おかんのネタ帳

日々の雑感や興味のあることを書いています

パーマ屋スミレ

2016-06-18 23:04:30 | 舞台・映画・ドラマ
梅雨の狭間の唯一の晴れ間・・・忙しいですよね、主婦は!
でも、暑い~~~

そして、ブログアップが、なかなか追いつけてません(汗)
日々、いろいろな発見があるんやけど、
なかなか、書くようにならなくて・・・
メモが溜まって来たし・・・仕事が遅い~?

そのわりには、遅くまで起きてるという夜行性は治らずですが、
つまりは、他の用事も多いということですね。
録画した番組も見ないとあかんし、世間でいろいろ起こるから、
ネットニュースも見やなあかんしねぇ~

その合間をかいくぐって?舞台の観劇もあります!

昨夜は、兵庫芸術文化センターまで。
・・・だいぶん行き慣れましたね(苦笑)



「パーマ屋スミレ」。
鄭義信さんの戦後三部作、三作目の上演作品。

4月初めに観た、「焼肉ドラゴン」、
GWに観たのが、「たとえば野に咲く花のように」
そして、この作品。

東京オリンピックで日本中が沸いた1964年、
その翌年の九州のとある炭坑町。
有明海が見下ろせるその町は、アリラン峠と呼ばれ、
在日韓国人と、貧しい日本人たちが暮らしていました。

石炭から石油にエネルギーが替わる時代、
「閉山」に向かわざる得ない町の理髪店が舞台です。



兵庫芸術文化センター、中ホールのロビーに、
こういうオブジェが作られていました。

「焼肉ドラゴン」の時は、始まる前から、
ステージ上の焼肉店で、肉を焼く香ばしい匂いと、
昭和70年代の歌声があふれていました。

さて、今回は・・・

高山厚生理髪店の店内。
中央に理髪用の椅子、畳敷きの小あがりがあり、
よく見ると、おじいちゃんが寝ています。
ツルっぱげの頭を客席に向けて。

コートを着た中年のサラリーマン風の男性が
傘を持って登場します。
ストーリーテラー役である、大人になった大吉。
頭の薄いところは、おじいちゃんからの遺伝?

”現在の大吉”が、俯瞰で過去を眺めるような、
そんな設定で、物語が進んでいきます。

時々、屋根の上に上ったり、
おじいちゃんと一緒に見下ろしたり、
過去の大吉(ぽっちゃりして、女っぽいねん)と、
一緒に並んで、眺めてたり・・・


理髪店の店主は、南果歩さん演じる、大吉の叔母須美(すみ)さん。
その夫、千葉哲也さん演じる(成勲)ナリさんは、炭坑で働いている。
でも、朝鮮人だからと仕事で差別を受けるので、
じいちゃんの反対を押し切って帰化したらしい。

大吉の母は、根岸李衣さん演じる、須美さんの姉の初美さん。
二度の離婚を経て、水商売をしてるらしい。
炭坑の組合長の大村さんとは内縁関係。

須美さんの妹、晴美さん役は、星野園美さん。
「GS近松商店」にも出演してた女優さんやけど、
体型からも(太めで・・)癒し系の方。
・・・でも、今回は壮絶な役で・・・
日本人の昌平さんと結婚。
コミカルな二人なので、ずっと笑いを提供してくれると思ってたのに・・・

ナリさんの弟、(英勲)ヒデさんは足が悪い。
だから、採掘の仕事はさせてもらえない。
須美さんに憧れを持ってるみたいで、
そういう思いも振り切って、北へ行こうと考えている。

あってはならない爆発事故。
多くの坑夫の命が奪われるが、ナリさんと昌平さんは、
命は取り留めたものの、CO中毒患者となってしまう・・・

苦しくて、辛くて、不幸なことばかりが続く物語。
でも、随所に、鄭さんらしい、
吉本的笑い?がちりばめられています。

ギャグ?は3回繰り返す、ところとかね~(笑)

三輪軽トラックも登場しました。
ミゼット?みたいなトラック、あるんですねぇ。
ほんでまた、狭い舞台上をうまく走るんですわ~
もちろん、リヤカーも出て来ましたよ。

そして、「GS近松・・」と同じように、水も飛びました!
下手1列目の方には、ビニールが配られてましたよ!

