うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

ヘアー(映画)

2015年02月17日 | 映画

もとは1967年から上演されいてるロック・ミュージカル。 映画は本国では1979年、国内では翌年春に公開された。

僕はロードショウの時に映画館で見ている。ミュージカルの方は未だに見たことがない。

なぜ昔映画を見たかというと、使われている音楽(Aquarious - Let the Sunsine in)が好きだったからだ。偶々ラジオで聞いて気に入ってしまい、録音して繰り返し聞いていた。その時点で10年ぐらい前の曲だった訳だけど。

ミロス・フォアマン監督のこの映画は、生涯で最も好きな映画の一つだ。

あらすじについてはこちらを見てほしいが、一言で言えば時代を反映したベトナム戦争、ヒッピーものである。

世代的に、当時の事情などは知るよしもないし、最初に映画を見たときの印象もほとんど残っていない。ただ、主人公の一人、ジョージ・バーガーがパーティでテーブルの上に乗って踊るところは好きだった・・。

14年前に、久し振りに見たときはまた別の感想を持った。登場人物がみんな若いのだ。最初に見たときは自分たちより年上で、違う社会環境にいる人たちだったが、再会してみたら、自分たちが20歳前後の頃に感じてきたような、いろいろの悩みを抱えている、昔の友人のような人たちになっていた。

同時に強く感じたのは、自分が彼らのような若者では既にないのだなという、当たり前と言えば当たり前の感想だった。もう彼らのように無茶はできないし、初対面ですぐに打ち解けて友達になるようなこともできない。30台だったが、今だったらもうそんなこと感じもしないだろう。自分が若くないのはわかりきったことだから。

ジョージ・バーガーは無鉄砲な若者で、召集令状は破ってしまうし、強引にクロード・ブコウスキーを富豪フランクリン家の娘シーラの家に忍び込ませたり、ネバダの軍施設に行ったクロードを訪ねに、2000マイルもドライブしたうえ、守衛に追い返されたりしている。彼なりの正義感とか親切心のようなものがあり、その気持ちに忠実だ。だからこそ、周りと軋轢を起こす。

やっていることは当然違うが、こういう若者を、僕は知っていた。時に困らされるのだけど、その純粋さは何となく伝わるから、悪く思えないのだ。

シーラはいかにもお金持ちのお嬢様だ。お茶目で、外の世界に強い興味を持っている。だから、バーガーとも何となく気が合うようだし、クロードとも惹かれ合う。シーラ役のビヴァリー・ダンジェロは、上品な感じと若くて可愛らしい感じが同居していて、シーラ役にぴったりだ。

クロード・ブコウスキーはオクラホマの農家の息子で、基本的には保守的な若者だ。自分になぞらえるつもりはないが、でも自然に感情移入してしまう。

他の若者たちも皆好きだが、特にラファイエットの妻(恋人?)役のシェリル・バーンズは印象的だ。雪の残る寒そうな公園で、ラファイエットにむげに扱われながら、傷心を歌い上げる"Easy to Be Hard"は見事だ。堅苦しく、きつい言い方をする女性、という設定だが、それ故に傷つく。若さ故という感じで、愛おしく思える。

フォアマン監督による印象的な情景描写は枚挙にいとまがない。

舞台は初秋から冬にかけてのニューヨークが中心だ。

冒頭、ロードがNYに向かうバスの車窓。バスの影が道路の上で揺れる。

ほこりっぽい公園での若者たちの集会。クロードの妄想の中で展開される、インド風?の結婚式風景。

軍の訓練キャンプ風景。基地を走り回る輸送用トラックやジープなどの物々しさは、NYとは対照的な現実世界の厳しさが強調される。若者たちは苦しそうだが、僕等はもうそんな経験もできないもんな。

最後のシーンは、音楽と共にとても印象的だ。ミュージカルにありがちな、無理のある設定だが、全然気にならない。

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みんながクロードを訪ねに、ネバダに向かうときのシーン。幌を下ろした1967 リンカーン・コンチネンタル・コンバーチブルが荒野を走るなか、シーラが Good Morning Star Shine を歌う。この映画の中ではちょっと異質なシーンだが、車内はみんな楽しそうだ。リンカーンは前後3人と赤ん坊の7人が乗っている。ミニバンも7人乗れるだろうが、この楽しさは味わえないな。

 

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このリンカーン、アメリカ車にしてはモダンでセンシブルですごく好きなんだよね・・。60年代後半のアメリカ車はとても上品だ。

基本的には1961年にフルモデルチェンジしたボディを洗練させたもののようだ。1963年、ダラスでケネディを乗せた、プレジデンシャル・リンカーンもこの仲間らしい。

67年式は繊細なグリルと、ボディと半ば一体になったバンパーがなんとなく、69年頃のクラウンを連想させる。リンカーンは70年代になると、角張った派手なデザインに変わってしまうが、この年式のセダンなどは、大使館公用車などに使っても似合うような感じがする。

「卒業」のロビンソンおじさんも、同じ車に乗っていたと思う。

14年前にこの映画に再会したのも今頃なせいか、この映画をや音楽を聴くと、その頃の自分-青山近辺の街の風景とか-が思い出されたりする。

というわけで、とりとめのないお話におつきあいありがとうございました。

 

 

 

 

 

コメント (1)
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