中学入学前、2月上旬に、初めてラジカセを買ってもらった。スタンダードのラジカセだった。スタンダードというブランドは、単純に現在のマランツのこと(マランツもデノンといっしょになって、単体では残っていないが)だと思っていたが、wikiなどを見ると社名は’75年に日本マランツに変わり、STANDARDのブランドは無線機関係のブランドとして八重洲無線に譲っているらしい。とにかく、うちにあったのはスタンダードブランドのラジカセだ。写真はそのスタンダードのラジカセに付属していた、試供品のカセットテープだ。
それまで我が家にはコンパクトカセットをつかう機械がなかった。ので、これが我が家で初めてのカセットテープと言うことになる。
当時はテープが貴重で、上書きを繰り返して使うことが多かったが、この最初のテープだけは、買った頃の録音がそのまま残っている(購入時に上書きしたかどうかは覚えていないけど)。
本来の目的は、中学入学後の英語勉強にあったわけだが、とにかく音が録音できる機械なんていままでいじったことがなかったので、早速遊び始めた。最初に興味を持ったのは、どうやらテレビの録音だったらしい。そう、ビデオデッキも家にはなかった-VHSもまだ登場していないころなので、ふつうの家にはなかった-のだ。
テレビの録音は、HDMIなんてあるわけないし、ピンケーブルはあったとは思うが、当時はしらない。内蔵マイクをテレビのスピーカーに近づけて録音した。だから、家族の声も一緒に入っている。僕が「し~っ」といっている声と、家族がふざけてわざと大声で話している声も入っている。
内容別に言うと、主題歌、CM,ドラマ本編、ニュースなどの録音がある。
主題歌としてはまず、少年探偵団のエンディングテーマ。江戸川乱歩の作品だがこれはリバイバルして現代的にしたもの。スポンサーだったのか、富士重工のCMも一緒に入っていて、怪人20面相が「明智君、きみならどうするかね?」などと言っている。スバルは昔はちょっと変なCMをやっていて、たしか原辰徳と岩崎宏美がイメージキャラクターになっていた頃もあったと思う。
CMではほかに洋酒,テレビなどの宣伝。いつも思うのだが、昔の日本と今の日本は名前は同じだが今とぜんぜんつながりのない世界のようにも思える。大人の世界というか・・。僕が見ていた大人たちのように、僕もなれるのかと思っていたが、いつまでたってもあの頃の大人の世界にはたどりつかない。いつかなれるんだろうか?
三菱テレビのCMはある種現代的だ。 タバコのセブンスターが大写しになり、刑事が上司に「ホシが黒か白かはっきりしない」という(セブンスターのパッケージには、小さな星がたくさん並んだデザイン)。三菱のテレビならはっきり見えるという宣伝。人物は最後まで出てこない。ああ、録音だから映像は記憶でしかないが。
おばQはU子さんにお茶やお花を教えるというエピソード。
「太陽にほえろ!」は音大生?の恋人をウィーンに行かせるために、何か犯罪をおかした大学生の話らしい。彼女が(犯罪で得たお金で)渡航する寸前、羽田空港(当時唯一の国際空港)で彼はつかまってしまう。「どうして行かせてくれないんだ!」と泣き叫ぶ。
銀河テレビ小説「となりの芝生」のテーマ曲が入っている。人気のあるドラマだったが、内容はさっぱり覚えていない。
同じ頃放映されて いた、民放のドラマのテーマ曲が入っている。題名もドラマの内容も全く記憶がない。はっきり覚えているのは、テーマ曲のバックに、お茶の水駅の丸ノ内線と 中央線の映像が使われていたこと。電車が行き来している様子が子供心に引っかかって、そこだけ見ていたような気もする。歌詞は、著作権云々を言われると困 るが;
風は東から吹いてきた / 娘が一人 恋をして / 胸の風車を廻します / から・から・から・から / 恋は向こうむず / 恋はまっすぐ / 恋はため息 / 恋は・誰にもとめられない というもの。
誰かご存じないですか??