マッサージ師に小池栄子、リハビリ中で人生に失望している男性に小澤征悦。
寝たきりになった人たちに訪問リハビリを行う指圧マッサージ師で妄想癖のある女性と、くも膜下出血で突然倒れ、半身麻痺になったエリート証券マンとのラブストーリーである。
リハビリマッサージの時間がちょうど30分ということで、このタイトルが付けられた。
ドラマ「30分だけの愛」は2時間。
まあ、それなりに面白かったけど、いつもの遊川和彦にある「毒」とか「シニカルな視点」は、今回の「30分だけの愛」には少し不足していたような気がする。
ラブストーリーで、かつ、テーマが泥沼に咲く花ということなので、そこは規制が加わった分だけ仕方がない部分もあるが。
遊川和彦への挑戦状「30分だけの愛」を観終え、漫画、諌山創「進撃の巨人」第12巻と、浅野いにお「おやすみプンプン」最終巻を続けて読む。
漫画「進撃の巨人」、確かに面白いのだが、諌山創の描く人物像がどれも描き方が似通っていて、キャラクターが誰が誰だかよく解んなくなってきて、ごっちゃになってしまう。
なので、もう一度、最初から丁寧に読むことにした。
それから、浅野いにお「おやすみプンプン」最終巻。
遂に、「おやすみプンプン」が完結した。
ラストは読者の読み方次第でだいぶ違ってくるだろう。
実は個人的に、もっと別な最後を期待していた。
浅野いにおの漫画にある、あの、限りなく切なくて、限りなく絶望的で、それでいて何とも言えない、ちょっぴり光る淡い希望のような、そんなラスト・・・。
それはそれとして「おやすみプンプン」、それでも素晴らしい傑作漫画であることに変わりはない。
みんな、新年3日目の夕げを囲みながら、それぞれの一家団欒を楽しんでいるのだろう。
5日振りのジム。今年最初のジム。
真っ暗な外は、さっきまでの雨から濡れ雪へと変っている。ヘッドライトを点けた多くの車が家路を急いでいる。
時速12キロを維持してランニング・マシンで走っていたら、備え付けのテレビで「龍の伝人~青森ねぶた祭り名人たちの奮闘」という番組が入っていた。
昨年、勤めていた高校教師を若くして辞し、ねぶた師の道を選んだ某氏がテレビ・インタビューを受けていて、「このまま教師を続けていたら、確かに20年、30年と安定した生活を送れるかもしれません。でも、今ここで辞める決断をしなかったら、絶対、いつか後悔すると思うんです。だから、昔からどうしてもなりたかった『ねぶた師』の道を苦しくても選びました」と、しっかりした口調で前を見据えながら話している。
その困難な道を、この臆病な俺は選べなかったのだ。
安定した道を選択し、おせちや美味いものを喰らい、小さな殻の中で蠢(うごめ)きながら、今こうしてランニング・マシンの上で汗を搔き、健康に気を使い、老いることへの恐怖に耐えている。
でも、あと442日。あと442日でそこから解放される。
それだけが嬉しい。物凄く嬉しい。
やっと、自分のやりたい事が出来るんだ・・・。
それでも本当は知っている。
442日が過ぎたとしても、開放なんて絶対にないことを。
組織から逃れ、新しい生き方を選択したとしても、人生は過酷で、苦しいことがずっと続いてゆく、そのことを・・・。
ジムで今年初めての汗を流し、濡れ雪が降る中、車を走らせ、家へと帰り、読売テレビ開局55年記念番組として1月2日の深夜にオンエアされた「遊川和彦への挑戦状『30分だけの愛』」を観る。
遊川和彦は脚本家である。
怪物番組「家政婦のミタ」を書き、NHK連続テレビ小説「純と愛」を書いた、あの脚本家の遊川和彦である。
今回、お正月の特別企画として「テレビドラマの限界に挑戦する」をコンセプトに、ドラマ設定も全くの白紙状態からスタートしたらしい。
番組が始まった直後、「主人公の職業」と「ドラマのカテゴリー」と「テーマ」の3つから、遊川和彦本人がダーツの矢を投げるという手法が取られる。
8つの設定が書かれた回転ボードに、それぞれ1回だけダーツを投げ込んで決定するのである。
その結果、主人公の職業は「マッサージ師」に、カテゴリーは「ラブストーリー」に、そしてテーマは「泥沼に咲く花」に決定し、そこからドラマが始まった。
ドラマのタイトルは「30分だけの愛」。
主人公、女性マッサージ師に小池栄子、リハビリ中で人生に失望している男性に小澤征悦。
寝たきりになった人たちに訪問リハビリを行う指圧マッサージ師で妄想癖のある女性と、くも膜下出血で突然倒れ、半身麻痺になったエリート証券マンとのラブストーリーである。
リハビリマッサージの時間がちょうど30分ということで、このタイトルが付けられた。
ドラマ「30分だけの愛」は2時間。
まあ、それなりに面白かったけど、いつもの遊川和彦にある「毒」とか「シニカルな視点」は、今回の「30分だけの愛」には少し不足していたような気がする。
ラブストーリーで、かつ、テーマが泥沼に咲く花ということなので、そこは規制が加わった分だけ仕方がない部分もあるが。
遊川和彦への挑戦状「30分だけの愛」を観終え、漫画、諌山創「進撃の巨人」第12巻と、浅野いにお「おやすみプンプン」最終巻を続けて読む。
漫画「進撃の巨人」、確かに面白いのだが、諌山創の描く人物像がどれも描き方が似通っていて、キャラクターが誰が誰だかよく解んなくなってきて、ごっちゃになってしまう。
なので、もう一度、最初から丁寧に読むことにした。
それから、浅野いにお「おやすみプンプン」最終巻。
遂に、「おやすみプンプン」が完結した。
ラストは読者の読み方次第でだいぶ違ってくるだろう。
実は個人的に、もっと別な最後を期待していた。
浅野いにおの漫画にある、あの、限りなく切なくて、限りなく絶望的で、それでいて何とも言えない、ちょっぴり光る淡い希望のような、そんなラスト・・・。
それはそれとして「おやすみプンプン」、それでも素晴らしい傑作漫画であることに変わりはない。