二幕が始まる時は、ストーリーテラーの大吉さんが、
水が来たときの防ぎ方レクチャーまでしてましたよ。
適度に、西宮ネタ?(野々村議員のこととか)を入れて(苦笑)

そうそう、七輪でイカも焼いてましたよ!
煙ってましたけどね~


でも、本当に辛い。
CO中毒の後遺症って、あんな風になるんやね。

人格が変わって暴力をふるうようになったり、
記憶を失って、子ども同然になったり・・・

福岡の三池炭坑の事故が過去最大の事故だそうですが、
後遺症はないと思われて、労災補償も3年で打ち切られたとか。
今なお、50年以上もその後遺症と戦っている家族がいるらしいです。

組合運動で立ち上がる須美さんたち。

ナリさんは、身体の不調に対する不安と、
思うように働くことができない憤懣、
妻を抱いてやることもできない情けなさから、
弟に焼きモチをやいて、暴力をふるったり、
あまりの苦しみから、カミソリを首に当てて・・・

その時に、寝てばっかりしてたあのおじいちゃんが、
ナリさんを止めました。

「それでも、何があっても生きて行くんだよ」

晴美さんは、後遺症で苦しみながら暴力をふるう夫に、
手を焼きながら、だからといって捨てることなど出来ない。

「太ってる女に、しみったれた顔は似合わないよ」

初美さんのツッコミは、笑いを誘うんやけど、
さすがに、だんだん不幸になっていく晴美さんに、
笑えなくなり、ほんま、泣けてきて・・・

ボロボロになった姿で、一人で現れた晴美さん。

「警察に行かんば・・・私、昌平さんば殺してきた」

そのセリフを聞いた瞬間、客席は水を打ったように静まりました。

苦しむ昌平さんに「殺してくれ」と言われて・・・

もう、涙、涙・・です。

ラストは、雪がハラハラと降る中で、
初美さんと大村さん、大吉くんが旅立ちます。
閉山で、働くところを失った大村さんは、
大阪で空港をつくるところで働くと、その町を出ることに。

三輪トラックに、おじいちゃんと、
マッコリの大きな瓶を乗せて、
雪が降る中を去っていきます。

歩けなくなって車椅子生活をおくるナリさんの、
髭をそってあげる須美さん。

その二人の上にも、雪が降ります。

ストーリーテラーの大人の大吉さんが、
その後の家族のことを話ます。

北へいったヒデさんからは連絡はないらしい。
大阪へいった大吉くんの家族は、大村さんは亡くなり、
おじいちゃんも、初美さんも亡くなった。
ファッションデザイナーになると言ってた大吉くんは、
韓国系の銀行員になってました。

晴美さんは・・・出所後、行方知らずとか・・・

須美さんだけは、あの町に残り、
ナリさんの面倒を見ながら暮らしてたそうです。

「焼肉ドラゴン」と違うところは、
町に残った人たちがいたところですね。

「オマエは朝鮮人やけど、九州女ったいね」

ナリさんが、言うてましたね。
自分で決断して、たくましく生きる、須美さん。

果歩さん、この舞台の稽古に入る前に、
検診で乳ガンが見つかって手術したとかいうてましたね。
でも、パワー全開の舞台でした。

カーテンコールは3回。
スタンディングオベーションもありました。
果歩さんの笑顔が、とってもステキでした!

終演後、ロビーで、笑福亭銀瓶さんを見かけましたよ。
やっぱり、観に来てはったんですね。



「焼肉ドラゴン」の再々演が関西でもあると、
最初に教えてくださったのが、銀瓶さんでしたしね。
お礼を言って、厚かましく?握手もしてもらってきました~~(笑)

ほんとに、感動的な舞台でした~