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淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「バブル兄弟 ‶五輪を喰った兄〟高橋治之と〝長銀を潰した弟〟高橋治則」(西﨑伸彦著)がめちゃくちゃ面白かった。このノンフィクション、一気読みしてしまった。

2025年02月20日 | Weblog
 「人間は生まれながらにして皆誰もが平等である」というのは嘘である。
 それから、「人間、オギャーと生まれたときはみんな裸で生まれ、そして裸で死んでゆく」なんてフレーズもよく巷で使われるけれど、そりゃあ確かに生まれた瞬間はみんな裸で生まれ、その人間がそれから歩むであろう長い長い人生の中で、それなりの財産や地位や名誉を纏ってゆくことにはなるのだろう。
 でも、誰もが裸でこの世に生を受けたとして、そこに格差もハンディもまったく存在しないなんてことは絶対にない。人間は生まれた瞬間から、生まれた家庭や環境による格差が生じ、そこから大きなハンディキャップを背負っている。
 大富豪の家に生まれた子どもと、明日食べる食料にも事欠く貧しい家庭に生まれた子どもとでは、オギャーとこの世界に飛び出た瞬間から既にスタートラインで大きな差が生じているのである。
 これは紛れもない真実だろう。


 
 「週刊文春」に連載されていたノンフィクション「バブル兄弟」については興味があって、いずれ単行本として発売されるだろうから、そのとき纏めて読もうと発売をずーっと楽しみにしていた。
 このノンフィクションは、マスコミでも大きく取り上げられた、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で受託収賄罪に問われ、東京地検に逮捕された、大会組織委員会元理事・高橋治之被告について書かれている。
 現在、その裁判はまだ続いているようだけど、高橋被告は公判で無罪を主張していて、具体的な職務権限がなく、提供された資金は民間同士の取引の対価だと一貫して主張している。ただ彼は、電通でスポーツビジネスにおいて大きな成果を幾つも残した人物であり、その手腕は高く買われていたともいう。
 そして、彼には弟がいた。
 弟である高橋治則は、リゾート開発などを手がけたイ・アイ・イーインターナショナルの社長で、この人物もまた、東京協和信用組合破綻に関する背任容疑で逮捕され、そのスキャンダルは当時大きな話題となった。
 治之と治則は年子の兄弟だった。
 本書 「バブル兄弟 ‶五輪を喰った兄〟高橋治之と〝長銀を潰した弟〟高橋治則」は、この二人の兄弟の実像に迫った力作ノンフィクションである。



 この本を読んでいると、日本にも我々が立ち入ることなど一切出来ない、そんな巨大な「財閥」なるものが実際に存在していて、様々な「学閥」やエリート集団等の「絆」と「コネクション」などを通しながら、更なる権力と財を、雪だるま式に増やしていることがよく分かってくる。
 天皇家にもつながるという莫大な資産を持つ名門の家に生まれ育ち、慶応幼稚舎から慶応大学へとエスカレート式に進み、電通、日本航空という当時の超一流企業へとコネで就職した兄と弟。
 そんなエリート・コースをまっしぐらに突き進み、巨額の富と名誉と地位を勝ち取ったというのに、何故2人は逮捕され、狭い塀の中へと放り込まれてしまったのか? 
 そのことがこの本を読むと明らかになる。
 それにしても、2人の歩んだ人生が凄まじい。
 慶応時代に育んだ人脈の凄さ、政界や財界との癒着とコネ、愛人たちとの逢瀬と廃退した私生活・・・。
 この本の中には、誰もが知っている有名な政治家や財界人のトップや芸能人までが数多く登場する。
 本を読んで実感したのは、「住む世界が違う超富裕層、超エリート集団」って、やっぱりこの日本にはちゃんと存在しているという、紛れもない事実だった。
 「バブル兄弟 ‶五輪を喰った兄〟高橋治之と〝長銀を潰した弟〟高橋治則」(西﨑伸彦著)、バブルの狂乱を生み出した「昭和」という怪物が跋扈していた狂乱と廃退の時代を見事に描き出していて、見応えと圧倒的な迫力に満ち溢れてる。





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