おかんのネタ帳

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8月の家族たち

2016-06-20 14:38:08 | 舞台・映画・ドラマ
観劇といえば、2週間も前のことになるのですが、
森ノ宮ピロティホールで、「8月の家族たち」を観てきました。



映画化もされた現代アメリカ演劇の傑作と言われてる作品。
トレイシー・レッツによる戯曲はピューリッツァー賞を受賞、
トニー賞最優秀作品賞の他4部門を受賞しているらしい。

ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの演出・上演台本で、
これが舞台化されたのですが、すごく良いとの評判。
関西で放送された番宣を観てたらどうしても観たくなり・・・



大阪の千穐楽に、行くことができました。

出演陣がなんとも豪華!

母バイオレット/麻実れい・長女バーバラ/秋山菜津子
次女アイビー/常盤貴子・三女カレン/音月 桂
三女の婚約者スティーブ/橋本さとし・
母の妹マティ・フェイ/犬山イヌコ・家政婦ジョナ/羽鳥名美子
リトルチャールズ/中村靖日/保安官/藤田秀世・ジーン/小野花梨
父ベバリー/村井國夫・叔母の夫チャーリー/木場勝己
長女の夫ビル/生瀬勝久



番宣でのインタビューによると、ケラさんは、
他の人の本で舞台を演出して欲しいと頼まれて、
”三姉妹”ものが大好きなケラさんなので、
じゃぁ、この作品をやろう、ということになったとか。

番宣には、ケラさんと生瀬さん、橋本さとしさんが出てたんやけど、
ケラさんが、人の本でと頼まれたけどやりたい本を探すのが大変で、

「やっぱり自分で書いたほうが早いし、どうしようかと思って・・・」

と、ケラさんが言うたら、すかさず生瀬さんがツッコミ!

「いや、遅いですやん。書くのが」

「あ、書くのは遅いけどね」

ケラさん苦笑い。さとしさん、大笑い~

ケラさん、台本が遅いことで有名らしいです~(苦笑)

3時間を超える舞台ながら、休憩が2回、
聞いただけで、へ~って思ったけど、休憩が2回あるので、
案外、長く感じないで観ることができましたね。

一幕で、登場人物とおおよその状況がわかり
二幕は、ウワサの?食事シーンで家族のほころびが暴露され、
三幕では、ドッキリな展開と、状況は何一つ解決されず・・・

何年か前に観た、ケラさん作・演の
ナイロン100℃「100年の秘密」という舞台を思い出しました。
あのラストも、ビックリやったしね・・・
知っていながら隠し通した秘密・・・まさに人間の業というか。
今回の舞台も、同じような衝撃的な事実が発覚して。

感想・・・長いです~(苦笑)
興味のない方は、遠慮なく、スルーしてくださいね(汗)


村井さん演じるお父さんが、インディアンの娘ジョナを、
家政婦として雇い入れる時の、長セリフから始まります。
・・・・村井さんはこのシーンと、もう一回、
セリフのないシーンがあるだけという贅沢なキャスティング!
でも、あの長セリフはさっすがでした~

8月の暑いある日。
詩人でアルコール中毒の父ベバリーが失踪したというので、
長女バーバラと次女アイビーが実家に戻ってきます。

家に残されていたのは、母バイオレット。
病気のために飲む薬物の中毒で心身を病み、
言動も怪しく、娘たちに罵声を浴びせるばかり。

・・・麻実さんはお初ですが、
すっごい役を自然に演じられていましたね。
元タカラヅカでも、歌もダンスもないけど、
存在感はハンパなかったです~
なんせ、薬物中毒で、家族に対する愛情とエゴイズムを、
半狂乱で娘たちにぶつけるという役ですし。

長女バーバラは、夫のビルと14歳の娘のジーンを連れてきて、
でも実は、夫婦仲は冷え切っていて別居してるらしい・・・
娘のジーンはマリファナをやってるのに、夫婦はそれにも気づけない。
・・・あ、パパは気づいてるんかな~

麻実ママと、長女を演じる秋山さんとのやりとりは見応えありますね。
その狭間で右往左往するビル、生瀬さんが笑いを誘います。
笑わせようとしてないのに笑える、やっぱり間、ですかね!

両親想いの次女アイビーは、常磐さん。
自己主張がハッキリしてる姉と妹の間で、地味な役どころですね。
40代で独身のアイビー、でも、透明感があって健気です。
そして、家族には秘密してるけど、実は恋人がいて・・・
マティ叔母さんの息子、従兄弟のリトルチャーリーとつきあってました!

ぎくしゃくした母と娘たちの緩衝剤が、
陽気な叔母マティ・フェイと夫のチャーリー。
ケラさんの舞台では定番の犬山イヌコさん。
笑いを一手に引き受ける役どころやけど、でも、実は、
すっごい秘密を持ってたんですね・・三幕でわかるけど。
緩衝剤が実は、爆弾やったなんて・・・・
チャーリー役の木場さんは、陽気で優しい叔父さんです。
・・・あの秘密を知っていたなんて~

三女カレンは婚約者のスティーブを連れて来ます。
音月さん演じるカレンは愛されキャラやけど、
さとしさん演じるスティーブは、めっちゃ怪しい~
14歳のジーンを狙ったりしてるしね!

叔母夫婦の息子リトル・チャールズも遅れてやってきます。
靖日さん演じるリトル・チャールズは、恋人のアイビーの前では男らしく、
でも、母親のマティの前では、怒られてばかりのダメ息子。
パンフにある、男たちの対談は読み応えがあって、
靖日さんが、役と戦ってる様子がよくわかりました。


二幕の、一族全員が揃ったディナーのテーブルで、
それぞれが抱える鬱積が爆発します。
下手にあったテーブルが回りながら? 
ゆっくり中央に移動するんですね。
それぞれの会話が辛辣になっていくのと、
舞台が動くのが、なんともコワイ雰囲気をつくってました。
あげく、母娘の取っ組み合いに、一族全員が振り回され、
まさしく、大人たちのドタバタシーンが繰り広げられます。

・・・・このシーンは、毎回、大変やろうなぁ。

しっかりものの長女は、母の薬を取り上げ、
自分がこの家族を仕切ると宣言。

でも、去っていく夫を引き留められないもどかしさ。
愛してると、後から気付いても遅いねんな~

そして、リトル・チャールズは、実は、
マティと父の子だった事実・・・衝撃です。
しかも、母をそれを知っていたし。
どうするアイビー・・・

けして笑えない状況やのに、

「あとはあなたにまかせるわ」 とマティ叔母さんに言われ、

「どうして私が?」 と叫ぶバーバラ、

「だって、あなたが仕切るんでしょ」

客席が爆笑です。
そう、確かにバーバラが「仕切る」と言ったしね。

でも、バーバラは、母バイオレットから聞かされるんです。
父が、入水自殺をするとわかっていながら、母は助けなかったことを。
父の苦悩を知っていても、母は父の不倫を許せなかったのかな・・・

ブラックジョークが炸裂する舞台。
結局、母のもとから娘たちは去っていきます。

ビルと別れることになったバーバラ。
リトル・チャールズと姉弟だとわかったけど、
彼を追っていくアイビー。
14歳のジーンとイチャついてたスティーブやけど、
彼と一緒になると言って、帰っていったカレン。

前途多難な家族、解決されていない問題だらけです。

結局、嵐のような時が過ぎて、薬物依存の母バイオレットは、
家政婦とふたりきりに。
あれだけ、インディアンだからと蔑視してたけど、
彼女にすがるように、最後は名前を呼んでたような・・・

娘たちにも見放されたのかな?

母親って、結局、自分の思うようにしたいのかもね。
愛情と言いながら、娘を追い詰めたりしてるのかも。

う~ん、

早く嫁に行け、なんて、あんまり言わない方がいいのかな?